福岡県の経済産業省指定「伝統的工芸品」一覧・まとめ – 職人の熟練した匠の技によって生み出される珠玉の手仕事 / Traditional Crafts of Fukuoka ~伝統的工芸品が購入できるショップ・取扱店一覧~
日本には古くから、各地域の風土・文化に根ざした手工業による日常生活用品が数多く存在しています。これらのうち、「伝統的工芸品産業の振興に関する法律(伝産法)」に基づき、経済産業大臣が以下の要件を満たすものとして指定したものが「経済産業大臣指定伝統的工芸品」です。
- 主として日常生活の用に供されているもの
- 製造過程の主要部分が手工業的であるもの
- 伝統的技術または技法によって製造されるもの
- 伝統的に使用されてきた原材料を使用していること
- 一定の地域で産地形成されていること
福岡県は、古代より大陸(中国・朝鮮半島)との交流の玄関口として栄え、海外から伝わった先進的な技術と日本独自の美意識が融合することで、多彩な工芸文化が花開きました。博多は中世から国際貿易港として繁栄し、織物・陶磁器・人形など、さまざまな分野で高度な技術が培われてきた歴史があります。
現在、福岡県には7つの経済産業大臣指定伝統的工芸品があります。織物(博多織・久留米絣)、陶磁器(小石原焼・上野焼)、仏壇(八女福島仏壇)、人形(博多人形)、提灯(八女提灯)と、その種類は多岐にわたります。いずれも数百年の伝統を受け継ぐ職人たちの手によって、現在もなお大切に作り続けられている珠玉の手仕事です。
このページでは、福岡県が誇る7つの伝統的工芸品それぞれの歴史・特徴・技法を詳しく紹介するとともに、実際に購入できるショップ・取扱店情報もあわせて掲載しています。福岡を訪れる際のお土産選びや、日本の伝統文化への理解を深めるための参考としてご活用ください。
福岡県の経済産業省指定「伝統的工芸品」一覧・まとめ – 職人の熟練した匠の技によって生み出される珠玉の手仕事 / Traditional Crafts of Fukuoka ~伝統的工芸品が購入できるショップ・取扱店一覧~
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博多織 / Hakataori[Hakataori]
博多織は、鎌倉時代の1241年に博多の商人・満田弥三右衛門(みつだ やざえもん)が宋(中国)に渡り、織物の技法を持ち帰ったことに始まるとされる、770年以上の歴史を誇る絹織物です。その後、江戸時代に入り、筑前福岡藩の初代藩主・黒田長政が幕府への献上品として博多織を選んだことから、「献上博多(けんじょうはかた)」の名で全国にその品格と美しさが広く知られるようになりました。
博多織の最大の特徴は、経糸(たていと)を非常に多く使い、太い緯糸(よこいと)を強く打ち込む独自の織り方にあります。これにより、張りのある堅牢な風合いと、帯を締める際に「キュッキュッ」と鳴る絹鳴りが生まれます。代表的な文様である「献上柄」は、仏具の独鈷(どっこ)と華皿(はなざら)を交互に配したデザインで、魔除けや厄除けの意味が込められています。
伝統的には着物の帯(男帯・女帯)が主力製品でしたが、現在ではネクタイ、バッグ、財布、名刺入れなどの現代的なファッション小物にも幅広く展開されており、博多の伝統美を日常生活の中で楽しむことができます。
| 登録年 Designated |
1976年6月2日 |
| 種類 Type |
織物 |
| 関連商品取扱店一覧 Shop |
博多織 取扱店一覧 |
久留米絣 / Kurumekasuri[Kurumekasuri]
久留米絣は、江戸時代後期の1800年頃、久留米藩(現在の福岡県久留米市)の少女・井上伝(いのうえ でん)がわずか12〜13歳の時に考案したとされる綿織物です。色落ちした古着に現れた白い斑点模様に着想を得て、糸を括(くく)って染め分ける技法を独自に編み出したのが始まりとされています。日本三大絣(久留米絣・伊予絣・備後絣)の一つに数えられ、200年以上にわたり愛され続けている伝統織物です。
久留米絣の製造工程は約30工程にも及びます。図案に基づいて糸を一か所ずつ括り、藍甕(あいがめ)で繰り返し染色する「括り染め」の技法により、独特のかすれた模様(絣模様)が生み出されます。藍染めの深く美しい色合いと、綿素材ならではの素朴で温かみのある風合いが最大の特徴です。
綿素材のため肌触りがよく、洗うほどに風合いが増して柔らかくなるという実用的な魅力も持ち合わせています。伝統的な着物だけでなく、現代ではワンピース、シャツ、ストール、バッグなどのファッションアイテムや、クッションカバー、テーブルクロスなどのインテリア雑貨としても幅広い人気を集めています。
| 登録年 Designated |
1976年6月2日 |
| 種類 Type |
織物 |
| 関連商品取扱店一覧 Shop |
久留米絣 取扱店一覧 |
小石原焼 / Koishiwarayaki[Koishiwarayaki]
小石原焼は、福岡県朝倉郡東峰村(旧小石原村)で約350年以上の歴史を持つ陶器です。1682年に福岡藩の三代藩主・黒田光之が、肥前(現在の佐賀県)伊万里から陶工を招いて窯を開かせたことが始まりとされています。豊かな山間地の良質な陶土と、豊富な薪材に恵まれた小石原の地で、日用雑器を中心とした窯業が発展しました。
小石原焼の最大の特徴は、素朴で力強い幾何学的な装飾技法にあります。ろくろを回しながら鉋(かんな)の刃を当てて連続した模様を刻む「飛び鉋(とびかんな)」、刷毛で大胆に模様を付ける「刷毛目(はけめ)」、櫛状の道具で線模様を描く「櫛描き(くしがき)」、指で直接模様を付ける「指描き(ゆびがき)」、釉薬を流し掛ける「流し掛け」など、多彩な装飾技法が受け継がれています。
1958年のブリュッセル万国博覧会でグランプリを受賞したことで国際的にも高い評価を獲得しました。「用の美」を体現する民陶として、皿、碗、カップ、花器など日常使いの食器を中心に多彩な製品が作られており、実用性と美しさを兼ね備えた器として全国のファンに愛されています。
| 登録年 Designated |
1975年5月10日 |
| 種類 Type |
陶磁器 |
| 関連商品取扱店一覧 Shop |
小石原焼 取扱店一覧 |
上野焼 / Aganoyaki[Aganoyaki]
上野焼は、福岡県田川郡福智町(旧上野地区)で400年以上の歴史を持つ陶器です。1602年、豊前国の大名で茶人としても名高い細川忠興(三斎)が、文禄・慶長の役の際に朝鮮から招いた陶工・尊楷(そんかい)に命じて、豊前国上野(あがの)の地に窯を開かせたのが始まりとされています。
茶人大名・細川忠興の洗練された美意識が色濃く反映された上野焼は、茶陶(ちゃとう)としての格調高さが際立っています。最大の特徴は、薄作りで軽やかな造形と、「上野の七釉(あがののななゆう)」と称される多彩な釉薬の変化にあります。藁灰釉(わらばいゆう)、銅緑釉(どうりょくゆう)、鉄釉(てつゆう)などを用いた深みのある色合いと、窯の中で偶然生まれる釉薬の変化が一つ一つ異なる景色を作り出します。
江戸時代には小倉藩の御用窯として栄え、茶道の大成者・小堀遠州が選んだ「遠州七窯(えんしゅうなながま)」の一つにも数えられました。現在も茶道具(茶碗、水指、花入など)を中心に、花器、食器など格調高い作品が職人の手で丁寧に作り続けられています。
| 登録年 Designated |
1983年4月27日 |
| 種類 Type |
陶磁器 |
| 関連商品取扱店一覧 Shop |
上野焼 取扱店一覧 |
八女福島仏壇 / Yame Fukushima Butsudan[Yame Fukushima Butsudan]
八女福島仏壇は、福岡県八女市福島地区で約270年以上の歴史を持つ仏壇です。江戸時代中期の1750年頃、八女福島の指物師(さしものし)が仏壇の製造を始めたことがその起源とされています。八女地方は良質な木材(ヒノキ・スギなど)の産地であり、漆塗り・金箔・金具の技術も地域に集積していたことから、高品質な仏壇の一大産地として発展しました。
八女福島仏壇の最大の特徴は、7つの専門工程をそれぞれの熟練職人が分業で手がける総合工芸品であることです。木地(きじ)、宮殿(くうでん)、彫刻、金具、蒔絵(まきえ)、漆塗り、金箔押しの各工程において高度な技術が要求され、一つの仏壇の完成には数ヶ月から数年を要することもあります。
重厚で荘厳な造りと精緻な装飾が特徴で、内部の宮殿造り(寺院建築を模した構造)の精巧さは特に高く評価されています。仏教文化とともに日本の家庭で大切にされてきた仏壇は、職人たちの卓越した技術の結晶であり、八女福島仏壇はその最高峰の一つに位置づけられています。
| 登録年 Designated |
1977年3月30日 |
| 種類 Type |
仏壇・仏具 |
| 関連商品取扱店一覧 Shop |
八女福島仏壇 取扱店一覧 |
博多人形 / Hakata Ningyou[Hakata Ningyou]
博多人形は、福岡市博多地区で約400年の歴史を持つ素焼きの土人形です。その起源は1600年頃、黒田長政の筑前入国に際して福岡城の瓦を製造した職人が、残った粘土を使って人形を作ったことに始まるとされています。江戸時代を通じて技術が磨かれ、明治時代にはパリ万国博覧会に出品されて国際的に高い評価を獲得し、「Hakata Doll」の名で海外にも広く知られるようになりました。
博多人形の最大の特徴は、釉薬を使わない素焼き(無釉)ならではの温かみのある質感と、職人が一筆一筆手作業で施す繊細で写実的な彩色にあります。粘土を型取りし、約900度で素焼きした後、顔料で丁寧に彩色するという工程で制作され、人物の表情や衣装のひだまで細やかに表現されます。
題材は多岐にわたり、優美な女性像を表現した「美人もの」、歌舞伎や能の場面を再現した「歌舞伎もの」「能もの」、愛らしい子どもの姿を描いた「童もの」、武士や歴史上の人物を題材にした「武者もの」などがあります。特に「博多美人」を表現した美人ものは博多人形の代名詞として広く親しまれており、贈答品やインテリアとしても高い人気を誇ります。
| 登録年 Designated |
1976年2月26日 |
| 種類 Type |
人形 |
| 関連商品取扱店一覧 Shop |
博多人形 取扱店一覧 |
八女提灯 / Yame Chouchin[Yame Chouchin]
八女提灯は、福岡県八女市で200年以上の歴史を持つ提灯です。江戸時代後期の1816年頃、八女の荒巻文右衛門(あらまき ぶんえもん)が、一本の竹ひごを螺旋状に巻き上げて骨組みを作る独自の技法を考案し、提灯を製造したのが始まりとされています。この「一条螺旋式」の骨組みは、滑らかで美しい曲線を生み出し、八女提灯の品質を飛躍的に高めました。
八女提灯の特徴は、薄い和紙や絹を張った灯体に、草花・風景・山水・家紋などを一つ一つ手描きで絵付けする繊細な技法にあります。熟練した絵師が筆で直接描く絵柄は、灯りを灯した際に柔らかく浮かび上がり、幽玄な美しさを醸し出します。
特にお盆に故人を偲んで飾る「盆提灯」の産地として全国的に有名であり、日本一の生産量を誇ります。盆提灯のほかにも、住吉提灯、御殿丸提灯、門提灯、看板提灯など多種多様な形状・用途の提灯が作られています。近年ではモダンなデザインのインテリアライトや和風照明器具としても注目を集めており、伝統と現代のライフスタイルを結びつける工芸品として新たなファン層を獲得しています。
| 登録年 Designated |
2001年7月3日 |
| 種類 Type |
その他工芸品 |
| 関連商品取扱店一覧 Shop |
八女提灯 取扱店一覧 |
福岡県の伝統的工芸品 まとめ
福岡県には、大陸文化の影響を受けた博多織や、少女の発想から生まれた久留米絣、茶の湯文化と結びついた上野焼、民陶の美を極めた小石原焼、7つの技が結集する八女福島仏壇、写実美の極致・博多人形、そして日本一の生産量を誇る八女提灯と、7つの個性豊かな経済産業大臣指定伝統的工芸品があります。
これらの伝統的工芸品は、いずれも数百年にわたり職人の手から手へと技術が受け継がれてきたものです。単なる日用品にとどまらず、それぞれの時代の美意識と技術の粋が凝縮された文化遺産でもあります。福岡を訪れた際には、各産地の窯元や工房を巡り、職人の手仕事を間近で見学したり、伝統的工芸品を実際に手に取って購入したりすることで、その魅力を肌で感じてみてください。
福岡県の伝統的工芸品に関するよくある質問(FAQ)
Q. 福岡県の経済産業大臣指定伝統的工芸品はいくつありますか?
A. 福岡県には7つの経済産業大臣指定伝統的工芸品があります。博多織、久留米絣、小石原焼、上野焼、八女福島仏壇、博多人形、八女提灯の7品目です。織物・陶磁器・仏壇・人形・提灯と、種類が多岐にわたるのが福岡県の特徴です。
Q. 福岡県で最も古い伝統的工芸品はどれですか?
A. 最も古い歴史を持つのは博多織です。鎌倉時代の1241年に起源を持ち、770年以上の伝統があります。経済産業大臣の指定年では、小石原焼が1975年と最も早く指定を受けています。
Q. 福岡県の伝統的工芸品はどこで購入できますか?
A. 各工芸品は産地の工房・窯元での直売のほか、福岡市内の百貨店、博多駅の土産物店、各種オンラインショップなどで購入することができます。本ページの各工芸品の「関連商品取扱店一覧」リンクから、取扱店を検索いただけます。
Q. 福岡のお土産や贈答品におすすめの伝統的工芸品は?
A. 贈答品・お土産としては、博多織のネクタイやバッグなどのファッション小物、博多人形の美人ものや童もの、小石原焼の食器、久留米絣のストールやバッグなどが特に人気があります。用途や予算に合わせて幅広い選択肢があるのが福岡の伝統的工芸品の魅力です。

