[1940年開催(1939年映画作品対象)]第12回アカデミー賞(オスカー賞)受賞映画作品(ノミネート含む) まとめ・一覧 / List of Academy Awards(The Oscars) Nominees 〜アメリカ合衆国の優れた映画と関係者が毎年部門別に表彰されるAMPAS主催の映画賞〜
アカデミー賞(Academy Awards)とは、映画芸術科学アカデミー(Academy of Motion Picture Arts and Sciences、略称:AMPAS)が主催する、世界で最も権威ある映画賞のひとつです。アメリカ合衆国における映画の健全な発展と、映画芸術・科学の品質向上を目的に、俳優・監督・脚本家・技術者をはじめとする映画関係者を毎年部門別に表彰し、その卓越した業績を讃えます。
受賞者には賞金は授与されませんが、代わりに黄金のオスカー像(Oscar statuette)が贈られることから「オスカー賞(The Oscars)」という通称で世界的に親しまれています。正式名称は「Academy Award of Merit」であり、オスカー像は高さ約34cm、重さ約3.85kgの金メッキが施されたブリタニア合金製の彫像です。
アカデミー賞の歴史は1929年の第1回授賞式に遡り、世界三大映画祭(カンヌ国際映画祭・ベルリン国際映画祭・ヴェネツィア国際映画祭)よりも長い伝統を誇ります。毎年2月から3月にかけてロサンゼルスで開催される授賞式は全世界に中継され、映画ファンのみならず多くの人々が注目する映画界最大のイベントとなっています。
アカデミー賞のノミネートおよび受賞結果は世界各国で大きく報道され、対象映画の興行成績や配信視聴数に絶大な影響力を与えます。ノミネート・受賞作品は、映画界で著名なプロデューサー、監督、脚本家、俳優、批評家などで構成される数千人規模の選考委員(Academy会員)による厳正な投票で選ばれるため、映画史における重要な指標として高く評価されています。
第12回アカデミー賞(1940年開催)の概要と歴史的意義
本記事で紹介する第12回アカデミー賞は、1940年2月29日にロサンゼルスのアンバサダーホテル(Ambassador Hotel)のココナッツ・グローブ(Cocoanut Grove)で開催されました。対象は1939年に公開されたアメリカ映画作品です。司会はボブ・ホープ(Bob Hope)が初めて務め、以後長きにわたりアカデミー賞の顔となりました。
1939年はハリウッドの歴史において「映画の黄金年(The Greatest Year in Film History)」と称される特別な年です。『風と共に去りぬ(Gone With the Wind)』が作品賞をはじめ8部門で受賞し、圧倒的な存在感を示しました。同作で助演女優賞を受賞したハティ・マクダニエル(Hattie McDaniel)は、アフリカ系アメリカ人として初めてアカデミー賞を受賞した人物であり、この受賞は映画史における画期的な出来事として現在も語り継がれています。
また、同年のノミネート作品には『オズの魔法使(The Wizard of Oz)』『駅馬車(Stagecoach)』『スミス都へ行く(Mr. Smith Goes to Washington)』『嵐が丘(Wuthering Heights)』『ニノチカ(Ninotchka)』など、現在も映画ファンに愛され続ける名作が数多く並びます。第二次世界大戦が勃発した激動の時代に制作されたこれらの作品は、映画芸術の頂点を示すものとして後世に多大な影響を与えました。
以下では、この歴史的な第12回アカデミー賞(1940年開催・1939年映画作品対象)の全受賞作品とノミネート作品を部門別に一覧でまとめています。
[1940年開催(1939年映画作品対象)]第12回アカデミー賞(オスカー賞)受賞映画作品(ノミネート含む) まとめ・一覧 / List of Academy Awards(The Oscars) Nominees 〜アメリカ合衆国の優れた映画と関係者が毎年部門別に表彰されるAMPAS主催の映画賞〜
作品賞 / Sakuhin Shou[Best Picture]
作品賞(Best Picture)はアカデミー賞の最高賞であり、その年に公開された映画の中で最も優れた作品に授与されます。第12回では、南北戦争を壮大なスケールで描いた歴史的大作『風と共に去りぬ』が受賞しました。本作はテクニカラーによる鮮やかなカラー映像と、ヴィヴィアン・リー演じるスカーレット・オハラの力強い生き様が世界中の観客を魅了し、興行収入でも当時の記録を塗り替えました。ノミネートには計10作品が選ばれ、1939年がいかに豊作の年であったかを物語っています。
| 受賞 Winner |
風と共に去りぬ[Gone With the Wind] |
| ノミネート Nominees |
愛の勝利[Dark Victory] |
監督賞 / Kantoku Shou[Best Director]
監督賞(Best Director)は、映画全体の演出・構成において卓越した手腕を発揮した監督に贈られる賞です。第12回では『風と共に去りぬ』のヴィクター・フレミングが受賞しました。実際の制作ではジョージ・キューカーやサム・ウッドも監督を担当しましたが、公式にクレジットされたフレミングが栄誉を手にしました。ノミネートにはフランク・キャプラやジョン・フォードなど、アメリカ映画を代表する巨匠が名を連ねています。
| 受賞 Winner |
風と共に去りぬ[Gone With the Wind] |
| ノミネート Nominees |
チップス先生さようなら[Goodbye, Mr. Chips] |
主演男優賞 / Shuen Danyuh Shou[Best Actor]
主演男優賞(Best Actor)は、その年に最も優れた演技を見せた男性俳優に贈られます。第12回では『チップス先生さようなら』のロバート・ドーナットが、『風と共に去りぬ』のクラーク・ゲーブルを抑えて受賞しました。老教師チッピングを若年から老年まで繊細に演じ分けたドーナットの演技は、映画史に残る名演として知られています。
| 受賞 Winner |
チップス先生さようなら[Goodbye, Mr. Chips] |
| ノミネート Nominees |
風と共に去りぬ[Gone With the Wind] |
主演女優賞 / Shuen Joyuh Shou[Best Actress]
主演女優賞(Best Actress)は、その年に最も優れた演技を見せた女性俳優に贈られます。第12回では『風と共に去りぬ』でスカーレット・オハラを演じたイギリス人女優ヴィヴィアン・リーが受賞しました。南北戦争の激動の中で強く生き抜くヒロインを情熱的に体現した彼女の演技は、映画史上最も象徴的なパフォーマンスのひとつとして語り継がれています。
| 受賞 Winner |
風と共に去りぬ[Gone With the Wind] |
| ノミネート Nominees |
愛の勝利[Dark Victory] |
助演男優賞 / Joen Danyuh Shou[Best Supporting Actor]
助演男優賞(Best Supporting Actor)は、映画において脇役として優れた演技を見せた男性俳優に贈られます。第12回では、ジョン・フォード監督の西部劇『駅馬車』で酔いどれ医師ドク・ブーンを演じたトーマス・ミッチェルが受賞しました。ミッチェルはこの年、複数の映画に出演して高い評価を得た多才な性格俳優です。
| 受賞 Winner |
駅馬車[Stagecoach] |
| ノミネート Nominees |
革命児ファレス[Juarez] |
助演女優賞 / Joen Joyuh Shou[Best Supporting Actress]
助演女優賞(Best Supporting Actress)は、脇役として傑出した演技を見せた女性俳優に贈られます。第12回では『風と共に去りぬ』でマミー役を演じたハティ・マクダニエルが受賞し、アフリカ系アメリカ人として史上初のアカデミー賞受賞者となりました。人種差別が根強い時代にあって、彼女の受賞はアメリカ映画界と社会全体にとって歴史的な転換点となった出来事です。
| 受賞 Winner |
風と共に去りぬ[Gone With the Wind] |
| ノミネート Nominees |
風と共に去りぬ[Gone With the Wind] |
脚色賞 / Kyakushoku Shou[Best Screenplay]
| 受賞 Winner |
風と共に去りぬ[Gone With the Wind] |
| ノミネート Nominees |
チップス先生さようなら[Goodbye, Mr. Chips] |
原案賞 / Genan Shou[Best Story]
| 受賞 Winner |
スミス都へ行く[Mr. Smith Goes to Washington] |
| ノミネート Nominees |
ママは独身[Bachelor Mother] |
短編映画賞(一巻) / Tanpen Eiga Shou(Hito Maki)[Best Live Action Short Film One-Reel]
| 受賞 Winner |
Busy Little Bears |
| ノミネート Nominees |
Information Please |
短編映画賞(二巻) / Tanpen Eiga Shou(Futa Maki)[Best Live Action Short Film Two-Reel]
| 受賞 Winner |
Sons of Liberty |
| ノミネート Nominees |
Drunk Driving |
短編アニメ賞 / Tanpen Anime Shou[Best Animated Short Film]
| 受賞 Winner |
みにくいあひるの子[The Ugly Duckling] |
| ノミネート Nominees |
Detouring America |
音楽賞 / Ongaku Shou[Best Original Score]
| 受賞 Winner |
オズの魔法使[The Wizard of Oz] |
| ノミネート Nominees |
愛の勝利[Dark Victory] |
作曲賞 / Sakkyoku Shou[Best Scoring]
| 受賞 Winner |
駅馬車[Stagecoach] |
| ノミネート Nominees |
青春一座[Babes in Arms] |
歌曲賞 / Kashou Shou[Best Original Song]
| 受賞 Winner |
“Over the Rainbow" – オズの魔法使[The Wizard of Oz] |
| ノミネート Nominees |
“Faithful Forever" – ガリヴァー旅行記[Gulliver’s Travels] |
録音賞 / Rokuon Shou[Best Sound Recording]
| 受賞 Winner |
最後の抱擁[When Tomorrow Comes] |
| ノミネート Nominees |
Balalaika |
美術賞 / Bijutsu Shou[Best Art Direction]
| 受賞 Winner |
風と共に去りぬ[Gone With the Wind] |
| ノミネート Nominees |
ボー・ジェスト[Beau Geste] |
撮影賞(白黒) / Satsuei Shou(Shiro Kuro)[Best Cinematography Black and White]
| 受賞 Winner |
嵐が丘[Wuthering Heights] |
| ノミネート Nominees |
銀の靴[First Love] |
撮影賞(カラー) / Satsuei Shou(Color)[Best Cinematography Color]
| 受賞 Winner |
風と共に去りぬ[Gone With the Wind] |
| ノミネート Nominees |
モホークの太鼓[Drums Along the Mohawk] |
編集賞 / Henshuh Shou[Best Film Editing]
| 受賞 Winner |
風と共に去りぬ[Gone With the Wind] |
| ノミネート Nominees |
チップス先生さようなら[Goodbye, Mr. Chips] |
視覚効果賞 / Shikaku Kouka Shou[Best Visual Effects]
| 受賞 Winner |
雨ぞ降る[The Rains Came] |
| ノミネート Nominees |
風と共に去りぬ[Gone With the Wind] |
第12回アカデミー賞(1940年開催)のまとめ
第12回アカデミー賞は、ハリウッド黄金時代の絶頂期を象徴する授賞式でした。「映画の黄金年」と呼ばれる1939年の作品群は、ジャンルの多様性と芸術的完成度の高さにおいて、映画史上類を見ない水準に達していました。
『風と共に去りぬ』は作品賞・監督賞・主演女優賞・助演女優賞・脚色賞・撮影賞(カラー)・美術賞・編集賞の8部門で受賞し、当時の最多受賞記録を樹立しました。この記録は第26回アカデミー賞(1954年)で『地上より永遠に』に並ばれるまで15年間破られませんでした。
この回の授賞式は映画史にとって多くの「初めて」が記録された回でもあります。ハティ・マクダニエルのアフリカ系アメリカ人初受賞、ボブ・ホープの初司会、そしてテクニカラー作品の本格的な台頭など、その後の映画界の方向性を決定づける重要な転換点となりました。
1939年に制作された映画作品の多くは、80年以上を経た現在でもクラシック映画の傑作として評価され、動画配信サービスでも視聴することができます。本記事で紹介した各部門のノミネート作品・受賞作品は、映画の歴史を学ぶうえでも、純粋に映画を楽しむうえでも、ぜひ一度は鑑賞していただきたい名作ばかりです。

