滋賀県の世界遺産 一覧・まとめ / UNESCO World Heritage Sites in Shiga ~文化遺産(負の世界遺産、文化的景観、産業遺産、近代化遺産、稼働遺産)、自然遺産、複合遺産、危機遺産~
滋賀県は日本最大の湖・琵琶湖を擁し、古くから京都と並ぶ日本文化の中心地として栄えてきました。その歴史的・文化的価値は世界にも認められており、滋賀県内にはユネスコ世界遺産の構成資産が存在します。琵琶湖の西岸にそびえる比叡山は、日本仏教の母山として1200年以上の歴史を持ち、「古都京都の文化財」の一部として世界遺産に登録されています。
世界遺産とは、ユネスコ総会で採択された世界遺産条約「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」に基づいて登録された遺跡、景観、自然などの人類が共有すべき「顕著な普遍的価値」を持ち、移動が不可能な物件を指します。世界遺産登録の本来の目的は、自然や文化的に価値のあるものを保護・保全し、過去から未来へと伝えていくことです。
一方で、世界遺産に登録されることで知名度が向上し、観光名所としてのブランド力を持つことも近年では期待されています。滋賀県の世界遺産もまた、歴史的・宗教的な保護対象であると同時に、国内外から多くの観光客が訪れる文化観光の拠点となっています。
このページでは、滋賀県に所在する世界遺産の構成資産について、登録の経緯や歴史的背景、見どころ、アクセス情報を詳しく紹介します。
まず、世界遺産が登録される基準を下記に記載します。
- (1) 人類の創造的才能を表現する傑作。
- (2) ある期間を通じてまたはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。
- (3) 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠。
- (4) 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例。
- (5) ある文化(または複数の文化)を代表する伝統的集落、あるいは陸上ないし海上利用の際立った例。もしくは特に不可逆的な変化の中で存続が危ぶまれている人と環境の関わりあいの際立った例。
- (6) 顕著で普遍的な意義を有する出来事、現存する伝統、思想、信仰または芸術的、文学的作品と直接にまたは明白に関連するもの(この基準は他の基準と組み合わせて用いるのが望ましいと世界遺産委員会は考えている)。
- (7) ひときわすぐれた自然美及び美的な重要性をもつ最高の自然現象または地域を含むもの。
- (8) 地球の歴史上の主要な段階を示す顕著な見本であるもの。これには生物の記録、地形の発達における重要な地学的進行過程、重要な地形的特性、自然地理的特性などが含まれる。
- (9) 陸上、淡水、沿岸および海洋生態系と動植物群集の進化と発達において進行しつつある重要な生態学的、生物学的プロセスを示す顕著な見本であるもの。
- (10) 生物多様性の本来的保全にとって、もっとも重要かつ意義深い自然生息地を含んでいるもの。これには科学上または保全上の観点から、すぐれて普遍的価値を持つ絶滅の恐れのある種の生息地などが含まれる。
(1)~(6)を満たすものが文化遺産、(7)~(10)を満たすものが自然遺産、文化遺産と自然遺産の条件をそれぞれ1つ以上を満たすものが複合遺産としての登録基準となります。
以下で紹介する世界遺産の「登録基準」項目の記載番号は上記の世界遺産登録基準の番号に対応しています。
滋賀県の世界遺産 一覧・まとめ / UNESCO World Heritage Sites in Shiga ~文化遺産(負の世界遺産、文化的景観、産業遺産、近代化遺産、稼働遺産)、自然遺産、複合遺産、危機遺産~
滋賀県には、1994年にユネスコ世界文化遺産に登録された「古都京都の文化財」の構成資産のひとつとして、比叡山延暦寺が含まれています。「古都京都の文化財」は京都府と滋賀県にまたがる17の寺社・城で構成されており、滋賀県からは延暦寺が唯一の構成資産として登録されています。平安時代から続く日本仏教の聖地であり、数多くの名僧を輩出した比叡山延暦寺は、日本の宗教史・文化史において極めて重要な位置を占めています。
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古都京都の文化財 / Koto Kyoto No Bunkazai[Historic Monuments of Ancient Kyoto]
「古都京都の文化財」は、794年の平安京遷都から江戸時代に至るまで、日本の政治・文化の中心地であった京都と、その周辺地域に残る歴史的建造物群で構成される世界文化遺産です。登録基準(2)「建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの」と、登録基準(4)「人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例」の2つの基準を満たしています。
構成資産17件のうち、京都府に16件、滋賀県に1件(比叡山延暦寺)が所在しています。これらの構成資産は、日本の木造建築技術の発展、庭園文化の成熟、宗教建築の多様性を示す貴重な文化財として、世界的にその価値が認められています。
| 登録区分 Type |
文化遺産 |
| 登録年 Designated |
1994年 |
| 登録基準 Criteria |
(2)、(4) |
比叡山延暦寺 / Hiei Zan Enryaku Ji[Enryaku Ji Temple on Mount Hiei]
比叡山延暦寺は、788年(延暦7年)に伝教大師最澄が比叡山に一乗止観院(現在の根本中堂)を建立したことに始まる天台宗の総本山です。標高848メートルの比叡山全域を境内とし、東塔(とうどう)・西塔(さいとう)・横川(よかわ)の三塔十六谷からなる広大な寺域を有しています。
延暦寺の歴史的意義
延暦寺は「日本仏教の母山」と称されるほど、日本の仏教史において重要な役割を果たしてきました。平安時代から鎌倉時代にかけて、延暦寺で学んだ僧侶たちが日本仏教の各宗派を開いています。浄土宗の開祖・法然、浄土真宗の開祖・親鸞、臨済宗の開祖・栄西、曹洞宗の開祖・道元、日蓮宗の開祖・日蓮、時宗の開祖・一遍など、日本仏教を代表する高僧たちが比叡山で修行を積みました。このことから、延暦寺は日本仏教の発展に計り知れない影響を与えた場所として、宗教史上の価値が極めて高いとされています。
1571年には織田信長による比叡山焼き討ちにより多くの堂塔が焼失しましたが、その後、豊臣秀吉や徳川家康の支援により復興が進められました。現在の根本中堂は1642年(寛永19年)に徳川家光によって再建されたものです。
延暦寺の見どころ
延暦寺の中心的な堂宇である根本中堂(国宝)は、東塔地区に位置する延暦寺最大の仏堂です。堂内には最澄が灯して以来1200年以上消えることなく燃え続けている「不滅の法灯」が安置されており、日本仏教の精神的象徴となっています。根本中堂は現在、約60年ぶりとなる大改修工事が行われており、普段は見ることのできない屋根の高さからの見学が可能です。
東塔(とうどう)地区は延暦寺発祥の地であり、根本中堂のほか、大講堂、戒壇院、阿弥陀堂などが立ち並びます。大講堂には比叡山で修行した各宗派の開祖の肖像画が掲げられています。
西塔(さいとう)地区は東塔から北へ約1キロメートルに位置し、釈迦堂(転法輪堂、重要文化財)を中心とする静寂な修行の場です。釈迦堂は延暦寺に現存する最古の建築物で、もとは三井寺の園城寺金堂を豊臣秀吉が移築したものです。にない堂(常行堂と法華堂を渡り廊下で結んだ建物)も西塔の見どころのひとつです。
横川(よかわ)地区は西塔からさらに北へ約4キロメートルに位置する最も山奥の地区で、横川中堂を中心に元三大師堂(四季講堂)などがあります。元三大師堂はおみくじ発祥の地としても知られ、慈恵大師良源(元三大師)がここでおみくじの原型を考案したと伝えられています。
四季折々の魅力
比叡山は標高が高いため市街地より気温が低く、四季を通じて豊かな自然を楽しめます。春は桜と新緑、夏は市街地より涼しい避暑地として、秋は境内を彩る紅葉の名所として、冬は雪に包まれた静寂の山寺として、それぞれ異なる趣を見せます。特に秋の紅葉シーズンには、東塔から横川にかけてのドライブウェイ沿いの紅葉が見事で、多くの参拝者・観光客で賑わいます。
| 住所 Address |
滋賀県大津市坂本本町4220 |
| 地図 Map |
地図(Map) |
| アクセス・最寄り駅 Access, Nearest station |
ケーブル坂本駅より坂本ケーブル(約15分)「延暦寺」下車(徒歩約15分)、ケーブル八瀬駅より叡山ケーブル(約10分)「ケーブル比叡」下車(徒歩約45分)。車の場合は比叡山ドライブウェイまたは奥比叡ドライブウェイを利用。 |
| URL URL |
https://www.hieizan.or.jp/ |

