広島県の世界遺産 一覧・まとめ / UNESCO World Heritage Sites in Hiroshima ~文化遺産(負の世界遺産、文化的景観、産業遺産、近代化遺産、稼働遺産)、自然遺産、複合遺産、危機遺産~

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親記事:日本全国・都道府県の世界遺産 一覧・まとめ / UNESCO World Heritage Sites in Japan ~文化遺産(負の世界遺産、文化的景観、産業遺産、近代化遺産、稼働遺産)、自然遺産、複合遺産、危機遺産~

広島県の世界遺産 概要 / Overview of UNESCO World Heritage Sites in Hiroshima

広島県には、ユネスコ世界遺産に登録された2つの文化遺産があります。1つは核兵器の惨禍を今に伝える「原爆ドーム」、もう1つは海上に浮かぶ荘厳な社殿で知られる「厳島神社」です。いずれも1996年に世界遺産として登録されました。

この2つの世界遺産は、広島県の歴史と文化の奥深さを象徴する存在です。原爆ドームは人類史上初めての原子爆弾投下という悲劇の記憶を後世に継承する「負の世界遺産」であり、厳島神社は日本古来の自然崇拝と建築美が融合した類まれな文化遺産です。広島を訪れる際には、ぜひ両方の世界遺産を巡り、平和の尊さと日本文化の美しさを体感してください。

世界遺産とは / What is a World Heritage Site?

世界遺産とは、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)総会で1972年に採択された世界遺産条約「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」に基づいて、世界遺産リストに登録された遺跡、景観、自然などの物件を指します。これらは人類が共有すべき「顕著な普遍的価値(Outstanding Universal Value)」を持つとされ、移動が不可能な不動産が対象です。

世界遺産登録の本来の目的は、自然的・文化的に価値のあるものを国際的な協力のもとで保護・保全し、過去から未来へと確実に伝えていくことにあります。一方で、世界遺産に登録されることにより国際的な知名度が大きく向上し、観光地としてのブランド力が高まるという側面も注目されています。

世界遺産の登録基準 / World Heritage Registration Criteria

世界遺産に登録されるためには、以下の10項目の登録基準のうち1つ以上を満たす必要があります。

  • (1) 人類の創造的才能を表現する傑作。
  • (2) ある期間を通じてまたはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。
  • (3) 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠。
  • (4) 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例。
  • (5) ある文化(または複数の文化)を代表する伝統的集落、あるいは陸上ないし海上利用の際立った例。もしくは特に不可逆的な変化の中で存続が危ぶまれている人と環境の関わりあいの際立った例。
  • (6) 顕著で普遍的な意義を有する出来事、現存する伝統、思想、信仰または芸術的、文学的作品と直接にまたは明白に関連するもの(この基準は他の基準と組み合わせて用いるのが望ましいと世界遺産委員会は考えている)。
  • (7) ひときわすぐれた自然美及び美的な重要性をもつ最高の自然現象または地域を含むもの。
  • (8) 地球の歴史上の主要な段階を示す顕著な見本であるもの。これには生物の記録、地形の発達における重要な地学的進行過程、重要な地形的特性、自然地理的特性などが含まれる。
  • (9) 陸上、淡水、沿岸および海洋生態系と動植物群集の進化と発達において進行しつつある重要な生態学的、生物学的プロセスを示す顕著な見本であるもの。
  • (10) 生物多様性の本来的保全にとって、もっとも重要かつ意義深い自然生息地を含んでいるもの。これには科学上または保全上の観点から、すぐれて普遍的価値を持つ絶滅の恐れのある種の生息地などが含まれる。

上記の(1)~(6)を満たすものが文化遺産、(7)~(10)を満たすものが自然遺産、文化遺産と自然遺産の条件をそれぞれ1つ以上満たすものが複合遺産として分類されます。以下で紹介する各世界遺産の「登録基準」の番号は、上記の基準番号に対応しています。

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原爆ドーム / Genbaku Dome[Hiroshima Peace Memorial(Atomic Bomb Dome)]

原爆ドームは、1945年(昭和20年)8月6日に投下された人類史上最初の原子爆弾の惨禍を今に伝える被爆建造物です。元々は1915年(大正4年)にチェコ人建築家ヤン・レツルの設計により「広島県物産陳列館」として建てられたヨーロッパ風の近代建築で、その後「広島県産業奨励館」と改称されました。

原爆は建物のほぼ直上約600メートルの上空で炸裂しましたが、爆風が垂直に近い角度で加わったため、建物の中心部の壁体と鉄骨の丸屋根(ドーム)部分が奇跡的に倒壊を免れ、その骨組みが残りました。この特徴的な残骸の姿から「原爆ドーム」と呼ばれるようになりました。

1996年にユネスコ世界遺産に登録された原爆ドームは、核兵器の破壊力を視覚的に伝え、世界恒久平和の大切さを訴え続ける人類共通の平和記念碑です。登録基準(6)「顕著で普遍的な意義を有する出来事と直接に関連するもの」に該当し、いわゆる「負の世界遺産」として、戦争と核兵器の悲惨さを後世に伝える役割を担っています。

原爆ドームは、隣接する平和記念公園(広島平和記念資料館、原爆死没者慰霊碑、平和の灯などを含む)と合わせて訪れることで、より深い平和学習の体験ができます。毎年8月6日には平和記念式典が開催され、国内外から多くの人々が訪れます。

登録区分
Type
文化遺産(負の世界遺産)
登録年
Designated
1996年
登録基準
Criteria
(6)
住所
Address
広島県広島市中区大手町1−10
地図
Map
地図(Map)
アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
JR広島駅より路面電車宮島口行き・西広島駅行き・江波行き(約10分)「原爆ドーム前」下車(徒歩約1分)
URL
URL
https://www.city.hiroshima.lg.jp/www/dome/index.html

厳島神社 / Itsukushima Jinja[Itsukushima Shinto Shrine]

厳島神社は、広島県廿日市市の宮島(厳島)に鎮座する、日本を代表する神社のひとつです。推古天皇元年(593年)に佐伯鞍職により創建されたと伝えられ、仁安3年(1168年)に平清盛が現在のような海上に建つ壮麗な社殿へと造営しました。

厳島神社の最大の特徴は、瀬戸内海の入り江に建つ社殿群と、海中にそびえ立つ高さ約16メートルの朱塗りの大鳥居です。潮の干満によって景観が劇的に変化し、満潮時には社殿全体が海に浮かんでいるかのような幻想的な姿を見せます。干潮時には大鳥居の足元まで歩いて近づくことができ、時間帯によって異なる表情を楽しむことができます。

本社本殿・拝殿・回廊などの社殿群は、寝殿造りの粋を極めた建築様式で、日本の古来の宗教的空間の美を体現しています。背後にそびえる弥山(みせん、標高535メートル)の原始林とともに、自然と人工建造物が見事に調和した景観は「安芸の宮島」として日本三景のひとつにも数えられています。

1996年にユネスコ世界遺産に登録され、登録基準(1)「人類の創造的才能を表現する傑作」、(2)「建築や景観デザインの発展における人類の価値の重要な交流」、(4)「人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式の優れた例」、(6)「顕著で普遍的な意義を有する出来事や信仰と関連するもの」の4つの基準を満たしています。これは、厳島神社が建築的価値・歴史的価値・宗教的価値のいずれにおいても世界的に卓越した存在であることを示しています。

厳島神社では、管絃祭や桃花祭御神能など、古来から続く伝統的な祭事が年間を通じて執り行われています。また、宮島島内には大聖院、千畳閣(豊国神社)、弥山展望台などの見どころも多く、世界遺産の社殿と合わせて一日かけて散策を楽しむことができます。

登録区分
Type
文化遺産
登録年
Designated
1996年
登録基準
Criteria
(1)、(2)、(4)、(6)
住所
Address
広島県廿日市市宮島町1−1
地図
Map
地図(Map)
アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
JR宮島口駅(徒歩約5分)宮島口桟橋よりフェリー(約10分)「宮島桟橋」下船(徒歩約5分)
URL
URL
https://www.itsukushimajinja.jp/

広島県の世界遺産を巡るモデルコース / Suggested Itinerary

広島県の2つの世界遺産は同じ日に巡ることが可能です。午前中に広島市中心部の原爆ドームと平和記念公園を見学し、午後にJR山陽本線で宮島口へ移動(約30分)、フェリーで宮島に渡って厳島神社を参拝するルートが定番です。厳島神社の大鳥居は、満潮時と干潮時で全く異なる景色を見せるため、事前に潮汐表を確認しておくと、より印象的な体験ができるでしょう。