[1978年開催(1977年映画作品対象)]第50回アカデミー賞(オスカー賞)受賞映画作品(ノミネート含む) まとめ・一覧 / List of Academy Awards(The Oscars) Nominees 〜アメリカ合衆国の優れた映画と関係者が毎年部門別に表彰されるAMPAS主催の映画賞〜
アカデミー賞(Academy Awards)とは、映画芸術科学アカデミー(Academy of Motion Picture Arts and Sciences、通称AMPAS)が主催する、アメリカ合衆国で最も権威のある映画賞です。映画産業の健全な発展と芸術・科学・技術の品質向上を目的に、キャスト・スタッフなど映画制作に関わる優れた功績を毎年部門別に表彰しています。
受賞者には賞金ではなく、金色のオスカー像(Oscar statuette)が授与されるため、「オスカー賞(The Oscars)」の愛称でも広く知られています。オスカー像は高さ約34cm、重さ約3.9kgの24金メッキのブリタニア合金製で、映画界における最高の栄誉の象徴です。
アカデミー賞の歴史は世界三大映画祭(カンヌ国際映画祭、ベルリン国際映画祭、ヴェネツィア国際映画祭)よりも古く、第1回の授賞式は1929年5月16日にハリウッドのルーズヴェルト・ホテルで開催されました。以来、映画界最大の祭典として世界中の注目を集め続けています。
アカデミー賞へのノミネートおよび受賞結果は世界各国で大きく報道され、対象作品の興行成績や配信プラットフォームでの視聴数に多大な影響を与えます。ノミネート・受賞作品はAMPASの会員である著名なプロデューサー、監督、脚本家、俳優、技術者、批評家などの投票によって選出されるため、その評価は極めて高い信頼性を持っています。
第50回アカデミー賞(1978年)の概要
第50回アカデミー賞授賞式は、1978年4月3日にカリフォルニア州ロサンゼルスのドロシー・チャンドラー・パビリオンで開催されました。司会はボブ・ホープが務め、記念すべき第50回目の授賞式にふさわしい華やかな式典となりました。対象作品は1977年にアメリカ合衆国で公開された映画です。
この年のアカデミー賞は、ウディ・アレン監督の知的コメディ『アニー・ホール』と、ジョージ・ルーカス監督のSF大作『スター・ウォーズ』が激しく競い合った年として映画史に記憶されています。結果として、『アニー・ホール』が作品賞・監督賞・脚本賞・主演女優賞の主要4部門を制する一方、『スター・ウォーズ』は編集賞・美術賞・衣裳デザイン賞・録音賞・作曲賞・視覚効果賞の技術系6部門と特別業績賞を獲得し、合計7冠に輝きました。
また、フレッド・ジンネマン監督の『ジュリア』はジェイソン・ロバーズが助演男優賞、ヴァネッサ・レッドグレイヴが助演女優賞、アルヴィン・サージェントが脚色賞を受賞し、計3部門で受賞しています。スティーヴン・スピルバーグ監督の『未知との遭遇』は撮影賞と音響編集賞の2部門を受賞しました。
以下では、第50回アカデミー賞(1978年開催・1977年映画作品対象)の全部門における受賞作品およびノミネート作品を一覧でまとめています。各作品名のリンクから関連動画を検索できますので、ぜひ名作映画の視聴にお役立てください。
[1978年開催(1977年映画作品対象)]第50回アカデミー賞(オスカー賞)受賞映画作品(ノミネート含む) まとめ・一覧 / List of Academy Awards(The Oscars) Nominees 〜アメリカ合衆国の優れた映画と関係者が毎年部門別に表彰されるAMPAS主催の映画賞〜
作品賞 / Sakuhin Shou[Best Picture]
作品賞(Best Picture)は、アカデミー賞の全部門の中で最も権威ある賞であり、その年に公開された映画の中から最も優れた作品に贈られます。受賞者として表彰されるのはプロデューサーであり、脚本・演技・演出・撮影・編集・音楽など映画制作のあらゆる要素を含めた総合的な完成度が審査基準となります。第50回では、ウディ・アレンの知的ロマンティック・コメディ『アニー・ホール』が、商業的大作『スター・ウォーズ』や感動作『愛と喝采の日々』を抑えて受賞しました。
| 受賞 Winner |
アニー・ホール[Annie Hall] |
| ノミネート Nominees |
グッバイガール[The Goodbye Girl] |
監督賞 / Kantoku Shou[Best Director]
監督賞(Best Director)は、映画全体のビジョンを統括し、俳優の演技指導、撮影技法の選択、物語のテンポ構成など、作品の芸術的方向性を最も効果的に実現した監督に贈られます。第50回では、ウディ・アレンが『アニー・ホール』で受賞しました。なお、アレンは授賞式に出席しないことで知られ、この年もニューヨークでジャズクラリネットを演奏していたと伝えられています。スティーヴン・スピルバーグ(『未知との遭遇』)やジョージ・ルーカス(『スター・ウォーズ』)など、後に映画界を代表する巨匠たちがノミネートされた激戦の年でした。
| 受賞 Winner |
アニー・ホール[Annie Hall] |
| ノミネート Nominees |
未知との遭遇[Close Encounters of the Third Kind] |
主演男優賞 / Shuen Danyuh Shou[Best Actor]
主演男優賞(Best Actor)は、映画において主役を演じた男性俳優の中から、最も卓越した演技を披露した俳優に贈られます。キャラクターへの深い理解、感情表現の豊かさ、作品全体を支える存在感が評価の中心です。第50回では、リチャード・ドレイファスが『グッバイガール』でのチャーミングな演技により受賞し、当時29歳という主演男優賞の最年少受賞記録(当時)を樹立しました。ノミネートには、ジョン・トラヴォルタ(『サタデー・ナイト・フィーバー』)やマルチェロ・マストロヤンニ(『特別な一日』)など多彩な顔ぶれが揃いました。
| 受賞 Winner |
グッバイガール[The Goodbye Girl] |
| ノミネート Nominees |
グッバイガール[The Goodbye Girl] |
主演女優賞 / Shuen Joyuh Shou[Best Actress]
主演女優賞(Best Actress)は、映画において主役を演じた女性俳優の中から、最も優れた演技力を発揮した俳優に贈られます。第50回では、ダイアン・キートンが『アニー・ホール』で受賞しました。キートンは、神経質でチャーミングなアニー・ホールという役柄を自然体で演じ、ウディ・アレンとの絶妙な掛け合いで観客を魅了しました。また、劇中で着用したメンズライクなファッション(ネクタイ、ベスト、ワイドパンツ)は「アニー・ホール・ルック」として社会現象となり、1970年代後半のファッショントレンドに大きな影響を与えました。
| 受賞 Winner |
アニー・ホール[Annie Hall] |
| ノミネート Nominees |
愛と喝采の日々[The Turning Point] |
助演男優賞 / Joen Danyuh Shou[Best Supporting Actor]
助演男優賞(Best Supporting Actor)は、主役ではないものの、作品に欠かせない存在感と印象的な演技を見せた男性俳優に贈られます。第50回では、ジェイソン・ロバーズが『ジュリア』でダシール・ハメットを演じて受賞しました。ロバーズは前年(第49回)の『大統領の陰謀』に続く2年連続の助演男優賞受賞という快挙を達成しています。ノミネートにはバレエダンサーのミハイル・バリシニコフ(『愛と喝采の日々』)やアレック・ギネス(『スター・ウォーズ』のオビ=ワン・ケノービ役)など、多彩な俳優が名を連ねました。
| 受賞 Winner |
ジュリア[Julia] |
| ノミネート Nominees |
愛と喝采の日々[The Turning Point] |
助演女優賞 / Joen Joyuh Shou[Best Supporting Actress]
助演女優賞(Best Supporting Actress)は、主役ではないものの、作品に重要な深みと魅力を加えた女性俳優に贈られます。第50回では、ヴァネッサ・レッドグレイヴが『ジュリア』で反ナチ運動家ジュリアを演じて受賞しました。レッドグレイヴの受賞スピーチはパレスチナ問題に言及したことで大きな論争を呼び、アカデミー賞授賞式におけるポリティカル・スピーチの先駆けとなりました。ノミネートには、当時10歳のクイン・カミングス(『グッバイガール』)やメリンダ・ディロン(『未知との遭遇』)が含まれています。
| 受賞 Winner |
ジュリア[Julia] |
| ノミネート Nominees |
愛と喝采の日々[The Turning Point] |
脚本賞 / Kyakuhon Shou[Best Screenplay Written Directly for the Screen]
脚本賞(Best Original Screenplay)は、既存の原作に基づかないオリジナルの脚本に贈られます。独創的なストーリー構成、魅力的なキャラクター造形、印象的なダイアログの巧みさが審査基準です。第50回では、ウディ・アレンとマーシャル・ブリックマンが『アニー・ホール』で受賞しました。本作の脚本は、従来のロマンティック・コメディの枠を超え、第四の壁を破るメタフィクション的手法やアニメーション挿入など、斬新な語り口で恋愛の本質を描き、その後の映画脚本に多大な影響を与えました。
| 受賞 Winner |
アニー・ホール[Annie Hall] |
| ノミネート Nominees |
グッバイガール[The Goodbye Girl] |
脚色賞 / Kyakushoku Shou[Best Screenplay Based on Material Previously Produced or Published]
脚色賞(Best Adapted Screenplay)は、小説・戯曲・ノンフィクション作品など既存の著作物を映画用の脚本に翻案した作品に贈られます。原作の精神を保ちながら、映画という異なるメディアに効果的に変換する技術が評価されます。第50回では、アルヴィン・サージェントがリリアン・ヘルマンの回想録を基にした『ジュリア』で受賞しました。ノミネートには、ルイス・ブニュエルの『欲望のあいまいな対象』やピーター・シェーファーの舞台劇を映画化した『エクウス』など、多様なアプローチの脚色作品が含まれています。
| 受賞 Winner |
ジュリア[Julia] |
| ノミネート Nominees |
エクウス[Equus] |
外国語映画賞 / Gaikokugo Eiga Shou[Best Foreign Language Film]
外国語映画賞(Best Foreign Language Film)は、アメリカ合衆国以外の国が出品した、主に英語以外の言語で制作された映画に贈られる部門です(現在は「国際長編映画賞」に改称)。各国は年に1作品のみ出品でき、国際的な映画文化の多様性と芸術性を称えます。第50回では、フランスが出品したモシェ・ミズラヒ監督の『これからの人生(Madame Rosa)』が受賞しました。シモーヌ・シニョレが元娼婦の老女を演じた本作は、パリの下町を舞台に異文化間の人間愛を描いた傑作です。ノミネートにはルイス・ブニュエルの『欲望のあいまいな対象』(スペイン)やエットーレ・スコラの『特別な一日』(イタリア)など、ヨーロッパ映画の巨匠たちの作品が名を連ねました。
| 受賞 Winner |
これからの人生[Madame Rosa] |
| ノミネート Nominees |
イフゲニア[Iphigenia] |
長編ドキュメンタリー映画賞 / Chouhen Documentary Eiga Shou[Best Documentary Feature]
長編ドキュメンタリー映画賞(Best Documentary Feature)は、実在の出来事や人物、社会問題などを題材としたノンフィクション映画の中から、最も優れた長編作品に贈られます。ジャーナリズム的な取材力と映画的な表現力の双方が求められる部門です。第50回では、障害を持つ子どもたちを養子に迎えたデボルト一家の実話を描いた『愛のファミリー(Who Are the DeBolts? And Where Did They Get Nineteen Kids?)』が受賞しました。
| 受賞 Winner |
愛のファミリー[Who Are the DeBolts? And Where Did They Get Nineteen Kids?] |
| ノミネート Nominees |
The Children of Theatre Street |
短編ドキュメンタリー映画賞 / Tanpen Documentary Eiga Shou[Best Documentary Short Subject]
短編ドキュメンタリー映画賞(Best Documentary Short Subject)は、短尺のノンフィクション映画に贈られます。限られた上映時間の中で、社会的・文化的に意義あるテーマを効果的かつ印象的に伝えた作品が評価されます。ドキュメンタリーの核心を凝縮して表現する技術が問われる部門です。
| 受賞 Winner |
Union Maids |
| ノミネート Nominees |
Agueda Martinez: Our People, Our Country |
短編映画賞 / Tanpen Eiga Shou[Best Live Action Short Film]
短編映画賞(Best Live Action Short Film)は、上映時間の短い実写映画に贈られます。コンパクトな物語構成の中で映画的表現の可能性を追求し、観客に強い印象を残した作品が評価されます。第50回では、カナダ国立映画庁(NFB)制作の『I'll Find a Way』が受賞しました。脳性麻痺を持つ少女の日常を描いたこの作品は、ビバリー・シェーファー監督と日系カナダ人の吉田ユキのプロデュースによる共同制作です。
| 受賞 Winner |
I’ll Find a Way |
| ノミネート Nominees |
The Absent-Minded Waiter |
短編アニメ賞 / Tanpen Anime Shou[Best Animated Short Film]
短編アニメ賞(Best Animated Short Film)は、アニメーション技法を用いた短編映画に贈られます。手描きアニメーション、ストップモーション、クレイアニメーションなど多様な技法が対象であり、独創的な表現と物語性が評価されます。第50回では、オランダ出身のカナダ人アニメーター、コ・ホードマンによるストップモーション作品『The Sand Castle』が受賞しました。砂で作られたキャラクターたちが織りなす幻想的な世界は、アニメーション芸術の可能性を示す名作として高く評価されています。
| 受賞 Winner |
The Sand Castle |
| ノミネート Nominees |
Bead Game |
作曲賞 / Sakkyoku Shou[Best Original Score]
作曲賞(Best Original Score)は、映画のために新たに作曲されたオリジナル・スコア(劇伴音楽)に贈られます。映画の感情的なインパクトを高め、物語の展開を音楽的に支える楽曲の完成度が評価されます。第50回では、ジョン・ウィリアムズが『スター・ウォーズ』で受賞しました。壮大なオーケストラによるメインテーマ、「帝国のマーチ」、「レイア姫のテーマ」など、ウィリアムズのスコアは映画音楽の歴史を塗り替え、現在も世界中で最も認知されている映画音楽の一つです。なお、ウィリアムズは同年『未知との遭遇』でもノミネートされており、自身と競合するという異例の状況でした。
| 受賞 Winner |
スター・ウォーズ[Star Wars] |
| ノミネート Nominees |
未知との遭遇[Close Encounters of the Third Kind] |
編曲・歌曲賞 / Henkyoku Kakyoku Shou[Best Original Song Score or Adaptation Score]
編曲・歌曲賞(Best Original Song Score or Adaptation Score)は、ミュージカル映画における楽曲の編曲や歌曲のアレンジメントに贈られる部門です。既存楽曲の映画的な再構築や、ミュージカルナンバーの音楽的完成度が審査の対象となります。第50回では、ジョナサン・チューニックがスティーヴン・ソンドハイムのブロードウェイ・ミュージカルを映画化した『A Little Night Music』で受賞しました。この賞は後に廃止されましたが、映画音楽における編曲の重要性を示す部門として記憶されています。
| 受賞 Winner |
A Little Night Music |
| ノミネート Nominees |
ピートとドラゴン[Pete’s Dragon] |
歌曲賞 / Kashou Shou[Best Original Song]
歌曲賞(Best Original Song)は、映画のために書き下ろされたオリジナル楽曲に贈られます。楽曲そのものの完成度に加え、映画のストーリーやシーンとの一体感が重要な評価基準です。第50回では、ジョセフ・ブルックスが作詞・作曲した「You Light Up My Life」(映画『マイ・ソング』より)が受賞しました。デビー・ブーンが歌ったこの楽曲はビルボードHot 100で10週連続1位を記録し、1977年を代表するヒット曲となりました。ノミネートには、007シリーズ『私を愛したスパイ』の主題歌「Nobody Does It Better」やディズニー作品『ビアンカの大冒険』の楽曲も含まれています。
| 受賞 Winner |
“恋するデビー[You Light Up My Life]" – マイ・ソング[You Light Up My Life] |
| ノミネート Nominees |
“Candle on the Water" – ピートとドラゴン[Pete’s Dragon] |
音響編集賞 / Onkyou Henshuh Shou[Best Sound Effects Editing]
音響編集賞(Best Sound Effects Editing)は、映画における効果音の創造と編集に優れた功績を残した作品に贈られます。自然音の加工、人工的な音響効果の創出、音と映像の精密な同期技術が評価されます。第50回では、フランク・ワーナーが『未知との遭遇』で受賞しました。UFOの飛行音、マザーシップの壮大な音響、そして宇宙人とのコミュニケーションに用いられる5音のシグナルなど、映画全体を包み込む革新的なサウンドデザインが高く評価されました。
| 受賞 Winner |
未知との遭遇[Close Encounters of the Third Kind] |
| ノミネート Nominees |
録音賞 / Rokuon Shou[Best Sound]
録音賞(Best Sound Mixing)は、映画の音響ミキシング技術に贈られます。ダイアログ(台詞)、音楽、効果音の3要素をバランスよく調整し、映画の臨場感と感情的なインパクトを最大限に引き出す技術が評価されます。第50回では、『スター・ウォーズ』の録音チーム(ドン・マクドゥーガル、レイ・ウエスト、ボブ・ミンカー、デレク・ボール)が受賞しました。宇宙空間の戦闘シーンやライトセーバーの音響表現など、映画の没入感を飛躍的に高めた革新的なサウンドミックスが認められました。
| 受賞 Winner |
スター・ウォーズ[Star Wars] |
| ノミネート Nominees |
未知との遭遇[Close Encounters of the Third Kind] |
美術賞 / Bijutsu Shou[Best Art Direction]
美術賞(Best Art Direction / Production Design)は、映画のプロダクション・デザインおよびセット装飾に贈られます。物語の世界観を視覚的に構築するセットデザイン、装飾品の選定、空間演出の総合的な完成度が審査基準です。第50回では、『スター・ウォーズ』の美術チームが受賞しました。タトゥイーンの砂漠、デス・スターの巨大な内部空間、反乱軍の基地など、SF映画の新しいビジュアルスタンダードを確立したセットデザインは、その後の映画美術に計り知れない影響を与えました。
| 受賞 Winner |
スター・ウォーズ[Star Wars] |
| ノミネート Nominees |
エアポート’77/バミューダからの脱出[Airport ’77] |
撮影賞 / Satsuei Shou[Best Cinematography]
撮影賞(Best Cinematography)は、カメラワーク、照明設計、構図、色彩設計など、映画の視覚的表現において最も優れた撮影技術を示した撮影監督に贈られます。光と影の使い方、レンズの選択、カメラの動きを通じて、映画の物語を視覚的に語る能力が評価されます。第50回では、ハンガリー出身の撮影監督ヴィルモス・ジグモンドが『未知との遭遇』で受賞しました。夜間シーンの幻想的な光の表現、UFO出現時のフレア効果、そしてクライマックスのマザーシップの荘厳な映像美は、SF映画撮影の金字塔として語り継がれています。
| 受賞 Winner |
未知との遭遇[Close Encounters of the Third Kind] |
| ノミネート Nominees |
海流のなかの島々[Islands in the Stream] |
衣裳デザイン賞 / Ishou Design Shou[Best Costume Design]
衣裳デザイン賞(Best Costume Design)は、映画の登場人物の衣裳をデザインした功績に贈られます。キャラクターの性格、時代背景、社会的地位、文化的コンテキストを衣裳によって効果的に表現した作品が評価されます。第50回では、ジョン・モロが『スター・ウォーズ』で受賞しました。ダース・ベイダーの漆黒のアーマー、レイア姫の白いローブ、ジェダイの騎士の装束など、モロがデザインした衣裳は映画史上最も象徴的なコスチュームとして広く認知されています。
| 受賞 Winner |
スター・ウォーズ[Star Wars] |
| ノミネート Nominees |
エアポート’77/バミューダからの脱出[Airport ’77] |
編集賞 / Henshuh Shou[Best Film Editing]
編集賞(Best Film Editing)は、映画のシーンやショットの繋ぎ合わせ、テンポの構築、物語のリズム感を最も効果的に実現した編集者に贈られます。撮影された膨大な素材から最適なカットを選び、観客の感情を巧みに導く編集技術が評価されます。第50回では、ポール・ハーシュ、マーシア・ルーカス、リチャード・チュウの3名が『スター・ウォーズ』で受賞しました。特にデス・スターの攻撃シーケンスにおけるクロスカッティングのテンポと緊張感は、アクション映画の編集手法に革命をもたらしたと評価されています。
| 受賞 Winner |
スター・ウォーズ[Star Wars] |
| ノミネート Nominees |
未知との遭遇[Close Encounters of the Third Kind] |
視覚効果賞 / Shikaku Kouka Shou[Best Visual Effects]
視覚効果賞(Best Visual Effects)は、映画における特殊視覚効果の創造に贈られます。ミニチュア撮影、マットペインティング、光学合成、メカニカルエフェクトなどの技術を駆使して、現実には存在しない映像を説得力をもって実現した作品が評価されます。第50回では、ジョン・ダイクストラ率いるインダストリアル・ライト&マジック(ILM)のチームが『スター・ウォーズ』で受賞しました。ILMはこの映画のために設立された視覚効果スタジオであり、コンピュータ制御のモーション・コントロール・カメラシステム「Dykstraflex」を開発して宇宙戦闘シーンを実現しました。この技術革新は映画産業全体に革命をもたらし、現代のVFX産業の礎となりました。
| 受賞 Winner |
スター・ウォーズ[Star Wars] |
| ノミネート Nominees |
未知との遭遇[Close Encounters of the Third Kind] |
特別業績賞:エイリアン、クリーチャー、ロボットの声の創造 / Tokubetsu Gyouseki Shou: Alien, Creature, Robot No Koe No Souzou[Special Achievement Award: Alien, Creature and Robot Voices]
特別業績賞(Special Achievement Award)は、通常の競争部門では適切に評価しきれない、映画制作における卓越した技術的・芸術的功績に対して特別に授与される賞です。第50回では、ベン・バートが『スター・ウォーズ』で創造したエイリアン、クリーチャー、ロボットの声に対して贈られました。バートは、チューバッカの唸り声(熊やセイウチの鳴き声を合成)、R2-D2の電子音(シンセサイザーと自身の声を加工)、ジャワ族の言語など、映画史に残る数々のキャラクターボイスを生み出しました。バートが開発した「ワールドライジング(worldizing)」と呼ばれる音響デザイン手法は、以降のSF映画やファンタジー映画の音響制作に革命的な影響を与えています。
| 受賞 Winner |
スター・ウォーズ[Star Wars] |
| ノミネート Nominees |
第50回アカデミー賞(1978年) まとめ
授賞式の概要と歴史的意義
1978年4月3日に開催された第50回アカデミー賞は、映画史における大きな転換点を示す記念碑的な授賞式でした。司会はアカデミー賞の顔とも言えるボブ・ホープが務め、半世紀にわたるオスカーの歴史を祝う華やかな式典となりました。会場はロサンゼルスのドロシー・チャンドラー・パビリオンで、世界中から約7,000万人のテレビ視聴者が式典を見守りました。
『アニー・ホール』vs『スター・ウォーズ』 ― 芸術性とエンターテインメントの対決
この年の最大の注目は、ウディ・アレンの都会的でウィットに富んだロマンティック・コメディ『アニー・ホール』と、ジョージ・ルーカスが生み出したSFエンターテインメントの金字塔『スター・ウォーズ』という、全く異なるジャンルの2大作品による熾烈な競争でした。興行収入では『スター・ウォーズ』が全米歴代記録を塗り替える圧倒的な成功を収めましたが、作品賞を含む主要部門では芸術性を重視するアカデミー会員の投票により『アニー・ホール』が栄冠を手にしました。
『アニー・ホール』は作品賞・監督賞・脚本賞・主演女優賞(ダイアン・キートン)の主要4部門を獲得し、ニューヨークを舞台にした知的な恋愛映画として映画史に不朽の名声を確立しました。第四の壁を破るメタフィクション的手法、スプリットスクリーンの革新的な使用、登場人物の内心を字幕で表示する演出など、本作の斬新な語り口はその後のロマンティック・コメディというジャンル全体に計り知れない影響を与えています。
一方、『スター・ウォーズ』は視覚効果賞・編集賞・美術賞・衣裳デザイン賞・録音賞・作曲賞の技術系6部門に加え、特別業績賞(ベン・バートによるエイリアン、クリーチャー、ロボットの声の創造)を獲得し、合計7冠に輝きました。ジョン・ウィリアムズによるオーケストラスコアは映画音楽の代名詞として現在も世界中で愛され続けており、インダストリアル・ライト&マジック(ILM)が開発したVFX技術は現代のハリウッド映画産業の基盤を築きました。
その他の主要受賞作品と注目のトピック
フレッド・ジンネマン監督の『ジュリア』は、助演男優賞(ジェイソン・ロバーズ)・助演女優賞(ヴァネッサ・レッドグレイヴ)・脚色賞の3部門を制しました。特にジェイソン・ロバーズは前年の『大統領の陰謀』に続く2年連続の助演男優賞受賞という稀有な快挙を達成し、ヴァネッサ・レッドグレイヴの受賞スピーチはパレスチナ問題への言及で大きな論争を呼び、授賞式における政治的発言の先例として映画史に刻まれています。
スティーヴン・スピルバーグ監督の『未知との遭遇』は撮影賞(ヴィルモス・ジグモンド)と音響編集賞の2部門を受賞し、SF映画の撮影技法と音響デザインの新たな基準を示しました。スピルバーグとルーカスという、後のハリウッドを代表する2大監督の作品が同時にノミネートされた年としても特筆されます。
主演男優賞はリチャード・ドレイファスが『グッバイガール』での軽妙な演技で受賞し、当時29歳という主演男優賞の最年少受賞記録(当時)を樹立しました。ジョン・トラヴォルタ(『サタデー・ナイト・フィーバー』)、マルチェロ・マストロヤンニ(『特別な一日』)、リチャード・バートン(『エクウス』)など、ノミネート作品も錚々たる顔ぶれです。
第50回アカデミー賞の受賞数ランキング
第50回アカデミー賞における作品別の受賞数は以下のとおりです。
| 順位 | 作品名 | 受賞数 | ノミネート数 |
| 1位 | スター・ウォーズ[Star Wars] | 7(6部門+特別業績賞) | 11 |
| 2位 | アニー・ホール[Annie Hall] | 4 | 5 |
| 3位 | ジュリア[Julia] | 3 | 11 |
| 4位 | 未知との遭遇[Close Encounters of the Third Kind] | 2 | 9 |
| 5位 | グッバイガール[The Goodbye Girl] | 1 | 5 |
なお、ハーバート・ロス監督の『愛と喝采の日々(The Turning Point)』は11部門にノミネートされながら1部門も受賞できず、アカデミー賞史上最多ノミネート無冠の記録(当時)を樹立しました。この不名誉な記録は、1985年の『カラーパープル』(11部門ノミネート・受賞ゼロ)と並ぶ記録として現在も語り継がれています。
映画史における第50回アカデミー賞の意義
第50回アカデミー賞は、1970年代後半のハリウッドが「ニューハリウッド」の芸術的実験から、大作ブロックバスター時代への移行期にあったことを象徴する授賞式でした。『アニー・ホール』の作品賞受賞は、作家主義的な映画制作がアカデミーから高い評価を受けた最後の時代を象徴しています。一方で、『スター・ウォーズ』の技術部門での圧勝は、映画産業がVFX技術と大規模なエンターテインメントへと向かう未来を予見するものでした。
この年のノミネート・受賞作品の多くは、その後も映画ファンや批評家から高い評価を受け続けており、DVD・Blu-ray・動画配信サービスで視聴可能です。第50回という記念すべき節目の年にふさわしく、芸術性とエンターテインメント性の双方が高いレベルで評価された授賞式として、映画ファンの記憶に深く刻まれています。ぜひこの一覧を参考に、1977年の名作映画をお楽しみください。

