[2024年開催(2023年映画作品対象)]第96回アカデミー賞(オスカー賞)受賞映画作品(ノミネート含む) まとめ・一覧 / List of Academy Awards(The Oscars) Nominees 〜アメリカ合衆国の優れた映画と関係者が毎年部門別に表彰されるAMPAS主催の映画賞〜
アカデミー賞(Academy Awards)とは、映画芸術科学アカデミー(Academy of Motion Picture Arts and Sciences、略称AMPAS)が主催する、アメリカ合衆国を代表する映画賞です。アメリカの映画産業における健全な発展と、映画芸術・科学技術の品質向上を目的として、毎年キャスト・スタッフなどの映画関係者を部門別に表彰し、その功績を讃えています。
受賞者には賞金は授与されませんが、公式名称「Academy Award of Merit」として知られる金色のオスカー像(Oscar statuette)が贈られることから、世界的に「オスカー賞(The Oscars)」の愛称で親しまれています。このオスカー像は高さ約34センチ、重さ約3.8キログラムの金メッキ像で、ブリタニウム合金を素材としており、受賞者にとって映画人としての最高の名誉を象徴するものとなっています。
アカデミー賞の歴史は、世界三大映画祭として知られるカンヌ国際映画祭(1946年〜)、ベルリン国際映画祭(1951年〜)、ヴェネツィア国際映画祭(1932年〜)よりも古く、第1回の授賞式は1929年5月16日にハリウッドのルーズベルトホテルで開催されました。以来、世界中の映画ファンや業界関係者が注目する、映画界最大の祭典として位置づけられています。
アカデミー賞のノミネートおよび受賞結果は世界各国で大きく報道され、対象映画の興行成績や配信視聴数に多大な影響を与えます。ノミネートだけでも作品の認知度は飛躍的に高まり、受賞作品はその年を代表する映画として長く記憶されることになります。
選考は、映画界で活躍するプロデューサー、監督、脚本家、俳優、撮影監督、編集者、音響技術者など、各専門分野のプロフェッショナルで構成されるアカデミー会員の投票によって行われます。会員数は約10,000人を超え、その厳正な審査プロセスにより選ばれた作品は、映画史における重要な作品として高い評価を受けています。
第96回アカデミー賞(2024年開催)の概要
本記事では、2024年3月10日(現地時間)にアメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルスのドルビー・シアター(Dolby Theatre)で開催された第96回アカデミー賞授賞式の全部門ノミネート作品および受賞結果を一覧で紹介します。対象となるのは2023年1月1日〜12月31日の間にアメリカで劇場公開された映画作品です。司会はジミー・キンメル(Jimmy Kimmel)が務め、華やかなプレゼンターとともに映画界の1年を締めくくる世界最大の映画の祭典が盛大に開催されました。
第96回アカデミー賞は、原爆開発の父J・ロバート・オッペンハイマーの生涯を描いたクリストファー・ノーラン監督の『オッペンハイマー』が作品賞・監督賞・主演男優賞・助演男優賞・撮影賞・作曲賞・編集賞の7部門で受賞し、圧倒的な存在感を示しました。同年夏に「バーベンハイマー」として社会現象を巻き起こしたグレタ・ガーウィグ監督の『バービー』も歌曲賞を受賞し、2023年を代表するふたつの話題作が授賞式を彩りました。さらに日本映画がゴジラ(視覚効果賞)と宮崎駿(長編アニメ映画賞)で2冠を達成するなど、多彩な受賞結果が世界の映画ファンを沸かせた記念碑的な授賞式となりました。
第96回アカデミー賞の注目ポイント
- オッペンハイマーの歴史的快挙:13部門ノミネートから7部門受賞という圧倒的な成果を収め、クリストファー・ノーラン監督が長年の傑作群を発表し続けた末に、初のアカデミー賞監督賞を受賞しました。
- バービー旋風と「バーベンハイマー」現象:同年夏に「バーベンハイマー」として社会現象を巻き起こした『バービー』が歌曲賞を受賞。ビリー・アイリッシュが手がけた「What Was I Made For?」は映画の世界観を超えて広く愛される楽曲となりました。
- 日本映画の歴史的2冠:山崎貴監督の『ゴジラ-1.0』が視覚効果賞を受賞し、日本映画として同賞の史上初受賞を達成。宮崎駿監督の『君たちはどう生きるか』も長編アニメ映画賞を受賞しました。
- ホロコーストを新視点で描いた『関心領域』:ナチス高官の「日常」をアウシュビッツ収容所の隣から描く革新的な手法で、国際長編映画賞と音響賞のW受賞を達成しました。
- 多様性の広がり:リリー・グラッドストーンはネイティブ・アメリカン初の主演女優賞ノミネートで歴史に名を刻み、多様な背景を持つ才能が世界最高峰の映画賞で評価される時代を体現しました。
[2024年開催(2023年映画作品対象)]第96回アカデミー賞(オスカー賞)受賞映画作品(ノミネート含む) まとめ・一覧 / List of Academy Awards(The Oscars) Nominees 〜アメリカ合衆国の優れた映画と関係者が毎年部門別に表彰されるAMPAS主催の映画賞〜
作品賞 / Sakuhin Shou[Best Picture]
アカデミー賞の最高栄誉である作品賞は、その年最も優れた映画作品に贈られます。プロデューサーが主な受賞者となるこの部門は、映画芸術科学アカデミーの全会員が投票に参加する唯一の部門であり、アカデミー賞のすべての部門の中で最も権威ある賞として位置づけられています。2024年(第96回)は、ノミネート13部門から7部門を制覇した『オッペンハイマー』が受賞。原爆開発という人類史上最大のジレンマを正面から描いたこの作品は、エンターテインメントと芸術の頂点を極めた傑作として映画史にその名を刻みました。
| 受賞 Winner |
オッペンハイマー[Oppenheimer] |
| ノミネート Nominees |
アメリカン・フィクション[American Fiction] 落下の解剖学 バービー[Barbie] ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン[Killers of the Flower Moon] マエストロ:その音楽と愛と[Maestro] パスト ライブス/再会 哀れなるものたち[Poor Things] 関心領域[The Zone of Interest] |
主演男優賞 / Shuen Danyuh Shou[Best Actor]
主演男優賞は、映画において主演として最も優れた演技を見せた男優に贈られます。俳優部門の会員が候補を絞り込み、全会員の投票で最終受賞者が決まります。キャラクターの心理描写・感情表現の幅・物語全体を牽引する演技力が総合的に評価されます。第96回は、キリアン・マーフィが『オッペンハイマー』で原子爆弾開発の父・J・ロバート・オッペンハイマーを繊細かつ圧倒的な内面演技で体現し、初受賞を果たしました。科学者としての知性と、核兵器を生み出した罪悪感の間で揺れる複雑な人間像を、セリフを超えた表情と眼差しで表現したマーフィの演技は、映画史に残る主演男優賞受賞として称えられています。
| 受賞 Winner |
オッペンハイマー[Oppenheimer] ⇒ キリアン・マーフィ[Cillian Murphy] |
| ノミネート Nominees |
マエストロ:その音楽と愛と[Maestro] ⇒ ブラッドリー・クーパー[Bradley Cooper] ラスティン:ワシントンの「あの日」を作った男 ⇒ コールマン・ドミンゴ[Colman Domingo] ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ ⇒ ポール・ジアマッティ[Paul Giamatti] アメリカン・フィクション[American Fiction] ⇒ ジェフリー・ライト[Jeffrey Wright] |
主演女優賞 / Shuen Joyuh Shou[Best Actress]
主演女優賞は、映画において主演として最も優れた演技を見せた女優に贈られます。アカデミー賞の中でも特に注目度が高い部門のひとつで、ノミネートされるだけで女優としての国際的評価が飛躍的に高まります。映画の中心軸としてストーリーを支える主演のパフォーマンス全体が審査対象となり、役への没入度・感情の振れ幅・共演者との化学反応も評価に影響します。第96回はエマ・ストーンが『哀れなるものたち』で、外科医に蘇生された奇妙な女性ベラ・バクスターを大胆かつ知的に演じ抜き、2度目の主演女優賞受賞を果たしました。2016年の『ラ・ラ・ランド』に続く2冠は、彼女が時代を代表する女優であることを改めて証明しました。また、ネイティブ・アメリカン初のノミネーターとなったリリー・グラッドストーン(『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』)も歴史に名を刻んだ候補者として注目されました。
| 受賞 Winner |
哀れなるものたち[Poor Things] ⇒ エマ・ストーン[Emma Stone] |
| ノミネート Nominees |
ナイアド ~その決意は海を越える~ ⇒ アネット・ベニング[Annette Bening] キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン[Killers of the Flower Moon] ⇒ リリー・グラッドストーン[Lily Gladstone] 落下の解剖学 ⇒ ザンドラ・ヒュラー マエストロ:その音楽と愛と[Maestro] ⇒ キャリー・マリガン[Carey Mulligan] |
助演男優賞 / Joen Danyuh Shou[Best Supporting Actor]
助演男優賞は、映画において助演として傑出した演技を見せた男優に授与されます。主演よりも限られた出演時間の中で強烈な印象を残すことが求められるこの部門は、物語に深み・緊張感・ユーモアをもたらすサポーティングパフォーマンスの真価が問われます。第96回はロバート・ダウニーJr.が『オッペンハイマー』で米国原子力委員会委員長ルイス・ストロースを演じ、キャリア初のアカデミー賞受賞を果たしました。マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)でアイアンマンを演じ世界的スターとなった彼が、重厚な伝記映画でまったく異なる顔を見せたこの受賞は、俳優としての幅広さと深みを世界に改めて証明した歴史的瞬間となりました。
| 受賞 Winner |
オッペンハイマー[Oppenheimer] ⇒ ロバート・ダウニー・Jr |
| ノミネート Nominees |
アメリカン・フィクション[American Fiction] ⇒ スターリング・K・ブラウン キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン[Killers of the Flower Moon] ⇒ ロバート・デ・ニーロ[Robert De Niro] バービー[Barbie] ⇒ ライアン・ゴズリング[Ryan Gosling] 哀れなるものたち[Poor Things] ⇒ マーク・ラファロ[Mark Ruffalo] |
助演女優賞 / Joen Joyuh Shou[Best Supporting Actress]
助演女優賞は、助演として最も印象的な演技を残した女優に贈られます。主人公の物語を豊かにし、感情的な奥行きをもたらす助演の力は映画体験の質を大きく左右します。短い出演シーンであっても観客の心に深く刻まれた演技が高く評価されます。第96回はダヴァイン・ジョイ・ランドルフが『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』でベトナム戦争で息子を亡くした寮の料理長メアリー・ラムを演じ、初ノミネートで初受賞という快挙を達成しました。悲しみを胸に抱えながらも、クリスマス休暇に学校に残された生徒や教師と少しずつ心を通わせていくメアリーを、温かみと力強さで体現したランドルフの演技は、観る者の胸に深く響く名演として絶賛されました。
| 受賞 Winner |
ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ ⇒ ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ[Da'Vine Joy Randolph] |
| ノミネート Nominees |
オッペンハイマー[Oppenheimer] ⇒ エミリー・ブラント[Emily Blunt] カラーパープル ⇒ ダニエル・ブルックス バービー[Barbie] ⇒ アメリカ・フェレーラ[America Ferrera] ナイアド ~その決意は海を越える~ ⇒ ジョディ・フォスター[Jodie Foster] |
監督賞 / Kantoku Shou[Best Director]
監督賞は、映画全体の演出・ビジョンにおいて最も優れた功績を残した監督に贈られます。脚本の解釈・俳優への演技指導・撮影監督やスタッフとのビジュアル設計・編集方針の統括まで、映画製作のあらゆる工程にわたって芸術的ビジョンを牽引した監督の総合的な手腕が評価対象です。第96回はクリストファー・ノーラン監督が『オッペンハイマー』で初のアカデミー賞監督賞を受賞しました。『メメント』(2000年)、『ダークナイト』(2008年)、『インセプション』(2010年)、『インターステラー』(2014年)と、20年以上にわたり映画史に残る傑作を送り出しながらも長年受賞を逃してきたノーランにとって、この受賞は映画ファン・映画人双方が待ち望んだ歴史的な瞬間となりました。
| 受賞 Winner |
オッペンハイマー[Oppenheimer] ⇒ クリストファー・ノーラン[Christopher Nolan] |
| ノミネート Nominees |
落下の解剖学 ⇒ ジュスティーヌ・トリエ キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン[Killers of the Flower Moon] ⇒ マーティン・スコセッシ[Martin Scorsese] 哀れなるものたち[Poor Things] ⇒ ヨルゴス・ランティモス[Yorgos Lanthimos] 関心領域[The Zone of Interest] ⇒ ジョナサン・グレイザー[Jonathan Glazer] |
脚本賞 / Kyakuhon Shou[Best Original Screenplay]
脚本賞(オリジナル脚本賞)は、映画のために書き下ろされたオリジナルの脚本に対して贈られます。既存の原作に頼らず、ゼロから物語・対話・キャラクターを創作した脚本家の想像力と物語構成力が審査の基準となります。すべての映画の出発点である脚本は、監督・俳優・スタッフ全員が参照する設計図であり、映画の完成度を根本から規定する最重要要素のひとつです。第96回はジュスティーヌ・トリエとアルチュール・アラリの共同脚本による『落下の解剖学』が受賞しました。山荘で夫が死亡した事故の真相をめぐる法廷劇を通じて、夫婦関係・記憶・真実の多面性を鋭く掘り下げたこの脚本は、構成の緻密さと対話の力強さで審査員を圧倒しました。フランス映画でありながらカンヌ映画祭パルム・ドールを受賞した本作の脚本は、映画と文学の境界を超えた普遍的な物語として世界的に高く評価されています。
| 受賞 Winner |
落下の解剖学 ⇒ ジュスティーヌ・トリエ、アルチュール・アラリ |
| ノミネート Nominees |
ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ ⇒ デヴィッド・ヘミングソン マエストロ:その音楽と愛と[Maestro] ⇒ ブラッドリー・クーパー[Bradley Cooper]、ジョシュ・シンガー メイ・ディセンバー ゆれる真実 ⇒ サミー・バーチ、アレックス・メヒャニク パスト ライブス/再会 ⇒ セリーヌ・ソン |
脚色賞 / Kyakushoku Shou[Best Adapted Screenplay]
脚色賞は、小説・ノンフィクション・舞台劇・他の映画など既存の作品を原作として書かれた脚本に対して贈られます。原作の本質的なテーマを映画というメディアに最適化しながら、新たな解釈や映像的な物語展開を付加する脚色家の技術と創造性が評価されます。原作への忠実さとオリジナリティのバランスをどう取るかが問われる難しい分野でもあります。第96回はコード・ジェファーソンがパーシヴァル・エヴェレットの小説『Erasure』を原作とした『アメリカン・フィクション』で受賞しました。アメリカの黒人文学に対する商業的ステレオタイプへの批評を巧みなブラックユーモアで描いた本作は、原作の風刺精神を映画的に昇華させた優れた脚色として称えられました。
| 受賞 Winner |
アメリカン・フィクション[American Fiction] ⇒ コード・ジェファーソン |
| ノミネート Nominees |
バービー[Barbie] ⇒ グレタ・ガーウィグ[Greta Gerwig]、ノア・バームバック[Noah Baumbach] オッペンハイマー[Oppenheimer] ⇒ クリストファー・ノーラン[Christopher Nolan] 哀れなるものたち[Poor Things] ⇒ トニー・マクナマラ 関心領域[The Zone of Interest] ⇒ ジョナサン・グレイザー[Jonathan Glazer] |
国際長編映画賞 / Kokusai Chouhen Eiga Shou[Best International Feature Film]
国際長編映画賞(旧称:外国語映画賞)は、英語以外の言語で制作された映画に贈られる部門です。各国の映画委員会が自国代表として出品作品を選定し、AMPASの国際映画委員会が候補を絞り込んだ後、全会員の投票で受賞作が決定されます。言語・文化・国境を超えて普遍的なテーマを描いた作品を称えるこの部門は、アメリカ映画産業が世界の映画表現の多様性を認めるための重要な役割を担っています。第96回はジョナサン・グレイザー監督の『関心領域(The Zone of Interest)』(イギリス代表・ドイツ語/ポーランド語)が受賞し、同回の音響賞とのW受賞という快挙を達成しました。ノミネートには日本・ドイツ共同制作のヴィム・ヴェンダース監督作『PERFECT DAYS』も含まれ、役所広司の繊細な演技と東京の日常を詩的に描いた本作も世界的な注目を集めました。
| 受賞 Winner |
関心領域[The Zone of Interest](イギリス[United Kingdom]) – ドイツ語、ポーランド語[German, Polish] ⇒ ジョナサン・グレイザー[Jonathan Glazer] |
| ノミネート Nominees |
僕はキャプテン[Io Capitano](イタリア[Italy]) – イタリア語、ウォロフ語、フランス語[Italian, Wolof, French] ⇒ マッテオ・ガローネ[Matteo Garrone] PERFECT DAYS[Perfect Days](ドイツ、日本[Germany, Japan]) – 日本語[Japanese] ⇒ ヴィム・ヴェンダース[Wim Wenders] 雪山の絆[Society of the Snow](スペイン[Spain]) – スペイン語[Spanish] ⇒ J・A・バヨナ[J.A. Bayona] ありふれた教室[The Teachers' Lounge](ドイツ[Germany]) – ドイツ語[German] ⇒ イルケル・チャタク[İlker Çatak] |
撮影賞 / Satsuei Shou[Best Cinematography]
撮影賞は、映画の映像美・ライティング・カメラワークなど視覚的表現のすべてを総合的に評価し、最も優れた撮影監督(シネマトグラファー)に贈られます。フィルムの色調・構図・光の使い方によって物語の情感や世界観を作り上げる撮影の芸術は、映画体験の根幹を支える重要な要素です。
| 受賞 Winner |
オッペンハイマー[Oppenheimer] – ホイテ・ヴァン・ホイテマ |
| ノミネート Nominees |
伯爵 – エドワード・ラックマン キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン[Killers of the Flower Moon] – ロドリゴ・プリエト[Rodrigo Prieto] マエストロ:その音楽と愛と[Maestro] – マシュー・リバティーク 哀れなるものたち[Poor Things] – ロビー・ライアン |
作曲賞 / Sakkyoku Shou[Best Original Score]
作曲賞は、映画のために書き下ろされたオリジナルの音楽スコア(劇伴)に贈られます。映画音楽は物語の感情的な核心を支え、観客がキャラクターの心情・場面の緊張・ドラマの高揚を直感的に体感するための重要な役割を果たします。テーマ音楽・背景音楽・クライマックスを彩るオーケストラルスコアなど、映画全体を通じた音楽的統一感と表現の深みが総合的に評価されます。第96回はルートヴィッヒ・ヨーランソン(Ludwig Göransson)が『オッペンハイマー』で受賞しました。不安・緊張・運命の重さを凝縮した重厚かつ革新的なスコアは、核実験の映像と融合して観客を一種のトランス状態へと誘う圧倒的な音楽体験を生み出し、映画の世界観を決定づけたと評価されました。
| 受賞 Winner |
オッペンハイマー[Oppenheimer] ⇒ ルートヴィッヒ・ヨーランソン[Ludwig Göransson] |
| ノミネート Nominees |
アメリカン・フィクション[American Fiction] ⇒ ローラ・カープマン インディ・ジョーンズと運命のダイヤル ⇒ ジョン・ウィリアムズ キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン[Killers of the Flower Moon] ⇒ ロビー・ロバートソン 哀れなるものたち[Poor Things] ⇒ イェルスキン・フェンドリックス |
歌曲賞 / Kashou Shou[Best Original Song]
歌曲賞は、映画のために書き下ろされ、映画本編で使用されたオリジナル楽曲に贈られます。映画のテーマや感情と深く結びつき、物語の余韻を音楽として昇華させた楽曲が審査対象です。エンドクレジットで流れる楽曲が世界的なヒット曲となるケースも多く、映画と音楽が互いに高め合う相乗効果を象徴する部門でもあります。第96回はビリー・アイリッシュ(Billie Eilish)と弟フィニアス・オコンネル(Finneas O'Connell)が『バービー』のために書き下ろした「What Was I Made For?(私は何のために作られたの?)」が受賞しました。バービーが自分の存在意義と感情の目覚めを問うシーンにシームレスに融合したこの楽曲は、映画のテーマを音楽で見事に体現する傑作として広く愛され、映画公開後も長く聴き継がれています。
| 受賞 Winner |
「What Was I Made For?」 – バービー[Barbie] ⇒ 作詞・作曲: ビリー・アイリッシュ[Billie Eilish]、フィニアス・オコンネル[Finneas O'Connell] |
| ノミネート Nominees |
「The Fire Inside」 – フレーミングホット!チートス物語[Flamin' Hot] ⇒ 作詞・作曲: ダイアン・ウォーレン[Diane Warren] 「What Was I Made For?」 – バービー[Barbie] ⇒ 作詞・作曲: ビリー・アイリッシュ[Billie Eilish]、フィニアス・オコンネル[Finneas O'Connell] 「It Never Went Away」 – ジョン・バティステ:アメリカン・シンフォニー[American Symphony] ⇒ 作詞・作曲: ジョン・バティステ[Jon Batiste]、ダン・ウィルソン[Dan Wilson] 「Wahzhazhe (A Song for My People)」 – キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン[Killers of the Flower Moon] ⇒ 作詞・作曲: スコット・ジョージ[Scott George] |
美術賞 / Bijutsu Shou[Best Production Design]
美術賞(プロダクション・デザイン賞)は、映画の美術・セット・プロダクションデザインにおいて最も優れた功績を残したチームに贈られます。映画の世界観を視覚的に構築するアートディレクターとセット・デコレーターが主な受賞対象で、時代背景の再現や独創的な空間デザインを通じて物語の没入感を高める技術と芸術性が評価されます。
| 受賞 Winner |
哀れなるものたち[Poor Things] – ジェームズ・プライス、ショーナ・ヒース |
| ノミネート Nominees |
バービー[Barbie] – サラ・グリーンウッド キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン[Killers of the Flower Moon] – ジャック・フィスク ナポレオン – アーサー・マックス オッペンハイマー[Oppenheimer] – ルース・デ・ヨンク |
衣装デザイン賞 / Ishou Design Shou[Best Costume Design]
衣装デザイン賞は、映画の衣装デザインにおいて最も優れた創造性と技術力を発揮したデザイナーに贈られます。時代考証に基づいた衣装から斬新なファッションビジョンまで、キャラクターの個性・社会的背景・心理状態を衣装で体現する芸術性が評価されます。衣装は映像に映る俳優の「第二の皮膚」として、観客が物語世界に入り込むための重要な視覚的言語です。
| 受賞 Winner |
哀れなるものたち[Poor Things] ⇒ ホリー・ワディントン |
| ノミネート Nominees |
バービー[Barbie] ⇒ ジャクリーン・デュラン[Jacqueline Durran] キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン[Killers of the Flower Moon] ⇒ ジャクリーン・ウェスト ナポレオン ⇒ ジャンティ・イェーツ、デイヴ・クロスマン オッペンハイマー[Oppenheimer] ⇒ エレン・マイロニック |
メイクアップ&ヘアスタイリング賞 / Makeup and Hairstyling Shou[Best Makeup and Hairstyling]
メイクアップ&ヘアスタイリング賞は、俳優の外見的変身やキャラクターへの没入を支えるメイクアップ・特殊造形・ヘアスタイリングの技術と芸術性を評価する部門です。老けメイク・傷・義肢などの特殊メイクから、時代・文化を反映した美粧まで幅広いジャンルが審査対象となり、俳優がキャラクターとして完全に「生きる」ための土台を作るプロフェッショナルの仕事が評価されます。
| 受賞 Winner |
哀れなるものたち[Poor Things] |
| ノミネート Nominees |
GOLDA マエストロ:その音楽と愛と[Maestro] オッペンハイマー[Oppenheimer] 雪山の絆[Society of the Snow] |
視覚効果賞 / Shikaku Kouka Shou[Best Visual Effects]
視覚効果賞(VFX賞)は、映画における視覚的な特殊効果の技術水準と映像表現力を評価し、最も優れた視覚効果チームに贈られます。CGI・実写合成・デジタル環境構築・クリーチャー表現など最先端の映像技術が審査の対象で、物語の世界観をリアルに、または想像を超えた映像で実現するビジュアル・エフェクツの専門家たちの功績が讃えられます。
| 受賞 Winner |
ゴジラ-1.0 ⇒ 山崎貴、渋谷紀世子、高橋正紀、野島達司 |
| ノミネート Nominees |
ザ・クリエイター/創造者 ⇒ ニール・コーボールド ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3 ⇒ ステファン・セレッティ、アレクシ・ワジブロア ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE ⇒ ニール・コーボールド ナポレオン ⇒ ニール・コーボールド |
音響賞 / Onkyou Shou[Best Sound]
音響賞は、映画における録音・効果音・サウンドデザイン・サウンドミキシングを総合的に評価し、最も優れた音響チームに贈られます。銃声・爆発音・自然音・都市の環境音など、観客が映画の世界に引き込まれるための「音の体験」を設計するプロフェッショナルたちの仕事が対象です。対話の明瞭さと音楽・効果音のバランス設計も重要な審査ポイントとなっています。
| 受賞 Winner |
関心領域[The Zone of Interest] |
| ノミネート Nominees |
ザ・クリエイター/創造者 マエストロ:その音楽と愛と[Maestro] ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE オッペンハイマー[Oppenheimer] |
編集賞 / Henshuh Shou[Best Film Editing]
編集賞は、映画のフィルム編集において最も優れた功績を残した編集者に贈られます。ストーリーのテンポ・感情の流れ・シーンのリズムを生み出す編集技術は、映画の完成度を左右する極めて重要な要素です。何百時間もの撮影素材の中から最良のテイクを選び、映画全体の流れを作り上げる映画編集者の卓越した判断力と芸術的感性が評価されます。
| 受賞 Winner |
オッペンハイマー[Oppenheimer] ⇒ ジェニファー・レイム |
| ノミネート Nominees |
落下の解剖学 ⇒ ロラン・セネシャル ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ ⇒ ケヴィン・テント キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン[Killers of the Flower Moon] ⇒ セルマ・スクーンメイカー[Thelma Schoonmaker] 哀れなるものたち[Poor Things] ⇒ ヨルゴス・マヴロプサリディス |
ドキュメンタリー長編賞 / Chouhen Documentary Eiga Shou[Best Documentary Feature Film]
長編ドキュメンタリー映画賞は、実在の出来事や人物を題材とした長編(通常40分以上)のドキュメンタリー映画に贈られます。社会正義・人権・政治・環境・文化など幅広いテーマを記録した作品が審査対象で、事実に基づく映像が持つ力と真実の重みが評価されます。フィクション映画とは異なる誠実さと記録としての緊迫感で観客に訴えかけるドキュメンタリーは、映画芸術の重要な一ジャンルとして高く評価されています。第96回はウクライナの通信社AP通信のジャーナリスト、ミスティスラフ・チェルノフが撮影した『マリウポリの20日間(20 Days in Mariupol)』が受賞しました。ロシア軍に包囲されたマリウポリで生死をかけて取材を続けたジャーナリストたちの記録は、戦争報道の最前線を映し出す衝撃的なドキュメンタリーとして世界に強烈な問いを投げかけました。
| 受賞 Winner |
マリウポリの20日間[20 Days in Mariupol] ⇒ ミスティスラフ・チェルノフ、ミシェル・マイズナー、ラニー・アロンソン=ラス |
| ノミネート Nominees |
ボビ・ワイン:ゲットー・プレジデント ⇒ モーゼス・ブワヨ、クリストファー・シャープ、ジョン・バトセック Four Daughters フォー・ドーターズ ⇒ カウテール・ベン・ハニア[Kaouther Ben Hania] エターナルメモリー ⇒ マイテ・アルベルディ 虎を仕留めるために ⇒ ニシャ・パフジャ、コルネリア・プランシプ、デヴィッド・オッペンハイム |
ドキュメンタリー短編賞 / Tanpen Documentary Eiga Shou[Best Documentary Short Subject]
短編ドキュメンタリー映画賞は、40分以内の短編ドキュメンタリー映画に贈られます。限られた尺の中で社会的なテーマや人間の物語を深く掘り下げ、観客に強い印象を与えた作品が評価されます。長編より少ないリソースながら、社会問題・人権・環境・文化などを鋭く切り取った作品が世界各地から集まります。
| 受賞 Winner |
ラスト・リペア・ショップ ⇒ ベン・プラウドフット、クリス・バワーズ[音楽] |
| ノミネート Nominees |
THE ABCS OF BOOK BANNING ⇒ シーラ・ネヴィンス THE BARBER OF LITTLE ROCK ⇒ ジョン・ホフマン[監督III] ISLAND IN BETWEEN[Island in Between] ⇒ S・レオ・シアン、ジーン・チエン 世界の人々:ふたりのおばあちゃん ⇒ ショーン・ワン、サム・A・デイヴィス |
アニメーション賞 / Chouhen Anime Eiga Shou[Best Animated Feature Film]
長編アニメ映画賞は、その年に公開された最も優れた長編アニメーション映画に贈られます。2Dアニメーション・3DCGアニメーション・ストップモーション・ハイブリッド技法など多様な制作手法で作られた作品が対象で、アニメーション技術の革新性・物語の質・芸術的ビジョンが総合的に評価されます。近年はディズニー・ピクサーだけでなく、スタジオジブリをはじめとする世界各国の制作スタジオによる多様な作品が国際的な評価を受けており、アニメーションという表現形式の可能性が世界規模で広がっています。第96回は宮崎駿監督の『君たちはどう生きるか(The Boy and the Heron)』が受賞し、2002年の『千と千尋の神隠し』以来となる宮崎監督の2度目のアカデミー賞受賞となりました。手描きアニメーションへのこだわりと、少年の内面世界を描く詩的な映像美が世界中の観客と審査員を魅了しました。
| 受賞 Winner |
君たちはどう生きるか[The Boy and the Heron] |
| ノミネート Nominees |
マイ・エレメント[Elemental] ニモーナ[Nimona] ロボット・ドリームズ[Robot Dreams] スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース[Spider-Man: Across the Spider-Verse] |
短編実写賞 / Tanpen Eiga Shou[Best Live Action Short Film]
短編実写映画賞は、40分以内の実写短編映画において最も優れた作品に贈られます。短い尺の中でも完結した物語・高い映像クオリティ・俳優の演技を持つ作品が対象で、長編映画への登竜門としても位置づけられています。短編映画は監督・俳優・スタッフにとっての実験場でもあり、新しい映像表現の可能性を探る場として重要な役割を果たしています。
| 受賞 Winner |
ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語 |
| ノミネート Nominees |
彼方に INVINCIBLE[Invincible] KNIGHT OF FORTUNE[Knight of Fortune] RED, WHITE AND BLUE[Red, White and Blue] |
短編アニメ賞 / Tanpen Anime Shou[Best Animated Short Film]
短編アニメーション映画賞は、40分以内の短編アニメーション映画に贈られます。2Dアニメーション・3DCGアニメーション・ストップモーションなど多様な技法で制作された作品が対象で、独創的な表現技法・芸術的ビジョン・ストーリーテリングの質が総合的に評価されます。世界各国の才能あるアニメーターたちが革新的な表現を競うこの部門は、アニメーション芸術の最前線を知る上でも貴重な機会です。
| 受賞 Winner |
WAR IS OVER! INSPIRED BY THE MUSIC OF JOHN & YOKO |
| ノミネート Nominees |
LETTER TO A PIG[Letter to a Pig] NINETY-FIVE SENSES[Ninety-Five Senses] OUR UNIFORM[Our Uniform] PACHYDERME[Pachyderme] |
第96回アカデミー賞(2024年)受賞結果まとめ
2024年3月10日(現地時間)にカリフォルニア州ハリウッドのドルビー・シアターで開催された第96回アカデミー賞授賞式は、映画史に残る数多くの歴史的出来事が凝縮された夜となりました。クリストファー・ノーラン監督の悲願達成、ロバート・ダウニーJr.の劇的なキャリア転換、日本映画の2部門制覇、ホロコーストを新たな視点で描いた欧州映画の躍進——これらの受賞は、2023年の映画界が社会・歴史・人間の本質に深く向き合った年であったことを象徴しています。以下では、各部門の主要な受賞結果と、その背景にある物語を詳しく解説します。
オッペンハイマー7冠 — 歴史的傑作の圧勝
第96回アカデミー賞は、13部門でノミネートされた『オッペンハイマー』が最終的に7部門を受賞し、圧倒的な強さを示した年となりました。同作は、原子爆弾開発計画「マンハッタン計画」を率いた物理学者J・ロバート・オッペンハイマーの生涯を描いた歴史的伝記映画です。クリストファー・ノーラン監督は『メメント』『ダークナイト』『インセプション』『インターステラー』など、長年にわたり傑作を世に送り出してきたにもかかわらず、これまでアカデミー賞とは縁がありませんでした。第96回にしてついて手にした初の監督賞は、映画ファンが長年待ち望んだ受賞として大きな感動を生みました。
主演のキリアン・マーフィとロバート・ダウニーJr.の初受賞
主演男優賞を受賞したキリアン・マーフィは、葛藤と罪悪感を抱えながら科学者としての使命と人道的責任の狭間で苦しむオッペンハイマーを、圧倒的な内面演技で体現しました。助演男優賞のロバート・ダウニーJr.は、マーベルのアイアンマン役で世界的なスーパースターとなった後、本作でアカデミー会員を強く動かす重厚な演技を披露。俳優としての演技力を改めて世界に証明した初受賞となりました。
哀れなるものたち4冠 — 視覚的芸術の極致
ヨルゴス・ランティモス監督の『哀れなるものたち』は主演女優賞・美術賞・衣装デザイン賞・メイクアップ&ヘアスタイリング賞の4部門を受賞し、オッペンハイマーに次ぐ存在感を示しました。エマ・ストーンはランティモス監督との前作『女王陛下のお気に入り』(2018年)に続く2度目の主演女優賞受賞。奇想天外なビクトリア朝風の美術・衣装・メイクがスクリーンを鮮やかに彩り、視覚的完成度においても最高水準を達成したアート映画として映画史に名を刻みました。
バービーの歌曲賞 — ビリー・アイリッシュとバーベンハイマー現象
グレタ・ガーウィグ監督の『バービー』は、2023年夏に『オッペンハイマー』と同日公開となり「バーベンハイマー」として社会現象を巻き起こしました。エンターテインメントとしての娯楽性と、ジェンダー・アイデンティティへの深い問いかけを融合させた本作からは、ビリー・アイリッシュが弟フィニアス・オコンネルとともに制作した「What Was I Made For?」が歌曲賞を受賞。バービーが自分自身の存在意義を問うシーンと完璧にリンクしたこの楽曲は、映画の感動をさらに増幅させる名曲として多くのリスナーに愛されています。
日本映画の歴史的2冠 — ゴジラと宮崎駿
宮崎駿監督の『君たちはどう生きるか』が長編アニメ映画賞を受賞し、2002年の『千と千尋の神隠し』以来となる宮崎監督の2度目のアカデミー賞受賞となりました。さらに、山崎貴監督の『ゴジラ-1.0』が視覚効果賞を受賞し、日本映画として同賞の史上初受賞という歴史的快挙を達成。特撮の本場・日本のVFX技術が世界最高水準にあることを証明し、世界中の映画ファンと映画人を驚かせました。
関心領域W受賞 — 音と沈黙が語るホロコースト
ジョナサン・グレイザー監督の『関心領域』は国際長編映画賞と音響賞のW受賞を達成しました。アウシュビッツ強制収容所の隣で平穏な日常を営むナチス高官の家族を描く本作は、収容所内の惨劇を直接映すのではなく、塀の向こうから漏れ聞こえる「音」と対照的に穏やかな「日常の映像」だけで人類最大の悲劇を表現するという革新的な手法を採用しました。その芸術的達成と音響設計の卓越さが、2部門の受賞として評価されました。
助演女優賞 — ダヴァイン・ジョイ・ランドルフの感動の初受賞
助演女優賞は、『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』でダヴァイン・ジョイ・ランドルフが初ノミネート・初受賞を果たしました。息子をベトナム戦争で亡くした悲しみを抱えながら、クリスマス休暇を学校で過ごすことになった生徒や教師と心を通わせる寮の料理長メアリー・ラムを、深い情感と温かさで演じ、多くの観客の心を動かした名演です。
第96回アカデミー賞 全受賞部門 一覧
- 作品賞:オッペンハイマー[Oppenheimer] — 13部門ノミネート・7部門受賞の圧倒的存在感
- 監督賞:クリストファー・ノーラン(オッペンハイマー) — 待望のキャリア初受賞
- 主演男優賞:キリアン・マーフィ(オッペンハイマー) — 繊細な内面演技で輝いた初受賞
- 主演女優賞:エマ・ストーン(哀れなるものたち) — ランティモス監督作品での2度目の受賞
- 助演男優賞:ロバート・ダウニーJr.(オッペンハイマー) — 演技力を改めて証明した初受賞
- 助演女優賞:ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ(ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ) — 初ノミネートで感動の初受賞
- 脚本賞(オリジナル):落下の解剖学(ジュスティーヌ・トリエ、アルチュール・アラリ)
- 脚色賞:アメリカン・フィクション(コード・ジェファーソン)
- 国際長編映画賞:関心領域[The Zone of Interest](イギリス) — 音響賞とのW受賞
- 長編アニメ映画賞:君たちはどう生きるか[The Boy and the Heron] — 宮崎駿の2度目の受賞
- 視覚効果賞:ゴジラ-1.0 — 日本映画として同賞史上初受賞
- 歌曲賞:「What Was I Made For?」(バービー) — ビリー・アイリッシュが作詞・作曲
- 作曲賞:ルートヴィッヒ・ヨーランソン(オッペンハイマー)
- 撮影賞:ホイテ・ヴァン・ホイテマ(オッペンハイマー)
- 編集賞:ジェニファー・レイム(オッペンハイマー)
- 美術賞:哀れなるものたち(ジェームズ・プライス、ショーナ・ヒース)
- 衣装デザイン賞:哀れなるものたち(ホリー・ワディントン)
- メイクアップ&ヘアスタイリング賞:哀れなるものたち
- 音響賞:関心領域[The Zone of Interest] — 国際長編映画賞とのW受賞
- ドキュメンタリー長編賞:マリウポリの20日間[20 Days in Mariupol]
- ドキュメンタリー短編賞:ラスト・リペア・ショップ
- 短編実写賞:ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語
- 短編アニメ賞:WAR IS OVER! INSPIRED BY THE MUSIC OF JOHN & YOKO
2023年の映画界は、歴史・社会・人間性・戦争・アイデンティティといった重厚なテーマと向き合った作品群が国際的な高い評価を獲得した年でした。核兵器という人類の業をスクリーンに刻んだ『オッペンハイマー』、ビクトリア朝風の幻想世界でフェミニズムと自由を問いかけた『哀れなるものたち』、アウシュビッツの「隣」にある日常を音で語った『関心領域』、そしてゴジラと宮崎駿が日本映画の底力を世界に示した快挙——第96回アカデミー賞はこれらすべてが重なり合った、近年まれに見る映画的充実の年として記憶されるでしょう。
受賞作品・ノミネート作品はいずれも2023年の映画史を語る上で欠かせない傑作ばかりです。未見の作品がある方はぜひこの機会にご覧ください。Netflix・Amazon Prime Video・Disney+・U-NEXTなど各種映像配信サービスで視聴できる作品も多数あります。また、アカデミー賞の歴代受賞作品についてはこちらの関連記事もあわせてご参照ください。

