兵庫県の国宝(建造物) 一覧・まとめ / National Treasure of Japanese Buildings in Hyogo ~旅行のみどころになる日本国民の宝と指定された神社、寺、城、住宅等の重要文化財~

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日本の国宝とは、文化財保護法によって国が指定した重要文化財のうち、世界文化の見地から価値の高いもので、たぐいない国民の宝たるものであるとして国(文部科学大臣)が指定したものを指します。

法律の観点では国宝は重要文化財の一種であり、国宝の分類には建造物(神社、寺院、城郭、住宅等)、絵画、彫刻、工芸品、書跡・典籍、古文書、考古資料・歴史資料があります。

今回はそのような国宝の中から、各都道府県の旅行のみどころにもなってくる「建造物」に分類される国宝を紹介します。

兵庫県の国宝(建造物) 一覧・まとめ / National Treasure of Japanese Buildings in Hyogo ~旅行のみどころになる日本国民の宝と指定された神社、寺、城、住宅等の重要文化財~

兵庫県には、平安時代から桃山時代にかけて建てられた国宝建造物が合計11件あります。その内訳は寺院建築が6件、城郭建築が5件です。寺院建築は加西市・小野市・神戸市・加東市・加古川市に点在し、城郭建築はすべて姫路城の構成要素として姫路市に集中しています。

兵庫県の国宝建造物の特徴は、平安後期(12世紀)から室町中期(15世紀)までの寺院建築と、桃山時代(17世紀初頭)の城郭建築という、日本建築史上の異なる時代の傑作が共存している点にあります。特に姫路城は1993年にユネスコ世界文化遺産にも登録されており、日本を代表する城郭建築として世界的に知られています。

以下では、兵庫県内の国宝建造物11件を個別に紹介します。住所・アクセス・地図情報も掲載していますので、旅行計画の参考にしてください。


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一乗寺三重塔 / Ichijou Ji Sanjuh No Tou[Ichijou Ji Three Storied Pagoda]

一乗寺三重塔は、兵庫県加西市の山間に位置する天台宗の古刹・一乗寺の境内にそびえる三重塔です。1171年(承安元年)に建立された平安後期の塔建築であり、兵庫県に現存する最古の建造物のひとつに数えられます。高さ約22メートルの塔身は、初層から三層にかけて逓減率(各層の幅が上にいくほど小さくなる比率)が大きく、安定感のある優美な姿を見せています。屋根の反りや軒の出の深さなど、平安時代の和様建築の特徴がよく表れており、日本の三重塔建築の傑作として高く評価されています。周囲を山林に囲まれた境内の石段を登った先に現れるその姿は、四季折々の自然と相まって格別の趣があります。

種別
Type
国宝・近世以前・寺院
時代
Period
平安後期(1171年)
指定年月日
Designated
1952年03月29日
住所
Address
兵庫県加西市坂本町821-17
地図
Map
地図(Map)
アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
北条鉄道法華口駅より自動車(約15分)、北条鉄道法華口駅よりバス(約15分)「法華山一乗寺」下車(徒歩約10分)
URL
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浄土寺浄土堂(阿弥陀堂) / Joudo Ji Joudo Dou(Amida Dou)[Joudo Temple Joudo Dou(Amida Dou)]

浄土寺浄土堂は、兵庫県小野市にある高野山真言宗の寺院・浄土寺の阿弥陀堂です。1192年(建久3年)、東大寺再建で知られる重源(ちょうげん)上人によって建立されました。この建物の最大の特徴は「大仏様(だいぶつよう)」と呼ばれる建築様式です。大仏様は中国・宋から伝えられた建築技法で、貫(ぬき)と呼ばれる水平材を柱に通して構造を固める合理的な架構法を用います。堂内に安置されている国宝・阿弥陀三尊立像(快慶作)は高さ約5メートルにおよび、夕刻には西側の蔀戸(しとみど)から差し込む西日が堂内を朱色に染め、阿弥陀如来が光背を負って立つかのような荘厳な光景が現れます。建築と仏像と自然光が一体となった空間演出は、浄土信仰の世界観を今に伝える希有な事例として知られています。

種別
Type
国宝・近世以前・寺院
時代
Period
鎌倉前期(1192年)
指定年月日
Designated
1952年03月29日
住所
Address
兵庫県小野市浄谷町2094
地図
Map
地図(Map)
アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
神戸電鉄小野駅より自動車(約10分)
URL
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太山寺本堂 / Taisan Ji Hondou[Taisan Temple Hondou]

太山寺本堂は、兵庫県神戸市西区に位置する天台宗の古刹・太山寺の中心をなす仏堂です。1285年(弘安8年)に再建された鎌倉後期の建築で、桁行(正面)七間・梁間(奥行)六間という大規模な仏堂です。入母屋造の本瓦葺きで、正面には広い向拝(こうはい)を備えています。内部は外陣と内陣に分かれ、内陣には本尊の薬師如来坐像が安置されています。和様を基調としながらも、一部に大仏様の技法を取り入れた折衷様式が特徴で、鎌倉時代の大型仏堂建築の代表例として建築史上重要な位置を占めています。神戸市内にありながら深い山林に囲まれた静寂な環境にあり、都市近郊で鎌倉時代の国宝建築に触れることができる貴重なスポットです。

種別
Type
国宝・近世以前・寺院
時代
Period
鎌倉後期(1285年)
指定年月日
Designated
1955年06月22日
住所
Address
兵庫県神戸市西区伊川谷町前開224
地図
Map
地図(Map)
アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
神戸市営地下鉄伊川谷駅よりバス(約10分)「太山寺」下車(徒歩約5分)、神戸市営地下鉄伊川谷駅より自動車(約15分)
URL
URL
https://www.do-main.co.jp/taisanji/

朝光寺本堂 / Choukou Ji Hondou[Choukou Temple Hondou]

朝光寺本堂は、兵庫県加東市の山中にたたずむ高野山真言宗の寺院・朝光寺の本堂です。室町中期の応永年間(1413年〜1428年)に建てられたとされ、桁行七間・梁間六間の入母屋造・本瓦葺きの堂々たる仏堂建築です。和様を基調としつつも、木鼻(きばな)や虹梁(こうりょう)の意匠には禅宗様の影響がみられる折衷様式が特徴です。室町時代の大型仏堂として、その建築技法と保存状態の良さから高い評価を受けています。毎年5月5日に行われる「鬼踊り」(国指定重要無形民俗文化財)は、この本堂を舞台として奉納される伝統芸能で、建物と無形の文化財が一体となった稀有な文化的景観を形成しています。

種別
Type
国宝・近世以前・寺院
時代
Period
室町中期(1413年〜1428年)
指定年月日
Designated
1954年03月20日
住所
Address
兵庫県加東市畑609
地図
Map
地図(Map)
アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
JR社町駅より自動車(約25分)
URL
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鶴林寺太子堂 / Kakurin Ji Taishi Dou[Kakurin Temple Taishi Dou]

鶴林寺太子堂は、兵庫県加古川市にある天台宗の古刹・鶴林寺の境内に建つ仏堂です。1112年(天永3年)に建立された平安後期の建築で、「播磨の法隆寺」とも称される鶴林寺の中で最も古い建物です。桁行三間・梁間三間の小規模な檜皮葺(ひわだぶき)の堂で、正面に一間の向拝を設けています。堂内には聖徳太子像が安置されており、太子信仰の拠点として長い歴史を持っています。内部の壁画には平安時代後期の仏画が残されており、建築と絵画が一体となった文化財としても価値が高いものです。兵庫県内の国宝建造物の中では、鶴林寺太子堂(1112年)が最も古い年代のものです。

種別
Type
国宝・近世以前・寺院
時代
Period
平安後期(1112年)
指定年月日
Designated
1952年11月22日
住所
Address
兵庫県加古川市加古川町北在家
地図
Map
地図(Map)
アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
JR加古川駅よりバス(約5分)「北在家東口」下車(徒歩約10分)、JR加古川駅より自動車(約15分)、JR尾上の松駅より自動車(約10分)
URL
URL
https://www.kakurinji.or.jp/

鶴林寺本堂 / Kakurin Ji Hondou[Kakurin Temple Hondou]

鶴林寺本堂は、同じく加古川市の鶴林寺境内に建つ中心的な仏堂です。1397年(応永4年)に再建された室町中期の建築で、桁行七間・梁間六間の入母屋造・本瓦葺きの大型仏堂です。和様を基調としながらも、詰組(つめぐみ)や扇垂木(おうぎだるき)などの禅宗様の要素を取り入れた折衷様式が見事に融合しています。外観は重厚でありながら均整のとれた端正な佇まいを見せ、室町時代の仏堂建築の到達点を示す建物と評価されています。鶴林寺には太子堂とあわせて2件の国宝建造物があり、ひとつの寺院で平安時代と室町時代の国宝建築を見比べることができる貴重な場所です。

種別
Type
国宝・近世以前・寺院
時代
Period
室町中期(1397年)
指定年月日
Designated
1952年11月22日
住所
Address
兵庫県加古川市加古川町北在家
地図
Map
地図(Map)
アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
JR加古川駅よりバス(約5分)「北在家東口」下車(徒歩約10分)、JR加古川駅より自動車(約15分)、JR尾上の松駅より自動車(約10分)
URL
URL
https://www.kakurinji.or.jp/

姫路城の国宝建造物について

姫路城は兵庫県姫路市にある日本を代表する城郭建築で、その白漆喰(しっくい)で塗り固められた優美な外観から「白鷺城(しらさぎじょう)」の愛称で親しまれています。1346年(正平元年)に赤松貞範によって築城されたのが始まりとされ、現存する主要な建造物は1601年から1609年にかけて池田輝政によって大規模に築城されたものです。1993年には奈良の法隆寺とともに日本で初めてユネスコ世界文化遺産に登録されました。

姫路城からは大天守・東小天守・西小天守・乾小天守の4つの天守と、これらを結ぶイ・ロ・ハ・ニの渡櫓の合計5件が国宝に指定されています。連立式天守と呼ばれるこの構成は、大天守を中心に3つの小天守を渡櫓で連結した日本の城郭建築における最も発展した天守形式で、その規模と完成度において他に類を見ないものです。以下に各国宝建造物の詳細を紹介します。

姫路城イ、ロ、ハ、ニの渡櫓 / Himeji Jou I, Ro, Ha, Ni No Watari Yagura[Himeji Castle I, Ro, Ha, Ni No Watari Yagura]

姫路城の渡櫓(わたりやぐら)は、大天守と3つの小天守を連結する廊下状の建物で、イの渡櫓・ロの渡櫓・ハの渡櫓・ニの渡櫓の4棟が一括して国宝に指定されています。1609年頃の建築で、単なる通路としてだけでなく、戦時には武器庫や防御拠点としての機能も果たしていました。各渡櫓の内部には石落としや狭間(さま)などの防御設備が設けられており、実戦を想定した城郭建築の特徴を今に伝えています。これらの渡櫓によって4つの天守が一体の連立式天守群として機能し、姫路城の壮大な景観を構成しています。

種別
Type
国宝・近世以前・城郭
時代
Period
桃山(1609年頃)
指定年月日
Designated
1951年06月09日
住所
Address
兵庫県姫路市本町68
地図
Map
地図(Map)
アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
JR姫路駅・山陽姫路駅(徒歩約25分)、JR姫路駅・山陽姫路駅よりバス(約5分)「姫路城大手門前」下車(徒歩約10分)、JR姫路駅・山陽姫路駅よりバス(約5分)「姫山公園南」下車(徒歩約5分)
URL
URL
https://www.city.himeji.lg.jp/guide/castle/

姫路城乾小天守 / Himeji Jou Inui Kotenshu[Himeji Castle Inui Kotenshu]

姫路城乾小天守は、大天守の北西(乾の方角)に位置する三重三階の小天守です。1609年の建築で、3つの小天守の中では最も大きく、独立した天守としても十分な規模と格式を備えています。外観は白漆喰の総塗籠造(そうぬりごめづくり)で、千鳥破風(ちどりはふ)や唐破風(からはふ)などの装飾的な破風を持ち、優美さと力強さを兼ね備えた意匠を見せています。ロの渡櫓を通じて大天守と結ばれ、連立式天守群の北西の要を担っています。

種別
Type
国宝・近世以前・城郭
時代
Period
桃山(1609年)
指定年月日
Designated
1951年06月09日
住所
Address
兵庫県姫路市本町68
地図
Map
地図(Map)
アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
JR姫路駅・山陽姫路駅(徒歩約25分)、JR姫路駅・山陽姫路駅よりバス(約5分)「姫路城大手門前」下車(徒歩約10分)、JR姫路駅・山陽姫路駅よりバス(約5分)「姫山公園南」下車(徒歩約5分)
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https://www.city.himeji.lg.jp/guide/castle/

姫路城西小天守 / Himeji Jou Nishi Kotenshu[Himeji Castle Nishi Kotenshu]

姫路城西小天守は、大天守の西側に位��する三重三階の小天守です。1609年の建築で、乾小天守とハの渡櫓・ニの渡櫓によって連結されています。西小天守は連立式天守群の西面を守る役割を果たし、大天守を中心とした防御陣形の一翼を担っています。白漆喰の外壁と各階の千鳥破風は他の小天守と調和しながらも、それぞれに異なる意匠が施されており、姫路城の天守群全体に変化と統一感を同時にもたらしています。

種別
Type
国宝・近世以前・城郭
時代
Period
桃山(1609年)
指定年月日
Designated
1951年06月09日
住所
Address
兵庫県姫路市本町68
地図
Map
地図(Map)
アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
JR姫路駅・山陽姫路駅(徒歩約25分)、JR姫路駅・山陽姫路駅よりバス(約5分)「姫路城大手門前」下車(徒歩約10分)、JR姫路駅・山陽姫路駅よりバス(約5分)「姫山公園南」下車(徒歩約5分)
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https://www.city.himeji.lg.jp/guide/castle/

姫路城大天守 / Himeji Jou Daitenshu[Himeji Castle Daitenshu]

姫路城大天守は、姫路城の中心であり、日本の城郭建築を象徴する存在です。1608年(慶長13年)に完成した五重六階地下一階の大天守で、石垣上の高さは約31.5メートル、地上からの総高は約46メートルにおよびます。外観五重の屋根には大小の千鳥破風・唐破風・入母屋破風が巧みに配され、見る角度によって異なる表情を見せます。構造面では、地下から最上階まで通る2本の心柱(しんばしら)が建物全体を支える独特の工法が用いられています。内部は武者走り・石打棚・狭間など、実戦を意識した防御機能が随所に設けられています。2009年から2015年にかけて行われた「平成の大修理」により、白漆喰の輝きが蘇り、築城当時の姿に近い威容を取り戻しました。現存12天守の中でも最大規模を誇り、日本の城郭建築の最高傑作として国内外から多くの来訪者を集めています。

種別
Type
国宝・近世以前・城郭
時代
Period
桃山(1608年)
指定年月日
Designated
1951年06月09日
住所
Address
兵庫県姫路市本町68
地図
Map
地図(Map)
アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
JR姫路駅・山陽姫路駅(徒歩約25分)、JR姫路駅・山陽姫路駅よりバス(約5分)「姫路城大手門前」下車(徒歩約10分)、JR姫路駅・山陽姫路駅よりバス(約5分)「姫山公園南」下車(徒歩約5分)
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https://www.city.himeji.lg.jp/guide/castle/

姫路城東小天守 / Himeji Jou Higashi Kotenshu[Himeji Castle Higashi Kotenshu]

姫路城東小天守は、大天守の東側に位置する三重三階の小天守です。1609年頃の建築で、イの渡櫓を介して大天守と直接つながっています。3つの小天守の中では最も大天守に近い位置にあり、天守群への入口を守る重要な防御拠点としての役割を担っていました。白漆喰の外壁に千鳥破風を配した外観は、他の小天守と統一された意匠の中にも独自の端正さを持ち、連立式天守群の東面を堂々と構成しています。

種別
Type
国宝・近世以前・城郭
時代
Period
桃山(1609年頃)
指定年月日
Designated
1951年06月09日
住所
Address
兵庫県姫路市本町68
地図
Map
地図(Map)
アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
JR姫路駅・山陽姫路駅(徒歩約25分)、JR姫路駅・山陽姫路駅よりバス(約5分)「姫路城大手門前」下車(徒歩約10分)、JR姫路駅・山陽姫路駅よりバス(約5分)「姫山公園南」下車(徒歩約5分)
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https://www.city.himeji.lg.jp/guide/castle/

兵庫県の国宝建造物 まとめ

兵庫県には全11件の国宝建造物があり、平安後期の鶴林寺太子堂(1112年)から桃山時代の姫路城(1608年〜1609年)まで、約500年にわたる日本建築の変遷をたどることができます。寺院建築では、和様の一乗寺三重塔、大仏様の浄土寺浄土堂、折衷様式の太山寺本堂・朝光寺本堂・鶴林寺本堂と、日本建築における主要な様式の変遷を一県内で概観できます。城郭建築では、姫路城の連立式天守群5件が、桃山時代の城郭建築の到達点を示しています。

旅行の計画にあたっては、播磨地域(姫路市・加古川市・加西市・小野市・加東市)と神戸市西区に国宝が集中しているため、効率的に巡ることが可能です。特に姫路城と鶴林寺は公共交通機関でのアクセスが比較的容易で、一日で両方を訪れることもできます。一方、一乗寺・浄土寺・朝光寺は山間部に位置するため、自動車での訪問がおすすめです。各建造物の詳しい所在地・アクセス情報は上記の一覧表をご参照ください。