岡山県の国宝(建造物) 一覧・まとめ / National Treasure of Japanese Buildings in Okayama ~旅行のみどころになる日本国民の宝と指定された神社、寺、城、住宅等の重要文化財~
日本の国宝とは、文化財保護法に基づき国が指定した重要文化財のうち、世界文化の見地から特に価値の高いもので、たぐいない国民の宝であるとして文部科学大臣が指定した文化財を指します。国宝は日本の歴史・文化を象徴する最高峰の文化遺産であり、建造物・絵画・彫刻・工芸品・書跡典籍・古文書・考古資料・歴史資料の各分野にわたって指定されています。
国宝に指定された建造物は、神社・寺院・城郭・住宅など多岐にわたり、日本各地に点在しています。これらの建造物は、各時代の建築技術の粋を集めた傑作であると同時に、その土地の歴史や信仰、生活文化を今に伝える貴重な存在です。旅行で実際に訪れることで、写真や文献だけでは味わえない建築の迫力や、周囲の自然環境との調和を体感することができます。
本記事では、岡山県に所在する国宝建造物を一覧でまとめ、それぞれの歴史的背景・建築的特徴・見どころを詳しく紹介します。岡山県には現在2件の国宝建造物があり、いずれも日本の建築史において極めて重要な位置を占める名建築です。「晴れの国」岡山の豊かな自然と歴史文化に触れる旅の参考にしてください。
岡山県の国宝(建造物) 一覧・まとめ / National Treasure of Japanese Buildings in Okayama ~旅行のみどころになる日本国民の宝と指定された神社、寺、城、住宅等の重要文化財~
岡山県は、古代には「吉備国」として栄え、畿内と九州を結ぶ要衝の地として独自の文化を育んできました。備前焼に代表される伝統工芸や、後楽園・倉敷美観地区などの観光名所で知られる岡山県ですが、国宝建造物としては吉備津神社本殿及び拝殿と旧閑谷学校講堂の2件が指定されています。室町時代の壮大な神社建築と、江戸時代の先進的な学校建築という、異なる時代・用途の建造物が揃っている点が岡山県の国宝の特徴です。
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吉備津神社本殿及び拝殿 / Kibitsu Jinja Honden Oyobi Haiden[Kibitsu Shrine Honden and Haiden]
| 種別 Type |
国宝・近世以前・神社 |
| 時代 Period |
室町中期(1425年) |
| 指定年月日 Designated |
1952年03月29日 |
| 住所 Address |
岡山県岡山市北区吉備津931 |
| 地図 Map |
地図(Map) |
| アクセス・最寄り駅 Access, Nearest station |
JR吉備津駅(徒歩約10分) |
| URL URL |
https://kibitujinja.com/ |
吉備津神社の歴史と由緒
吉備津神社は、古代吉備国の総鎮守として崇敬を集めてきた由緒ある神社です。主祭神の大吉備津彦命(おおきびつひこのみこと)は、第7代孝霊天皇の皇子とされ、吉備国に遣わされて温羅(うら)という鬼を退治したという伝説が残されています。この温羅退治の物語は、日本人に広く親しまれている桃太郎伝説の原型ともいわれており、岡山県が「桃太郎の故郷」と呼ばれる所以のひとつです。
現在の本殿と拝殿は、応永32年(1425年)に足利義満の命により再建されたもので、約600年の歴史を持ちます。中世の大規模な神社建築が当時の姿をよく留めている点が高く評価され、1952年(昭和27年)に国宝に指定されました。
建築様式「比翼入母屋造」の特徴
吉備津神社本殿の最大の特徴は、比翼入母屋造(ひよくいりもやづくり)と呼ばれる独自の建築様式です。これは2つの大きな入母屋屋根を前後に並べて連結した構造で、「吉備津造」とも称されます。この様式は日本全国で吉備津神社にしか見られない唯一無二の建築形式であり、その壮大なスケールと優美な屋根の曲線は、訪れる人を圧倒します。本殿の規模は京都の八坂神社本殿に次ぐ大きさを誇り、正面の幅は約14メートル、奥行きは約22メートルに及びます。
拝殿は本殿の前方に接続して建てられており、本殿と一体となった壮大な空間を構成しています。檜皮葺(ひわだぶき)の屋根が重厚な存在感を放ち、室町時代の建築技術の高さを現代に伝えています。
見どころと参拝のポイント
境内には本殿・拝殿のほかにも見どころが豊富です。特に有名なのが、本殿から南に延びる全長約400メートルの回廊です。自然の地形に沿って緩やかに曲がりながら続く回廊は、吉備津神社を象徴する景観として写真スポットとしても人気があります。また、釜の音で吉凶を占う鳴釜神事(なるかましんじ)は、上田秋成の「雨月物語」にも登場する神秘的な儀式で、現在も体験することができます。
境内では春の桜、初夏のアジサイ、秋の紅葉と四季折々の自然美も楽しめます。JR吉備津駅から徒歩約10分とアクセスも良好で、隣接する吉備津彦神社やきびの里を含めた吉備路散策と合わせて訪れるのがおすすめです。
旧閑谷学校 / Kyuh Shizutani Gakkou[Old Shizutani School]
| 種別 Type |
国宝・近世以前・その他 |
| 時代 Period |
江戸中期(1701年) |
| 指定年月日 Designated |
1953年11月14日 |
| 住所 Address |
岡山県備前市閑谷784 |
| 地図 Map |
地図(Map) |
| アクセス・最寄り駅 Access, Nearest station |
JR吉永駅より自動車(約10分)、JR備前片上駅より自動車(約15分) |
| URL URL |
https://shizutani.jp/ |
旧閑谷学校の歴史 ― 日本最古の庶民のための公立学校
旧閑谷学校は、寛文10年(1670年)に岡山藩主池田光政によって創設された、日本で最も古い庶民のための公立学校です。当時の日本では藩校は武士の子弟を対象とするのが一般的でしたが、池田光政は領民の教育こそが国の礎であるという信念のもと、身分を問わず学べる学校を設立しました。この先進的な教育理念は、江戸時代の日本において極めて画期的なものでした。
現在の講堂は、元禄14年(1701年)に完成したもので、池田光政の孫である池田綱政の時代に津田永忠の設計・監督により建てられました。講堂は1953年(昭和28年)に国宝に指定され、学校敷地全体は国の特別史跡にも指定されています。教育施設として国宝・特別史跡の二重指定を受けている例は極めて稀であり、日本の教育史における閑谷学校の重要性を物語っています。
講堂の建築的特徴と備前焼の屋根瓦
国宝に指定されている講堂は、入母屋造の堂々とした建築です。最大の特徴は、屋根に使用されている備前焼の屋根瓦です。地元の備前焼の技術を活かして焼き上げられた瓦は、通常の瓦よりも耐久性に優れ、300年以上経った現在も美しい状態を保っています。雨に濡れると独特の光沢を放ち、晴天時とはまた異なる趣を見せます。
講堂の床は、漆塗りの美しい仕上げが施されており、現在でも論語の素読などの学習体験に使用されることがあります。建物の周囲を囲む石塀も見どころのひとつで、全長約765メートルにわたって敷地を取り囲んでいます。切り込みはぎの技法で築かれた石塀は、建設当時のまま残されており、その精巧な石組みは土木技術の高さを示しています。
紅葉の名所としての閑谷学校
旧閑谷学校は、岡山県屈指の紅葉の名所としても広く知られています。講堂の前に植えられた2本の大きな楷の木(かいのき)は、中国の孔子廟から種を持ち帰って育てたものと伝えられ、秋になると一方が赤、もう一方が黄色に色づく様子は圧巻です。毎年11月上旬には紅葉のライトアップイベントも開催され、漆塗りの講堂と色鮮やかな紅葉が織りなす幻想的な景観を楽しむことができます。
静かな山間に佇む学校の敷地は、四季を通じて落ち着いた雰囲気に包まれています。春には新緑、夏には蝉時雨、冬には凛とした空気の中で歴史的建造物と向き合うことができ、訪れる季節ごとに異なる表情を見せてくれます。
岡山県の国宝建造物を訪れる旅のまとめ
岡山県の2件の国宝建造物は、いずれも日本の建築史・文化史において特筆すべき価値を持つ名建築です。吉備津神社では室町時代の壮大な神社建築と桃太郎伝説に触れ、旧閑谷学校では江戸時代の教育精神と備前焼の伝統工芸が融合した学校建築を体感できます。2つの国宝は岡山市と備前市にそれぞれ位置しており、車で約40分の距離にあるため、1日で両方を巡ることも可能です。
よくある質問(FAQ)
岡山県にはいくつの国宝建造物がありますか?
岡山県には国宝に指定された建造物が2件あります。岡山市の吉備津神社本殿及び拝殿(1952年指定)と、備前市の旧閑谷学校講堂(1953年指定)です。
吉備津神社の建築様式にはどのような特徴がありますか?
吉備津神社本殿は比翼入母屋造(ひよくいりもやづくり)という、2つの入母屋屋根を前後に連結した独自の建築様式で建てられています。この様式は「吉備津造」とも呼ばれ、日本全国で吉備津神社にのみ見られる唯一無二の建築形式です。
旧閑谷学校はなぜ歴史的に重要なのですか?
旧閑谷学校は、1670年に岡山藩主・池田光政によって創設された日本最古の庶民のための公立学校です。身分を問わず教育を受けられる場を設けたという先進的な理念が評価されており、講堂は国宝、敷地全体は国の特別史跡に指定されています。
岡山県の国宝建造物へのアクセス方法は?
吉備津神社へはJR吉備津駅から徒歩約10分でアクセスできます。旧閑谷学校へはJR吉永駅から車で約10分、またはJR備前片上駅から車で約15分です。両方を1日で巡る場合は、レンタカーの利用が便利です。

