関東地方の日本ジオパーク・ユネスコ世界ジオパーク まとめ・一覧 / Japanese Geoparks and UNESCO Global Geoparks in Kanto 〜首都圏から日帰りで地球の歴史を体感できるジオパークガイド〜

3月 13, 2026Geoparks,Japan,Travel

親記事:日本全国・都道府県の日本ジオパーク・ユネスコ世界ジオパーク 一覧・まとめ / Japanese Geoparks and UNESCO Global Geoparks in Japan 〜保護と教育やツーリズムへの活用で持続可能な社会や地球のあり方を考え、地域経済を活性化する大地の遺産〜

関東地方の日本ジオパーク・ユネスコ世界ジオパーク まとめ・一覧 / Japanese Geoparks and UNESCO Global Geoparks in Kanto 〜首都圏から日帰りで地球の歴史を体感できるジオパークガイド〜

関東地方の地質学的背景

関東地方は、日本列島の地質構造上きわめて複雑な位置に存在します。この地域はユーラシアプレート・北アメリカプレート・フィリピン海プレートの3つの構造プレートが交差・衝突する「プレートのトリプルジャンクション」の東端に位置し、多様な地質現象が凝縮した大地の実験場ともいうべき地域です。その結果、関東7都県(茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・東京・神奈川)には、古生代の変成岩から現代の火山噴出物まで、地球46億年の歴史を反映した多彩な地質遺産が分布しています。

地質構造の面で特に重要なのが、フォッサマグナ(Fossa Magna)の東縁との関係です。フォッサマグナは、静岡県の糸魚川から新潟県糸魚川市にかけて伸びる大地溝帯で、日本列島を地質学的に東北日本と西南日本に分割する境界です。その東縁(新第三系を覆う基盤岩の境界)は関東山地の縁辺部を通り、秩父・下仁田周辺の複雑な地質形成に深く関わっています。また関東地方の南端、神奈川・東京・静岡にかけては伊豆衝突帯の影響が顕著で、フィリピン海プレート上の火山弧である伊豆半島・伊豆大島を含む伊豆諸島が、約100万年前から現在進行形で本州に衝突し続けています。この衝突によって伊豆大島や箱根周辺の地質・火山活動が育まれています。

さらに関東地方の南部には明確な火山フロント(火山前線)が走り、箱根・富士・大島など活火山が連なる「富士・箱根・伊豆火山帯」が形成されています。群馬県の浅間山(2,568m)は北側に位置する別の火山フロントに属し、1783年の天明大噴火では日本火山史上最大級の災害をもたらしました。一方、関東平野の大部分は、これらの山地から供給された堆積物が厚く積み重なった沖積低地で構成されています。関東ローム層と呼ばれる火山灰質の赤土層が平野全体を覆い、特に関東北部・東部では太古の海底堆積物が地表に露出する場所も多く、銚子市の白亜紀地層や市原市のチバニアンがその代表例です。

このような多元的な地質環境を背景に、関東地方では2024年時点で7つの日本ジオパークが認定されています(ユネスコ世界ジオパークは含まれず)。7都県のうち栃木県と山梨県にはジオパーク認定地域がありませんが、那須岳・日光・昇仙峡など国内屈指の地質スポットが各所に存在します。首都圏からの交通アクセスが整備されているため、多くのジオパークが日帰り圏内にあり、週末や連休を活用したジオツーリズムの拠点として年間を通じて賑わっています。

関東地方のジオパーク一覧 比較表

ジオパーク名 都県 認定種別 認定年 主なテーマ
筑波山地域ジオパーク 茨城県 日本ジオパーク 2016年9月 斑れい岩と花崗岩の共存、6億年の大地の歴史
下仁田ジオパーク 群馬県 日本ジオパーク 2011年9月 中央構造線・跡倉ナップ、関東山地と西南日本の出会い
浅間山北麓ジオパーク 群馬県 日本ジオパーク 2016年9月 活火山・浅間山、1783年天明大噴火の被災地
ジオパーク秩父 埼玉県 日本ジオパーク 2011年9月 日本の近代地質学発祥の地、約2億年前からの地質遺産
銚子ジオパーク 千葉県 日本ジオパーク 2012年9月 関東最東端の白亜紀・ジュラ紀付加体地質
伊豆大島ジオパーク 東京都 日本ジオパーク 2010年 活火山・三原山と伊豆衝突帯、離島の火山地形
箱根ジオパーク 神奈川県 日本ジオパーク 2012年9月 40万年の火山のめぐみ、二重カルデラ構造

茨城県のジオパーク

筑波山地域ジオパーク / Tsukuba Area Geopark

筑波山地域ジオパークは、2016年9月に日本ジオパークとして認定された茨城県中南部のジオパークです。つくば市・石岡市・笠間市・桜川市・土浦市・かすみがうら市の6市にまたがり、「約6億年の大地の歴史を歩く」をテーマに、筑波山の深成岩群から霞ヶ浦の湖成堆積物、関東平野の沖積低地まで、多様な地質環境を一つのジオパークの中で体験できます。

筑波山地質学上最大の特徴は、山体を構成する斑れい岩(はんれいがん)花崗岩(かこうがん)という2種類の深成岩の共存にあります。両者はともに約7,500万年前(白亜紀後期)に地下深部でマグマが冷え固まって形成されたものですが、マグマの組成・冷却過程の違いにより全く異なる鉱物組成と色調を持ちます。女体山(877m)周辺が主に暗色の斑れい岩、男体山(871m)周辺が主に淡色の花崗岩で構成されており、登山道沿いで両岩石の境界(岩相境界)を直接観察できる地点は日本でも極めて希少です。この双耳峰が「陰」と「陽」に見立てられ古代から信仰の対象となった背景には、地質学的な二面性も関係しているといわれています。

山頂付近に点在する奇岩群もジオサイトとして重要です。ガマ石・弁慶七戻り・母の胎内くぐりといった名勝は、風化・浸食作用が選択的に岩石を削り出した球状風化や核石(コアストーン)の典型例で、地球の長い時間スケールにおける物理的・化学的風化プロセスを具体的に示しています。霞ヶ浦の湖岸では貝化石を含む地層を観察でき、かつてこの地が海に覆われていた時代の記録を読み取ることができます。アクセスはつくばエクスプレス研究学園駅より自動車で約1時間。公式サイト:https://tsukuba-geopark.jp/

加盟組織
Geoparks Network
日本ジオパーク
加盟年
Year Included
日本:2016年9月、世界:−
住所
Address
つくば市、石岡市、笠間市、桜川市、土浦市、かすみがうら市
地図
Map
地図(Map)
アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
つくばエクスプレス研究学園駅より自動車(約1時間)
URL
URL
https://tsukuba-geopark.jp/

栃木県のジオパーク・注目地質スポット

栃木県には2024年時点でジオパーク認定地域はありませんが、日光を中心とした地域には火山活動と地質変動が生み出した国内屈指の地質スポットが集中しています。那須岳(1,917m)は今も噴気活動が続く活火山で、茶臼岳・三本槍岳・朝日岳などの峰々が連なる那須火山群の主峰です。中禅寺湖は約2万年前に男体山(2,486m)の噴火・山体崩壊で大谷川が堰き止められて形成された火山堰止湖で、標高1,269mに位置する日本最高所の湖沼のひとつです。

華厳の滝(落差97m)は中禅寺湖から流れ出る大谷川が溶岩台地の断崖を一気に落下する瀑布で、日本三名瀑のひとつに数えられます。戦場ヶ原は男体山噴火後の湖底が陸化・湿原化した高層湿原で、国の天然記念物・特別天然記念物に指定されています。また、宇都宮市北部に広がる大谷石採掘場跡は、約6,000万年前(古第三紀)の海底火山噴出物(凝灰岩)が地下に大規模に分布する特異な地質地帯で、地下に広がる採掘跡(大谷資料館)は観光地としても人気を集めています。これらの地質スポットは首都圏から新幹線・特急を利用したアクセスも良好で、日光国立公園を中心に年間を通じて多くの来訪者が訪れます。

群馬県のジオパーク

下仁田ジオパーク / Shimonita Geopark

下仁田ジオパークは、群馬県甘楽郡下仁田町の全域を対象とする日本ジオパークで、2011年9月に認定されました。「関東山地と西南日本が出会うまち」をテーマに掲げ、日本列島の地質構造を理解する上で極めて重要な地点が集中しています。特に、西南日本の岩石が太平洋側から「乗り上げてきた」ナップ(衝上断層)の痕跡と、日本列島を東西に貫く大構造線・中央構造線の露頭が観察できる点は、国内屈指の地質学的価値を持ちます。

最大のジオサイトが跡倉クリッペ(跡倉ナップ)です。クリッペとは、かつてのナップ(衝上断層に乗って運ばれた地塊)が侵食されて周囲と切り離され、孤立した岩塊として残存したものを指します。跡倉クリッペは、数億年前に西南日本(現在の近畿・中国地方)で形成された古生代の岩石が、地殻変動によって東に向かって水平距離にして数十km以上押し運ばれ、現在の群馬県下仁田町に「乗り上げた」状態で残っています。本来この場所に存在するはずのない岩石が上に乗っているという、地質学の教科書的な事例として日本地質学史上でも有名な露頭です。

また、下仁田町内では中央構造線の明瞭な露頭も観察できます。中央構造線は九州から関東山地まで1,000km以上にわたって延びる日本最大の断層で、内帯(西南日本の北側)と外帯(同南側)の地質的境界を形成します。青岩公園(下仁田町青岩)では、高圧変成作用を受けた緑色結晶片岩(りょくしょくけっしょうへんがん)が荒船川の河床に美しく露出しており、見た目の鮮やかさとともに地質学的意義も高いジオサイトです。さらに、世界文化遺産「富岡製糸場と絹産業遺産群」の構成資産である荒船風穴も下仁田ジオパーク内に位置し、地形と産業文化遺産が融合したユニークな見どころとなっています。アクセスは上信電鉄下仁田駅より自動車で約10分。公式サイト:https://www.shimonita-geopark.jp/

加盟組織
Geoparks Network
日本ジオパーク
加盟年
Year Included
日本:2011年9月、世界:−
住所
Address
甘楽郡下仁田町(全域)
地図
Map
地図(Map)
アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
上信電鉄下仁田駅より自動車(約10分)
URL
URL
https://www.shimonita-geopark.jp/

浅間山北麓ジオパーク / Mt. Asama Northern Foot Geopark

浅間山北麓ジオパークは、群馬県吾妻郡嬬恋村・長野原町の2町村を対象とする日本ジオパークで、2016年9月に認定されました。北アルプス北部から栃木・群馬にかけて連なる火山フロントに位置する活火山・浅間山(2,568m)の北麓一帯が対象地域で、現在も活動が続く「生きた火山」と人々の関わりの歴史を伝えることをテーマとしています。特に1783年(天明3年)の天明大噴火は、溶岩流と火砕流・泥流が複合した大規模噴火として日本火山災害史上最大級の被害をもたらし、北麓の鎌原村では住民の3分の2以上が命を落としたとされています。

最も印象的なジオサイトが鎌原観音堂です。天明大噴火の際、泥流に呑み込まれた鎌原村の中で唯一残存した建物で、現在も石段の下には当時の泥流堆積物が残り、逃げ遅れた人々の遺骨が発見されています(鎌原村遺跡)。観音堂に続く石段の途中には泥流堆積物の断面が露出しており、噴火災害の規模と村人たちの逃避行の様子を地質学的に追体験できる貴重な場所です。隣接する嬬恋郷土資料館では発掘調査の成果と噴火の歴史を詳しく展示しています。

鬼押出し園(長野原町)は、天明大噴火によって噴出した溶岩流が複雑な地形を形成した場所で、奇怪な形状の溶岩奇勝地として有名です。黒色の玄武岩質安山岩の溶岩塊が累々と積み重なる光景は、火山の破壊的エネルギーを直接伝えます。吾妻渓谷は浅間山系の火山岩を吾妻川が深く刻んだ峡谷で、紅葉の名所としても知られています。浅間山の現在の火山活動は気象庁の常時観測対象となっており、立入規制等の最新情報を確認した上での訪問が必要です。アクセスはJR吾妻線万座・鹿沢口駅より自動車で約10分。公式サイト:https://mtasama.com/

加盟組織
Geoparks Network
日本ジオパーク
加盟年
Year Included
日本:2016年9月、世界:−
住所
Address
吾妻郡嬬恋村、吾妻郡長野原町
地図
Map
地図(Map)
アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
JR吾妻線万座・鹿沢口駅より自動車(約10分)
URL
URL
https://mtasama.com/

埼玉県のジオパーク

ジオパーク秩父 / Geopark Chichibu

ジオパーク秩父は、埼玉県の秩父市・横瀬町・皆野町・長瀞町・小鹿野町の1市4町を対象とする日本ジオパークで、2011年9月に認定されました。「日本の近代地質学発祥の地」を標榜する秩父は、1878年(明治11年)にドイツ人地質学者ハインリヒ・ナウマン博士が長瀞の地質調査を行い、日本列島の地質構造解明の端緒を開いた地として地質学史上に名を刻んでいます。ナウマンはここで当時「結晶片岩」と呼ばれた変成岩(現在の三波川変成帯)を記載し、後に「フォッサマグナ」の発見へとつながる研究の基礎を築きました。

最大のジオサイトは長瀞の岩畳です。荒川沿いに約500mにわたって広がる岩畳は、三波川変成帯の結晶片岩(高圧低温変成岩)が川の侵食によって地表に露出したもので、板状・畳状に剥がれやすい片理(へんり)の走向・傾斜が整然と並ぶ様子は壮観です。長瀞の岩畳は国の名勝・天然記念物に指定されており、ライン下り(荒川ライン下り)と組み合わせた観光が人気を集めています。岩畳周辺では、緑色・青色・白色など様々な色合いの結晶片岩を観察でき、変成作用の温度・圧力条件によって鉱物組成が変化することを肌で感じられます。

ようばけ(陽崖)は小鹿野町に位置する高さ約100m・幅約400mの大露頭で、約3,000万年前(漸新世)の海底堆積物(砂岩・泥岩・礫岩の互層)が崖面に大規模に露出しています。地層の逆転や断層などの地質構造が一目で把握でき、古代の海洋環境を復元する研究の場として重要な地点です。武甲山(1,304m)は三波川変成帯の結晶片岩に挟まれた石灰岩体(秩父帯の付加体起源)が山体を形成する山で、良質な石灰岩の産地としてセメント原料の採掘が長年行われてきた「産業と地質の複合遺産」でもあります。アクセスは秩父鉄道長瀞駅より自動車で約10分。公式サイト:https://www.chichibu-geo.com/

加盟組織
Geoparks Network
日本ジオパーク
加盟年
Year Included
日本:2011年9月、世界:−
住所
Address
秩父市、横瀬町、皆野町、長瀞町、小鹿野町
地図
Map
地図(Map)
アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
秩父鉄道長瀞駅より自動車(約10分)
URL
URL
https://www.chichibu-geo.com/

千葉県のジオパーク

銚子ジオパーク / Choshi Geopark

銚子ジオパークは、千葉県銚子市全域を対象とする日本ジオパークで、2012年9月に認定されました。関東平野の最東端、太平洋に突き出た銚子半島には、関東地方では極めて珍しい中生代(ジュラ紀〜白亜紀)の岩石が露出しており、地質学的に際立った特徴を示す地域です。通常、関東平野の地下は数百mにわたる新第三紀〜第四紀の堆積物に覆われていますが、銚子では地殻運動による隆起と海食によってこれらの古い地層が地表に顔を出しています。

代表的なジオサイトである犬吠埼(いぬぼうさき)では、白亜紀前期(約1億2,000万年前)の砂岩・泥岩互層(犬吠層群)が海岸線に広く露出しています。1874年(明治7年)に建設された犬吠埼灯台はレンガ造りの国の重要文化財で、地質と歴史が融合した景観として人気を集めます。屏風ヶ浦(びょうぶがうら)は銚子市東南部の海岸に約10kmにわたって連続する高さ40〜50mの断崖絶壁で、その雄大な景観から「東洋のドーバー」と称されています。第三紀の地層(銚子層群)が海食・風化によって垂直に削られた典型的な海食崖で、地層の傾き(走向・傾斜)を読み取ることができます。愛宕山付近には、ジュラ紀〜白亜紀の海洋プレートが沈み込む際に付加した地層(付加体)が分布しており、1億年以上前の深海底環境を記録した岩石を直接観察できます。

なお、千葉県市原市の養老川沿いに位置するチバニアン・千葉セクション(市原市田淵)は、2020年にICSP(国際地質科学連合)によって地質時代の境界を示すGSSP(国際標準模式地)として認定された世界的に重要な地質地点です。約77万4,000年前の地磁気逆転の痕跡を連続して記録する地層が露出しており、この地にちなんで当該時代区分が「チバニアン(千葉時代)」と命名されました。ただし、チバニアン・千葉セクションは銚子ジオパークのエリア外にあり、独立したジオパーク認定は受けていません。世界的な地質遺産を有しながらジオパーク未認定である千葉県内陸部の状況は、今後の動向が注目されます。アクセスはJR銚子駅より自動車で約10分。公式サイト:https://www.choshi-geopark.jp/

加盟組織
Geoparks Network
日本ジオパーク
加盟年
Year Included
日本:2012年9月、世界:−
住所
Address
銚子市(市全域)
地図
Map
地図(Map)
アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
JR銚子駅より自動車(約10分)
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URL
https://www.choshi-geopark.jp/

東京都のジオパーク

伊豆大島ジオパーク / Izu Oshima Geopark

伊豆大島ジオパークは、東京都大島町(伊豆大島)を対象とする日本ジオパークで、2010年に認定されました。東京都心から南方約120kmの太平洋上に浮かぶ伊豆大島は、伊豆・小笠原弧(フィリピン海プレート上の島弧)の北端に位置する活火山島で、主峰・三原山(758m)は歴史時代を通じて繰り返し噴火を起こしてきた日本有数の活火山です。最近では1986年(昭和61年)に大規模な噴火が発生し、島民全員が一時避難するという事態となりましたが、現在は安全が確認されて観光・居住が再開されています。

伊豆大島で最も有名なジオサイトが地層断面(通称「バウムクーヘン」)です。大島の北東部海岸(野田浜〜野増地区)では、三原山の繰り返す噴火によって堆積した黒色・褐色・白色など様々な色の火山灰層・溶岩層が高さ最大30mを超える断崖に美しく横縞模様を作り出しており、その断面がバウムクーヘンケーキのような層状構造を呈することから「バウムクーヘン」の愛称で親しまれています。各層は異なる噴火年代に対応しており、地層を読むことで過去の火山活動史を「年表」として直接視覚化できます。

三原山の火口周辺では現在も活発な火山活動の名残を観察でき、外輪山から中心火口へ向かうお鉢めぐりコース(一周約3km)は火口縁からの眺望が雄大で、活火山の迫力を間近に体感できます。大島の中央部には裏砂漠と呼ばれる砂漠状の地形が広がっており、黒色の火山砂礫が一面に広がる荒涼とした景観は「日本唯一の砂漠」として知られています(厳密には乾燥砂漠ではなく、植生が定着していない火山砂礫地)。南部の波浮港は、かつての火口湖が海と繋がって港となった地形で、周囲の地形と地質からその形成過程を読み取ることができます。アクセスは竹芝桟橋から大型船で約6時間(夜行便)またはジェット船で約1時間45分、調布空港から飛行機で約25分。公式サイト:https://www.izu-oshima.or.jp/geopark/

加盟組織
Geoparks Network
日本ジオパーク
加盟年
Year Included
日本:2010年、世界:−
住所
Address
大島町(東京都心から約120km南の太平洋上)
地図
Map
地図(Map)
アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
竹芝桟橋→大型船約6時間(夜行)またはジェット船約1時間45分、調布空港→飛行機約25分
URL
URL
https://www.izu-oshima.or.jp/geopark/

神奈川県のジオパーク

箱根ジオパーク / Hakone Geopark

箱根ジオパークは、神奈川県の箱根町・小田原市・真鶴町・湯河原町・南足柄市の5市町にまたがる日本ジオパークで、2012年9月に認定されました。「40万年の火山のめぐみ」をテーマに、箱根火山の長い活動史が生み出した多彩な地質遺産と豊富な温泉資源、そして首都圏最大の観光地という立地を活かした火山防災教育・ジオツーリズムの推進を柱としています。年間約2,000万人が訪れる日本有数の観光地でありながら、その人気の根底に40万年に及ぶ火山活動が育んだ地質の多様性があることを再発見させてくれるジオパークです。

箱根火山は約40万年前に活動を開始した複式火山(カルデラ火山)で、少なくとも4回の大規模なカルデラ形成噴火を経て現在の二重カルデラ構造を形成しました。外輪山(最高点は神山1,438m)が古いカルデラの縁であり、その内側に仙石原・芦ノ湖を囲む内カルデラが形成されています。最近では2015年6月に小規模噴火が発生し、一時大涌谷周辺が立入禁止となりましたが、箱根火山が「現在進行形で生きている火山」であることを改めて証明しました。大涌谷では現在も硫化水素を含む噴気が活発に噴出し、噴気孔・硫黄沈殿物・泥池などが観察でき、高温の地熱エネルギーを利用した温泉供給施設も隣接しています。

箱根ジオパーク内には多様なジオサイトが点在します。芦ノ湖は約3,000年前の火山活動で形成された堰止湖で、富士山の逆さ富士の名所としても有名です。仙石原湿原(国天然記念物)はカルデラ内の低地に発達した湿原で、ススキの草原と湿原植物の生態系が独自の景観を形成しています。真鶴半島先端の三ツ石海岸では箱根火山の溶岩が海食を受けて形成された柱状節理が観察でき、小田原市の海岸段丘では大地の隆起の歴史を地形から読み解くことができます。湯河原温泉は万葉集にも詠まれた古湯として知られ、箱根火山の熱水系に由来する温泉地です。神奈川県のジオパーク詳細はこちら。アクセスは箱根ロープウェイ大涌谷駅(徒歩約5分)。公式サイト:https://www.hakone-geopark.jp/

加盟組織
Geoparks Network
日本ジオパーク
加盟年
Year Included
日本:2012年9月、世界:−
住所
Address
箱根町、小田原市、真鶴町、湯河原町、南足柄市
地図
Map
地図(Map)
アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
箱根ロープウェイ大涌谷駅(徒歩約5分)
URL
URL
https://www.hakone-geopark.jp/

山梨県のジオパーク・注目地質スポット

山梨県には2024年時点でジオパーク認定地域はありませんが、日本を代表する火山・富士山を擁する山梨県は、地質学的な見どころの宝庫です。富士山(3,776m)は2013年に世界文化遺産に登録された、現在も活動を続ける活火山で、その裾野に広がる富士五湖(山中湖・河口湖・西湖・精進湖・本栖湖)はいずれも富士山の溶岩流や噴出物によって形成された堰止湖群です。湖それぞれの成因と形態は微妙に異なり、富士山の噴火史を「湖の地形」から読み解くことができます。

青木ヶ原樹海(富士河口湖町・鳴沢村)は、864〜866年(貞観噴火)の溶岩流の上に形成された原生的な亜高山性の森で、溶岩流地形(溶岩洞窟・スコリア丘など)が樹林の下に良好に保存されています。風穴・氷穴は夏でも氷が残る天然の冷蔵庫として古くから知られ、溶岩チューブ(溶岩洞)の典型例を見学できます。昇仙峡(甲府市)は国の特別名勝に指定された峡谷で、約500万年前(新第三紀中新世)に地下で冷え固まった花崗岩が、長年の侵食によって奇岩・断崖を形成した景勝地です。仙娥滝(落差30m)や石門・覚円峰など、花崗岩の風化・侵食が作り出した多彩な地形を楽しめます。これらの地質スポットは中央自動車道の整備により首都圏から2〜3時間でアクセス可能で、日帰り・1泊の周遊コースとして人気があります。

首都圏からのアクセスと旅行ガイド

関東地方のジオパークは、首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)を起点とした日帰りまたは1泊旅行で訪れやすい立地が最大の魅力です。各ジオパークへの標準的なアクセスは以下のとおりです。

首都圏から日帰り可能なジオパーク

  • 箱根ジオパーク(神奈川県):新宿・品川から小田急ロマンスカーまたはJR+箱根登山鉄道で約1時間30分〜2時間。箱根フリーパスを利用すれば、ロープウェイ・ケーブルカー・海賊船・バスが乗り放題で効率よく周遊できます。大涌谷・芦ノ湖・仙石原を1日で巡るモデルコースが充実しています。
  • ジオパーク秩父(埼玉県):池袋から西武鉄道特急レッドアロー(ちちぶ号)で約1時間20分で西武秩父駅着。長瀞の岩畳・ようばけ・武甲山エリアをあわせた秩父ジオツアーは、鉄道と路線バスを組み合わせて日帰り可能です。
  • 銚子ジオパーク(千葉県):東京駅から特急しおさいで約1時間30分〜1時間45分で銚子駅着。犬吠埼・屏風ヶ浦・銚子電鉄を組み合わせた海岸ジオウォークが楽しめます。
  • 筑波山地域ジオパーク(茨城県):秋葉原からつくばエクスプレス(約45分)でつくば駅に到着後、バス(約50分)またはタクシーで筑波山口へ。山頂のケーブルカー・ロープウェイを利用した岩石観察と山頂展望を1日で楽しめます。

宿泊を伴う充実コース

  • 浅間山北麓ジオパーク(群馬県):東京から新幹線で軽井沢駅(約1時間)、そこからバス・タクシーで鬼押出し園・鎌原観音堂へ。嬬恋・草津温泉に宿泊して翌日も周遊するのがおすすめです。
  • 下仁田ジオパーク(群馬県):新宿から高崎駅(新幹線約50分)、上信電鉄で下仁田駅(約1時間)。跡倉クリッペ・青岩公園を中心とした地質散策は半日〜1日かけてゆっくり楽しめます。荒船風穴と合わせて世界遺産(富岡製糸場)を組み込んだ1泊2日コースが充実しています。
  • 伊豆大島ジオパーク(東京都):竹芝桟橋発の夜行大型船(約6時間)や、竹芝・久里浜からのジェット船(約1時間45分)を利用。島内は1〜2泊でほぼ全ジオサイトを回ることができ、海水浴・温泉と組み合わせた離島ジオツーリズムとして特に夏〜秋シーズンに人気があります。

広域周遊モデルコース(2泊3日)

1日目:東京発→秩父(長瀞ライン下り・岩畳・ようばけ)→秩父温泉泊。2日目:秩父→下仁田(青岩公園・跡倉クリッペ・荒船風穴)→富岡製糸場見学→草津または嬬恋泊。3日目:浅間山北麓(鬼押出し・鎌原観音堂)→軽井沢経由で東京帰着。

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