[2023年開催(2022年映画作品対象)]第95回アカデミー賞(オスカー賞)受賞映画作品(ノミネート含む) まとめ・一覧 / List of Academy Awards(The Oscars) Nominees 〜アメリカ合衆国の優れた映画と関係者が毎年部門別に表彰されるAMPAS主催の映画賞〜
アカデミー賞(Academy Awards)とは、映画芸術科学アカデミー(Academy of Motion Picture Arts and Sciences、略称AMPAS)が主催する、アメリカ合衆国を代表する映画賞です。アメリカの映画産業における健全な発展と、映画芸術・科学技術の品質向上を目的として、毎年キャスト・スタッフなどの映画関係者を部門別に表彰し、その功績を讃えています。
受賞者には賞金は授与されませんが、公式名称「Academy Award of Merit」として知られる金色のオスカー像(Oscar statuette)が贈られることから、世界的に「オスカー賞(The Oscars)」の愛称で親しまれています。
アカデミー賞の歴史は、世界三大映画祭として知られるカンヌ国際映画祭(1946年〜)、ベルリン国際映画祭(1951年〜)、ヴェネツィア国際映画祭(1932年〜)よりも古く、第1回の授賞式は1929年5月16日にハリウッドのルーズベルトホテルで開催されました。以来、世界中の映画ファンや業界関係者が注目する、映画界最大の祭典として位置づけられています。
アカデミー賞のノミネートおよび受賞結果は世界各国で大きく報道され、対象映画の興行成績や配信視聴数に多大な影響を与えます。ノミネートだけでも作品の認知度は飛躍的に高まり、受賞作品はその年を代表する映画として長く記憶されることになります。
選考は、映画界で活躍するプロデューサー、監督、脚本家、俳優、撮影監督、編集者、音響技術者など、各専門分野のプロフェッショナルで構成されるアカデミー会員の投票によって行われます。会員数は約10,000人を超え、その厳正な審査プロセスにより選ばれた作品は、映画史における重要な作品として高い評価を受けています。
第95回アカデミー賞(2023年開催)の概要
本記事では、2023年3月12日(現地時間)にアメリカ・ロサンゼルスのドルビー・シアター(Dolby Theatre)で開催された第95回アカデミー賞授賞式の全部門ノミネート作品および受賞結果を一覧で紹介します。対象となるのは2022年に公開された映画作品です。
第95回アカデミー賞は、A24制作のインディーズ映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』が作品賞・監督賞・主演女優賞・助演男優賞・助演女優賞・脚本賞の6冠を獲得し、圧倒的な存在感を示しました。ミシェル・ヨーは東南アジア系女優として史上初の主演女優賞を受賞し、キー・ホイ・クァンとジェイミー・リー・カーティスも同作で受賞。インディーズ映画が主要部門を席巻した歴史的な年となりました。
[2023年開催(2022年映画作品対象)]第95回アカデミー賞(オスカー賞)受賞映画作品(ノミネート含む) まとめ・一覧 / List of Academy Awards(The Oscars) Nominees 〜アメリカ合衆国の優れた映画と関係者が毎年部門別に表彰されるAMPAS主催の映画賞〜
作品賞 / Sakuhin Shou[Best Picture]
作品賞(Best Picture)は、アカデミー賞における最高位の栄誉であり、その年最も優れた映画作品に贈られます。受賞対象はプロデューサーであり、映画制作の総合的な質・社会的インパクト・芸術的価値が審査の基準となります。アカデミー会員全員が投票に参加できる唯一の部門でもあり、最も多くの票が集まる注目の賞です。第95回では最多11部門にノミネートされた大作が複数存在する混戦の中、A24配給のインディーズ映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』が受賞。インディーズ映画がアカデミー賞作品賞を獲得するのは歴史的に稀なことであり、2023年の授賞式における最大の快挙となりました。
| 受賞 Winner |
エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス[Everything Everywhere All at Once] |
| ノミネート Nominees |
西部戦線異状なし[All Quiet on the Western Front] アバター:ウェイ・オブ・ウォーター[Avatar: The Way of Water] イニシェリン島の精霊[The Banshees of Inisherin] エルヴィス フェイブルマンズ[The Fabelmans] TAR/ター トップガン マーヴェリック[Top Gun: Maverick] 逆転のトライアングル ウーマン・トーキング 私たちの選択[Women Talking] |
主演男優賞 / Shuen Danyuh Shou[Best Actor]
主演男優賞(Best Actor)は、映画において主演として最も優れた演技を披露した男優に贈られます。アカデミー会員全員の投票によって選出されるこの賞は、役への没入度・感情表現の幅・演技の一貫性など、俳優の総合的な表現力が評価されます。第95回では、1990年代から2000年代初頭にかけて『ハムナプトラ』シリーズ等で人気を博したのち長いキャリア低迷を経験したブレンダン・フレイザーが、体重約136kgの孤独な男性を演じた『ザ・ホエール』での圧巻の演技により初受賞。感動的な受賞スピーチは世界中の映画ファンの涙を誘い、最大の感動シーンの一つとなりました。
| 受賞 Winner |
ザ・ホエール[The Whale] ⇒ ブレンダン・フレイザー[Brendan Fraser] |
| ノミネート Nominees |
エルヴィス ⇒ オースティン・バトラー[Austin Butler] イニシェリン島の精霊[The Banshees of Inisherin] ⇒ コリン・ファレル[Colm Farrell] aftersun/アフターサン ⇒ ポール・メスカル[Paul Mescal] 生きる LIVING ⇒ ビル・ナイ[Bill Nighy] |
主演女優賞 / Shuen Joyuh Shou[Best Actress]
主演女優賞(Best Actress)は、映画において主演として最も優れた演技を見せた女優に贈られます。役の深みへの理解・感情表現の豊かさ・スクリーン上での存在感などが審査の焦点となります。第95回では、マレーシア出身のミシェル・ヨーが受賞し、東南アジア系女優として史上初の主演女優賞受賞という歴史的偉業を達成しました。アカデミー賞95年の歴史における画期的な出来事として世界的に大きく報道され、ハリウッドにおける多様性推進の象徴的な受賞となりました。ミシェル・ヨーは同作で、マルチバース(多元宇宙)を行き来するコインランドリー店経営の中国系移民女性という複雑な役柄を見事に演じきりました。
| 受賞 Winner |
エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス[Everything Everywhere All at Once] ⇒ ミシェル・ヨー[Michelle Yeoh] |
| ノミネート Nominees |
TAR/ター ⇒ ケイト・ブランシェット[Cate Blanchett] ブロンド ⇒ アナ・デ・アルマス[Ana de Armas] To Leslie トゥ・レスリー ⇒ アンドレア・ライズボロー[Andrea Riseborough] フェイブルマンズ[The Fabelmans] ⇒ ミシェル・ウィリアムズ |
助演男優賞 / Joen Danyuh Shou[Best Supporting Actor]
助演男優賞(Best Supporting Actor)は、映画において助演として傑出した演技を見せた男優に授与されます。主演ではないものの物語の核心を支え、印象的な存在感で作品を豊かにする助演俳優の演技を讃える部門です。第95回では、1980年代に子役として『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』『グーニーズ』などで世界的人気を博した後、約30年間映画業界から離れていたキー・ホイ・クァンが受賞。鮮烈な復帰作となった『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』でのアクション・コメディ・ドラマを融合させた多彩な演技が高く評価され、涙ながらの受賞スピーチはスタンディングオベーションを受けました。
| 受賞 Winner |
エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス[Everything Everywhere All at Once] ⇒ キー・ホイ・クァン[Ke Huy Quan] |
| ノミネート Nominees |
イニシェリン島の精霊[The Banshees of Inisherin] ⇒ ブレンダン・グリーソン その道の向こうに ⇒ ブライアン・タイリー・ヘンリー[Brian Tyree Henry] フェイブルマンズ[The Fabelmans] ⇒ ジャド・ハーシュ イニシェリン島の精霊[The Banshees of Inisherin] ⇒ バリー・キオガン |
助演女優賞 / Joen Joyuh Shou[Best Supporting Actress]
助演女優賞(Best Supporting Actress)は、映画において助演として最も印象的な演技を残した女優に贈られます。主演女優賞と同様にアカデミー会員全員の投票で選出され、短い出演時間の中でも作品に強い印象を刻んだ演技が評価されます。第95回では、ジェイミー・リー・カーティスが『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』での演技により初ノミネート・初受賞という二重の快挙を達成しました。同作がアカデミー賞演技部門で主演女優賞・助演男優賞・助演女優賞の3冠を独占した圧倒的な存在感を示すと共に、ジェイミー・リー・カーティスにとっては40年超のキャリアで初めてのオスカー像となりました。
| 受賞 Winner |
エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス[Everything Everywhere All at Once] ⇒ ジェイミー・リー・カーティス[Jamie Lee Curtis] |
| ノミネート Nominees |
ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー[Black Panther: Wakanda Forever] ⇒ アンジェラ・バセット[Angela Bassett] ザ・ホエール[The Whale] ⇒ ホン・チャウ[Hong Chau] イニシェリン島の精霊[The Banshees of Inisherin] ⇒ ケリー・コンドン[Kerry Condon] エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス[Everything Everywhere All at Once] ⇒ ステファニー・スー |
監督賞 / Kantoku Shou[Best Director]
監督賞(Best Director)は、映画全体の演出・ビジョン・制作指揮において最も優れた功績を残した監督に贈られます。脚本解釈・キャスティング・撮影・演技指導・音楽・編集など映画制作のすべての要素を統括する「映画の顔」ともいうべき監督の、総合的な芸術的判断力と表現の一貫性が審査対象となります。第95回ではダニエル・クワンとダニエル・シャイナートからなる二人組監督「ダニエルズ(The Daniels)」が受賞。マルチバースという無秩序なSFコンセプトの中に、移民家族の愛・自己受容・人生の意味というテーマを一貫した感情ドラマとして昇華させた卓越した演出力が、アカデミー会員から圧倒的な支持を集めました。
| 受賞 Winner |
エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス[Everything Everywhere All at Once] ⇒ ダニエル・クワン[Daniel Kwan]、ダニエル・シャイナート[Daniel Scheinert] |
| ノミネート Nominees |
イニシェリン島の精霊[The Banshees of Inisherin] ⇒ マーティン・マクドナー[Martin McDonagh] フェイブルマンズ[The Fabelmans] ⇒ スティーヴン・スピルバーグ[Steven Spielberg] TAR/ター ⇒ トッド・フィールド[Todd Field] 逆転のトライアングル ⇒ リューベン・オストルンド |
脚本賞 / Kyakuhon Shou[Best Original Screenplay]
脚本賞(オリジナル脚本賞 / Best Original Screenplay)は、既存の作品を原作とせず映画のために書き下ろされたオリジナルの脚本に対して贈られます。物語の構成力・対話の質・テーマの独自性・キャラクター構築の深みなどが審査の対象となります。第95回では『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』が受賞しました。マルチバースという複雑で奇抜な設定を用いながら、アジア系移民家族の葛藤と和解・自己受容・存在の意味というユニバーサルなテーマを見事に融合させた独創的な脚本が高く評価されました。同じダニエルズ(Daniel Kwan & Daniel Scheinert)が監督賞と合わせてダブル受賞を達成しています。
| 受賞 Winner |
エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス[Everything Everywhere All at Once] ⇒ ダニエル・クワン[Daniel Kwan]、ダニエル・シャイナート[Daniel Scheinert] |
| ノミネート Nominees |
イニシェリン島の精霊[The Banshees of Inisherin] ⇒ マーティン・マクドナー[Martin McDonagh] フェイブルマンズ[The Fabelmans] ⇒ スティーヴン・スピルバーグ[Steven Spielberg]、トニー・クシュナー TAR/ター ⇒ トッド・フィールド[Todd Field] 逆転のトライアングル ⇒ リューベン・オストルンド |
脚色賞 / Kyakushoku Shou[Best Adapted Screenplay]
脚色賞(Best Adapted Screenplay)は、小説・ノンフィクション・舞台劇・他の映画作品など既存の作品を原作として書かれた脚本に対して贈られます。原作の本質的なテーマや魅力を映像メディアとして最大限に活かしつつ、独自の映画的解釈を加える脚本家の手腕が評価されます。第95回では、カナダの作家ミリアム・トウズの同名小説を原作とした『ウーマン・トーキング 私たちの選択』の脚本を書いたカナダ人映画監督サラ・ポーリーが受賞。宗教的孤立コミュニティ内での女性への暴力という重厚なテーマを、静謐かつ力強い映画言語に翻訳した功績が高く評価されました。ノミネート作品にはノーベル賞作家カズオ・イシグロが脚本を手がけた『生きる LIVING』も含まれています。
| 受賞 Winner |
ウーマン・トーキング 私たちの選択[Women Talking] ⇒ サラ・ポーリー |
| ノミネート Nominees |
西部戦線異状なし[All Quiet on the Western Front] ⇒ エドワード・ベルガー[Edward Berger]、レスリー・パターソン、イアン・ストーケル ナイブズ・アウト:グラス・オニオン ⇒ ライアン・ジョンソン[Rian Johnson] 生きる LIVING ⇒ カズオ・イシグロ トップガン マーヴェリック[Top Gun: Maverick] ⇒ アーレン・クルーガー、エリック・ウォーレン・シンガー、クリストファー・マッカリー、ピーター・クレイグ、ジャスティン・マークス |
国際長編映画賞 / Kokusai Chouhen Eiga Shou[Best International Feature Film]
国際長編映画賞(Best International Feature Film)は、英語以外の言語で制作された長編映画に贈られる部門です。各国のアカデミー賞推薦委員会が自国を代表する作品を一本選出し、その候補の中からアカデミー会員の投票により受賞作が決定されます。かつては「外国語映画賞(Best Foreign Language Film)」と呼ばれていましたが、2020年の第92回授賞式より現在の名称に改められました。第95回ではドイツ語映画『西部戦線異状なし』が受賞。同作はこの部門に加えて撮影賞・作曲賞・美術賞でも受賞し計4冠を達成しており、非英語映画がこれほど多くの部門を制したのは近年稀に見る快挙です。エリッヒ・マリア・レマルクの古典的反戦小説を、ドイツ語映画として初めて映画化した意欲作でもあります。
| 受賞 Winner |
西部戦線異状なし[All Quiet on the Western Front](ドイツ[Germany]) – ドイツ語[German] ⇒ エドワード・ベルガー[Edward Berger] |
| ノミネート Nominees |
アルゼンチン1985 ~歴史を変えた裁判~[Argentina, 1985](アルゼンチン[Argentina]) – スペイン語[Spanish] ⇒ サンティアゴ・ミトレ[Santiago Mitre] CLOSE/クロース[Close](ベルギー[Belgium]) – フランス語[French] ⇒ ルーカス・ドン[Lukas Dhont] EO イーオー[EO](ポーランド[Poland]) – ポーランド語[Polish] ⇒ イエジー・スコリモフスキ[Jerzy Skolimowski] コット、はじまりの夏[The Quiet Girl](アイルランド[Ireland]) – アイルランド語[Irish] ⇒ コルム・バレード[Colm Bairéad] |
撮影賞 / Satsuei Shou[Best Cinematography]
撮影賞は、映画の映像美と視覚表現において卓越した技術と芸術性を発揮した撮影監督(シネマトグラファー)に贈られます。光の使い方、カメラワーク、フレーミング、色彩設計など、映像そのものの質を審査対象とします。優れた撮影は物語の世界観を視覚的に定義し、観客の没入感を生み出す映画制作の核心です。
| 受賞 Winner |
西部戦線異状なし[All Quiet on the Western Front] – ジェームズ・フレンド |
| ノミネート Nominees |
バルド、偽りの記録と一握りの真実 – ダリウス・コンジ エルヴィス – マンディ・ウォーカー エンパイア・オブ・ライト – ロジャー・ディーキンス[Roger Deakins] TAR/ター – フロリアン・ホーフマイスター |
作曲賞 / Sakkyoku Shou[Best Original Score]
作曲賞(Best Original Score)は、映画のために書き下ろされたオリジナルのサウンドトラック・劇伴音楽に贈られます。映像と音楽の相乗効果・テーマの一貫性・感情的な深みを与える音楽的表現力が審査対象です。既存楽曲を多用する作品は審査対象外となるため、映画のために完全に新規に作曲された楽曲のみが評価されます。第95回ではドイツ映画『西部戦線異状なし』のフォルカー・バーテルマンが受賞。戦争の悲惨さと虚無感を表現するために不協和音・ミニマル音楽を大胆に活用した実験的かつ感情的なスコアが、映画の世界観を強烈に強化する音楽として高く評価されました。ノミネート作品には映画音楽の巨匠ジョン・ウィリアムズ(フェイブルマンズ)も含まれていました。
| 受賞 Winner |
西部戦線異状なし[All Quiet on the Western Front] ⇒ フォルカー・バーテルマン |
| ノミネート Nominees |
バビロン[Babylon] ⇒ ジャスティン・ハーウィッツ イニシェリン島の精霊[The Banshees of Inisherin] ⇒ カーター・バーウェル エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス[Everything Everywhere All at Once] ⇒ サン・ラックス フェイブルマンズ[The Fabelmans] ⇒ ジョン・ウィリアムズ |
歌曲賞 / Kashou Shou[Best Original Song]
歌曲賞(Best Original Song)は、映画のために書き下ろされたオリジナル楽曲に贈られます。映画のテーマや感情を表現する歌詞・メロディ・映画内での使用効果が評価対象となります。第95回ではS・S・ラージャマウリ監督のインド映画(テルグ語映画)『RRR』から生まれた楽曲「Naatu Naatu」が受賞しました。インド映画がアカデミー歌曲賞を受賞したのは史上初であり、映画内で披露されるダイナミックなダンスシーンと共に世界的にバイラル拡散したこの楽曲は、アジア・南アジア映画文化のグローバルな影響力を証明する歴史的受賞となりました。欧米中心だったアカデミー賞の地平が世界規模で広がっていることを象徴する一幕でもあります。
| 受賞 Winner |
「Naatu Naatu」 – RRR[RRR] ⇒ 作詞・作曲: M・M・キーラヴァニ[M.M. Keeravani]、チャンドラボース[Chandrabose] |
| ノミネート Nominees |
「Applause」 – 私たちの声[Tell It Like a Woman] ⇒ 作詞・作曲: ダイアン・ウォーレン[Diane Warren] 「Hold My Hand」 – トップガン マーヴェリック[Top Gun: Maverick] ⇒ 作詞・作曲: レディー・ガガ[Lady Gaga]、ブラッドリー・クーパー[BloodPop] 「Lift Me Up」 – ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー[Black Panther: Wakanda Forever] ⇒ 作詞・作曲: リアーナ[Rihanna]、ライアン・クーグラー[Ryan Coogler]、ルートヴィッヒ・ヨーランソン[Ludwig Göransson]、テミ・アデレイエ[Temilade Openiyi] 「This Is a Life」 – エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス[Everything Everywhere All at Once] ⇒ 作詞・作曲: ライアン・ロット[Ryan Lott]、デヴィッド・バーン[David Byrne]、ミア・ウォン[Mitski] |
美術賞 / Bijutsu Shou[Best Production Design]
美術賞(プロダクション・デザイン賞)は、映画のセット・背景デザイン・小道具など、映画の視覚的世界観の構築に最も優れた貢献をしたプロダクション・デザイナーとセット・デコレーターに贈られます。時代考証に基づいた精密な再現や、架空世界の説得力ある構築など、スクリーンの「場所」そのものを創造する芸術性が評価されます。
| 受賞 Winner |
西部戦線異状なし[All Quiet on the Western Front] – クリスティアン・M・ゴルトベック |
| ノミネート Nominees |
アバター:ウェイ・オブ・ウォーター[Avatar: The Way of Water] – ディラン・コール、ベン・プロクター バビロン[Babylon] – フロレンシア・マーティン エルヴィス – キャサリン・マーティン、カレン・マーフィ[美術] フェイブルマンズ[The Fabelmans] – リック・カーター |
衣装デザイン賞 / Ishou Design Shou[Best Costume Design]
衣装デザイン賞は、映画における衣装・コスチュームのデザインと制作において最も優れた功績を残したコスチューム・デザイナーに贈られます。登場人物の時代背景・社会的立場・内面を衣装で表現するクリエイティビティが重要な審査基準となります。特に歴史的時代劇やファンタジー、音楽映画などで高い評価が得られることが多い部門です。
| 受賞 Winner |
ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー[Black Panther: Wakanda Forever] ⇒ ルース・カーター |
| ノミネート Nominees |
バビロン[Babylon] ⇒ メアリー・ゾフレス エルヴィス ⇒ キャサリン・マーティン エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス[Everything Everywhere All at Once] ⇒ シャーリー・クラタ ミセス・ハリス、パリへ行く ⇒ ジェニー・ビーヴァン |
メイクアップ&ヘアスタイリング賞 / Makeup and Hairstyling Shou[Best Makeup and Hairstyling]
メイクアップ&ヘアスタイリング賞は、俳優の変身・特殊メイク・老齢化表現・ヘアスタイリングにおいて最も優れた技術と芸術性を発揮したアーティストに贈られます。肥満体型の再現、傷や病気の表現など高度な特殊メイクが評価される傾向にあります。本部門は1981年の第53回授賞式より設置されました。
| 受賞 Winner |
ザ・ホエール[The Whale] |
| ノミネート Nominees |
西部戦線異状なし[All Quiet on the Western Front] THE BATMAN-ザ・バットマン- ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー[Black Panther: Wakanda Forever] エルヴィス |
視覚効果賞 / Shikaku Kouka Shou[Best Visual Effects]
視覚効果賞は、CGI(コンピューター生成画像)・合成技術・モーションキャプチャー・特殊デジタル効果など、映像技術における最も優れた創造的・技術的業績に贈られます。現代のブロックバスター映画においては不可欠な部門であり、リアルな架空世界の構築力や、実写との自然な融合技術が高く評価されます。
| 受賞 Winner |
アバター:ウェイ・オブ・ウォーター[Avatar: The Way of Water] ⇒ ジョー・レッテリ、リチャード・ベイナム |
| ノミネート Nominees |
西部戦線異状なし[All Quiet on the Western Front] THE BATMAN-ザ・バットマン- ⇒ ジェフリー・バウマン、クレイグ・ハマック トップガン マーヴェリック[Top Gun: Maverick] ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー[Black Panther: Wakanda Forever] ⇒ ジェフリー・バウマン、クレイグ・ハマック |
音響賞 / Onkyou Shou[Best Sound]
音響賞は、映画における音響録音・音響デザイン・音響編集の全体的な品質において最も優れた業績を残したサウンド・チームに贈られます。2021年の第93回授賞式より従来の「音響編集賞」と「録音賞」が統合され、現行の「音響賞」として一本化されました。アクション映画や音楽映画、戦争映画などで特に重視される部門です。
| 受賞 Winner |
トップガン マーヴェリック[Top Gun: Maverick] |
| ノミネート Nominees |
西部戦線異状なし[All Quiet on the Western Front] アバター:ウェイ・オブ・ウォーター[Avatar: The Way of Water] THE BATMAN-ザ・バットマン- エルヴィス |
編集賞 / Henshuh Shou[Best Film Editing]
編集賞は、映画の映像編集において最も優れた技術的・芸術的業績を示した映像編集者(フィルム・エディター)に贈られます。物語のリズムとテンポ、シーン間の流れ、観客の感情誘導において編集は決定的な役割を果たします。優れた編集は「見えない技術」とも呼ばれ、観客が自然に物語に没入できるよう映像を繋ぎ合わせる高度な職人芸です。
| 受賞 Winner |
エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス[Everything Everywhere All at Once] ⇒ ポール・ロジャーズ |
| ノミネート Nominees |
イニシェリン島の精霊[The Banshees of Inisherin] ⇒ ミッケル・E・G・ニルソン エルヴィス ⇒ マット・ヴィラ、ジョナサン・レドモンド TAR/ター ⇒ モニカ・ヴィッリ トップガン マーヴェリック[Top Gun: Maverick] ⇒ エディ・ハミルトン |
ドキュメンタリー長編賞 / Chouhen Documentary Eiga Shou[Best Documentary Feature Film]
長編ドキュメンタリー映画賞(Best Documentary Feature Film)は、実在の出来事や人物・社会問題を題材とした長編ドキュメンタリー映画の中から、最も優れた作品に贈られます。フィクションでは描けないリアルな現実への深い洞察と、社会的意義・ジャーナリズム的精度・映画的表現力のバランスが評価されます。第95回ではロシアの政治活動家アレクセイ・ナワリヌイに密着したドキュメンタリー映画『ナワリヌイ』が受賞。プーチン政権による命懸けの弾圧を受けながらも民主主義のために戦い続けるナワリヌイの姿を記録した同作は、緊張感あるスリラーのような構成と深い社会的インパクトの両面で高く評価されました。
| 受賞 Winner |
ナワリヌイ ⇒ ダニエル・ロアー、オデッサ・レイ、ダイアン・ベッカー、メラニー・ミラー、シェーン・ボリス[Shane Boris] |
| ノミネート Nominees |
オール・ザット・ブリーズ ⇒ ショーナック・セン 美と殺戮のすべて ⇒ ローラ・ポイトラス、ハワード・ガートラー、ジョン・ライオンズ、ナン・ゴールディン、ヨニ・ゴリホフ ファイアー・オブ・ラブ 火山に人生を捧げた夫婦 ⇒ セーラ・ドーサ、シェーン・ボリス[Shane Boris]、イナ・フィッチマン “かけら”たちの家 ウクライナ 子どもシェルターの9か月 ⇒ シモン・レレン・ヴィルモント、モニカ・ヘルストレム |
ドキュメンタリー短編賞 / Tanpen Documentary Eiga Shou[Best Documentary Short Subject]
短編ドキュメンタリー映画賞は、概ね40分以内の短編ドキュメンタリー作品の中から、最も優れた現実描写・テーマの深さ・芸術性を持つ作品に贈られます。社会問題・環境・人間ドラマなど多様なテーマを短時間で力強く伝える作品が選ばれます。長編ドキュメンタリーよりも制作規模は小さいながら、鋭いメッセージ性で注目を集める部門です。
| 受賞 Winner |
エレファント・ウィスパラー:聖なる象との絆 ⇒ カルティキ・ゴンサルヴェス、グニート・モンガ |
| ノミネート Nominees |
Haulout How Do You Measure a Year? マーサ・ミッチェル -誰も信じなかった告発- ⇒ アン・アルヴァーグ、ベス・レヴィソン Stranger at the Gate ⇒ ジョシュア・セフテル |
アニメーション賞 / Chouhen Anime Eiga Shou[Best Animated Feature Film]
長編アニメーション映画賞(Best Animated Feature Film)は、その年に公開された最も優れた長編アニメーション映画に贈られます。2Dアニメーション・3DCG・ストップモーション・実写との混合など多様な制作手法を対象とし、物語の質・キャラクターの深み・視覚的独自性・技術的革新性が審査基準となります。2002年の第74回授賞式より設けられた比較的新しい部門です。第95回ではギレルモ・デル・トロ監督の『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』が受賞。手作業による精巧なストップモーション・アニメーション技法で制作された独自の世界観と、ムッソリーニ時代のファシズム下イタリアを舞台にした深くダークで詩的な物語が、映画としての芸術的完成度において高く評価されました。
| 受賞 Winner |
ギレルモ・デル・トロのピノッキオ[Guillermo del Toro's Pinocchio] |
| ノミネート Nominees |
マルセル 靴をはいた小さな貝 長ぐつをはいたネコと9つの命[Puss in Boots: The Last Wish] ジェイコブと海の怪物[The Sea Beast] 私ときどきレッサーパンダ[Turning Red] |
短編実写賞 / Tanpen Eiga Shou[Best Live Action Short Film]
短編実写映画賞は、実写で制作された概ね40分以内の短編映画の中から、最も優れた物語性・演技・映像表現を持つ作品に贈られます。次世代の映画監督・脚本家・俳優たちにとって重要な登竜門として位置づけられており、この部門での受賞・ノミネートが長編映画制作へのキャリアを切り開くきっかけとなった映画人も多数います。
| 受賞 Winner |
アイリッシュ・グッドバイ |
| ノミネート Nominees |
Ivalu 無垢の瞳 真冬のトラム運転手 The Red Suitcase |
短編アニメ賞 / Tanpen Anime Shou[Best Animated Short Film]
短編アニメーション映画賞は、アニメーション技法で制作された短編映画の中から、最も優れた創造性・物語性・映像表現を持つ作品に贈られます。2Dアニメーション・3DCG・ストップモーション・クレイアニメ・切り絵アニメなど多様な手法から選考される部門であり、実験的な表現技法の作品が高く評価される傾向があります。世界各国から挑戦的な作品が集まる国際色豊かな部門です。
| 受賞 Winner |
ぼく モグラ キツネ 馬 |
| ノミネート Nominees |
The Flying Sailor 氷を売る親子 My Year of Dicks An Ostrich Told Me the World Is Fake, and I Think I Believe It |
ゴードン・E・ソーヤー賞 / Gordon E. Sawyer Shou[Gordon E. Sawyer Award]
ゴードン・E・ソーヤー賞は、映画技術の発展に長年にわたり卓越した貢献をした個人に贈られる科学技術名誉賞です。サミュエル・ゴールドウィン・スタジオの技術部長として映画産業の技術革新を牽引したゴードン・E・ソーヤーの名を冠し、映画技術に生涯をかけて貢献した人物を顕彰します。毎年必ずしも授賞されるわけではありません。第95回(2023年)授賞式では、この部門の受賞者は発表されませんでした。
ジーン・ハーショルト友愛賞 / Jean Hersholt Humanitarian Award[Jean Hersholt Humanitarian Award]
ジーン・ハーショルト友愛賞は、映画産業における功績のみならず、人道主義的な活動において傑出した貢献をした映画人に贈られる名誉賞です。デンマーク系アメリカ人俳優で、アメリカ映画俳優組合(SAG)の設立にも尽力したジーン・ハーショルトの名を冠しています。映画界で最も崇高な名誉の一つとされ、アカデミー理事会の裁量により授与されます。第95回(2023年)授賞式では、この部門の受賞者は発表されませんでした。
名誉賞 / Meiyo Shou[Honorary Award]
名誉賞(Honorary Award)は、映画産業への非凡で卓越した貢献を讃えるためにアカデミー理事会の裁量で授与される特別賞です。通常の部門審査・会員投票を経ずに贈られる最高位の特別表彰であり、映画史に刻まれた偉大な映画人への最大の敬意を表します。俳優・監督・脚本家・映画技術者など幅広い映画関係者が対象となります。第95回(2023年)授賞式では、この部門の受賞者は発表されませんでした。
第95回アカデミー賞(2023年)受賞結果まとめ
2023年3月12日(現地時間)にロサンゼルスのドルビー・シアターで開催された第95回アカデミー賞授賞式は、映画史の新たなページを刻む夜となりました。インディーズ映画の歴史的快挙、多様性の象徴となったアジア系俳優の受賞、20年越しの感動的な復活劇、そして国境を越えて評価されたドイツ映画・インド映画の躍進と、語り継がれるエピソードが多数生まれた授賞式でした。司会はジミー・キンメルが務め、世界中で視聴されたこの一夜のハイライトを以下に詳しく解説します。
今年の主役:エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスの歴史的7冠
第95回アカデミー賞における最大のハイライトは、A24配給のインディーズ映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(Everything Everywhere All at Once)』が主要部門を独占したことです。同作品は作品賞・監督賞・主演女優賞・助演男優賞・助演女優賞・脚本賞・編集賞の計7冠を達成し、インディーズ映画としては異例の圧勝を収めました。マルチバース(並行宇宙)という斬新な設定を用いながら、アジア系移民家族の葛藤と絆を感動的に描いた同作品は、アカデミー会員から圧倒的な支持を集めました。
多様性の新時代:アジア系俳優の歴史的受賞
ミシェル・ヨー(Michelle Yeoh)は、東南アジア系(マレーシア出身)の女優として史上初の主演女優賞を受賞しました。アカデミー賞95年の歴史において画期的な出来事であり、ハリウッドにおける多様性と包括性の進歩を象徴する歴史的受賞として世界的な話題を呼びました。また、キー・ホイ・クァン(Ke Huy Quan)は、子役俳優として活躍した後に約30年間映画業界から遠ざかっていましたが、同作で鮮烈な復帰を果たし助演男優賞を受賞。その涙ながらの感動的なスピーチはスタンディングオベーションを受け、世界中の視聴者の心を打ちました。
ブレンダン・フレイザーの感動的な復活
主演男優賞を受賞したブレンダン・フレイザー(Brendan Fraser)の軌跡も、第95回アカデミー賞を語る上で欠かすことができません。1990年代から2000年代初頭にかけて『ハムナプトラ』シリーズなど多くのヒット作に主演し人気を博した彼は、性的嫌がらせ被害を訴えたことがきっかけでハリウッドから遠ざかるようになりました。そこから約20年を経て、体重300ポンド(約136kg)の孤独な男を演じた『ザ・ホエール(The Whale)』で映画界に復帰。肉体的・精神的に過酷な役に全力で臨んだ演技が高く評価され、初受賞のスピーチでは涙を流す感動的な場面が印象に残りました。
ドイツ映画「西部戦線異状なし」の快挙
ドイツ語映画『西部戦線異状なし(All Quiet on the Western Front)』は、国際長編映画賞・撮影賞・作曲賞・美術賞の計4冠を獲得しました。エリッヒ・マリア・レマルクの同名小説を原作とするこの反戦映画は、1930年のオリジナル英語版以来、初めてドイツ語によるリメイクとして制作された意欲作です。第一次世界大戦の塹壕戦を容赦なく描いたリアリズムと、圧倒的な映像美・音響デザインが評価されました。英語映画でない作品がこれほど多くの部門で受賞することは非常に稀であり、その高い完成度が世界に証明された快挙といえます。
インド映画初の歌曲賞:RRRの「Naatu Naatu」
S・S・ラージャマウリ監督のインド映画『RRR』から生まれた楽曲「Naatu Naatu」が、インド映画史上初のアカデミー歌曲賞を受賞しました。映画内で披露されるダイナミックなダンスシーンと共に世界中に拡散したこの楽曲は、インド文化の躍動感と圧倒的なエンターテインメント性を世界に発信する象徴的存在となりました。インド映画(ボリウッド)のグローバルな影響力の高まりを示す歴史的受賞であり、欧米中心だったアカデミー賞の地平が広がったことを示す一幕ともなりました。
主要部門 受賞結果一覧
- 作品賞:エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス[Everything Everywhere All at Once] - インディーズ映画が7冠の歴史的快挙
- 監督賞:ダニエル・クワン、ダニエル・シャイナート(エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス) - ダニエルズ二人組が初受賞
- 主演男優賞:ブレンダン・フレイザー(ザ・ホエール) - 約20年のキャリア低迷を経て感動の初受賞
- 主演女優賞:ミシェル・ヨー(エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス) - 東南アジア系俳優として史上初の主演女優賞
- 助演男優賞:キー・ホイ・クァン(エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス) - 30年ぶりの映画出演で念願のオスカー
- 助演女優賞:ジェイミー・リー・カーティス(エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス) - 初ノミネートで初受賞
- 国際長編映画賞:西部戦線異状なし[All Quiet on the Western Front](ドイツ) - ドイツ映画として初の国際長編映画賞受賞
- 長編アニメ賞:ギレルモ・デル・トロのピノッキオ[Guillermo del Toro's Pinocchio] - ストップモーションアニメの傑作
- 歌曲賞:「Naatu Naatu」(RRR) - インド映画初の歌曲賞受賞
第95回アカデミー賞が映画史に与えた影響
第95回アカデミー賞は、映画の多様性と包括性という観点から、近年で最も意義深い授賞式の一つとして映画史に刻まれています。アジア系キャストが中心のインディーズ映画が最多受賞を達成したことはハリウッドの従来の常識を覆す出来事であり、A24のような独立系スタジオが主要部門を席巻したことは映画産業のパワーバランスの変化を象徴しています。また、ドイツ映画・インド映画の複数部門受賞は、アカデミー賞のグローバル化が着実に進んでいることを示しています。
第95回を俯瞰すると、主要部門を独占した『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(11ノミネート・7受賞)の他にも、『イニシェリン島の精霊』(9ノミネート)、『TAR/ター』(6ノミネート)、『西部戦線異状なし』(9ノミネート・4受賞)といった質の高い作品が競い合い、2022年が映画の豊作年であったことが改めて際立ちます。それぞれの作品が映画の可能性を異なる方向から押し広げ、観客に深い感動と問いかけをもたらしました。
2022年映画シーズンを代表する作品群 ― まだ観ていない名作はここから
本記事に掲載したノミネート作品・受賞作品はいずれも、2022年映画シーズンを代表する傑作・話題作ばかりです。『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』をはじめ、『イニシェリン島の精霊』『TAR/ター』『西部戦線異状なし』『フェイブルマンズ』『ナワリヌイ』など、多くの作品がNetflix・Amazon Prime・Disney+・Apple TV+などの映像配信サービスで視聴可能となっています。アカデミー賞の歴史的な夜を振り返りながら、まだ未見の作品があればぜひこの機会にご鑑賞ください。

