中部・北陸地方の日本ジオパーク・ユネスコ世界ジオパーク まとめ・一覧 / Japanese Geoparks and UNESCO Global Geoparks in Chubu & Hokuriku 〜フォッサマグナ・日本アルプス・恐竜が語る大地の物語〜
この記事は、日本全国のジオパーク まとめ・一覧 / Japanese Geoparks and UNESCO Global Geoparks in Japan の中部・北陸地方編です。
中部・北陸地方の日本ジオパーク・ユネスコ世界ジオパーク まとめ・一覧 / Japanese Geoparks and UNESCO Global Geoparks in Chubu & Hokuriku 〜フォッサマグナ・日本アルプス・恐竜が語る大地の物語〜
中部・北陸地方の地質学的背景 ― 日本列島の「要」が集まる大地
中部・北陸地方(新潟・富山・石川・福井・山梨・長野・岐阜・静岡・愛知の9県)は、日本列島の地質構造を理解する上で最も重要なエリアが集中する「大地の要衝」です。この地域には、日本列島の成り立ちを決定づけた複数の巨大な地質構造が交差しており、他のどの地方にも類を見ない地質学的多様性が凝縮されています。
最も重要な地質構造がフォッサマグナ(Fossa Magna)です。ラテン語で「大きな溝」を意味するフォッサマグナは、新潟県糸魚川市から静岡県静岡市に至る糸魚川−静岡構造線(ISTL:Itoigawa-Shizuoka Tectonic Line)を西縁とし、日本列島を「東北日本」と「西南日本」に二分する大地溝帯です。この構造線の西側と東側では、地層の向き・年代・岩石の種類が大きく異なり、日本列島の地質学的な骨格を形成しています。糸魚川ジオパーク(ユネスコ世界ジオパーク)では、この構造線の断層露頭を直接観察できます。
次に重要なのが中央構造線(MTL:Median Tectonic Line)です。関東から九州まで約1,000kmにわたって延びる日本最大の断層帯であり、長野県南部の大鹿村では地表に露頭が露出し、南アルプス(中央構造線エリア)ジオパークとして保全・公開されています。内帯の領家変成帯と外帯の三波川変成帯の境界を直接目で見ることができる、世界的にも貴重な地質遺産です。
さらに、静岡県から伊豆半島にかけては、フィリピン海プレート上で形成された火山島が本州に衝突・合体するという、現在進行形のプレートテクトニクスの舞台があります。伊豆半島ジオパーク(ユネスコ世界ジオパーク)は「南から来た火山の贈りもの」をテーマに、約2,000万年前から続くプレート衝突の歴史を体感できます。
北陸側では、石川県の白山(標高2,702m)を源とする白山手取川ジオパーク(ユネスコ世界ジオパーク)が「山−川−海そして雪 いのちを育む水の旅」をテーマに、火山・水循環・扇状地形成というダイナミックな大地の営みを紹介しています。また、富山県の立山黒部ジオパークは、標高3,000m級の立山連峰から水深1,000mの富山湾まで「高低差約4,000mの大地の物語」を展開します。
福井県勝山市の恐竜渓谷ふくい勝山ジオパークでは、白亜紀前期(約1億2,000万年前)の手取層群から多数の恐竜化石が産出しており、日本屈指の恐竜の聖地として知られています。新潟県では、日本初の世界ジオパーク・糸魚川をはじめ、佐渡島の約3億年の地質記録、信濃川が刻んだ日本最大級の河岸段丘(苗場山麓)など、多様なジオパークが揃います。こうした中部・北陸地方のジオパーク群は、まさに「日本列島の地質学的な縮図」ともいえる存在です。
中部・北陸地方のジオパーク 比較一覧表
| ジオパーク名 | 都道府県 | 認定区分 | 認定年 | 主な地質テーマ |
| 糸魚川ジオパーク | 新潟県 | 日本+ユネスコ世界 | 日本2008年・世界2009年 | フォッサマグナ・糸魚川−静岡構造線・ヒスイ |
| 佐渡ジオパーク | 新潟県 | 日本 | 2013年 | 海底火山・金銀鉱床・約3億年の地質記録 |
| 苗場山麓ジオパーク | 新潟県・長野県 | 日本 | 2014年 | 河岸段丘・豪雪地形・火山活動 |
| 立山黒部ジオパーク | 富山県 | 日本 | 2014年 | 高低差4,000mの大地・立山カルデラ・黒部峡谷 |
| 白山手取川ジオパーク | 石川県 | 日本+ユネスコ世界 | 日本2011年・世界2023年 | 白山火山・水循環・手取川扇状地 |
| 恐竜渓谷ふくい勝山ジオパーク | 福井県 | 日本 | 2009年 | 白亜紀手取層群・恐竜化石・九頭竜川 |
| 南アルプス(中央構造線エリア)ジオパーク | 長野県 | 日本 | 2008年 | 中央構造線・変成岩・南アルプス隆起 |
| 伊豆半島ジオパーク | 静岡県 | 日本+ユネスコ世界 | 日本2012年・世界2018年 | フィリピン海プレート衝突・海底火山・温泉 |
新潟県のジオパーク(3か所)
新潟県は、日本列島の地質学的多様性を象徴する地域です。日本列島を東西に二分する大地溝帯「フォッサマグナ」の西縁である糸魚川−静岡構造線が県西部を縦断し、約5億年前の古い地層から現在の火山活動まで、地球の壮大な歴史を一つの県内で体感できます。日本海の形成過程、大規模な火山活動、豪雪地帯特有の地形形成、そして河岸段丘や海岸地形の発達など、多彩な地質現象が凝縮されており、現在3つのジオパークが認定されています。
糸魚川ジオパーク(ユネスコ世界ジオパーク)/ Itoigawa UNESCO Global Geopark
糸魚川ジオパークは、2009年に日本で初めてユネスコ世界ジオパークに認定された、日本のジオパークの先駆的存在です。新潟県の最西端に位置する糸魚川市全域がジオパークエリアとなっており、24のジオサイトが設定されています。日本列島を地質学的に東北日本と西南日本に二分する大地溝帯「フォッサマグナ」の西縁にあたる糸魚川−静岡構造線が走っており、約5億年前の古い岩石と約1,600万年前の新しい岩石が接する境界を直接観察できる世界的にも貴重な地質学的スポットです。フォッサマグナパークでは、構造線の断層露頭を間近に観察でき、地球が東西に割れた証拠を目の前で体感できます。
また、糸魚川は日本随一のヒスイ(翡翠・Jadeite)の産地として知られています。小滝川ヒスイ峡では、約5億年前に形成された翡翠の原石を間近に見ることができ、この翡翠は2016年に日本の「国石」に選定されました。縄文時代から交易品として日本各地に流通した糸魚川の翡翠は、地質学的価値と文化的価値の両面で極めて重要です。フォッサマグナミュージアムでは、ヒスイをはじめとする鉱物・化石の展示や、フォッサマグナの成り立ちを学べる充実した展示が来訪者を迎えます。
海岸部の親不知(おやしらず)海岸は、北アルプスが日本海に直接落ち込む断崖絶壁の海岸線で、古くから北陸道最大の難所として知られてきました。険しい地形はそのままフォッサマグナの影響を受けた隆起地形の証であり、地質学と歴史が交差する貴重なジオサイトです。なお、ジオパークの公式サイト(https://geo-itoigawa.com/)では各ジオサイトのガイドツアー情報が確認できます。
| 加盟組織 Geoparks Network |
日本ジオパーク、ユネスコ世界ジオパーク |
| 加盟年 Year Included |
日本:2008年12月、世界:2009年8月 |
| 住所 Address |
新潟県糸魚川市 |
| 地図 Map |
地図(Map) |
| アクセス・最寄り駅 Access, Nearest station |
北陸新幹線・JR糸魚川駅より自動車(約20分) |
| URL URL |
https://geo-itoigawa.com/ |
佐渡ジオパーク / Sado Geopark
佐渡ジオパークは、日本海に浮かぶ国内最大級の離島・佐渡島全域をエリアとするジオパークで、2013年に日本ジオパークに認定されました。佐渡島には約3億年前から現在に至るまでの地質記録が残されており、古生代の付加体から中生代の火山岩、新生代の海底火山活動、さらには海面変化による海岸地形の発達まで、地球のダイナミックな変動の歴史を島一つで辿ることができます。
特に注目すべきは、佐渡金銀山の存在です。約1,050万年前の海底火山活動に伴う熱水活動によって形成された金銀鉱脈は、江戸時代に日本最大の金山として繁栄しました。「佐渡島の金山」は2023年にユネスコ世界文化遺産に登録されており、ジオパークと世界遺産の両面から佐渡の価値を理解できます。道遊の割戸(どうゆうのわりと)に代表される露天掘り跡は、地質学的な金鉱脈の分布が人間の採掘活動によって可視化された、唯一無二の産業景観です。
海岸地形も多様で、尖閣湾(せんかくわん)では約3,000万年前の海底火山活動でできた流紋岩の断崖が続き、海中透視船での遊覧も楽しめます。小木海岸(おぎかいがん)では隆起海岸と沈降海岸が隣接するという世界的にも稀な地形が観察でき、名物の「たらい舟」体験も地形を活かした文化として根付いています。また、国の特別天然記念物・トキ(朱鷺)の保護・繁殖施設も島内に整備されており、豊かな自然環境と生態系の保全も学べます。アクセスは新潟港からカーフェリー(約2時間30分)またはジェットフォイル(約1時間)で両津港へ。
| 加盟組織 Geoparks Network |
日本ジオパーク |
| 加盟年 Year Included |
日本:2013年9月、世界:− |
| 住所 Address |
新潟県佐渡市(佐渡島全域) |
| 地図 Map |
地図(Map) |
| アクセス・最寄り駅 Access, Nearest station |
新潟港よりカーフェリー(約2時間30分)またはジェットフォイル(約1時間)→両津港 |
| URL URL |
https://www.sado-geopark.com/ |
苗場山麓ジオパーク / Naeba-Sanroku Geopark
苗場山麓ジオパークは、新潟県中魚沼郡津南町と長野県下水内郡栄村にまたがるジオパークで、2014年12月に日本ジオパークに認定されました。日本有数の豪雪地帯に位置し、信濃川(千曲川)水系がつくり出した壮大な河岸段丘(かがんだんきゅう)の地形が最大の特徴です。
このジオパークの中心的な見どころである河岸段丘は、約50万年前から繰り返された氷河期と間氷期の気候変動と、信濃川の浸食作用によって形成された階段状の地形です。津南町では最大9段もの段丘面が確認されており、これは日本国内でも最大級の規模です。段丘面の高低差は約300mに及び、それぞれの段丘面には異なる時代の火山灰層が堆積しているため、数十万年にわたる地球の気候変動と地殻変動の記録を読み取ることができます。マウンテンパーク津南からは、信濃川が刻んだ階段状の大地を一望できます。
このエリアは苗場山(標高2,145m)をはじめとする山岳地帯からの豊富な雪解け水に恵まれ、秋山郷(あきやまごう)に代表される山間集落では、豪雪と共存する独特の生活文化が今も受け継がれています。「日本の秘境100選」にも選ばれた秋山郷では、江戸時代の旅行家・鈴木牧之が『秋山紀行』に記録した山間の暮らしの面影を今も感じることができます。竜ヶ窪(りゅうがくぼ)の池は1日約43,000トンの湧水で全体の水が入れ替わる名水百選の湧水池で、石落し・見倉の断崖では柱状節理の岩壁が壮観です。なお、長野県側(栄村)の詳細は後述の長野県セクションも参照してください。
| 加盟組織 Geoparks Network |
日本ジオパーク |
| 加盟年 Year Included |
日本:2014年12月、世界:− |
| 住所 Address |
新潟県:津南町 長野県:栄村 |
| 地図 Map |
地図(Map) |
| アクセス・最寄り駅 Access, Nearest station |
JR越後鹿渡駅より自動車(約10分) |
| URL URL |
https://naeba-geo.jpn.org/ |
富山県のジオパーク(1か所)
富山県は、標高3,000m級の北アルプス立山連峰から水深1,000mを超える富山湾まで、高低差約4,000mという日本屈指のダイナミックな地形変化を有する地域です。この急峻な地形は、日本海側のフォッサマグナ西縁に位置する活発な地殻変動によって形成されたものであり、大地の隆起・浸食・堆積といった地球のダイナミックな営みを一つの地域で凝縮して観察できる、地球科学的に極めて貴重なフィールドです。
立山黒部ジオパーク / Tateyama Kurobe Geopark
立山黒部ジオパークは、「3,000m級の山々から水深1,000mの深海まで — 高低差4,000mの大地の物語」をテーマとする日本ジオパークです。富山県東部の9市町村(富山市・魚津市・滑川市・黒部市・舟橋村・上市町・立山町・入善町・朝日町)にまたがり、2014年8月に日本ジオパークに認定されました。北アルプス立山連峰の山頂部(標高約3,000m)から富山湾の海底(水深約1,000m)まで、わずか数十kmの距離で約4,000mもの高低差が存在するという、世界的にも稀有な地形的条件が最大の特徴です。
山岳エリアには、立山カルデラ(安政5年〈1858年〉の大鳶・小鳶崩れに起因する日本最大級の崩壊地形)、弥陀ヶ原(約10万年前の火山活動で形成された溶岩台地で、高層湿原が広がるラムサール条約登録湿地)、称名滝(落差350mを誇る日本一の滝)などの壮大なジオサイトがあります。立山黒部アルペンルートでは、春には高さ20mに達する「雪の大谷」の雪壁を間近に体感できます。日本でも有数の豪雪地帯であることの証である巨大雪壁は、立山の急峻な地形と日本海からの大量の湿気が生み出す気候現象の結晶です。
平野部では常願寺川や黒部川などの急流河川が形成した日本有数の扇状地が広がり、黒部川扇状地の湧水群は名水百選にも選ばれています。黒部峡谷は日本一深いV字谷として知られ、トロッコ電車から眺める断崖絶壁は大地の隆起と河川浸食のドラマを体感できます。海岸エリアでは、約2,000年前の杉の原生林が海面下に沈んだ魚津埋没林(国の特別天然記念物)や、春から初夏にかけて富山湾上に出現する蜃気楼など、富山湾特有の自然現象も観察できます。
| 加盟組織 Geoparks Network |
日本ジオパーク |
| 加盟年 Year Included |
日本:2014年8月、世界:− |
| 住所 Address |
富山県:富山市、魚津市、滑川市、黒部市、舟橋村、上市町、立山町、入善町、朝日町 |
| 地図 Map |
地図(Map) |
| アクセス・最寄り駅 Access, Nearest station |
JR富山駅より自動車(約10分) |
| URL URL |
https://tatekuro.jp/ |
石川県のジオパーク(1か所)
石川県は、霊峰白山(標高2,702m)を最高峰とする山岳地帯から日本海沿岸の平野・海岸まで、多様な地形が南北に広がる地域です。白山を源とする手取川が形成した広大な扇状地と、豊富な雪解け水が生み出す水循環が、石川県の自然と文化の基盤となっています。
白山手取川ジオパーク(ユネスコ世界ジオパーク)/ Hakusan Tedorigawa UNESCO Global Geopark
白山手取川ジオパークは、石川県白山市全域(約754.93 km²)をエリアとするジオパークです。2011年9月に日本ジオパークに認定され、2023年5月にはユネスコ世界ジオパークに認定されました。テーマは「山−川−海そして雪 いのちを育む水の旅」。日本三名山の一つに数えられる霊峰白山を源流とし、山頂から日本海に至るまでの水循環が生む大地の恵みと人々の暮らしの関わりを体感できる地域です。
白山は約40万年前から続く火山活動によって形成された活火山であり、その豊富な降雪と降雨が手取川となって流れ下り、扇状地を形成しながら日本海に注ぎます。手取峡谷では高さ約20〜30mの絶壁が続き、綿ヶ滝(落差32m)や百万貫の岩(1934年の大洪水で流された推定重量約4,800トンの巨岩)など、水と大地の激しいせめぎ合いの痕跡が随所に残ります。桑島化石壁は中生代白亜紀の植物化石が多数産出する国指定天然記念物であり、恐竜時代の古環境を知る貴重な資料です。
文化的な側面も充実しており、白山比咩神社(しらやまひめじんじゃ)は全国に約3,000社ある白山神社の総本宮で、古くから山岳信仰の聖地として崇拝されてきました。手取川の清流を活かした日本酒の醸造や、堅豆腐に代表される山里の伝統食文化など、大地と水の恵みが生んだ地域固有の文化を体験できます。白山室堂・弥陀ヶ原には夏期に白山登拝のルートを通じてアクセスでき、高山植物群落と火山地形の両方を楽しめます。
| 加盟組織 Geoparks Network |
日本ジオパーク、ユネスコ世界ジオパーク |
| 加盟年 Year Included |
日本:2011年9月、世界:2023年5月 |
| テーマ Theme |
山−川−海そして雪 いのちを育む水の旅 |
| 住所 Address |
石川県白山市全域(約754.93 km²) |
| 地図 Map |
地図(Map) |
| アクセス・最寄り駅 Access, Nearest station |
JR松任駅より自動車(約10分) 北陸新幹線 金沢駅より自動車(約30分) |
| URL URL |
https://hakusan-geo.main.jp/ |
福井県のジオパーク(1か所)
福井県は、白亜紀前期(約1億2,000万年前)に形成された手取層群が広く分布し、日本有数の恐竜化石の産出地として世界的に知られています。特に勝山市周辺では、フクイラプトル・フクイサウルス・フクイベナートルなど、福井県名を冠した恐竜が相次いで発見されており、「恐竜王国ふくい」の名で親しまれています。
恐竜渓谷ふくい勝山ジオパーク / Dinosaur Valley Fukui Katsuyama Geopark
恐竜渓谷ふくい勝山ジオパークは、福井県勝山市全域をエリアとするジオパークで、2009年10月に日本ジオパークに認定されました。白亜紀前期(約1億2,000万年前)の地層・手取層群から産出する恐竜化石が最大の特徴であり、国内で発見された恐竜化石の多くがこの地域に集中しています。発掘された恐竜には、肉食恐竜フクイラプトル・キタダニエンシスや植物食恐竜フクイサウルス・テトリエンシス、小型肉食恐竜フクイベナートル・パラドクサスなど、複数の新種が含まれています。
ジオパークの中核施設である福井県立恐竜博物館は、カナダのロイヤル・ティレル古生物博物館、中国の自貢恐竜博物館と並ぶ世界三大恐竜博物館のひとつに数えられます。50体以上の全身骨格標本をはじめ、豊富な化石標本と最先端の映像技術を組み合わせた展示が来訪者を白亜紀の世界へと誘います。2023年のリニューアルによって展示内容が大幅に刷新され、より体験型・インタラクティブな展示が充実しました。
博物館周辺の発掘現場では、毎年夏に発掘調査が実施され、事前申込制の「発掘体験」プログラムも人気です。また、勝山市内を流れる九頭竜川渓谷の峡谷美も見どころの一つで、地層の観察とあわせて楽しめます。平泉寺白山神社の境内は一面に苔が生い茂る幻想的な空間で、白山信仰の歴史と美しい自然が共存するスポットです。勝山城博物館も近隣にあり、歴史と地質の両面から地域を深く知ることができます。
| 加盟組織 Geoparks Network |
日本ジオパーク |
| 加盟年 Year Included |
日本:2009年10月、世界:− |
| 住所 Address |
福井県勝山市(全域) |
| 地図 Map |
地図(Map) |
| アクセス・最寄り駅 Access, Nearest station |
えちぜん鉄道勝山駅より自動車(約10分) 北陸新幹線 福井駅よりえちぜん鉄道に乗り換え(約50分) |
| URL URL |
https://www.city.katsuyama.fukui.jp/geopark/ |
山梨県(ジオパーク認定なし)
山梨県には現在ジオパークとして認定されている地域はありませんが、日本を代表する地質学的スポットが数多く存在します。最も重要なのは富士山(標高3,776m、世界遺産)で、フィリピン海プレートと北米プレートの境界付近に位置する活火山です。富士五湖(山中湖・河口湖・西湖・精進湖・本栖湖)はいずれも富士山の溶岩流によってせき止められて形成された火山起源の湖群で、湖それぞれが異なる成因を持ちます。青木ヶ原樹海は約1,200年前の貞観大噴火(864年)の溶岩流上に成立した原生林で、溶岩の凹凸地形が独特の景観を生み出しています。
昇仙峡(しょうせんきょう)は、御岳昇仙峡とも呼ばれる花崗岩の絶壁が続く渓谷で、国の特別名勝に指定されています。約2,700万年前に地下深部でゆっくりと冷却固化した花崗岩が、地表に隆起した後に侵食されて奇岩・巨岩が生まれました。覚円峰の断崖絶壁や仙娥滝など、花崗岩地形の造形美を余すところなく楽しめます。南アルプス(赤石山脈)は山梨・長野・静岡にまたがり、フィリピン海プレートの押す力によって隆起し続ける世界屈指の速さを誇る山脈で、3,000m級の峰々が連なります。ジオパーク認定に向けた取り組みが期待される地域です。
長野県のジオパーク(2か所)
長野県は、日本列島の地質構造を理解する上で極めて重要な位置にあります。フォッサマグナの西縁にあたる糸魚川−静岡構造線と、西南日本の地質を南北に二分する中央構造線が長野県内で交差しており、日本でも類を見ない地質学的要衝となっています。県内には3,000m級の山々が連なる日本アルプス(飛騨山脈・木曽山脈・赤石山脈)、活火山である浅間山や御嶽山、千曲川や天竜川が刻んだ深い渓谷、河岸段丘など多様な地質・地形遺産が分布しています。
南アルプス(中央構造線エリア)ジオパーク / Minami-Alps (MTL Area) Geopark
南アルプス(中央構造線エリア)ジオパークは、2008年12月に日本ジオパーク委員会の最初の認定を受けた日本ジオパークのひとつです。長野県南部の飯田市・伊那市・富士見町・大鹿村にまたがり、日本列島の地質構造を理解する上で最も重要な断層のひとつである中央構造線(MTL:Median Tectonic Line)が地表に露出するエリアを中心に構成されています。
中央構造線は、関東から九州まで約1,000kmにわたって延びる日本最大級の断層帯です。大鹿村の北川露頭や安康露頭では、内帯(北側)の領家変成帯の花崗岩と外帯(南側)の三波川変成帯の結晶片岩が断層を挟んで接する様子を直接目で確認できます。これは日本列島の形成史を物語る第一級の地質学的証拠であり、教育的・学術的に極めて高い価値を持つジオサイトです。分杭峠(標高1,424m)では中央構造線が通過する峠の上に立つことができ、内帯と外帯の境界という特異な場所を体感できます。
赤石山脈(南アルプス)は、フィリピン海プレートの沈み込みによって隆起し続けている山脈であり、3,000m級の仙丈ヶ岳・塩見岳をはじめとする山々がそびえています。大鹿村中央構造線博物館は中央構造線の成り立ちや地質学を学べる専門的な展示施設として機能しており、ジオサイト訪問前の学習拠点として最適です。天竜川・小渋川の渓谷では河川浸食によって形成された渓谷美と河岸段丘の地形も楽しめます。
| 加盟組織 Geoparks Network |
日本ジオパーク |
| 加盟年 Year Included |
日本:2008年12月、世界:− |
| 住所 Address |
長野県飯田市、伊那市、富士見町、大鹿村 |
| 地図 Map |
地図(Map) |
| アクセス・最寄り駅 Access, Nearest station |
JR飯田線伊那大島駅より自動車(約40分) |
| URL URL |
https://minamialps-geopark.jp/ |
苗場山麓ジオパーク(長野県側)/ Naeba-Sanroku Geopark (Nagano side)
苗場山麓ジオパークは新潟県津南町と長野県栄村にまたがる日本ジオパークです(2014年12月認定)。長野県側の栄村は信濃川上流域に位置し、日本最大級の河岸段丘の南端部と豪雪地帯の山間集落を有しています。ジオパークの詳細については、本記事の新潟県セクションを参照してください。ジオパーク公式サイト:https://naeba-geo.jpn.org/
岐阜県(ジオパーク認定なし)
岐阜県には現在ジオパークとして認定されている地域はありませんが、地質学的に極めて重要なスポットが複数存在します。飛騨山脈(北アルプス)は、穂高岳・槍ヶ岳をはじめとする3,000m級の峰々が連なる日本最大の山脈で、プレートの押す力によって隆起した地質構造が観察できます。御嶽山(おんたけさん)は2014年9月に発生した噴火(死者・行方不明者63名)で記憶に新しい活火山で、火山防災の観点からも重要な研究・教育の場となっています。
飛水峡(ひすいきょう)は木曽川中流域に位置し、約3億年前の古生代に形成されたチャート(放散虫の殻が固まった堆積岩)の地層が河床に露出する国の天然記念物です。赤・緑・灰色の縞模様を描くチャート層の美しさは独特で、地質学的にも文化的景観としても価値が高い場所です。根尾谷断層(ねおだにだんそう)は1891年に発生した濃尾地震(M8.0、推定死者7,000人超)の際に形成された地表断層で、最大約6mの垂直変位が生じた場所として国の特別天然記念物に指定されています。内陸活断層型地震の教育的拠点として「断層観察館」が整備されており、防災教育の観点からも重要な施設です。
静岡県のジオパーク(1か所)
静岡県は、日本列島の中でも極めて特異な地質学的背景を持つ地域です。県南東部に広がる伊豆半島は、フィリピン海プレート上に形成された火山島が本州に衝突・合体して誕生した、日本で唯一の半島であり、現在もプレート運動が進行中です。また、静岡県西部では富士山・箱根山・天城山など多様な火山が分布し、火山地形と温泉文化が地域の個性を形成しています。
伊豆半島ジオパーク(ユネスコ世界ジオパーク)/ Izu Peninsula UNESCO Global Geopark
伊豆半島ジオパークは、「南から来た火山の贈りもの」をテーマに、伊豆半島全域(15市町)をエリアとする日本最大級のジオパークです。2012年9月に日本ジオパークに認定され、2018年4月にはユネスコ世界ジオパークに認定されました。フィリピン海プレート上の火山島が本州に衝突・合体して半島となった世界的にも稀有な地質学的プロセスを、多彩なジオサイトを通じて体感できることが最大の特徴です。
伊豆半島の大地は、約2,000万年前に南洋の深海底で始まった火山活動に起源を持ちます。海底火山の噴出物が堆積・隆起して島々を形成し、フィリピン海プレートの北上によって約60万年前に本州と衝突・合体しました。この衝突によって丹沢山地が隆起し、さらにその後も続く火山活動が天城山・大室山などの火山群を生み出しました。現在も伊豆半島はプレートの押す力を受け続けており、「動き続ける大地」を実感できる世界でも数少ない場所です。
ジオパーク内には、海底火山の溶岩が波に削られて見事な柱状節理を見せる城ヶ崎海岸、約4,000年前の噴火で形成された美しいすり鉢型のスコリア丘・大室山(国指定天然記念物)、伊豆東部火山群の噴火が生んだ河津七滝(ななだる)、海底火山時代の地層が露出する堂ヶ島天窓洞(国指定天然記念物)など、数多くのジオサイトが点在しています。また、熱海・伊東・修善寺・下田など日本を代表する温泉地の数々は、まさに火山活動の恵みであり、ジオツーリズムと地域経済の好循環を象徴する存在です。
| 加盟組織 Geoparks Network |
日本ジオパーク、ユネスコ世界ジオパーク |
| 加盟年 Year Included |
日本:2012年9月、世界:2018年4月 |
| 住所 Address |
静岡県:沼津市、熱海市、三島市、伊東市、下田市、伊豆市、伊豆の国市、東伊豆町、河津町、南伊豆町、松崎町、西伊豆町、函南町、清水町、長泉町 |
| 地図 Map |
地図(Map) |
| アクセス・最寄り駅 Access, Nearest station |
伊豆箱根鉄道修善寺駅より自動車(約30分) |
| URL URL |
https://izugeopark.org/ |
愛知県(ジオパーク認定なし)
愛知県には現在ジオパークとして認定されている地域はありませんが、地質学的に興味深い自然スポットが分布しています。犬山地域では、木曽川沿いの露頭にペルム紀−三畳紀境界(P−T境界、約2億5,200万年前の地球史上最大の大量絶滅イベントの境界面)に対応するチャート層が観察でき、国際的な地質学研究の対象となっています。
鳳来寺山(ほうらいじさん)は、約7,000万年前の後期白亜紀に形成された流紋岩の岩峰群が特徴で、天然記念物のブッポウソウの繁殖地としても知られます。急峻な岩峰と古刹・鳳来寺が織りなす景観は、地質と文化が融合した観光スポットです。渥美半島は知多半島とともに三河湾を囲む半島で、海岸段丘や砂丘・砂嘴(さし)などの堆積地形が発達しており、海岸地形の教育フィールドとして活用されています。設楽地域の北部では、ジュラ紀から白亜紀にかけての海底火山岩類(グリーンタフ)が広く分布しており、古の海底火山活動の証拠を確認できます。将来的にジオパーク認定を目指す動きが期待される地域です。
中部・北陸地方のジオパークを訪れる際のアクセスガイド
中部・北陸地方のジオパークは広域に分布しているため、新幹線と現地での自動車移動を組み合わせることが効率的です。以下に、主要な交通手段別のアクセスポイントをまとめます。
北陸新幹線を利用する場合
- 糸魚川ジオパーク:北陸新幹線・糸魚川駅が最寄り。フォッサマグナミュージアムは駅より自動車約20分。駅周辺の徒歩圏にも親不知の情報拠点がある。東京からは最速約2時間20分。
- 白山手取川ジオパーク:北陸新幹線・金沢駅から自動車約30分、または在来線でJR松任駅下車後、自動車約10分。金沢は観光拠点としても充実しており、1泊2日での訪問がおすすめ。東京からは最速約2時間30分。
- 恐竜渓谷ふくい勝山ジオパーク:北陸新幹線・福井駅下車後、えちぜん鉄道に乗り換え(約50分)で勝山駅へ。勝山駅から福井県立恐竜博物館まで自動車約10分またはバス。東京からは最速約2時間10分。
- 立山黒部ジオパーク:北陸新幹線・富山駅が玄関口。立山黒部アルペンルートへは富山駅から富山地方鉄道で立山駅まで約1時間、または黒部宇奈月温泉駅から黒部峡谷鉄道(トロッコ電車)利用。東京からは最速約2時間5分。
東海道新幹線を利用する場合
- 伊豆半島ジオパーク:東海道新幹線・三島駅下車後、伊豆箱根鉄道で修善寺駅まで約35分。修善寺からレンタカーが便利。熱海・伊東方面は東海道線・伊東線でアクセス可能。東京からは最速約45分(三島駅)。
- 南アルプス(中央構造線エリア)ジオパーク:東海道新幹線・名古屋駅または豊橋駅下車後、JR飯田線経由で伊那大島駅まで。大鹿村へは伊那大島駅から自動車約40分。マイカーまたはレンタカーの利用が現実的。
各ジオパーク訪問の注意点
- 季節・気象条件の確認:立山黒部・白山・南アルプスなど山岳エリアは、冬季に道路閉鎖・施設閉鎖となる区間が多い。訪問前に各ジオパーク公式サイトで最新情報を確認すること。
- 佐渡ジオパークは離島のためフェリーの運航状況(天候による欠航)に注意。特に冬季は海が荒れやすく、ジェットフォイルも欠航する場合がある。
- ジオガイドの活用:各ジオパークでは認定ジオガイドによるガイドツアーを実施。事前予約制が多いため、公式サイトから事前申込がおすすめ。
- 3つのユネスコ世界ジオパーク(糸魚川・伊豆半島・白山手取川)を巡る「中部・北陸ジオパーク巡り」は、日本列島の成り立ちを体系的に学べる贅沢な旅となる。北陸新幹線と東海道新幹線を組み合わせれば4〜5日で全制覇も可能。

