秋田県の城・城跡・城址まとめ・一覧 / Japanese Castles in Akita – Japan’s Top 100 Castles ~日本100名城と天守のある城(現存天守、復元天守、復興天守、模擬天守)、天守の分類・種類・指定文化財などの観点でみる歴史的建造物、梅・桜・紅葉も楽しめる名所・スポット~
秋田県の城の魅力について
日本全国に残る城・城跡・城址は、戦国時代から江戸時代にかけての歴史を物語る貴重な文化遺産です。石垣や堀、櫓などの遺構から、当時の築城技術や防衛思想、さらには地域の暮らしや文化を読み取ることができます。
秋田県には「日本100名城」に選定された久保田城をはじめ、個性豊かな城郭が点在しています。東北地方の気候風土に適応した独特の築城様式や、佐竹氏などの有力大名による統治の歴史を今に伝えています。近年では歴史ブームや大河ドラマの影響により、城郭観光への関心が高まっており、歴史愛好家だけでなく幅広い層が訪れるスポットとなっています。
また、秋田県の城址の多くは、春の梅や桜、秋の紅葉の名所としても知られています。歴史探訪と四季折々の自然美を同時に楽しめる点が、秋田の城の大きな魅力となっています。
このページでは、秋田県を代表する城・城跡・城址を、日本100名城の認定状況、天守の分類(現存天守、復元天守、復興天守、模擬天守)、文化財指定などの観点から詳しくご紹介します。各城の歴史的背景、見どころ、アクセス情報などの実用的な情報も網羅していますので、秋田県への旅行計画にぜひお役立てください。
秋田県の城・城跡・城址まとめ・一覧 / Japanese Castles in Akita – Japan’s Top 100 Castles ~日本100名城と天守のある城(現存天守、復元天守、復興天守、模擬天守)、天守の分類・種類・指定文化財などの観点でみる歴史的建造物、梅・桜・紅葉も楽しめる名所・スポット~
久保田城 / Kubota Jou[Kubota Castle]
久保田城の歴史と特徴
久保田城は、慶長9年(1604年)に常陸国から転封された佐竹義宣によって築城された平山城です。「日本100名城」(第9番)に選定されており、秋田県を代表する城郭として知られています。
久保田城の最大の特徴は、東北の大藩でありながら天守を持たなかったことです。これは財政的な理由や、徳川幕府への配慮があったとされています。代わりに本丸に二層の隅櫓(御隅櫓)が建てられ、藩政の中心となりました。現在見られる「御隅櫓」は平成元年(1989年)に復元されたもので、内部は展示室として公開されています。
城址は「千秋公園」として整備され、秋田市民の憩いの場となっています。春には約700本のソメイヨシノが咲き誇る桜の名所として、「日本さくら名所100選」にも選ばれています。また、秋の紅葉も美しく、四季を通じて多くの観光客が訪れます。
見どころ
- 御隅�櫓(模擬天守):市制100周年記念事業として復元された二層の櫓。展望台からは秋田市街を一望できます
- 表門:久保田城の正門として平成13年(2001年)に復元
- 御物頭御番所:現存する貴重な建造物で、秋田市指定文化財
- 千秋公園:春の桜、夏の新緑、秋の紅葉と四季折々の美しさを楽しめます
| 築城年 Year of Built |
1604年(慶長9年) |
| 築城主 Founder |
佐竹義宣(さたけよしのぶ) |
| 指定 Designation |
日本100名城(第9番)/ Japan’s Top 100 Castles、秋田市文化財 / Akita City Cultural Property |
| 天守の分類・種類 Castle Tower Classification |
模擬天守(御隅櫓) |
| 住所 Address |
〒010-0876 秋田県秋田市千秋公園1-1 |
| 地図 Map |
地図を見る(Google Maps) |
| 開城時間 Opening hours |
9:00~16:30(御隅櫓) |
| 入城料 Admission fee |
一般100円、高校生以下無料 / General: 100 yen, High school students and younger: Free |
| 定休日 Holiday |
12月1日~3月31日(冬季休館) |
| アクセス・最寄り駅 Access, Nearest station |
JR秋田駅から徒歩約10分 |
| 駐車場 Parking Lot |
14台(有料)、周辺にコインパーキングあり |
横手城 / Yokote Jou[Yokote Castle]
横手城の歴史と特徴
横手城は、戦国時代に小野寺氏によって築かれたとされる平山城です。正確な築城年は不明ですが、16世紀中頃には既に存在していたと考えられています。横手盆地を見渡す丘陵上に位置し、横手川を天然の堀として利用した要害でした。
慶長5年(1600年)の関ヶ原の戦いで小野寺氏が改易された後、最上氏、戸村氏を経て、元和6年(1620年)からは久保田藩佐竹氏の支城となりました。江戸時代を通じて久保田藩の南の守りとして重要な役割を果たしました。
現在の天守閣は昭和40年(1965年)に建てられた模擬天守で、内部は郷土資料館として横手の歴史や文化を紹介する展示が行われています。城址公園は「横手公園」として整備され、春には桜の名所として多くの花見客で賑わいます。また、冬の「かまくら」期間中は幻想的な雰囲気に包まれます。
見どころ
- 模擬天守(展望台):最上階からは横手盆地を一望でき、鳥海山や奥羽山脈の眺望が楽しめます
- 郷土資料館:横手の歴史や「かまくら」など地域の民俗文化を紹介
- 桜の名所:約3,000本の桜が咲き、「横手公園桜まつり」が開催されます
- 二の丸跡、三の丸跡:往時の城郭構造を偲ぶことができます
| 築城年 Year of Built |
不明(16世紀中頃と推定)/ Unknown (estimated mid-16th century) |
| 築城主 Founder |
小野寺氏 |
| 指定 Designation |
横手市指定史跡 |
| 天守の分類・種類 Castle Tower Classification |
模擬天守(昭和40年建造) |
| 住所 Address |
〒013-0008 秋田県横手市城山町29-1 |
| 地図 Map |
地図を見る(Google Maps) |
| 開城時間 Opening hours |
9:00~16:30 |
| 入城料 Admission fee |
一般100円、中学生以下無料 / General: 100 yen, Junior high school students and younger: Free |
| 定休日 Holiday |
開館期間:4月1日~11月30日、2月「かまくら」期間中のみ開館(12月・1月・3月は休館) |
| アクセス・最寄り駅 Access, Nearest station |
JR横手駅から羽後交通バス(約10分)「本町」下車、徒歩約10分 |
| 駐車場 Parking Lot |
あり(無料)/ Available (Free) |
五城目城 / Gojoume Jou[Gojoume Castle]
五城目城の歴史と特徴
五城目城は、中世に五十目(後の五城目)氏によって築かれたとされる山城です。正確な築城年代は不明ですが、15世紀頃には既に存在していたと考えられています。馬場目川と内川に挟まれた標高約100mの丘陵に位置し、交通の要衝を抑える戦略的な拠点でした。
戦国時代には、この地域の支配権をめぐって安東氏と小野寺氏が争い、五城目城もその舞台となりました。江戸時代に入ると久保田藩の支配下となり、城としての機能は失われていきました。
現在の天守閣は昭和63年(1988年)に建てられた模擬天守で、内部は「五城目町歴史資料館」として地域の歴史や民俗資料を展示しています。城址からは八郎潟や男鹿半島を望むことができ、眺望の良さでも知られています。春には約500本の桜が咲き誇り、桜まつりも開催されます。
見どころ
- 模擬天守(歴史資料館):地域の歴史、考古資料、民俗資料を展示
- 展望台:八郎潟干拓地や男鹿半島、鳥海山の眺望
- 桜の名所:春には約500本の桜が咲き、地域の花見スポット
- 森山森林公園:城址周辺が公園として整備され、散策が楽しめます
| 築城年 Year of Built |
不明(15世紀頃と推定)/ Unknown (estimated 15th century) |
| 築城主 Founder |
五十目氏(ごじゅうめし) |
| 指定 Designation |
五城目町指定史跡 |
| 天守の分類・種類 Castle Tower Classification |
模擬天守(昭和63年建造) |
| 住所 Address |
〒018-1732 秋田県南秋田郡五城目町兎品沢62-2 |
| 地図 Map |
地図を見る(Google Maps) |
| 開城時間 Opening hours |
4月~10月:9:00~17:00、11月:9:00~16:00 |
| 入城料 Admission fee |
無料 / Free |
| 定休日 Holiday |
12月~3月(冬季休館) |
| アクセス・最寄り駅 Access, Nearest station |
JR八郎潟駅から秋田中央交通バス(約10分)「五城目バスターミナル」下車、内川富津内方面行きバスに乗り換え(約10分)「田町」下車、徒歩約20分 |
| 駐車場 Parking Lot |
約20台(無料)/ Approx. 20 spaces (Free) |
稲庭城 / Inaniwa Jou[Inaniwa Castle]
稲庭城の歴史と特徴
稲庭城は、鎌倉時代中期の建長年間(1249年~1256年頃)に小野寺氏によって築かれたとされる山城です。小野寺氏は雄勝・平鹿地方を支配した中世の有力豪族で、稲庭城はその本拠地として約350年間にわたって使用されました。
稲庭城は標高約400mの山頂に築かれた典型的な中世山城で、急峻な地形を利用した天然の要害でした。城の背後には奥羽山脈が控え、眼下には皆瀬川の渓谷が広がる絶好の立地にあります。戦国時代には、最上氏や伊達氏との抗争の舞台となり、激しい攻防が繰り広げられました。
慶長5年(1600年)、関ヶ原の戦いで小野寺氏が改易されると、稲庭城は廃城となりました。現在の天守閣は平成2年(1990年)に建てられた模擬天守で、内部は「稲庭城歴史資料館」として小野寺氏の歴史や中世の城郭について学べる展示が行われています。また、周辺は「日本の稲庭うどん」の産地として知られ、食文化の面でも楽しめるスポットです。
見どころ
- 模擬天守(歴史資料館):小野寺氏の歴史、中世の武具・甲冑などを展示
- 展望台:奥羽山脈や皆瀬川渓谷の雄大な景色を一望
- 中世山城の遺構:曲輪や堀切など、山城の構造を観察できます
- 稲庭うどん:城下の稲庭地区は秋田の伝統的な手延べうどんの産地
| 築城年 Year of Built |
1249年~1256年頃(建長年間) |
| 築城主 Founder |
小野寺氏(道綱) |
| 指定 Designation |
湯沢市指定史跡 |
| 天守の分類・種類 Castle Tower Classification |
模擬天守(平成2年建造) |
| 住所 Address |
〒012-0107 秋田県湯沢市稲庭町古舘前平50 |
| 地図 Map |
地図を見る(Google Maps) |
| 開城時間 Opening hours |
9:00~16:30 |
| 入城料 Admission fee |
大人430円、小人(中学生以下)210円 / Adults: 430 yen, Children (junior high school and younger): 210 yen |
| 定休日 Holiday |
火曜日(祝日の場合は翌平日が休館)、年末年始 |
| アクセス・最寄り駅 Access, Nearest station |
JR湯沢駅から羽後交通バス「稲庭・川連方面」行き(約30分)「稲庭城下」下車、徒歩約5分 |
| 駐車場 Parking Lot |
約20台(無料)/ Approx. 20 spaces (Free) |
秋田県の城を訪れる際のポイント
おすすめの訪問時期
春(4月~5月):久保田城(千秋公園)や横手城は桜の名所として有名で、「日本さくら名所100選」にも選ばれています。桜まつりの期間中は夜桜のライトアップも楽しめます。
夏(6月~8月):新緑が美しく、天守閣からの眺望を楽しむのに最適な季節です。ただし、梅雨時期は雨具の準備をおすすめします。
秋(9月~11月):紅葉が美しい季節で、特に千秋公園の紅葉は見事です。天気の良い日は各城の展望台から紅葉に彩られた街並みや山々を一望できます。
冬(2月):横手城では「横手の雪まつり」期間中に「かまくら」が作られ、幻想的な雰囲気を楽しめます。ただし、五城目城や稲庭城など冬季休館する施設もあるので事前確認が必要です。
効率的な周り方
秋田県の城は県内に点在しているため、1日ですべてを回るのは難しいでしょう。秋田市内の久保田城を拠点に、レンタカーや公共交通機関を利用して計画的に回ることをおすすめします。
- 秋田市周辺コース:久保田城→五城目城(車で約50分)
- 県南コース:横手城→稲庭城(車で約40分)
その他の注意点
- 冬季は積雪や凍結の可能性があるため、防寒対策と滑りにくい靴を用意してください
- 山城である稲庭城は、歩きやすい靴での訪問をおすすめします
- 各城の開館日や営業時間は季節によって変動するため、公式サイトで最新情報を確認してください
- 御城印(城郭版の御朱印)を集めている方は、各施設の受付で購入可能です
まとめ
秋田県の城は、中世から近世にかけての東北地方の歴史を物語る貴重な文化遺産です。日本100名城の久保田城をはじめ、それぞれの城が独自の歴史と魅力を持っています。
春の桜、夏の新緑、秋の紅葉、冬の雪景色と、四季折々の美しさを楽しめる点も秋田の城の大きな魅力です。歴史探訪と自然美の両方を満喫できる秋田県の城巡りを、ぜひお楽しみください。
各城への訪問前には、開館時間や休館日、イベント情報などを公式サイトで確認されることをおすすめします。素敵な城巡りの旅をお楽しみください。

