徳島県の国宝(建造物) 一覧・まとめ / National Treasure of Japanese Buildings in Tokushima ~旅行のみどころになる日本国民の宝と指定された神社、寺、城、住宅等の重要文化財~

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日本の国宝とは、1950年(昭和25年)に制定された文化財保護法に基づき、国が指定した重要文化財のうち、「世界文化の見地から価値の高いもので、たぐいない国民の宝たるもの」として文部科学大臣が特別に指定した文化財を指します。国宝は日本の文化遺産の中でも最高位に位置づけられ、その保存と活用は国家的な使命とされています。

法律上、国宝は重要文化財の一類型であり、国宝の分類には建造物(神社、寺院、城郭、住宅等)、絵画、彫刻、工芸品、書跡・典籍、古文書、考古資料・歴史資料があります。このうち「建造物」に分類される国宝は全国に約230件あり、その多くは京都府・奈良県・滋賀県など近畿地方に集中しています。これらの国宝建造物は、日本の建築技術の粋を集めた歴史的建造物であり、各地域を代表する観光資源としても高い価値を持っています。

本記事では、そのような国宝の中から各都道府県の旅行のみどころにもなる「建造物」に分類される国宝を紹介します。徳島県は国宝建造物の登録がない都道府県のひとつですが、四国八十八ヶ所霊場の「発心の道場」として23もの札所寺院を擁し、国の重要文化財に指定された歴史的建造物や独自の文化遺産が数多く存在する、見応えのある旅行先です。

徳島県の国宝(建造物) 一覧・まとめ / National Treasure of Japanese Buildings in Tokushima ~旅行のみどころになる日本国民の宝と指定された神社、寺、城、住宅等の重要文化財~


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国宝(建造物)の登録無し

徳島県には、文化財保護法に基づく国宝(建造物)に指定された建物は現在のところ存在しません。これは徳島県に限った話ではなく、全国47都道府県のうち複数の県が同様に国宝建造物の登録がない状況にあります。しかしながら、徳島県には国宝には至らないものの、国が指定する重要文化財(建造物)が複数存在し、四国遍路文化や阿波の伝統芸能と結びついた貴重な文化遺産を有しています。

徳島県に国宝建造物が存在しない歴史的背景

徳島県は古代には阿波国(あわのくに)と呼ばれ、律令制の下で四国四ヶ国のひとつとして発展しました。戦国時代には三好氏が阿波を拠点に畿内へ進出し、天下人に先駆けて権勢を誇りましたが、その後の戦乱で多くの建造物が焼失しました。江戸時代には蜂須賀氏が徳島藩25万7千石の藩主として約270年にわたり統治し、城下町の整備や藍染め産業の振興に尽力しました。

しかし、徳島は四国山地紀伊水道に挟まれた地理的条件から、台風の直撃を受けやすい地域です。特に県内を東西に流れる吉野川は「四国三郎」の異名を持つ暴れ川として知られ、度重なる洪水被害が歴史的建造物の存続を困難にしてきました。さらに、1945年(昭和20年)7月4日の徳島大空襲では徳島市の中心部が壊滅的な被害を受け、徳島城の鷲の門をはじめとする貴重な歴史的建築物の多くが焼失しました。このように、自然災害と戦災が重なったことが、国宝に指定されうる古い建造物が残りにくかった大きな要因です。

徳島県の重要文化財(建造物)― 国宝に準ずる貴重な歴史的建造物

国宝建造物の登録はないものの、徳島県には国が「重要文化財」に指定した建造物が複数存在します。これらは中世から近世にかけての寺社建築を中心に、阿波の歴史と文化を今に伝える貴重な遺産として高く評価されています。

丈六寺(じょうろくじ)― 「阿波の法隆寺」

徳島市丈六町に所在する丈六寺は、白鳳時代(7世紀後半)の創建と伝えられる曹洞宗の古刹です。「阿波の法隆寺」とも称されるこの寺院は、徳島県を代表する歴史的建造物の宝庫であり、本堂観音堂山門(三門)経蔵の4棟が国の重要文化財に指定されています。特に山門は室町時代後期の建築で、三間一戸の楼門形式を持つ堂々とした構えが特徴です。本堂は江戸時代初期の再建ですが、内部には室町時代の仏像や「血天井」と呼ばれる板縁(長宗我部元親の阿波侵攻に際して討死した武将たちの血痕と伝えられる)が残されており、歴史の重みを感じさせます。

箸蔵寺(はしくらじ)― 山上に鎮座する巡礼の寺

三好市池田町に位置する箸蔵寺は、標高約600mの箸蔵山の山頂に広がる真言宗御室派の寺院です。828年(天長5年)に空海(弘法大師)が金毘羅大権現の神託を受けて開基したと伝えられ、「箸蔵」の名は「箸を進める間も御加護がある」という信仰に由来します。本殿護摩殿が国の重要文化財に指定されており、本殿は江戸時代後期(1856年)の建築で、権現造の壮麗な彫刻が見事です。山麓からは箸蔵山ロープウェイでアクセスでき、四国の山々を一望する絶景も楽しめます。

願成寺(がんじょうじ)― 阿波の古刹

吉野川市鴨島町に所在する願成寺は、鎌倉時代に建立された真言宗の寺院です。境内にある宝篋印塔(ほうきょういんとう)は鎌倉時代後期の作で、石造美術の優品として重要文化財に指定されています。

四国八十八ヶ所霊場と徳島県 ― 「発心の道場」としての23札所

徳島県は四国八十八ヶ所霊場の第1番札所・霊山寺(りょうぜんじ)から第23番札所・薬王寺(やくおうじ)までの23ヶ寺が所在する「発心の道場」です。四国遍路は、弘法大師空海ゆかりの霊場を巡礼する全長約1,200kmの巡拝路であり、1200年以上の歴史を持つ日本を代表する巡礼文化です。

徳島県内の遍路道は、鳴門市の霊山寺を出発点として吉野川流域の平野部から阿南市の太龍寺・鶴林寺といった険しい山岳寺院を経て、美波町の薬王寺に至るまで変化に富んだルートをたどります。特に第12番・焼山寺(しょうさんじ)への登山道は「遍路ころがし」と呼ばれる難所として知られ、古来より修行の場として多くの巡礼者が汗を流してきました。近年は2015年に「四国遍路」が日本遺産に認定され、国際的にも注目を集めています。

徳島県の文化遺産と旅の見どころ

国宝建造物はないものの、徳島県には歴史的・文化的に価値の高い見どころが豊富にあります。

農村舞台(のうそんぶたい)は、徳島県が全国一の数を誇る独自の文化遺産です。江戸時代中期から後期にかけて阿波各地の神社境内に建設された野外舞台で、人形浄瑠璃(阿波人形浄瑠璃)や歌舞伎が上演されました。県内には現在も約90棟の農村舞台が残存しており、これは全国の農村舞台の約半数に相当します。このうち複数の舞台が国や県の文化財に指定されており、現在も秋祭りの時期に人形浄瑠璃の上演が行われています。

阿波おどりは400年以上の歴史を持つ日本最大規模の盆踊りであり、毎年8月12日〜15日の本番期間中には約130万人の観光客が徳島市を訪れます。蜂須賀家政が徳島城の完成を祝って城下に「好きに踊れ」と触れを出したことが起源とする説があり、徳島の歴史と切り離せない伝統芸能です。

祖谷のかずら橋(いやのかずらばし)は、三好市西祖谷山村に架かるシラクチカズラで編まれた吊り橋で、国の重要有形民俗文化財に指定されています。平家の落人伝説が残る秘境・祖谷渓谷に架かるこの橋は、長さ約45m・幅約2m・水面からの高さ約14mで、日本三奇橋のひとつに数えられることもあります。

鳴門の渦潮(なるとのうずしお)は、鳴門海峡で発生する世界最大級の渦潮で、最大直径約30mに達します。大鳴門橋の橋桁内に設置された遊歩道「渦の道」から渦潮を真上から観察できるほか、観潮船で間近に迫る体験も人気です。

周辺の国宝建造物がある県への旅行

徳島県から足を延ばせば、四国内の他県で国宝建造物を見学することができます。香川県には本山寺本堂(正安2年・1300年築、四国最古の仏堂)や神谷神社本殿などの国宝建造物があり、愛媛県には大宝寺本堂・太山寺本堂・石手寺二王門の3件の国宝建造物が所在しています。また高知県にも豊楽寺薬師堂(四国最古の木造建築)が国宝に指定されています。徳島県を起点に四国を周遊する旅行プランを組めば、四国四県それぞれの歴史と文化を比較しながら楽しむことができるでしょう。