高知県の国宝(建造物) 一覧・まとめ / National Treasure of Japanese Buildings in Kochi ~旅行のみどころになる日本国民の宝と指定された神社、寺、城、住宅等の重要文化財~

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日本の国宝とは文化財保護法によって国が指定した重要文化財のうち、世界文化の見地から価値の高いもので、たぐいない国民の宝たるものであるとして国(文部科学大臣)が指定したものを指します。

法律の観点では国宝は重要文化財の一種であり、国宝の分類には建造物(神社、寺院、城郭、住宅等)、絵画、彫刻、工芸品、書跡・典籍、古文書、考古資料・歴史資料があります。

今回はそのような国宝の中から、各都道府県の旅行のみどころにもなってくる「建造物」に分類される国宝を紹介します。

高知県の国宝(建造物) 一覧・まとめ / National Treasure of Japanese Buildings in Kochi ~旅行のみどころになる日本国民の宝と指定された神社、寺、城、住宅等の重要文化財~

高知県には、国宝に指定された建造物が1件あります。それが四国最古の木造建築物として知られる豊楽寺薬師堂(ぶらくじやくしどう)です。高知県長岡郡大豊町の山間部にひっそりと佇むこの薬師堂は、平安時代後期の建築様式を今に伝える極めて貴重な遺構であり、四国地方における仏教建築の歴史を語るうえで欠かすことのできない存在です。

高知県は四国の南部に位置し、太平洋に面した温暖な気候と豊かな自然に恵まれた地域です。歴史的には土佐国として栄え、戦国時代の長宗我部氏や幕末の坂本龍馬をはじめとする志士たちの活躍で広く知られています。そのような高知県において、平安時代から900年近い歳月を経てなお現存する豊楽寺薬師堂は、この地の深い信仰の歴史と卓越した建築技術を物語る唯一無二の文化遺産です。


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豊楽寺薬師堂 / Buraku Ji Yakushi Dou[Buraku Temple Yakushi Dou]

豊楽寺薬師堂の歴史

豊楽寺(ぶらくじ)は、高知県長岡郡大豊町寺内に所在する真言宗智山派の寺院です。寺伝によれば、聖武天皇の勅願により奈良時代の天平年間(729年〜749年)に行基菩薩が開基したとされています。山号は大田山(おおたさん)で、正式には大田山豊楽寺と称します。

豊楽寺は、平安時代から中世にかけて土佐国における山岳信仰と密教の拠点として栄えました。四国山地の深い山々に囲まれた大豊町の地は、修験道の霊場としても重視され、豊楽寺はその中心的な存在でした。薬師堂の建立は平安時代後期の仁平年間(1151年頃)とされ、当時の土佐国における仏教文化の高い水準を示しています。

建築的特徴 ~四国最古の木造建築物~

豊楽寺薬師堂は、四国地方に現存する最古の木造建築物として極めて高い歴史的・学術的価値を有しています。建築様式は寄棟造(よせむねづくり)・柿葺(こけらぶき)で、桁行5間(約12メートル)、梁間7間(約14メートル)の単層(平屋建て)の堂宇です。

寄棟造は屋根の四面すべてに傾斜面を持つ形式で、豊楽寺薬師堂の屋根は柿葺と呼ばれる薄い木の板を幾重にも重ねた伝統的な葺き方で仕上げられています。この柿葺の屋根が緩やかな曲線を描く姿は、平安時代後期の建築様式の優美さを今に伝えるものです。

堂内は内陣と外陣に分かれており、柱の配置や組物(くみもの)の構成に平安時代後期の特徴が明確に見られます。特に、柱上の斗栱(ときょう)と呼ばれる木組みの構造には、古い時代の建築技法がそのまま残されており、日本建築史の研究において第一級の資料となっています。地方の山間部に位置していたことが幸いし、戦乱や火災の被害を受けずに平安時代の姿を留めることができたと考えられています。

「柴折薬師」の名と安置仏像

豊楽寺薬師堂は別名「柴折薬師」(しばおりやくし)とも呼ばれ、日本三大薬師のひとつに数えられることがあります。この「柴折」の名は、行基菩薩が開基の際に柴を折って薬師如来像を安置する堂を建てたという伝承に由来するとされています。

堂内には、中央に薬師如来坐像、向かって右に阿弥陀如来坐像、向かって左に釈迦如来坐像の三尊が安置されています。これら三体の仏像はいずれも平安時代の作とされ、国の重要文化財に指定されています。一つの堂に薬師・阿弥陀・釈迦の三如来を祀る形式は全国的にも珍しく、三仏が揃って平安時代の姿を保っている点でも貴重な存在です。

国宝指定の経緯と文化財的価値

豊楽寺薬師堂は、1952年(昭和27年)11月22日に国宝に指定されました。四国地方における平安時代後期の建築遺構は極めて少なく、薬師堂はその唯一ともいえる代表的な建造物です。国宝指定の理由として、四国最古の木造建築物であること、平安時代後期の建築技法を忠実に伝えていること、そして建立以来大きな改変を受けずに当初の姿を保っていることが挙げられています。

文化庁の国宝・重要文化財の分類においては「近世以前・寺院」に区分されており、神社建築が多い四国の国宝建造物のなかで、寺院建築として指定されている点にも特色があります。

豊楽寺薬師堂の見どころと訪問案内

豊楽寺薬師堂を訪れる際は、JR土讃線の大田口駅から自動車で約20分の道のりです。公共交通機関でのアクセスは限られるため、レンタカーの利用が便利です。四国山地の山間に位置するため、周囲は豊かな自然に囲まれており、特に秋の紅葉シーズンには薬師堂と周囲の木々が織りなす景観が見どころとなります。

見どころのポイントとしては、まず堂全体の佇まいに注目してください。900年近い歳月を経た柿葺の屋根と、苔むした石段が醸し出す荘厳な雰囲気は、都市部の寺院とは異なる深い静寂を感じさせます。また、堂内に安置された三体の如来像は、いずれも平安時代の穏やかで気品ある表情を留めており、仏像愛好家にとっても見逃せない存在です。

大豊町は、豊楽寺のほかにも日本一の大杉として知られる杉の大杉(国の特別天然記念物)があることでも有名です。豊楽寺と合わせて訪問することで、大豊町の豊かな自然と歴史を堪能することができます。

種別
Type
国宝・近世以前・寺院
時代
Period
平安後期(1151年頃)
指定年月日
Designated
1952年11月22日
住所
Address
高知県長岡郡大豊町寺内314
地図
Map
地図(Map)
アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
JR大田口駅より自動車(約20分)
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高知県の国宝建造物まとめ

高知県の国宝建造物は豊楽寺薬師堂の1件ですが、その歴史的・文化的価値は計り知れません。平安時代後期に建立され、四国最古の木造建築物として約900年にわたり現存し続けていることは、日本の建築史において特筆すべき事実です。都市部から離れた山間部の立地が、この貴重な建造物を戦火や災害から守ってきたともいえます。

高知県を旅行する際には、高知市内の観光スポットとあわせて、大豊町の豊楽寺薬師堂まで足を延ばしてみてはいかがでしょうか。四国の山深い地に静かに佇む平安建築の美しさと、堂内に安置された三体の如来像の穏やかな表情が、訪れる人々の心に深い感動を与えてくれることでしょう。

都道府県別 国宝建造物 一覧

日本全国の国宝建造物を都道府県別にまとめています。旅行の計画にお役立てください。

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