千葉県の城・城跡・城址まとめ・一覧 / Japanese Castles in Chiba – Japan’s Top 100 Castles ~日本100名城と天守のある城(現存天守、復元天守、復興天守、模擬天守)、天守の分類・種類・指定文化財などの観点でみる歴史的建造物、梅・桜・紅葉も楽しめる名所・スポット~

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親記事:日本全国・都道府県の城・城跡・城址まとめ・一覧 / Japanese Castles in Japan – Japan's Top 100 Castles ~日本100名城と天守のある城(現存天守、復元天守、復興天守、模擬天守)、天守の分類・種類・指定文化財などの観点でみる歴史的建造物、梅・桜・紅葉も楽しめる名所・スポット~

千葉県の城郭文化と歴史的価値

日本全国には約25,000もの城・城跡・城址が残されており、それぞれが日本の歴史や文化、当時の生活様式を現代に伝える貴重な遺産となっています。これらの史跡は単なる観光地としてだけでなく、戦国時代から江戸時代にかけての政治・軍事・文化の中心地として、地域の発展に大きな役割を果たしてきました。

千葉県は関東地方の東部に位置し、江戸(現在の東京)への重要な交通路として、また房総半島という地理的特性から、多くの戦国大名が覇権を争った歴史的に重要な地域です。県内には里見氏、千葉氏、土岐氏などの有力大名が築いた城郭が数多く残されており、それぞれが独自の築城技術と歴史的背景を持っています。

千葉県の城の特徴と見どころ

近年では、2006年に財団法人日本城郭協会が選定した「日本100名城」の発表や、NHK大河ドラマでの城郭の登場、さらには城を舞台にした映画やCMの影響により、城郭観光への関心が大きく高まっています。特に歴史ファンや城郭愛好家の間では「城巡り」が人気の趣味となっており、週末には多くの観光客が訪れています。

千葉県内の城郭は、関東平野の地形を活かした平山城が多く、天然の要害を利用した堅固な防御構造が特徴です。また、江戸時代には江戸城の防衛拠点としても重要な役割を果たし、親藩や譜代大名が配置されました。

四季折々の魅力を楽しめる城郭スポット

当サイトでもご紹介している通り、城・城跡・城址は歴史的建造物としての価値だけでなく、四季折々の自然美を楽しめる観光スポットとしても高い評価を得ています。春には梅や桜が咲き誇り、秋には紅葉が城郭を彩ります。多くの城郭が公園として整備されており、地域住民の憩いの場としても親しまれています。

本記事では、千葉県内の代表的な城郭を、日本100名城の選定状況、天守の分類・種類(現存天守、復元天守、復興天守、模擬天守)、国・県・市の指定文化財などの観点から詳しくご紹介します。各城郭の歴史的背景、建築的特徴、アクセス方法、見学情報を網羅的にまとめていますので、城郭巡りの計画にぜひお役立てください。

千葉県の城・城跡・城址まとめ・一覧 / Japanese Castles in Chiba – Japan's Top 100 Castles ~日本100名城と天守のある城(現存天守、復元天守、復興天守、模擬天守)、天守の分類・種類・指定文化財などの観点でみる歴史的建造物、梅・桜・紅葉も楽しめる名所・スポット~

佐倉城 / Sakura Jou[Sakura Castle]

佐倉城は、千葉県佐倉市にある平山城で、「日本100名城」(第19番)に選定されている千葉県を代表する名城です。戦国時代に鹿島親幹によって築城が開始され、江戸時代には佐倉藩の藩庁として、江戸の東方を守る重要な拠点となりました。

本佐倉城から移転する形で築かれたこの城は、土井利勝による大規模な拡張工事を経て、総石高11万石の大藩の居城として整備されました。歴代城主には堀田氏、松平氏など徳川家に近い譜代大名が配置され、老中を多く輩出した名門の城として知られています。

現在は佐倉城址公園として整備され、空堀や土塁などの遺構が良好な状態で保存されています。園内には国立歴史民俗博物館が併設されており、日本の歴史と文化を学ぶことができます。また、春には約50品種1,100本の桜が咲き誇る桜の名所としても有名で、「日本さくら名所100選」にも選ばれています。

見どころポイント

  • 広大な城郭遺構:本丸、二の丸、三の丸の縄張りが明確に残されており、江戸時代の城郭構造を体感できます
  • 国立歴史民俗博物館:日本の歴史と文化を総合的に展示する国内最大級の博物館
  • 四季の自然:春の桜、初夏の新緑、秋の紅葉と、年間を通じて美しい景観が楽しめます
  • 天守台跡:天守は建設されませんでしたが、天守台から城下を見渡す眺望は必見です
築城年
Year of Built
1532年〜1555年頃(本格的な築城は1610年〜1611年)
築城主
Founder
鹿島親幹(初期)、土井利勝(江戸期の拡張整備)
指定
Designation
日本100名城(Japan's Top 100 Castles・第19番)、佐倉市史跡(Sakura City Historic Site)、日本さくら名所100選
天守の分類・種類
Castle Tower Classification
天守なし(天守台のみ現存)
城郭構造
Castle Structure
連郭式平山城
住所
Address
千葉県佐倉市城内町官有無番地
地図
Map
地図(Map)
開城時間
Opening hours
24時間(公園は常時開放、国立歴史民俗博物館は9:30〜17:00)
入城料
Admission fee
無料(Free) ※国立歴史民俗博物館は別途入館料が必要
定休日
Holiday
無休(Open all year round) ※国立歴史民俗博物館は月曜休館
アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
京成佐倉駅(徒歩約20分)、京成佐倉駅よりちばグリーンバス田町車庫行き(約5分)「国立博物館入口」・「国立歴史民俗博物館前」下車(徒歩約5分)、
JR佐倉駅(徒歩約25分)、JR佐倉駅よりちばグリーンバス田町車庫行き(約5分)「国立博物館入口」・「国立歴史民俗博物館前」下車(徒歩約5分)
駐車場
Parking Lot
約200台 無料(Free)
見学所要時間
Tour Duration
約1〜2時間(博物館見学を含む場合は3〜4時間)

大多喜城 / Otaki Jou[Otaki Castle]

大多喜城は、千葉県夷隅郡大多喜町に位置する平山城で、房総半島の中央部に築かれた戦略的要衝の城郭です。真里谷信清によって1521年に築城され、後に「槍の半蔵」として知られる徳川四天王の一人・本多忠勝が城主となり、大規模な改修を行いました。

本多忠勝は関ヶ原の戦いでの功績により、徳川家康から大多喜5万石を与えられ、この地を拠点として房総の統治にあたりました。忠勝は城下町の整備にも力を入れ、現在の大多喜町の基礎を築きました。城下には武家屋敷や商家が建ち並び、房総の小江戸として繁栄しました。

明治時代の廃城後、建物は失われましたが、昭和50年(1975年)に天守が再建されました。現在の天守は模擬天守で、内部は千葉県立総南博物館大多喜城分館として、房総の城郭や武具、本多忠勝に関する資料などが展示されています。また、城下町には江戸時代の面影を残す町並みが保存されており、散策も楽しめます。

見どころポイント

  • 模擬天守:昭和に再建された4層5階の天守で、内部は博物館として公開
  • 本多忠勝の歴史:徳川四天王の一人として名高い武将の業績を学べます
  • 城下町散策:大手門跡、薬医門、武家屋敷など、江戸時代の遺構が点在
  • いすみ鉄道:のどかな田園風景の中を走るローカル線の旅も魅力
築城年
Year of Built
1521年(本格的な改修は1590年代・本多忠勝による)
築城主
Founder
真里谷信清(初期)、本多忠勝(改修整備)
指定
Designation
千葉県史跡(Chiba Prefecture Historic Site)
天守の分類・種類
Castle Tower Classification
模擬天守(1975年再建)
城郭構造
Castle Structure
連郭式平山城
住所
Address
千葉県夷隅郡大多喜町大多喜481
地図
Map
地図(Map)
開城時間
Opening hours
9:00〜16:30(最終入館16:00)
入城料
Admission fee
一般200円、高・大学生100円、小・中学生、65歳以上・障害者手帳保持者無料(Free)
定休日
Holiday
毎週月曜日(祝日の場合は翌日)、12月26日〜1月4日
アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
いすみ鉄道大多喜駅(徒歩約20分)、タクシー利用で約5分
駐車場
Parking Lot
約50台 無料(Free)
見学所要時間
Tour Duration
約1時間(城下町散策を含む場合は2〜3時間)

久留里城 / Kururi Jou[Kururi Castle]

久留里城は、千葉県君津市久留里に位置する山城で、上総国の中心的な城郭として重要な役割を果たしました。1456年に武田信長(甲斐武田氏の一族で上総武田氏の祖)によって築城されたと伝えられ、「雨城(あまじろ)」の別名を持ちます。この名は、城に霧や雨が多いことに由来しています。

戦国時代には里見氏の支配下にあり、北条氏との激しい攻防戦が繰り広げられました。江戸時代に入ると、徳川家康の家臣・土屋忠直が城主となり、上総国の要として整備されました。城下には湧水が豊富で、「久留里の名水」として現在も親しまれています。

明治時代の廃城後、建造物は失われましたが、昭和54年(1979年)に二層二階の模擬天守が再建されました。標高145メートルの山頂にあり、天守からは君津市街や周辺の山々を一望できます。また、登城路には石垣や井戸跡などの遺構が残されており、往時の面影を偲ぶことができます。

見どころポイント

  • 山城の風情:標高145mの山頂に建つ天守からの眺望が素晴らしい
  • 久留里城址資料館:城の歴史や地域の文化財を展示
  • 名水百選:城下に湧く「久留里の名水」は平成の名水百選に選定
  • 登城路:石垣や曲輪などの遺構が残り、山城ならではの雰囲気を味わえます
築城年
Year of Built
1456年(享徳5年)
築城主
Founder
武田信長(上総武田氏)
指定
Designation
君津市史跡
天守の分類・種類
Castle Tower Classification
模擬天守(1979年再建)
城郭構造
Castle Structure
連郭式山城
別名
Other Names
雨城(あまじろ)
住所
Address
千葉県君津市久留里448
地図
Map
地図(Map)
開城時間
Opening hours
9:00〜16:30(天守内部)
入城料
Admission fee
無料(Free)
定休日
Holiday
月曜日(祝日の場合は翌日)、祝日の翌日、12月28日~1月4日
アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
JR久留里線久留里駅より自動車(約5分)、JR久留里線久留里駅(徒歩約40分)※登城は徒歩のみ
駐車場
Parking Lot
約130台 無料(Free)※山麓の資料館駐車場から徒歩約15分で天守
見学所要時間
Tour Duration
約1時間30分(登城・下城含む)

館山城 / Tateyama Jou[Tateyama Castle]

館山城は、千葉県館山市の城山(標高約70m)に築かれた山城で、戦国時代に房総を支配した里見氏の居城として知られています。1580年(天正8年)に里見義康によって築城され、「南総里見八犬伝」で有名な里見氏の本拠地として、房総支配の中心となりました。

里見氏は鎌倉時代から続く名門で、戦国時代には房総半島の大部分を支配する有力大名でした。館山城は房総半島南端の要衝に位置し、海上交通の要所として重要な役割を果たしました。しかし、関ヶ原の戦い後、里見氏は改易となり、城は廃城となりました。

昭和57年(1982年)に、犬山城の天守を模した模擬天守が再建され、内部は「館山市立博物館本館」として里見氏の歴史や房総の文化を紹介しています。城山公園として整備された周辺は、椿や梅、桜、つつじなど四季折々の花が楽しめる名所となっており、特に春の桜シーズンには多くの観光客で賑わいます。

見どころポイント

  • 館山市立博物館:里見氏の歴史や「南総里見八犬伝」に関する展示が充実
  • 四季の花々:椿(1〜3月)、梅(2〜3月)、桜(3〜4月)、つつじ(4〜5月)が楽しめます
  • 天守からの眺望:館山湾や太平洋を一望できる絶景スポット
  • 城山公園:孔雀園や万葉植物園など、見どころが豊富
築城年
Year of Built
1580年(天正8年)
築城主
Founder
里見義康
指定
Designation
館山市史跡
天守の分類・種類
Castle Tower Classification
模擬天守(1982年再建・犬山城天守を模した外観)
城郭構造
Castle Structure
山城
歴代城主
Historical Lords
里見氏(義康、義頼、忠義)
住所
Address
千葉県館山市館山351-2(城山公園内)
地図
Map
地図(Map)
開城時間
Opening hours
9:00〜16:45(最終入館16:30)
入城料
Admission fee
一般300円、小中学生・高校生150円
定休日
Holiday
月曜日(祝日・振替休日の場合は翌日)、火曜日が祝日の場合は月曜営業し祝日の翌日休館、12月29日~1月3日
アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
JR内房線館山駅よりJRバス・日東バス(約15分)「城山公園前」下車(徒歩約5分)、館山駅から徒歩の場合は約25分
駐車場
Parking Lot
約70台 無料(Free)
見学所要時間
Tour Duration
約1時間(公園散策を含む場合は2時間)

関宿城 / Sekiyado Jou[Sekiyado Castle]

関宿城は、千葉県野田市関宿に位置する平城で、利根川と江戸川の分岐点という水運の要衝に築かれた戦略的に重要な城郭です。室町時代に築城されたと伝えられ、簗田氏が代々城主を務めました。「関東の水運を制する者が天下を制す」と言われたほど、水運と軍事の両面で重要な位置にありました。

戦国時代には、北条氏と里見氏の勢力争いの最前線として、何度も攻防戦が繰り広げられました。江戸時代には徳川家康の異父弟・松平康元が城主となり、以後、譜代大名が配置される幕府の重要拠点として機能しました。江戸への物資輸送の中継地点として、また日光街道の宿場町としても繁栄しました。

明治時代に廃城となり、利根川の改修工事により本来の城跡は水没しましたが、平成7年(1995年)に関宿城博物館として天守が再建されました。現在の天守は模擬天守で、実際の城跡から約500m離れた場所に建てられています。博物館内では、河川と人々の生活、利根川の歴史、関宿城の歴史などが展示されており、水郷地帯ならではの文化を学ぶことができます。

見どころポイント

  • 千葉県立関宿城博物館:利根川の治水や水運の歴史を詳しく紹介
  • 水郷の景観:利根川と江戸川の分岐点という珍しい地形を観察できます
  • 天守からの眺望:関東平野を流れる大河の雄大な景色が楽しめます
  • 水辺の自然:野鳥観察やサイクリングにも適した環境
築城年
Year of Built
室町時代(15世紀後半と推定)
築城主
Founder
不明(Unknown)(簗田満助または簗田成助とされている)
指定
Designation
野田市史跡
天守の分類・種類
Castle Tower Classification
模擬天守(1995年再建・千葉県立関宿城博物館)
城郭構造
Castle Structure
平城(水城)
歴代城主
Historical Lords
簗田氏、松平(久松)氏、牧野氏など
住所
Address
千葉県野田市関宿三軒家143-4
地図
Map
地図(Map)
開城時間
Opening hours
9:00~16:30(最終入館16:00)
入城料
Admission fee
一般200円、高校・大学生100円、中学生以下・65歳以上無料(Free)
定休日
Holiday
月曜日(祝日の場合は翌日)、祝日の翌日(土日の場合は開館)、年末年始(12月28日~1月4日)
アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
東武鉄道東武野田線(東武アーバンパークライン)川間駅より朝日バス境町行き(約20分)「関宿城博物館」下車すぐ、東武日光線東武動物公園駅より朝日バス境町行き(約30分)
駐車場
Parking Lot
約100台 無料(Free)
見学所要時間
Tour Duration
約1時間

千葉県の城巡りを楽しむためのポイント

効率的な城巡りのルート計画

千葉県内の城郭は、東京湾沿岸部から内陸部まで広範囲に分布しています。効率的に巡るには、地域ごとにグループ化して計画を立てることをおすすめします。例えば、北部エリア(佐倉城、関宿城)、中部エリア(大多喜城、久留里城)、南部エリア(館山城)という具合です。

訪問に最適な季節

城郭巡りは年間を通して楽しめますが、特におすすめなのは春(3月下旬〜4月上旬)の桜シーズンと、秋(11月中旬〜12月上旬)の紅葉シーズンです。佐倉城址公園や城山公園(館山城)では、見事な桜や紅葉を楽しむことができます。

歴史学習と組み合わせる

各城郭には博物館や資料館が併設されているところが多く、展示を見学することで、城の歴史や地域の文化をより深く理解することができます。特に佐倉城の国立歴史民俗博物館、大多喜城の千葉県立総南博物館、関宿城の千葉県立関宿城博物館は、充実した展示内容で人気があります。

周辺観光との組み合わせ

城郭巡りと合わせて、周辺の観光スポットも訪れることで、より充実した旅行になります。館山市では海水浴や海鮮料理、大多喜町では城下町散策やいすみ鉄道の乗車体験、佐倉市では武家屋敷や佐倉ふるさと広場のオランダ風車など、それぞれの地域に魅力的なスポットがあります。

スタンプラリーに挑戦

佐倉城は「日本100名城」に選定されており、スタンプラリーの対象となっています。全国の名城を巡りながらスタンプを集める楽しみもあります。スタンプ帳は各城郭や書店で購入できます。

アクセスと所要時間の確認

城郭によっては公共交通機関でのアクセスが不便な場合もあります。特に久留里城や関宿城は、バスの本数が少ないため、事前に時刻表を確認するか、レンタカーの利用を検討することをおすすめします。また、山城である久留里城は、登城に時間がかかるため、余裕を持ったスケジュールを組むことが大切です。

写真撮影のポイント

城郭の撮影は、午前中の順光時が最も美しく撮影できます。特に天守を撮影する場合は、太陽の位置を考慮した時間帯を選ぶとよいでしょう。また、桜や紅葉のシーズンは、自然と建造物を組み合わせた写真が撮影できる絶好の機会です。