[1967年開催(1966年映画作品対象)]第39回アカデミー賞(オスカー賞)受賞映画作品(ノミネート含む) まとめ・一覧 / List of Academy Awards(The Oscars) Nominees 〜アメリカ合衆国の優れた映画と関係者が毎年部門別に表彰されるAMPAS主催の映画賞〜
アカデミー賞(Academy Awards)は、映画芸術科学アカデミー(AMPAS: Academy of Motion Picture Arts and Sciences)が主催する、世界で最も権威ある映画賞のひとつです。アメリカ合衆国における映画芸術・科学の発展と品質向上を目的に、毎年キャスト・スタッフなどの映画関係者を部門別に表彰しています。受賞者には賞金ではなく金色の「オスカー像」が贈られることから、「オスカー賞(The Oscars)」の愛称でも広く知られています。
アカデミー賞の歴史は1929年に始まり、世界三大映画祭(カンヌ国際映画祭、ベルリン国際映画祭、ヴェネツィア国際映画祭)よりも長い伝統を持ちます。ノミネート作品・受賞作品は、映画界で著名なプロデューサー、監督、脚本家、俳優、批評家などで構成される選考委員会の投票によって選出され、その結果は世界中で大きく報道されるため、各国の映画興行成績にも多大な影響を与えます。
1967年4月10日に開催された第39回アカデミー賞(1966年公開映画作品が対象)は、サンタモニカ・シビック・オーディトリアムで行われ、司会はボブ・ホープが務めました。この年の最大の注目は、フレッド・ジンネマン監督の歴史劇『わが命つきるとも(A Man for All Seasons)』で、作品賞・監督賞・主演男優賞・脚色賞・撮影賞(カラー)・衣裳デザイン賞(カラー)の6部門を受賞する圧倒的な強さを見せました。16世紀イングランドの大法官トマス・モアが信仰と良心を貫く姿を描いたこの作品で、舞台俳優ポール・スコフィールドが映画初主演にして主演男優賞を獲得したことも大きな話題となりました。
また、マイク・ニコルズ監督の『ヴァージニア・ウルフなんかこわくない(Who's Afraid of Virginia Woolf?)』は最多13部門にノミネートされ、主演女優賞(エリザベス・テイラー)・助演女優賞(サンディ・デニス)・撮影賞(白黒)・美術賞(白黒)・衣裳デザイン賞(白黒)の5部門で受賞しました。エリザベス・テイラーは本作で2度目のオスカーを手にし、夫リチャード・バートンとの共演でも注目を集めました。
外国語映画賞では、クロード・ルルーシュ監督のフランス映画『男と女(A Man and a Woman)』が受賞。同作は脚本賞も獲得し、カンヌ国際映画祭パルム・ドールとの二冠を達成しました。技術部門では、SF映画『ミクロの決死圏(Fantastic Voyage)』が美術賞(カラー)と視覚効果賞の2部門を制し、F1映画『グラン・プリ(Grand Prix)』が編集賞・録音賞・音響編集賞の技術3部門を独占しました。
以下では、第39回アカデミー賞(1967年開催・1966年映画作品対象)の全部門における受賞作品・受賞者およびノミネート作品の一覧をまとめています。歴史的名作が揃ったこの年の受賞結果を、ぜひご覧ください。
[1967年開催(1966年映画作品対象)]第39回アカデミー賞(オスカー賞)受賞映画作品(ノミネート含む) まとめ・一覧 / List of Academy Awards(The Oscars) Nominees 〜アメリカ合衆国の優れた映画と関係者が毎年部門別に表彰されるAMPAS主催の映画賞〜
作品賞 / Sakuhin Shou[Best Picture]
| 受賞 Winner |
わが命つきるとも[A Man for All Seasons] |
| ノミネート Nominees |
アルフィー[Alfie] |
第39回アカデミー賞の作品賞は、フレッド・ジンネマン監督の『わが命つきるとも(A Man for All Seasons)』が受賞しました。ヘンリー8世の離婚に反対し信仰を貫いた大法官トマス・モアの実話を格調高く描いた本作は、重厚な脚本と演技力で批評家・観客双方から高い評価を得ました。ノミネート作品には、マイケル・ケイン主演の『アルフィー』、冷戦コメディ『アメリカ上陸作戦』、スティーヴ・マックイーン主演の大作『砲艦サンパブロ』、エリザベス・テイラーとリチャード・バートンの激しい夫婦劇『ヴァージニア・ウルフなんかこわくない』が名を連ね、多彩なジャンルが揃った年でした。
監督賞 / Kantoku Shou[Best Director]
| 受賞 Winner |
わが命つきるとも[A Man for All Seasons] |
| ノミネート Nominees |
欲望[Blowup] |
監督賞はフレッド・ジンネマンが『わが命つきるとも』で受賞し、1953年の『地上より永遠に』に続く2度目のオスカー監督賞を手にしました。ノミネートには、ミケランジェロ・アントニオーニ(『欲望』)、リチャード・ブルックス(『プロフェッショナル』)、クロード・ルルーシュ(『男と女』)、マイク・ニコルズ(『ヴァージニア・ウルフなんかこわくない』)といった国際的な巨匠たちが並びました。特にマイク・ニコルズは翌年『卒業』で監督賞を受賞することになり、この年のノミネートがその飛躍の序章となりました。
主演男優賞 / Shuen Danyuh Shou[Best Actor]
| 受賞 Winner |
わが命つきるとも[A Man for All Seasons] |
| ノミネート Nominees |
アメリカ上陸作戦[The Russians Are Coming, the Russians Are Coming] |
主演男優賞は、イギリスの名舞台俳優ポール・スコフィールドが『わが命つきるとも』のトマス・モア役で受賞しました。スコフィールドはこの役をロンドンのウエストエンドとブロードウェイの舞台でも演じており、その深い理解と圧倒的な演技力が映画でも遺憾なく発揮されました。ノミネートには、アラン・アーキン(『アメリカ上陸作戦』)、リチャード・バートン(『ヴァージニア・ウルフなんかこわくない』)、マイケル・ケイン(『アルフィー』)、スティーヴ・マックイーン(『砲艦サンパブロ』)と、個性豊かな俳優陣が揃いました。
主演女優賞 / Shuen Danyuh Shou[Best Actress]
| 受賞 Winner |
ヴァージニア・ウルフなんかこわくない[Who’s Afraid of Virginia Woolf?] |
| ノミネート Nominees |
男と女[A Man and a Woman] |
主演女優賞は、エリザベス・テイラーが『ヴァージニア・ウルフなんかこわくない』で受賞し、1960年の『バターフィールド8』に続く2度目のオスカーを獲得しました。エドワード・オールビー原作の戯曲を映画化した本作で、テイラーは体重を増やして老けメイクを施し、激しい口論を繰り広げる中年女性マーサを圧巻の演技で体現しました。ノミネートには、アヌーク・エーメ(『男と女』)、イダ・カミンスカ(『大通りの店』)、リン・レッドグレイヴ(『ジョージー・ガール』)、ヴァネッサ・レッドグレイヴ(『モーガン』)と、ヨーロッパの実力派女優が多く選出された年でした。
助演男優賞 / Joen Danyuh Shou[Best Supporting Actor]
| 受賞 Winner |
恋人よ帰れ!わが胸に[The Fortune Cookie] |
| ノミネート Nominees |
砲艦サンパブロ[The Sand Pebbles] |
助演男優賞は、ウォルター・マッソーがビリー・ワイルダー監督のコメディ『恋人よ帰れ!わが胸に(The Fortune Cookie)』で受賞しました。マッソーは本作でジャック・レモンとの名コンビを初結成し、後に『おかしな二人』など数多くの共演作へと発展していきます。ノミネートには、日系アメリカ人俳優のマコ岩松が『砲艦サンパブロ』で選出され、アジア系俳優としてのオスカーノミネートが注目を集めました。
助演女優賞 / Joen Joyuh Shou[Best Supporting Actress]
| 受賞 Winner |
ヴァージニア・ウルフなんかこわくない[Who’s Afraid of Virginia Woolf?] |
| ノミネート Nominees |
わが命つきるとも[A Man for All Seasons] |
助演女優賞は、サンディ・デニスが『ヴァージニア・ウルフなんかこわくない』で受賞しました。デニスは劇中で、ニック・アンド・ハニーの若い夫婦の妻ハニーを演じ、エリザベス・テイラーとリチャード・バートンの壮絶な口論劇の中で繊細な演技を見せました。ノミネートには、映画初出演のジョスリン・ラガード(『ハワイ』)や、後にフランシス・フォード・コッポラの初期作品として知られる『大人になれば…』のジェラルディン・ペイジなど、多彩な顔ぶれが揃いました。
脚本賞 / Kyakuhon Shou[Best Screenplay Written Directly for the Screen]
| 受賞 Winner |
男と女[A Man and a Woman] |
| ノミネート Nominees |
欲望[Blowup] |
脚本賞(オリジナル脚本)は、クロード・ルルーシュとピエール・ユイッテルヘーベンが『男と女(A Man and a Woman)』で受賞しました。レーサーと映画スクリプターの再出発する恋愛を詩的に描いた本作は、フランシス・レイの美しい音楽とともに世界的な大ヒットとなりました。ノミネートには、ビリー・ワイルダーの『恋人よ帰れ!わが胸に』やミケランジェロ・アントニオーニの『欲望』など、巨匠の脚本作品が並びました。
脚色賞 / Kyakushoku Shou[Best Screenplay Based on Material Previously Produced or Published]
| 受賞 Winner |
わが命つきるとも[A Man for All Seasons] |
| ノミネート Nominees |
アルフィー[Alfie] |
脚色賞は、ロバート・ボルトが自身の戯曲を映画化した『わが命つきるとも(A Man for All Seasons)』で受賞しました。ボルトは1962年の『アラビアのロレンス』に続く2度目の脚本関連のオスカーとなりました。舞台で培われた緻密な台詞と構成力が映画でも高く評価され、トマス・モアの知性と信念を見事に描き出しています。
外国語映画賞 / Gaikokugo Eiga Shou[Best Foreign Language Film]
| 受賞 Winner |
男と女[A Man and a Woman] |
| ノミネート Nominees |
アルジェの戦い[The Battle of Algiers] |
外国語映画賞は、フランスの『男と女(A Man and a Woman)』が受賞しました。クロード・ルルーシュ監督のこの作品は、同年のカンヌ国際映画祭でもパルム・ドールを受賞しており、国際的な二冠を達成しました。ノミネートには、ジッロ・ポンテコルヴォ監督のイタリア映画『アルジェの戦い(The Battle of Algiers)』が含まれており、アルジェリア独立戦争をドキュメンタリー風に描いたこの作品は、後に政治映画の金字塔として再評価されています。チェコ・ヌーヴェルヴァーグの旗手ミロシュ・フォアマン監督の『ブロンドの恋(Loves of a Blonde)』もノミネートされ、東欧映画の新潮流を世界に示しました。
長編ドキュメンタリー映画賞 / Chouhen Documentary Eiga Shou[Best Documentary Feature]
| 受賞 Winner |
The War Game |
| ノミネート Nominees |
The Face of a Genius |
短編ドキュメンタリー映画賞 / Tanpen Documentary Eiga Shou[Best Documentary Short Subject]
| 受賞 Winner |
A Year Toward Tomorrow |
| ノミネート Nominees |
Adolescence |
短編映画賞 / Tanpen Eiga Shou[Best Live Action Short Film]
| 受賞 Winner |
Wild Wings |
| ノミネート Nominees |
Turkey the Bridge |
短編アニメ賞 / Tanpen Anime Shou[Best Animated Short Film]
| 受賞 Winner |
A Herb Alpert and the Tijuana Brass Double Feature ⇒ ジョン・ハブリー[John Hubley]、フェイス・ハブリー[Faith Hubley] |
| ノミネート Nominees |
The Drag |
作曲賞 / Sakkyoku Shou[Best Original Score]
| 受賞 Winner |
野生のエルザ[Born Free] |
| ノミネート Nominees |
天地創造[The Bible: In the Beginning…] |
編曲・歌曲賞 / Henkyoku Kakyoku Shou[Best Original Song Score or Adaptation Score]
| 受賞 Winner |
ローマで起った奇妙な出来事[A Funny Thing Happened on the Way to the Forum] |
| ノミネート Nominees |
奇跡の丘[The Gospel According to St. Matthew] |
歌曲賞 / Kashou Shou[Best Original Song]
| 受賞 Winner |
“野生のエルザ[Born Free] |
| ノミネート Nominees |
“Alfie" from アルフィー[Alfie] |
音響編集賞 / Onkyou Henshuh Shou[Best Sound Effects Editing]
| 受賞 Winner |
グラン・プリ[Grand Prix] |
| ノミネート Nominees |
ミクロの決死圏[Fantastic Voyage] |
録音賞 / Rokuon Shou[Best Sound]
| 受賞 Winner |
グラン・プリ[Grand Prix] |
| ノミネート Nominees |
泥棒貴族[Gambit] |
美術賞(白黒) / Bijutsu Shou(Shiro Kuro)[Best Art Direction Set Decoration Black and White]
| 受賞 Winner |
ヴァージニア・ウルフなんかこわくない[Who’s Afraid of Virginia Woolf?] |
| ノミネート Nominees |
恋人よ帰れ!わが胸に[The Fortune Cookie] |
美術賞(カラー) / Bijutsu Shou(Color)[Best Art Direction Set Decoration Color]
| 受賞 Winner |
ミクロの決死圏[Fantastic Voyage] |
| ノミネート Nominees |
泥棒貴族[Gambit] |
撮影賞(白黒) / Satsuei Shou(Shiro Kuro)[Best Cinematography Black and White]
| 受賞 Winner |
ヴァージニア・ウルフなんかこわくない[Who’s Afraid of Virginia Woolf?] |
| ノミネート Nominees |
恋人よ帰れ!わが胸に[The Fortune Cookie] |
撮影賞(カラー) / Satsuei Shou(Color)[Best Cinematography Color]
| 受賞 Winner |
わが命つきるとも[A Man for All Seasons] |
| ノミネート Nominees |
ミクロの決死圏[Fantastic Voyage] |
衣裳デザイン賞(白黒) / Ishou Design Shou(Shiro Kuro)[Best Costume Design Black and White]
| 受賞 Winner |
ヴァージニア・ウルフなんかこわくない[Who’s Afraid of Virginia Woolf?] |
| ノミネート Nominees |
奇跡の丘[The Gospel According to St. Matthew] |
衣裳デザイン賞(カラー) / Ishou Design Shou(Color)[Best Costume Design Color]
| 受賞 Winner |
わが命つきるとも[A Man for All Seasons] |
| ノミネート Nominees |
泥棒貴族[Gambit] |
編集賞 / Henshuh Shou[Best Film Editing]
| 受賞 Winner |
グラン・プリ[Grand Prix] |
| ノミネート Nominees |
ミクロの決死圏[Fantastic Voyage] |
視覚効果賞 / Shikaku Kouka Shou[Best Visual Effects]
| 受賞 Winner |
ミクロの決死圏[Fantastic Voyage] |
| ノミネート Nominees |
ハワイ[Hawaii] |
第39回アカデミー賞(1967年開催)まとめ
1967年開催の第39回アカデミー賞は、『わが命つきるとも(A Man for All Seasons)』が最多6部門を制し、格調高い歴史劇が映画界の頂点に立った年でした。一方、『ヴァージニア・ウルフなんかこわくない(Who's Afraid of Virginia Woolf?)』は最多13ノミネート・5部門受賞という記録を打ち立て、エリザベス・テイラーの圧倒的な演技が映画史に刻まれました。
この年は、アメリカ映画だけでなく国際色豊かな作品群が注目を集めたことも特徴です。フランスの『男と女』がカンヌとオスカーの二冠を達成し、イタリアの『アルジェの戦い』やチェコスロヴァキアの『ブロンドの恋』がノミネートされるなど、世界映画の多様性が反映されました。また、技術部門では『ミクロの決死圏(Fantastic Voyage)』や『グラン・プリ(Grand Prix)』が革新的な映像表現で受賞し、1960年代後半の映画技術の進歩を象徴する結果となりました。
第39回アカデミー賞にノミネート・受賞した映画作品は、いずれも1960年代の映画黄金期を代表する名作ばかりです。演技・脚本・技術のすべてにおいて高い水準を誇るこれらの作品を、ぜひ鑑賞してみてください。

