中華人民共和国・寧夏回族自治区の世界遺産 一覧・まとめ / UNESCO World Heritage Sites in Ningxia China ~文化遺産(負の世界遺産、文化的景観、産業遺産、近代化遺産、稼働遺産)、自然遺産、複合遺産、危機遺産~
寧夏回族自治区とは ~シルクロードと黄河が育んだ歴史と文化の交差点~
寧夏回族自治区(ねいかかいぞくじちく / Ningxia Hui Autonomous Region)は、中華人民共和国の北西部に位置する自治区です。面積は約6万6,400平方キロメートルと中国の省級行政区の中で最も小さく、人口は約720万人ですが、その歴史的・文化的重要性は面積に比して極めて大きなものがあります。
寧夏の地理的特徴として、東部には毛烏素沙漠(ムウス砂漠)が広がり、西部には賀蘭山脈が南北に連なります。そして自治区の中央部を黄河が北へ向かって流れ、その流域に形成された寧夏平原(銀川平野)は古くから「塞上江南」(万里の長城の北にある江南のように豊かな土地)と称されるほど肥沃な農業地帯として栄えてきました。首府は銀川市(ぎんせんし / Yinchuan)で、かつて西夏王国(1038年〜1227年)の都として繁栄した歴史を持ちます。
寧夏はシルクロードの重要な中継地でもあり、古来より漢民族と北方遊牧民族が交錯する辺境の地として、独自の多民族文化が形成されてきました。特に回族(中国のムスリム民族)が人口の約3分の1を占め、イスラム文化と中華文化が融合した独特の生活様式・建築・食文化が見られます。
世界遺産とは
世界遺産とはユネスコ(国際連合教育科学文化機関)総会で1972年に採択された世界遺産条約「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」に基づいて、世界遺産リストに登録された遺跡、景観、自然などの物件を指します。これらは人類が共有すべき「顕著な普遍的価値(Outstanding Universal Value, OUV)」を持ち、移動が不可能な不動産が対象です。
世界遺産の登録の本来の目的は、自然災害や開発、紛争などの脅威から文化的・自然的に価値のあるものを国際的な協力のもとで保護・保全し、過去から未来へと確実に伝えていくことです。
一方で、世界遺産に登録されることで国際的な知名度が向上し、観光名所としてのブランド力を持つことも近年では大きく期待されています。実際に世界遺産登録後に観光客数が飛躍的に増加した事例は世界中に数多く見られます。
今回はそんな保護・保全をしながらも観光資源としても注目を浴びている中華人民共和国・寧夏回族自治区に関連する世界遺産を紹介します。
世界遺産の登録基準
世界遺産として登録されるためには、以下の10項目の登録基準のうち1つ以上を満たす必要があります。
世界遺産登録基準(10項目)の詳細は、出典のWikipedia「世界遺産」をご参照ください。
(1)~(6)を満たすものが文化遺産、(7)~(10)を満たすものが自然遺産、文化遺産と自然遺産の条件をそれぞれ1つ以上を満たすものが複合遺産としての登録基準となります。
以下で紹介する世界遺産の「登録基準」項目の記載番号は上記の世界遺産登録基準の番号に対応しています。
中華人民共和国・寧夏回族自治区の世界遺産 一覧・まとめ / UNESCO World Heritage Sites in Ningxia China ~文化遺産(負の世界遺産、文化的景観、産業遺産、近代化遺産、稼働遺産)、自然遺産、複合遺産、危機遺産~
寧夏回族自治区に関連する世界遺産は、17の省・自治区・直轄市にまたがる「万里の長城」です。寧夏を通過する長城の区間は、中国の長城遺跡の中でも保存状態が良好な部分が多く、北方遊牧民族との歴史的関係を物語る貴重な文化遺産となっています。
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万里の長城 / Banri No Choujou[The Great Wall]
万里の長城は、中国北部に東西約2万キロメートル以上にわたって築かれた世界最大の建築物です。紀元前7世紀頃から各国が北方遊牧民族の侵入を防ぐために城壁を築き始め、紀元前221年に秦の始皇帝がこれらを連結・拡張して本格的な長城としました。その後、漢・隋・明などの歴代王朝によって修築・延伸が繰り返され、現在残る長城の大部分は明代(1368年〜1644年)に築かれたものです。1987年にユネスコ世界文化遺産に登録されました。
寧夏における万里の長城の特徴
寧夏回族自治区には、秦代・漢代・隋代・明代など複数の時代に築かれた長城遺跡が残されています。寧夏区内の長城の総延長は約1,500キロメートルに及び、中国全土の長城遺跡の中でも特に多くの時代の長城が重層的に分布する地域として知られています。
特に注目すべきは以下の区間です。
- 固原(こげん / Guyuan)の秦長城:紀元前3世紀に築かれた秦代の長城遺跡で、中国国内に現存する最古級の長城の一つです。黄土高原の丘陵地帯に土塁として残り、2,000年以上の歳月を経てなお明確にその姿を確認できます。
- 賀蘭山東麓の明長城:銀川市の西方、賀蘭山の東麓に沿って南北に延びる明代の長城です。石造りの堅固な構造で保存状態が良く、烽火台(のろし台)が一定間隔で配置されている様子を見ることができます。
- 塩池県(えんちけん / Yanchi)の隋長城:寧夏東部に位置する塩池県には隋代に築かれた長城が残り、北方の突厥(とっけつ)に対する防衛線の痕跡を今に伝えています。
寧夏の長城は、北京郊外の八達嶺(はったつれい)長城のような整備された観光地とは異なり、荒涼とした砂漠や黄土高原の中に自然のままの姿で佇んでいます。そのため、万里の長城の本来の姿や歴史的な雰囲気をより深く体感できる場所として、歴史愛好家や写真家にも注目されています。
寧夏のその他の歴史的名所
寧夏には世界遺産の万里の長城以外にも、以下のような歴史的・文化的に重要な名所があります。これらは世界遺産には未登録ですが、寧夏を訪れる際にはぜひ足を運びたいスポットです。
- 西夏王陵(せいかおうりょう):銀川市の西約30キロメートルに位置する西夏王国の歴代皇帝の陵墓群です。「東方のピラミッド」とも称される独特の円錐形の墳丘が9基残り、中国の暫定リスト(世界遺産候補)にも掲載されています。タングート族が建てた西夏王国の栄華と独自の文化を物語る重要な遺跡です。
- 賀蘭山岩画(がらんさんがんが):賀蘭山の渓谷に残る先史時代の岩面彫刻群で、約3,000年から1万年前に刻まれたとされる人面像や動物像など数千点の岩画が分布しています。北方遊牧民族の生活や信仰を伝える貴重な資料です。
- 水洞溝遺跡(すいどうこういせき):約3万年前の旧石器時代の遺跡で、1923年にフランス人古生物学者によって発見されました。中国で最初に発掘された旧石器時代の遺跡として考古学史上重要な位置を占めています。明代の長城や軍事施設の遺跡も併存しています。
- 須弥山石窟(しゅみせんせっくつ):固原市の北西に位置する北魏から隋・唐代にかけて造営された仏教石窟群で、高さ約20メートルの大仏が有名です。シルクロードを通じた仏教伝播の証として歴史的価値が高い遺跡です。
| 登録区分 Type |
文化遺産 |
| 登録年 Designated |
1987年 |
| 登録基準 Criteria |
(1)、(2)、(3)、(4)、(6) |
| 住所 Address |
Beijing , Tianjin , Hebei , Shanxi , Inner Mongolia , Liaoning , Jilin, Shandong, Henan , Hubei , Hunan, Sichuan, Shaanxi, Gansu, Qinghai, Ningxia, Xinjiang |
| 地図 Map |
地図(Map) |
| アクセス・最寄り駅 Access, Nearest station |
秦長城:北京首都国際空港より中国国内線(2時間10分)「西安咸陽国際空港」到着後、自動車(約4時間40分) |
| URL URL |

