広島県の国宝(建造物) 一覧・まとめ / National Treasure of Japanese Buildings in Hiroshima ~旅行のみどころになる日本国民の宝と指定された神社、寺、城、住宅等の重要文化財~

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日本の国宝とは、文化財保護法に基づき国が指定した重要文化財のうち、世界文化の見地から価値が高く、たぐいない国民の宝として文部科学大臣が特別に指定した文化財です。国宝の指定は極めて厳格な審査を経て行われ、日本の歴史・文化・芸術を象徴する最高峰の遺産として位置づけられています。

法律上、国宝は重要文化財の一種であり、その分類には建造物(神社、寺院、城郭、住宅等)、絵画、彫刻、工芸品、書跡・典籍、古文書、考古資料・歴史資料があります。全国に指定されている国宝建造物は約230件にのぼり、各地域の歴史的背景や建築技術の発展を物語る貴重な文化遺産です。

このページでは、広島県に所在する国宝建造物7件を詳しく紹介します。広島県は世界遺産・厳島神社をはじめ、瀬戸内海の島々や尾道・福山といった歴史ある都市に点在する寺社建築の宝庫であり、鎌倉時代から室町時代にかけての優れた建造物が数多く残されています。旅行やお出かけの際の参考として、各建造物の歴史的背景、建築的特徴、アクセス情報をまとめました。

広島県の国宝(建造物) 一覧・まとめ / National Treasure of Japanese Buildings in Hiroshima ~旅行のみどころになる日本国民の宝と指定された神社、寺、城、住宅等の重要文化財~

広島県には、文部科学大臣により国宝に指定された建造物が合計7件あります。その内訳は神社建築1件(厳島神社)、寺院建築6件(向上寺・浄土寺・不動院・明王院)であり、いずれも鎌倉時代から室町時代にかけて建立された歴史的建造物です。以下に所在地別で一覧にまとめます。


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厳島神社 / Itsukushima Jinja[Itsukushima Shinto Shrine]

厳島神社は、広島県廿日市市の宮島(厳島)に鎮座する神社で、1996年にユネスコ世界文化遺産に登録されたことでも知られています。推古天皇元年(593年)に佐伯鞍職によって創建されたと伝えられ、現在の社殿群は平安時代末期の1168年に平清盛が造営した寝殿造りの様式を色濃く残しています。

国宝に指定されている建造物は、本社本殿・幣殿・拝殿、本社祓殿、摂社客神社本殿・幣殿・拝殿、摂社客神社祓殿の計6棟1基です。海上に浮かぶように建てられた朱塗りの社殿群は、背後の弥山の原始林(天然記念物)や瀬戸内海の景観と一体となり、日本を代表する神社建築として国内外から多くの参拝者・観光客が訪れます。

建築的特徴として、潮の干満を計算に入れた床下構造や、寝殿造りの回廊が海上に延びる独特の配置が挙げられます。鎌倉時代から室町後期にかけて繰り返し修復・再建が行われ、各時代の建築技術が融合した社殿群は、日本の神社建築史において極めて重要な位置を占めています。

種別
Type
国宝・近世以前・神社
時代
Period
鎌倉時代〜室町後期(1241年〜1571年)
指定年月日
Designated
1952年03月29日
住所
Address
広島県廿日市市宮島町1-1
地図
Map
地図(Map)
アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
JR宮島口駅(徒歩約5分)宮島口桟橋よりフェリー(約10分)「宮島桟橋」下船(徒歩約5分)
URL
URL
https://www.itsukushimajinja.jp/

向上寺三重塔 / Koujou Ji Sanjuh No Tou[Koujou Temple Three Storied Pagoda]

向上寺は、瀬戸内海に浮かぶ生口島(いくちじま)の瀬戸田に位置する曹洞宗の寺院です。1403年(応永10年)に生口守平によって開基されたと伝えられ、しまなみ海道沿線の歴史的名所として知られています。

国宝に指定されている三重塔は、1432年(永享4年)に建立された室町中期の代表的な塔建築です。高さ約19メートルの三重塔は、和様を基調としながらも唐様(禅宗様)の意匠を巧みに取り入れた折衷様式で建てられており、室町時代における建築技術の高さを今に伝えています。各層の軒先には精緻な組物が施され、内部には須弥壇が設けられています。

瀬戸田港から徒歩圏内にあり、しまなみ海道サイクリングの途中に立ち寄ることもできます。高台に建つ三重塔からは、瀬戸内海の多島美を一望でき、建築鑑賞と絶景を同時に楽しめる貴重なスポットです。

種別
Type
国宝・近世以前・寺院
時代
Period
室町中期(1432年)
指定年月日
Designated
1958年02月08日
住所
Address
広島県尾道市瀬戸田町瀬戸田57
地図
Map
地図(Map)
アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
瀬戸田港(徒歩約10分)
URL
URL
https://www.genets.co.jp/u1/KOJOJI/

浄土寺多宝塔 / Joudo Ji Tahou Tou[Joudo Temple Tahou Tou]

浄土寺は、尾道市東久保町の尾道水道を見下ろす高台に位置する真言宗泉涌寺派の寺院です。聖徳太子の開基と伝えられる古刹であり、本堂とともに多宝塔が国宝に指定されています。足利尊氏が九州平定の戦勝祈願を行った寺院としても知られ、「尾道の名刹」として古くから信仰を集めてきました。

国宝の多宝塔は、1319年(元応元年)に建立された鎌倉後期の代表的な多宝塔建築です。多宝塔とは、下層が方形(四角形)、上層が円形の二重塔で、日本独自の仏塔形式です。浄土寺の多宝塔は高さ約20メートルで、和様の均整のとれた美しいプロポーションが特徴であり、全国に現存する多宝塔の中でも優品として評価されています。内部には大日如来坐像が安置されています。

種別
Type
国宝・近世以前・寺院
時代
Period
鎌倉後期(1319年)
指定年月日
Designated
1953年03月31日
住所
Address
広島県尾道市東久保町20-28
地図
Map
地図(Map)
アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
JR尾道駅より自動車(約10分)、JR尾道駅よりバス(約10分)「浄土寺下」下車(徒歩約1分)
URL
URL
https://www.ermjp.com/j/temple/

浄土寺本堂 / Joudo Ji Hondou[Joudo Temple Hondou]

浄土寺本堂は、多宝塔と同じ境内に建つ鎌倉後期の仏堂建築です。1327年(嘉暦2年)に再建されたもので、多宝塔の建立(1319年)からわずか8年後にあたります。この時期の浄土寺は大規模な伽藍整備が進められており、本堂と多宝塔が揃って国宝に指定されていることは、鎌倉後期における浄土寺の隆盛を如実に物語っています。

本堂は桁行五間・梁間五間の入母屋造で、本瓦葺の屋根を持ちます。外観は和様を基調としていますが、内部の架構には大仏様(天竺様)の技法が用いられた折衷様式となっており、中世建築の技術的発展を示す重要な遺構です。堂内には本尊の十一面観世音菩薩立像が安置されています。多宝塔と合わせて参拝すれば、鎌倉時代の寺院建築を存分に堪能できます。

種別
Type
国宝・近世以前・寺院
時代
Period
鎌倉後期(1327年)
指定年月日
Designated
1953年03月31日
住所
Address
広島県尾道市東久保町20-28
地図
Map
地図(Map)
アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
JR尾道駅より自動車(約10分)、JR尾道駅よりバス(約10分)「浄土寺下」下車(徒歩約1分)
URL
URL
https://www.ermjp.com/j/temple/

不動院金堂 / Fudou In Kondou[Fudou In Kondou]

不動院は、広島市東区牛田新町に位置する真言宗別格本山の寺院です。足利尊氏が全国に建立した安国寺の一つ「安芸安国寺」として開かれた歴史を持ち、戦国時代には毛利氏の外交僧・安国寺恵瓊が住職を務めたことでも知られています。広島市中心部から近い場所に国宝建造物がある、全国的にも珍しい立地の寺院です。

国宝の金堂は、1540年(天文9年)に建立された室町後期の仏堂建築です。入母屋造・檜皮葺の大型仏堂で、禅宗様(唐様)を基調とした格調高い建築意匠が特徴です。特筆すべきは、1945年8月6日の原子爆弾投下による被害を免れた建造物であるという点です。爆心地から約3.9kmに位置しながら倒壊を免れた金堂は、被爆建物としての歴史的意義も併せ持っています。

種別
Type
国宝・近世以前・寺院
時代
Period
室町後期(1540年)
指定年月日
Designated
1958年02月08日
住所
Address
広島県広島市東区牛田新町3丁目4-9
地図
Map
地図(Map)
アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
広島高速交通不動院前駅(徒歩約5分)
URL
URL

明王院五重塔 / Myouou In Gojuh No Tou[Myouoh In Five Storied Pagoda]

明王院は、広島県福山市草戸町に位置する真言宗大覚寺派の寺院です。807年(大同2年)に弘法大師空海によって開基されたと伝えられ、本堂と五重塔の2棟が国宝に指定されている全国でも数少ない寺院です。芦田川のほとりに建つ静かな境内は、福山の歴史を今に伝える貴重な文化空間となっています。

国宝の五重塔は、1348年(貞和4年)に建立された室町前期の塔建築です。全国に現存する五重塔の中でも5番目に古い歴史を持ちます。高さ約29メートルの塔は、和様を基調としつつ唐様の要素を取り入れた折衷様式で建てられており、各層の逓減率(上の層にいくほど小さくなる比率)が美しく、安定感のある端正な姿が特徴です。内部には心柱が初層の天井から立ち上がる構造を持ち、建築史上の重要な研究対象となっています。

種別
Type
国宝・近世以前・寺院
時代
Period
室町前期(1348年)
指定年月日
Designated
1953年03月31日
住所
Address
広島県福山市草戸町1473
地図
Map
地図(Map)
アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
JR福山駅より自動車(約10分)、JR福山駅よりバス(約5分)「明王院入口」下車(徒歩約5分)
URL
URL
https://www.chisan.net/myooin/

明王院本堂 / Myouou In Hondou[Myouoh In Hondou]

明王院本堂は、五重塔と同じ境内に建つ鎌倉後期の仏堂建築で、1321年(元亨元年)に建立されました。五重塔(1348年建立)より27年早く完成しており、明王院における一連の伽藍整備の中核をなす建物です。

本堂は桁行五間・梁間五間の入母屋造・本瓦葺で、正面に一間の向拝が付く構成です。外観は和様を基調としつつも、内部の架構には禅宗様の技法が取り入れられた折衷様式となっています。堂内には本尊の十一面観世音菩薩が安置されており、密教寺院としての荘厳な雰囲気が保たれています。五重塔と本堂の2棟が揃って国宝指定を受けている寺院は全国的にも希少であり、中世の建築様式を比較しながら鑑賞できる学術的にも貴重な場所です。

種別
Type
国宝・近世以前・寺院
時代
Period
鎌倉後期(1321年)
指定年月日
Designated
1964年05月26日
住所
Address
広島県福山市草戸町1473
地図
Map
地図(Map)
アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
JR福山駅より自動車(約10分)、JR福山駅よりバス(約5分)「明王院入口」下車(徒歩約5分)
URL
URL
https://www.chisan.net/myooin/

エリア別観光ガイド / Area Guide for National Treasures in Hiroshima

広島県の国宝建造物は、大きく4つのエリアに点在しています。効率よく巡るためのエリア別ガイドを紹介します。

宮島エリア(廿日市市)

厳島神社が所在する宮島は、日本三景の一つに数えられる景勝地です。JR宮島口駅からフェリーで約10分の船旅も旅の楽しみの一つです。厳島神社の参拝に加え、弥山登山や表参道商店街での食べ歩きなど、丸一日楽しめるエリアです。

尾道エリア(尾道市)

浄土寺(本堂・多宝塔の2件の国宝)が所在する尾道は、「坂の街」「映画の街」として知られる情緒あふれる港町です。千光寺山ロープウェイや猫の細道など、浄土寺とあわせて散策を楽しめます。

しまなみ海道・生口島エリア(尾道市瀬戸田)

向上寺三重塔が建つ生口島は、しまなみ海道の中間に位置する島です。サイクリングの聖地としても有名で、自転車で島を巡りながら国宝建築を訪れるプランが人気です。耕三寺博物館(耕三寺)や平山郁夫美術館も近隣にあります。

広島市エリア

不動院金堂は、広島市中心部からアストラムライン(広島高速交通)で手軽にアクセスできます。原爆ドームや平和記念公園の見学と組み合わせた歴史探訪コースとして、広島観光に組み込みやすい立地です。

福山エリア(福山市)

明王院(本堂・五重塔の2件の国宝)が所在する福山は、広島県東部の中核都市です。福山城(日本100名城)や鞆の浦(崖の上のポニョの舞台モデルとされる港町)なども近く、歴史・文化を巡る充実した旅行プランを組むことができます。

よくある質問(FAQ) / Frequently Asked Questions

Q. 広島県には国宝建造物がいくつありますか?

A. 広島県には国宝に指定された建造物が合計7件あります。厳島神社(6棟1基として1件)、向上寺三重塔、浄土寺多宝塔、浄土寺本堂、不動院金堂、明王院五重塔、明王院本堂の7件です。

Q. 広島県の国宝建造物を1日で全て巡ることはできますか?

A. 宮島(厳島神社)、尾道(浄土寺)、生口島(向上寺)、広島市(不動院)、福山(明王院)の5エリアに分かれているため、1日で全てを巡るのは難しい行程です。宮島+広島市で1日、尾道+生口島で1日、福山で半日の2〜3日程度の旅程がおすすめです。

Q. 広島県で世界遺産に登録されている国宝建造物はどれですか?

A. 厳島神社が1996年にユネスコ世界文化遺産に登録されています。他の6件は世界遺産には登録されていませんが、いずれも日本の建築史において極めて重要な文化遺産です。

Q. 広島県の国宝建造物で最も古いものはどれですか?

A. 建立年で最も古いのは厳島神社で、現存する社殿は1241年(鎌倉時代)から1571年(室町後期)にかけて建てられたものです。単独の建造物としては浄土寺多宝塔(1319年建立)が最も古い国宝建造物です。

まとめ / Summary

広島県は、世界遺産の厳島神社をはじめ、7件もの国宝建造物を有する建築文化の宝庫です。鎌倉時代から室町時代にかけて建立されたこれらの建造物は、和様・唐様・折衷様式など多様な建築技法を今に伝え、日本の建築史を学ぶ上で欠かせない文化遺産となっています。瀬戸内海の美しい自然景観と融合した歴史的建造物群は、広島旅行の大きなみどころです。各建造物の詳細情報やアクセス方法を参考に、広島県の国宝建造物巡りをお楽しみください。