神奈川県の国宝(建造物) 一覧・まとめ / National Treasure of Japanese Buildings in Kanagawa ~旅行のみどころになる日本国民の宝と指定された神社、寺、城、住宅等の重要文化財~

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日本の国宝とは、文化財保護法(昭和25年法律第214号)によって国が指定した重要文化財のうち、世界文化の見地から価値の高いもので、たぐいない国民の宝たるものであるとして国(文部科学大臣)が指定したものを指します。国宝の指定は文化審議会の答申を経て行われ、日本の歴史・文化を理解するうえで欠かすことのできない、最高峰の文化遺産です。

法律の観点では国宝は重要文化財の一種であり、国宝の分類には建造物(神社、寺院、城郭、住宅等)、絵画、彫刻、工芸品、書跡・典籍、古文書、考古資料・歴史資料があります。2025年現在、日本全国で国宝に指定されている建造物は約230件にのぼり、各地の寺社仏閣や城郭が名を連ねています。

このページでは、そのような国宝の中から神奈川県にある「建造物」に分類される国宝を詳しく紹介します。神奈川県には鎌倉時代の武家文化を今に伝える歴史的建造物が残されており、国宝建造物の観覧は旅行やお出かけの大きなみどころのひとつです。

神奈川県の国宝(建造物) 一覧・まとめ / National Treasure of Japanese Buildings in Kanagawa ~旅行のみどころになる日本国民の宝と指定された神社、寺、城、住宅等の重要文化財~

神奈川県は、源頼朝が鎌倉幕府を開いた地として知られ、鎌倉時代(1185年〜1333年)には日本の政治・文化の中心地でした。この時代に中国(宋)から伝わった禅宗文化は鎌倉の寺院建築に大きな影響を与え、独自の「禅宗様(唐様)」建築が発展しました。神奈川県で国宝に指定されている建造物は1件ですが、その1件こそが日本における禅宗様建築の最高傑作として名高い円覚寺舎利殿です。


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円覚寺舎利殿 / Engaku Ji Shari Den[Engaku Temple Shari Den]

円覚寺舎利殿(えんがくじしゃりでん)は、鎌倉五山第二位の名刹・円覚寺の境内にある仏殿で、釈迦の遺骨(仏舎利)を安置するための建物です。神奈川県内で唯一の国宝建造物であり、日本における禅宗様(唐様)建築の代表的遺構として極めて高い文化的・建築学的価値を有しています。

歴史的背景と建築の経緯

円覚寺は、鎌倉幕府第8代執権・北条時宗が元寇(蒙古襲来)の戦没者を弔うため、弘安5年(1282年)に中国から招いた禅僧・無学祖元(仏光国師)を開山として創建した臨済宗の寺院です。舎利殿はもともと鎌倉尼五山第一位の太平寺の仏殿として建てられたものとされ、太平寺が廃寺となった後に円覚寺に移築されたと伝わっています。

現存する舎利殿の建造年代は室町中期(1393年〜1466年)と推定されており、鎌倉時代に伝来した禅宗建築の様式を忠実に伝える貴重な遺構です。1951年(昭和26年)6月9日、文化財保護法に基づき国宝に指定されました。

建築様式の特徴 ― 禅宗様(唐様)建築の最高傑作

舎利殿は入母屋造・檜皮葺(こけらぶき)の建物で、一重裳階(もこし)付きの構造です。外観は二階建てに見えますが、実際は一階建てで裳階が付いているのが特徴です。禅宗様建築の典型的な要素として、以下の点が挙げられます。

  • 花頭窓(かとうまど):上部が火炎形にカーブした独特の窓で、禅宗建築を象徴する意匠です
  • 桟唐戸(さんからど):縦横の桟を組んだ中国風の扉で、繊細かつ力強い印象を与えます
  • 詰組(つめぐみ):柱の上だけでなく柱間にも組物(斗栱)を密に配置する技法で、軒の荷重を分散させるとともに装飾的効果を生みます
  • 弓型連子窓・火灯窓:中国宋代の建築意匠を色濃く反映した窓の形式
  • 鏡天井:内部の天井は平らな板張りで、仏舎利を安置する荘厳な空間を形成します

建物全体の規模は小ぶりながらも、細部にわたる精緻な装飾と均整のとれたプロポーションにより、「禅宗様建築の教科書」とも称される完成度の高さを誇ります。日本建築史において、東大寺南大門(大仏様)と並んで中世大陸伝来の建築様式を代表する存在です。

仏舎利と信仰

舎利殿内には、源実朝が宋の能仁寺から請来したと伝えられる仏牙舎利(釈迦の歯の遺骨)が安置されています。この仏舎利は鎌倉時代以来の篤い信仰の対象であり、円覚寺の最も神聖な場所として大切に守られてきました。

拝観に関するご案内

舎利殿は通常非公開ですが、毎年正月三が日11月初旬の宝物風入(虫干し行事)の期間に特別公開されます。この貴重な機会にのみ、間近でその美しい建築意匠を鑑賞することができます。円覚寺の境内自体は通年拝観可能で、三門(山門)、仏殿、方丈庭園など見どころが多数あります。

鎌倉観光の際は、北鎌倉エリアにある建長寺(鎌倉五山第一位)や東慶寺、浄智寺なども合わせて訪れると、鎌倉の禅宗文化をより深く体感できます。

種別
Type
国宝・近世以前・寺院
時代
Period
室町中期(1393年〜1466年)
指定年月日
Designated
1951年06月09日
住所
Address
神奈川県鎌倉市山ノ内409
地図
Map
地図(Map)
アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
JR北鎌倉駅(徒歩約25分)
URL
URL
https://www.engakuji.or.jp/

神奈川県の国宝建造物を訪れる際のポイント

神奈川県の国宝建造物は円覚寺舎利殿の1件のみですが、鎌倉市内には国の重要文化財に指定された建造物が数多く存在します。以下に、円覚寺舎利殿と合わせて訪れたい周辺の歴史的建造物や観光情報をまとめます。

周辺の重要文化財・歴史的建造物

  • 円覚寺三門(山門)(重要文化財):天明5年(1785年)再建の堂々たる楼門で、円覚寺の正面玄関にふさわしい威容を誇ります
  • 建長寺(鎌倉五山第一位):梵鐘が国宝に指定されており、法堂の天井画「雲龍図」も見どころです
  • 鶴岡八幡宮:鎌倉幕府の守護神社として栄え、本宮(上宮)は重要文化財に指定されています
  • 鎌倉大仏(高徳院):国宝(彫刻)に指定されている阿弥陀如来坐像で、鎌倉のシンボルとして世界的に有名です

アクセス情報

円覚寺へはJR横須賀線「北鎌倉駅」から徒歩約1分で総門に到着します(舎利殿は境内奥の塔頭・正続院内にあり、総門から徒歩約25分)。東京駅からはJR横須賀線で約55分、横浜駅からは約25分と、首都圏からのアクセスが良好です。鎌倉周辺は道路が混雑しやすいため、公共交通機関の利用がおすすめです。

おすすめの訪問時期

舎利殿の特別公開は毎年1月1日〜3日11月上旬(文化の日前後)に行われます。秋の宝物風入の時期は紅葉シーズンとも重なり、円覚寺境内の美しい紅葉と合わせて国宝建築を楽しむことができます。春は桜、初夏はアジサイなど、鎌倉は四季折々の花と歴史的建造物の競演が魅力です。

よくある質問(FAQ) ― 神奈川県の国宝建造物について

Q. 円覚寺舎利殿は普段でも見学できますか?
A. 舎利殿は円覚寺境内の塔頭「正続院」の中にあり、正続院は修行道場として使われているため通常は非公開です。ただし、毎年正月三が日(1月1日〜3日)と11月上旬の宝物風入(虫干し行事)の期間に特別公開され、外観を間近で拝観することができます。内部への立ち入りはできません。公開日程は年によって変更される場合があるため、訪問前に円覚寺公式サイトで最新情報をご確認ください。

Q. 神奈川県には国宝に指定された建造物はいくつありますか?
A. 神奈川県で国宝に指定されている建造物は、円覚寺舎利殿の1件1棟のみです。ただし、建造物以外の国宝は複数あり、例えば高徳院の鎌倉大仏(阿弥陀如来坐像、国宝・彫刻)や建長寺の梵鐘(国宝・工芸品)などが知られています。

Q. 円覚寺へのアクセス方法を教えてください。
A. JR横須賀線「北鎌倉駅」を下車し、徒歩約1分で円覚寺の総門に到着します。舎利殿がある正続院は境内の奥に位置しており、総門から徒歩約25分です。東京駅からはJR横須賀線で直通約55分、横浜駅からは約25分です。鎌倉周辺は休日を中心に道路が混雑するため、公共交通機関の利用をおすすめします。

Q. 国宝と重要文化財はどう違いますか?
A. 重要文化財は、文化財保護法に基づき文部科学大臣が指定する有形文化財で、日本の歴史・文化にとって重要なものです。国宝は、その重要文化財の中からさらに「世界文化の見地から価値の高いもの、たぐいない国民の宝たるもの」として特に厳選されたものを指します。つまり、国宝は重要文化財の最上位に位置づけられる文化財です。

Q. 円覚寺舎利殿の建築様式「禅宗様(唐様)」とは何ですか?
A. 禅宗様(ぜんしゅうよう)は、鎌倉時代に中国の宋・元から禅宗とともに伝来した建築様式です。「唐様(からよう)」とも呼ばれ、花頭窓(火炎形の窓)、詰組(密に配された組物)、桟唐戸(中国風の扉)、裳階(ひさし状の付加構造)などの特徴を持ちます。和様(日本古来の様式)や大仏様(東大寺再建に用いられた様式)と並ぶ、日本中世建築の三大様式のひとつです。円覚寺舎利殿は、その禅宗様が最も純粋な形で残された貴重な建造物として評価されています。