和歌山県の国宝(建造物) 一覧・まとめ / National Treasure of Japanese Buildings in Wakayama ~旅行のみどころになる日本国民の宝と指定された神社、寺、城、住宅等の重要文化財~
日本の国宝とは、文化財保護法によって国が指定した重要文化財のうち、世界文化の見地から価値の高いもので、たぐいない国民の宝たるものであるとして国(文部科学大臣)が指定したものを指します。国宝は日本の文化遺産の最高峰に位置づけられ、その歴史的・芸術的価値は国内のみならず世界的にも高く評価されています。
法律の観点では国宝は重要文化財の一種であり、国宝の分類には建造物(神社、寺院、城郭、住宅等)、絵画、彫刻、工芸品、書跡・典籍、古文書、考古資料・歴史資料があります。日本全国で国宝に指定されている建造物は約230件にのぼり、各地域の歴史や文化を今に伝える貴重な遺産として大切に保護されています。
今回はそのような国宝の中から、各都道府県の旅行のみどころにもなってくる「建造物」に分類される国宝を紹介します。
和歌山県の国宝(建造物) 一覧・まとめ / National Treasure of Japanese Buildings in Wakayama ~旅行のみどころになる日本国民の宝と指定された神社、寺、城、住宅等の重要文化財~
和歌山県は、ユネスコ世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」を擁する日本有数の歴史・文化の宝庫です。弘法大師空海が開いた高野山をはじめ、古来より信仰と文化の中心地として栄えてきた和歌山には、鎌倉時代から室町時代にかけて建立された貴重な仏教建築が数多く現存しています。
和歌山県には合計7件の国宝建造物が所在しており、その全てが寺院建築です。高野山エリアに2件(金剛三昧院多宝塔、金剛峯寺不動堂)、岩出市に1件(根来寺多宝塔)、海南市に4件(善福院釈迦堂、長保寺の本堂・大門・多宝塔)が分布しています。特に長保寺は、本堂・大門・多宝塔の3件が国宝に指定されている全国的にも極めて珍しい寺院です。また、根来寺多宝塔(大塔)は高さ約40メートルを誇る日本最大の木造多宝塔として知られています。
以下では、和歌山県に所在する国宝建造物7件すべてについて、歴史的背景や建築的特徴、アクセス情報を詳しく紹介します。和歌山への旅行を計画されている方は、ぜひこれらの国宝建造物巡りを旅程に組み込んでみてください。
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金剛三昧院多宝塔 / Kongou Sanmai In Tahou Tou[Kongou Sanmai In Tahou Tou]
金剛三昧院(こんごうさんまいいん)は、建暦元年(1211年)に北条政子が夫・源頼朝と息子・実朝の菩提を弔うために高野山に建立した寺院です。多宝塔は貞応2年(1223年)に建てられた高さ約15メートルの二重塔で、高野山に現存する最古の建造物の一つとされています。下層が方形、上層が円形という多宝塔特有の優美な形態を持ち、鎌倉時代前期を代表する多宝塔建築として極めて高く評価されています。周囲を天然記念物の石楠花(シャクナゲ)の木々に囲まれ、春(4月下旬〜5月上旬)の開花時期には、朱色の塔と鮮やかな花が織りなす美しい景観が訪れる人々を魅了します。
| 種別 Type |
国宝・近世以前・寺院 |
| 時代 Period |
鎌倉前期(1223年) |
| 指定年月日 Designated |
1952年11月22日 |
| 住所 Address |
和歌山県伊都郡高野町高野山425 |
| 地図 Map |
地図(Map) |
| アクセス・最寄り駅 Access, Nearest station |
南海電鉄高野山駅よりバス(約15分)「千手院橋」下車(徒歩約10分) |
| URL URL |
https://www.kongosanmaiin.or.jp/ |
金剛峯寺不動堂 / Kongoubu Ji Fudou Dou[Kongoubu Temple Fudou Dou]
金剛峯寺(こんごうぶじ)は、弘仁7年(816年)に弘法大師空海が嵯峨天皇の勅許を得て開創した真言宗の総本山であり、高野山の中核をなす寺院です。不動堂は、もともと一心院谷にあった建物を鎌倉時代後期(14世紀前半)に現在地へ移築したと伝えられています。桁行五間・梁間五間の入母屋造で、檜皮葺(ひわだぶき)の屋根を持つ優美な建物です。堂内には不動明王が安置されており、鎌倉時代の住宅風仏堂建築の遺構として建築史上きわめて貴重な存在です。金剛峯寺の壇上伽藍エリアに位置し、根本大塔や金堂とあわせて参拝することができます。
| 種別 Type |
国宝・近世以前・寺院 |
| 時代 Period |
鎌倉前期(1275年〜1332年) |
| 指定年月日 Designated |
1952年03月29日 |
| 住所 Address |
和歌山県伊都郡高野町高野山 |
| 地図 Map |
地図(Map) |
| アクセス・最寄り駅 Access, Nearest station |
南海電鉄高野山駅よりバス(約15分)「千手院橋」下車(徒歩約10分) |
| URL URL |
https://www.koyasan.or.jp/ |
根来寺多宝塔(大塔) / Negoro Ji Tahou Tou(Daitou)[Negoro Temple Tahou Tou(Daitou)]
根来寺(ねごろじ)は、覚鑁(かくばん)が大治5年(1130年)に高野山内に学問所を創建したことに始まる新義真言宗の総本山です。多宝塔(大塔)は日本最大の木造多宝塔で、高さ約40メートル、幅約15メートルという圧倒的なスケールを誇ります。明応5年(1496年)に着工し、天文16年(1547年)頃に完成したとされ、約50年もの歳月をかけて造営されました。天正13年(1585年)の豊臣秀吉による紀州攻めの際にも奇跡的に焼失を免れ、往時の壮大な伽藍の面影を今に伝えています。堂内の柱や壁面には極彩色の仏画が残されており、建築的価値のみならず芸術的価値も非常に高い建造物です。春には境内の桜が美しく、秋の紅葉の時期にも多くの参拝者が訪れます。
| 種別 Type |
国宝・近世以前・寺院 |
| 時代 Period |
室町後期(1492年〜1554年) |
| 指定年月日 Designated |
1952年11月22日 |
| 住所 Address |
和歌山県岩出市根来2286 |
| 地図 Map |
地図(Map) |
| アクセス・最寄り駅 Access, Nearest station |
JR岩出駅より自動車(約15分)、JR岩出駅よりバス(約15分)「民俗資料館前」下車(徒歩約5分) |
| URL URL |
https://www.negoroji.org/ |
善福院釈迦堂 / Zenpuku In Shaka Dou[Zenpuku In Shaka Dou]
善福院(ぜんぷくいん)は、和歌山県海南市下津町に位置する真言宗の寺院です。釈迦堂は嘉暦2年(1327年)に建立された、桁行三間・梁間三間の方三間仏堂で、禅宗様(唐様)の建築様式を色濃く残しています。詰組(つめぐみ)と呼ばれる精緻な組物や、花頭窓(かとうまど)などの禅宗様の意匠が随所に見られ、鎌倉時代後期の禅宗様建築の貴重な遺構として国宝に指定されました。規模は小さいながらも、均整のとれた美しい建築美が際立つ建物であり、日本の禅宗建築の発展過程を知る上で欠かせない存在です。周辺は静かな山間の集落に位置しており、落ち着いた雰囲気の中で鎌倉時代の建築を間近に感じることができます。
| 種別 Type |
国宝・近世以前・寺院 |
| 時代 Period |
鎌倉後期(1327年) |
| 指定年月日 Designated |
1953年03月31日 |
| 住所 Address |
和歌山県海南市下津町梅田271 |
| 地図 Map |
地図(Map) |
| アクセス・最寄り駅 Access, Nearest station |
JR加茂郷駅より自動車(約5分)、JR加茂郷駅(徒歩約25分) |
| URL URL |
長保寺多宝塔 / Chouhou Ji Tahoutou[Chouhou Temple Tahoutou]
長保寺(ちょうほうじ)は、長保2年(1000年)に一条天皇の勅願により創建されたと伝えられる天台宗の古刹です。江戸時代には紀州徳川家の菩提寺として厚く庇護され、歴代藩主の墓所が境内に営まれています。多宝塔は延文2年(1357年)に建立された高さ約14メートルの二重塔で、下層の方形部と上層の円形部のバランスが美しく、室町時代前期の多宝塔建築の秀作として高く評価されています。長保寺は本堂・大門・多宝塔の3件が国宝に指定されており、1つの寺院に3件の国宝建造物を有する全国的にも極めて珍しい寺院です。
| 種別 Type |
国宝・近世以前・寺院 |
| 時代 Period |
室町前期(1357年) |
| 指定年月日 Designated |
1953年03月31日 |
| 住所 Address |
和歌山県海南市下津町上 |
| 地図 Map |
地図(Map) |
| アクセス・最寄り駅 Access, Nearest station |
JR下津駅より自動車(約10分)、JR下津駅(徒歩約30分) |
| URL URL |
https://www.chohoji.or.jp/ |
長保寺大門 / Chouhou Ji Daimon[Chouhou Temple Daimon]
長保寺大門は嘉慶2年(1388年)に建立された、三間一戸の八脚門(はっきゃくもん)です。入母屋造・本瓦葺の堂々とした構えを持ち、室町時代前期の門建築の優品として高く評価されています。左右には力強い仁王像(金剛力士像)が安置され、長保寺の正面玄関として参拝者を迎え続けてきました。大門へと至る急な石段を上りきった先からは、眼下に広がる紀伊水道の雄大な眺望を楽しむことができ、この絶景は長保寺を訪れる際の大きなみどころの一つです。
| 種別 Type |
国宝・近世以前・寺院 |
| 時代 Period |
室町前期(1388年) |
| 指定年月日 Designated |
1953年03月31日 |
| 住所 Address |
和歌山県海南市下津町上 |
| 地図 Map |
地図(Map) |
| アクセス・最寄り駅 Access, Nearest station |
JR下津駅より自動車(約10分)、JR下津駅(徒歩約30分) |
| URL URL |
https://www.chohoji.or.jp/ |
長保寺本堂 / Chouhou Ji Hondou[Chouhou Temple Hondou]
長保寺本堂は応長元年(1311年)に建立された、長保寺の中心的な建物であり、3つの国宝建造物の中で最も古い建物です。桁行五間・梁間五間の入母屋造で、外観は日本古来の和様を基調としながらも、内部には禅宗様の建築要素も取り入れた折衷様式が見られます。この和様と禅宗様の融合は、鎌倉時代後期における日本の建築技法の変遷を示す重要な特徴であり、建築史研究上きわめて貴重な遺構です。堂内には本尊の釈迦如来坐像が安置されており、長保寺の信仰の中心として今も篤い敬意を集めています。
| 種別 Type |
国宝・近世以前・寺院 |
| 時代 Period |
鎌倉後期(1311年) |
| 指定年月日 Designated |
1953年03月31日 |
| 住所 Address |
和歌山県海南市下津町上689 |
| 地図 Map |
地図(Map) |
| アクセス・最寄り駅 Access, Nearest station |
JR下津駅より自動車(約10分)、JR下津駅(徒歩約30分) |
| URL URL |
https://www.chohoji.or.jp/ |
和歌山県の国宝建造物まとめ
和歌山県には合計7件の国宝建造物があり、そのすべてが鎌倉時代から室町時代にかけて建立された寺院建築です。高野山エリアの金剛三昧院多宝塔(1223年)と金剛峯寺不動堂(鎌倉後期)は、真言宗の聖地である高野山の長い歴史を物語る貴重な遺構です。岩出市の根来寺多宝塔(大塔)は日本最大の木造多宝塔として圧倒的な存在感を放ち、海南市の善福院釈迦堂は禅宗様建築の精緻な美しさを伝えています。そして長保寺では本堂・大門・多宝塔の3件が国宝に指定されるという、全国的にも類を見ない文化財の集積が見られます。
和歌山県の国宝建造物を巡る際は、高野山エリア(金剛三昧院・金剛峯寺)と海南市・岩出市エリア(善福院・長保寺・根来寺)の2つのエリアに分けて訪問するのが効率的です。高野山エリアは南海電鉄高野山駅を拠点に、海南市・岩出市エリアはJRの各駅を拠点にアクセスできます。春は高野山の石楠花や根来寺の桜、秋は紅葉が美しく、四季を通じて日本建築の魅力と自然の風景を楽しめる和歌山の国宝建造物巡りをぜひお楽しみください。
和歌山県の国宝建造物に関するよくある質問(FAQ)
- Q. 和歌山県にはいくつの国宝建造物がありますか?
- A. 和歌山県には合計7件の国宝建造物があります。金剛三昧院多宝塔、金剛峯寺不動堂、根来寺多宝塔(大塔)、善福院釈迦堂、長保寺多宝塔、長保寺大門、長保寺本堂の7件で、すべて寺院建築です。
- Q. 和歌山県の国宝建造物で最も古いものはどれですか?
- A. 最も古いのは金剛三昧院多宝塔で、鎌倉時代前期の貞応2年(1223年)に建立されました。北条政子が源頼朝と実朝の菩提を弔うために建てたもので、高野山に現存する最古の建造物の一つです。
- Q. 和歌山県の国宝建造物を効率よく巡るおすすめルートはありますか?
- A. 高野山エリア(金剛三昧院・金剛峯寺)と海南市・岩出市エリア(善福院・長保寺・根来寺)の2エリアに分けて訪問するのが効率的です。高野山エリアは南海電鉄高野山駅からバスでアクセスでき、海南市・岩出市エリアはJR下津駅・加茂郷駅・岩出駅を拠点に回ることができます。
- Q. 長保寺に3件の国宝建造物があるのは珍しいのですか?
- A. はい、1つの寺院に本堂・大門・多宝塔の3件の国宝建造物が揃っているのは全国的にも極めて珍しく、長保寺の大きな特徴です。一条天皇の勅願による創建から1000年以上の歴史を持つ古刹で、江戸時代には紀州徳川家の菩提寺でもありました。
- Q. 根来寺多宝塔(大塔)はなぜ日本一と言われるのですか?
- A. 根来寺多宝塔(大塔)は高さ約40メートルで、日本最大の木造多宝塔です。約50年の歳月をかけて建造され、天正13年(1585年)の豊臣秀吉による紀州攻めにも焼失を免れた奇跡的な建造物です。堂内には極彩色の仏画も残されており、建築的・芸術的価値が非常に高いことで知られています。

