岩手県の国宝(建造物) 一覧・まとめ / National Treasure of Japanese Buildings in Iwate ~旅行のみどころになる日本国民の宝と指定された神社、寺、城、住宅等の重要文化財~

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日本の国宝とは、文化財保護法によって国が指定した重要文化財のうち、世界文化の見地から価値の高いもので、たぐいない国民の宝たるものであるとして国(文部科学大臣)が指定したものを指します。国宝は日本の歴史・文化・芸術の到達点を示す最高峰の文化遺産であり、その保存と公開は国家的な使命として位置づけられています。

法律の観点では国宝は重要文化財の一種であり、国宝の分類には建造物(神社、寺院、城郭、住宅等)、絵画、彫刻、工芸品、書跡・典籍、古文書、考古資料・歴史資料があります。このうち建造物に分類される国宝は全国で約230件あまりが指定されており、各地域の歴史と風土を色濃く反映した建築遺産として、旅行者にとっても大きな見どころとなっています。

本記事では、岩手県に所在する国宝建造物を紹介します。岩手県の国宝建造物は中尊寺金色堂の1件です。平安時代後期に奥州藤原氏が築いた黄金文化の象徴であり、2011年にユネスコ世界文化遺産「平泉―仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群―」の構成資産として登録された、日本の仏教建築史上において唯一無二の存在です。以下では、その歴史的背景・建築的特徴・アクセス情報を詳しく解説します。

岩手県の国宝(建造物) 一覧・まとめ / National Treasure of Japanese Buildings in Iwate ~旅行のみどころになる日本国民の宝と指定された神社、寺、城、住宅等の重要文化財~

岩手県には、文部科学大臣により国宝に指定された建造物が1件あります。中尊寺金色堂(岩手県西磐井郡平泉町)は、平安時代後期の1124年に奥州藤原氏初代・藤原清衡によって建立された阿弥陀堂であり、堂全体を金箔で覆い、螺鈿(らでん)・蒔絵・透かし彫りなど平安時代の工芸技術の粋を結集した装飾は、まさに国民の宝と呼ぶにふさわしい文化遺産です。

  • 中尊寺金色堂(平泉町) — 奥州藤原氏が築いた黄金の阿弥陀堂(平安後期・1124年)


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中尊寺金色堂 / Chuhson Ji Konjiki Dou[Chuhson Temple Konjiki Dou]

中尊寺金色堂(ちゅうそんじこんじきどう)は、岩手県西磐井郡平泉町に所在する中尊寺の仏堂で、奥州藤原氏の初代当主藤原清衡(ふじわらのきよひら)が天治元年(1124年)に上棟した阿弥陀堂です。清衡は、前九年合戦・後三年合戦で失われた多くの命を弔い、仏教による平和な理想郷(浄土)を現世に実現するため、平泉に壮大な寺院群を造営しました。金色堂はその中核として建立され、須弥壇の下には清衡・基衡・秀衡の三代の遺体と、四代泰衡の首級が納められています。

金色堂は方三間(一辺約5.5メートル)の小堂ながら、その建築的・芸術的価値は計り知れません。堂の内外すべてを金箔(きんぱく)で覆い尽くし、柱や長押には螺鈿(らでん)細工による精緻な宝相華唐草文様が施されています。さらに蒔絵(まきえ)、透かし彫り金具(すかしぼりかなぐ)、紫檀の巻柱など、平安時代後期の工芸技術の粋が集約されています。堂内には三つの須弥壇(しゅみだん)が設けられ、それぞれに阿弥陀如来坐像を中心とする阿弥陀三尊像、六体の地蔵菩薩像、二天像(持国天・増長天)が安置されており、浄土の世界を立体的に表現しています。

金色堂は建立以来約900年にわたり、幾度の修復を経て奇跡的に現存する中尊寺唯一の創建遺構です。室町時代に建てられた旧覆堂(重要文化財)に守られてきましたが、1962年から1968年にかけて昭和の大修理が行われた際に鉄筋コンクリート造の新覆堂に移され、温湿度管理された環境下で保存されています。1951年(昭和26年)6月9日に国宝に指定され、2011年には平泉の文化遺産の構成資産としてユネスコ世界文化遺産に登録されました。「光堂」とも称される黄金に輝く堂の姿は、松尾芭蕉が『奥の細道』で「五月雨の降り残してや光堂」と詠んだことでも広く知られており、日本を代表する仏教建築として国内外から多くの訪問者を集めています。

種別
Type
国宝・近世以前・寺院
時代
Period
平安後期(1124年)
指定年月日
Designated
1951年06月09日
住所
Address
岩手県西磐井郡平泉町平泉衣関202
地図
Map
地図(Map)
アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
JR平泉駅より自動車(約10分)
URL
URL
https://www.chusonji.or.jp/guide/precincts/konjikido.html

岩手県の国宝建造物を訪れる際のポイント

中尊寺金色堂を訪れる際は、金色堂のみならず中尊寺の境内全体を散策することをお勧めします。表参道の月見坂は樹齢数百年の杉並木に囲まれた約800メートルの参道で、本堂・讃衡蔵(宝物館)・旧覆堂(重要文化財)など、数多くの見どころがあります。讃衡蔵には金色堂に安置されていた仏像群や、奥州藤原氏ゆかりの国宝・重要文化財の仏教美術品約3,000点が収蔵・展示されています。

また、平泉には中尊寺のほか毛越寺(もうつうじ、特別名勝・特別史跡)の浄土庭園、観自在王院跡無量光院跡金鶏山など、ユネスコ世界文化遺産の構成資産が集中しています。平泉全体で半日から一日かけて巡ることで、奥州藤原氏が理想とした浄土思想に基づく都市計画の壮大さを体感することができます。

アクセスはJR平泉駅から徒歩約25分、または平泉町巡回バス「るんるん」で約10分です。東北新幹線・一ノ関駅からJR東北本線に乗り換えて約8分で平泉駅に到着します。特に秋の紅葉シーズン(10月下旬〜11月上旬)は中尊寺境内の紅葉と金色堂の組み合わせが格別であり、多くの観光客が訪れます。春の新緑、冬の雪景色もまた趣が異なり、四季を通じて訪れる価値のある岩手県を代表する文化観光スポットです。