東京都の城・城跡・城址まとめ・一覧 / Japanese Castles in Tokyo – Japan’s Top 100 Castles ~日本100名城と天守のある城(現存天守、復元天守、復興天守、模擬天守)、天守の分類・種類・指定文化財などの観点でみる歴史的建造物、梅・桜・紅葉も楽しめる名所・スポット~

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親記事:日本全国・都道府県の城・城跡・城址まとめ・一覧 / Japanese Castles in Japan – Japan's Top 100 Castles ~日本100名城と天守のある城(現存天守、復元天守、復興天守、模擬天守)、天守の分類・種類・指定文化財などの観点でみる歴史的建造物、梅・桜・紅葉も楽しめる名所・スポット~

日本には約25,000もの城跡が存在し、そのうち東京都にも歴史的価値の高い城・城跡が数多く残されています。これらの城は、戦国時代から江戸時代にかけての武家社会の変遷を物語る貴重な文化遺産であり、当時の建築技術、軍事戦略、そして統治システムを今に伝える重要な歴史的建造物です。

東京都の城の特徴として、江戸城のような平城から八王子城のような山城まで、多様な城郭形態が見られます。特に江戸城は徳川幕府の政治的中枢として約260年にわたり日本の中心に君臨し、現在の皇居として国の象徴的存在となっています。また、八王子城は関東屈指の山城として、北条氏の築城技術の粋を集めた要塞であり、日本100名城にも選定されています。

近年では「日本100名城」「続日本100名城」の選定、大河ドラマ、映画、アニメなどの影響により、城郭観光への関心が国内外から高まっています。城跡は歴史学習の場としてだけでなく、都市部のオアシスとして市民の憩いの場にもなっており、観光スポットとしての価値も年々向上しています。

また、東京都の城・城跡の多くは、春の梅や桜、初夏の新緑、秋の紅葉など四季折々の自然美を楽しめる名所としても知られています。歴史探訪と自然観賞を同時に楽しめる点が、幅広い年齢層の訪問者に支持される理由となっています。

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本記事では、東京都に現存する代表的な城・城跡・城址を、日本100名城の選定状況、天守の分類(現存天守、復元天守、復興天守、模擬天守)、国の史跡・特別史跡などの文化財指定、さらには季節ごとの見どころという多角的な視点から詳しく紹介します。歴史愛好家から家族連れ、外国人観光客まで、すべての方に役立つ実用的な情報をお届けします。

東京都の城・城跡・城址まとめ・一覧 / Japanese Castles in Tokyo – Japan’s Top 100 Castles ~日本100名城と天守のある城(現存天守、復元天守、復興天守、模擬天守)、天守の分類・種類・指定文化財などの観点でみる歴史的建造物、梅・桜・紅葉も楽しめる名所・スポット~

江戸城 / Edo Jou[Edo Castle]

江戸城は、東京都千代田区に位置する日本を代表する城郭であり、現在の皇居の前身となった歴史的建造物です。1457年に太田道灌によって築城され、その後徳川家康が1590年に入城してから大規模な拡張工事が行われ、江戸幕府の政治的・経済的中枢として約260年間機能しました。

江戸城の最大の特徴は、その壮大なスケールです。総面積は約230ヘクタールにも及び、江戸時代には日本最大の城郭として君臨していました。本丸、二の丸、三の丸という三重の防御構造を持ち、外堀・内堀を含めた総延長は約16キロメートルに達します。特に石垣の技術は当時の最高水準を示しており、各地の大名が動員されて築かれた「天下普請」の代表例として建築史上も重要な価値を持っています。

かつて存在した江戸城天守は、1638年に完成した寛永度天守が最後のもので、高さ約58メートル(石垣を含む)という日本最大級の規模を誇りました。しかし、1657年の明暦の大火により焼失し、その後は再建されることなく現在に至っています。天守台のみが残され、訪問者は当時の壮大さを想像することができます。

現在、江戸城の跡地は皇居として利用されており、皇居東御苑は一般公開されています。東御苑では、天守台、富士見櫓、百人番所など江戸時代の遺構を見学できるほか、江戸城の歴史を学べる展示施設も整備されています。春には桜、秋には紅葉が美しく、都会の中のオアシスとして多くの人々に親しまれています。

江戸城は「日本100名城」の第21番に選定されており、また国の特別史跡として最高レベルの文化財指定を受けています。富士見櫓、伏見櫓、桜田巽櫓などは重要文化財に指定されており、江戸時代の建築技術を今に伝える貴重な建造物です。

見どころポイント

  • 天守台:かつて日本最大の天守が建っていた石垣。頂上からは東京の景色を一望できます
  • 富士見櫓:現存する数少ない江戸城の櫓建築。天守代用として使われた歴史があります
  • 二重橋:皇居の象徴的な橋。正式名称は「鉄橋」で、手前の石橋とセットで二重橋と呼ばれています
  • 桜田門:国の重要文化財。幕末の「桜田門外の変」の舞台として歴史的に重要な場所です
  • 大手門:江戸城の正門。現在は皇居東御苑の入口として利用されています

季節の見どころ

  • 春(3月下旬〜4月上旬):約280本の桜が咲き誇り、千鳥ヶ淵周辺は東京屈指の桜の名所として知られています
  • 秋(11月下旬〜12月上旬):紅葉が美しく、特に二の丸庭園の紅葉は見事です
  • 初夏(6月):二の丸庭園の花菖蒲が見頃を迎えます
築城年
Year of Built
1457年(長禄元年)
築城主
Founder
太田道灌(扇谷上杉氏の家臣)
指定
Designation
日本100名城(第21番)[Japan’s Top 100 Castles]、国の特別史跡(National Special Historic Site)、重要文化財(Important Cultural Property:富士見櫓、伏見櫓、桜田巽櫓等)
天守の分類・種類
Castle Tower Classification
天守なし(1657年明暦の大火で焼失後、再建されず。天守台のみ現存)
住所
Address
東京都千代田区千代田1-1(皇居東御苑)
地図
Map
地図(Map)
開城時間
Opening hours
9:00~16:30(入園は16:00まで)
※時期により変動あり:3月1日~4月14日、9月1日~10月末は~17:00(入園は16:30まで)、4月15日~8月末は~18:00(入園は17:30まで)、11月1日~2月末日は~16:00(入園は15:30まで)
入城料
Admission fee
無料(Free)
定休日
Holiday
月曜日、金曜日(ただし天皇誕生日以外の国民の祝日等の休日は公開)、12月28日~1月3日、行事等により休園する場合あり
アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
大手門:東京メトロ各線「大手町駅」C13a出口より徒歩約5分、JR線「東京駅」丸の内北口より徒歩約15分
平川門:東京メトロ東西線「竹橋駅」1a出口より徒歩約5分
北桔橋門:東京メトロ東西線「竹橋駅」1a出口より徒歩約5分
駐車場
Parking Lot
専用駐車場なし。周辺に複数の有料駐車場あり(大手町、丸の内エリア)
公式サイト
Official Website
宮内庁ホームページ(皇居東御苑)

八王子城 / Hachiohji Jou[Hachiohji Castle]

八王子城は、東京都八王子市にある戦国時代の山城で、標高約460メートルの深沢山(現在の城山)に築かれた難攻不落の要塞です。1587年に北条氏照によって築城され、関東地方を支配した後北条氏の重要な支城として機能していました。北条氏の本城である小田原城の西方防衛と、甲斐(山梨県)方面への備えを目的とした戦略的に重要な城郭でした。

八王子城の最大の特徴は、その高度な築城技術と複雑な縄張りです。山頂部の「要害地区(詰城)」、中腹の「居館地区(御主殿)」、山麓の「根小屋地区」という三つのエリアで構成される典型的な中世山城の構造を持ち、日本五大山岳城の一つに数えられています。特に御主殿跡周辺は、石垣、虎口、曲輪などの遺構が良好に残されており、戦国時代の山城の実態を知る上で非常に貴重な史跡となっています。

1590年、豊臣秀吉による小田原征伐の際に、前田利家、上杉景勝らの軍勢約15,000人に攻められ、わずか一日で落城しました。この戦いで城主の北条氏照は小田原城にいたため不在でしたが、城を守っていた家臣や領民約3,000人が犠牲となったと伝えられています。御主殿の滝では多くの女性や子どもが身を投げたという悲劇の歴史があり、現在も供養が続けられています。

八王子城跡は、1951年に国の史跡に指定され、2006年には「日本100名城」の第22番に選定されました。現在は八王子城跡保存整備事業により、登山道の整備、御主殿跡の復元整備、ガイダンス施設の設置などが行われ、史跡公園として市民や観光客に親しまれています。

城跡へのアクセスは、麓のガイダンス施設から御主殿跡までは徒歩約15分、本丸跡までは徒歩約40~50分です。本格的な山城のため、登山に適した服装と靴での訪問が推奨されます。特に本丸跡までの道は急峻な箇所もあり、体力に自信のある方向けのコースとなっています。

見どころポイント

  • 御主殿跡:城主の居館があった場所。石垣、虎口、庭園跡などが復元整備されています
  • 御主殿の滝:落城時の悲劇の舞台。現在も慰霊碑があり、供養が続けられています
  • 曳橋:御主殿への入口にかかる木橋。発掘調査に基づいて復元されました
  • 本丸跡:山頂の要害地区。八王子市街や関東平野を一望できる絶景ポイントです
  • 八王子神社:城の守護神を祀る神社。城の名前の由来となった場所です
  • ガイダンス施設:八王子城の歴史や構造を学べる展示施設。VR映像で往時の城の姿を体験できます

季節の見どころ

  • 春(4月上旬〜中旬):登山道沿いに山桜が咲き、新緑とのコントラストが美しい季節です
  • 初夏(5月〜6月):新緑が鮮やかで、爽やかな空気の中でのハイキングに最適です
  • 秋(11月中旬〜下旬):紅葉が見事で、特に御主殿跡周辺の紅葉は必見です
  • 冬(12月〜2月):空気が澄んでいる日は、本丸跡から富士山の眺望を楽しめます

訪問時の注意点

  • 本格的な山城のため、動きやすい服装と滑りにくい靴での訪問を推奨します
  • 本丸跡までは往復で約90分~2時間程度を要します。時間に余裕を持って訪問してください
  • 夏季は虫除け対策、熱中症対策が必要です。飲料水を持参してください
  • 雨天時や雨上がりは道が滑りやすくなるため、十分注意してください
  • 冬季は日没が早いため、早めの時間帯での訪問をおすすめします
築城年
Year of Built
1587年(天正15年)
築城主
Founder
北条氏照(後北条氏第3代当主・北条氏康の三男)
指定
Designation
日本100名城(第22番)[Japan’s Top 100 Castles]、国の史跡(National Historic Site)、日本五大山岳城(Japan Five Major Mountain Castles)
天守の分類・種類
Castle Tower Classification
天守なし(中世山城のため天守は存在せず)
住所
Address
東京都八王子市元八王子町3丁目2664-2(八王子城跡管理棟)
地図
Map
地図(Map)
開城時間
Opening hours
24時間(城跡への入場制限なし)
ガイダンス施設:9:00~17:00(4月~10月)、9:00~16:00(11月~3月)
入城料
Admission fee
無料(Free)
定休日
Holiday
城跡:無休(Open all year round)
ガイダンス施設:年末年始(12月29日~1月3日)
アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
電車・バス:JR中央線・横浜線・八高線「高尾駅」北口より西東京バス「霊園前・工学院大学」経由バスで約7分、「霊園前」バス停下車、徒歩約15分でガイダンス施設
京王線利用:京王線「京王八王子駅」よりバスで約20分、「霊園前」バス停下車
※本丸跡までは、ガイダンス施設から徒歩約40~50分
駐車場
Parking Lot
無料駐車場あり(普通車約50台、大型バス数台可)。ガイダンス施設横に設置
公式サイト
Official Website
八王子市公式サイト(八王子城跡)
問い合わせ
Contact
八王子城跡管理棟 TEL:042-664-7026(土日祝のみ開館)
八王子市教育委員会文化財課 TEL:042-620-7265

東京都のその他の城跡・関連史跡

日本100名城には選定されていませんが、東京都内には他にも歴史的価値のある城跡や関連史跡が複数存在します。

滝山城跡(八王子市)

続日本100名城(第122番)に選定されている中世山城。北条氏照が八王子城築城前に居城としていた城で、保存状態が良好な曲輪や空堀が残されています。国の史跡に指定されており、桜の名所としても知られています。

品川台場(港区・品川区)

江戸時代末期にペリー来航に備えて築かれた海上砲台。正式名称は「品川御台場」。現在は第三台場と第六台場が残存し、国の史跡に指定されています。お台場という地名の由来となった場所です。

石神井城跡(練馬区)

室町時代に豊島氏が築いた平山城。石神井公園内に遺構が残されており、都内の貴重な中世城郭跡として練馬区の史跡に指定されています。

世田谷城跡(世田谷区)

世田谷区にあった中世の平城跡。現在は豪徳寺の境内と世田谷城址公園として整備されています。井伊直弼の墓所がある豪徳寺と併せて訪問することができます。

東京都の城跡巡りのポイント

交通アクセス

東京都内の城跡は公共交通機関でのアクセスが便利です。江戸城(皇居東御苑)は都心部にあり、複数の駅から徒歩圏内です。八王子城跡は山間部にあるため、バスの本数に注意が必要です。事前に時刻表を確認することをおすすめします。

所要時間の目安

  • 江戸城(皇居東御苑):御苑内の見学のみであれば1~2時間、周辺の外堀や桜田門等も含めると3~4時間
  • 八王子城跡:ガイダンス施設と御主殿跡のみであれば1.5~2時間、本丸跡まで登る場合は3~4時間

ベストシーズン

城跡巡りは基本的に年間を通じて楽しめますが、以下の時期が特におすすめです:

  • 春(3月下旬~4月中旬):桜の開花時期。江戸城周辺の千鳥ヶ淵は東京屈指の桜の名所
  • 秋(11月中旬~12月上旬):紅葉が美しく、気候も穏やかで散策に最適
  • 初夏(5月~6月):新緑が美しく、過ごしやすい気候。八王子城跡のハイキングに最適

スタンプラリー

日本100名城のスタンプラリーに参加する場合、以下の場所でスタンプを押すことができます:

  • 江戸城:皇居東御苑内の楠公レストハウス
  • 八王子城:八王子城跡管理棟(ガイダンス施設)

服装と持ち物

  • 江戸城:一般的な観光の服装でOK。日傘や帽子があると便利です
  • 八王子城跡:動きやすい服装、トレッキングシューズまたは運動靴、飲料水、タオル必須。本丸まで登る場合は軽登山の装備を推奨

城跡観光と併せて楽しめる周辺スポット

江戸城周辺

  • 東京駅丸の内駅舎:重要文化財に指定された赤レンガ造りの美しい駅舎
  • 日比谷公園:日本初の洋風近代式公園。季節の花々が楽しめます
  • 千鳥ヶ淵:桜の名所として有名。ボート遊びも楽しめます
  • 靖国神社:歴史的に重要な神社。遊就館では近代史の資料を見学できます
  • 北の丸公園:科学技術館や日本武道館がある緑豊かな公園

八王子城跡周辺

  • 高尾山:ミシュラン三つ星を獲得した観光地。ケーブルカーで気軽に登山できます
  • 高尾山薬王院:約1,200年の歴史を持つ真言宗の古刹
  • 高尾599ミュージアム:高尾山の自然と歴史を学べる無料の博物館
  • 滝山城跡:続日本100名城。八王子城とセットで訪問するのもおすすめです

まとめ

東京都の城・城跡は、徳川幕府の政治の中心であった江戸城から、戦国時代の山城である八王子城まで、多様な歴史と文化を体験できる貴重な史跡群です。これらの城跡は単なる歴史遺産としてだけでなく、都市部の貴重な緑地空間として、また季節ごとの自然美を楽しめる観光スポットとして、多くの人々に親しまれています。

特に江戸城(皇居東御苑)は、日本の近世史を象徴する最重要史跡であり、無料で一般公開されているため、国内外から年間を通じて多くの訪問者が訪れます。一方、八王子城跡は本格的な山城体験ができる貴重な史跡で、歴史探訪とハイキングを同時に楽しめる点が魅力です。

日本100名城スタンプラリーに参加している方、歴史や城郭建築に興味のある方、四季折々の自然を楽しみたい方、家族でのお出かけ先をお探しの方など、様々な目的で東京都の城跡巡りをお楽しみください。各城跡にはそれぞれ異なる魅力があり、何度訪れても新しい発見があるはずです。

本記事が、皆様の東京都における城跡巡りの参考となり、充実した歴史探訪の一助となれば幸いです。