中華人民共和国・青海省の世界遺産 一覧・まとめ / UNESCO World Heritage Sites in Qinghai China ~文化遺産(負の世界遺産、文化的景観、産業遺産、近代化遺産、稼働遺産)、自然遺産、複合遺産、危機遺産~

3月 31, 2026China,Qinghai,Travel,UNESCO World Heritage Sites,World

親記事:世界各国の世界遺産 一覧・まとめ / UNESCO World Heritage Sites in the World ~文化遺産(負の世界遺産、文化的景観、産業遺産、近代化遺産、稼働遺産)、自然遺産、複合遺産、危機遺産~

青海省とは ~チベット高原に広がる中国西部の秘境~

青海省(せいかいしょう / Qinghai)は、中華人民共和国の西北部に位置し、省都は西寧(シーニン)です。面積は約72万平方キロメートルで、日本の国土の約1.9倍に相当する広大な省です。省名は中国最大の内陸湖である青海湖(チンハイフー)に由来し、チベット高原の北東部に位置することから「世界の屋根」とも称されるこの地域の一部を構成しています。

青海省の平均標高は約3,000メートルを超え、省内には崑崙山脈、唐古拉山脈、祁連山脈などの大山脈が連なります。チベット族、回族、モンゴル族、サラール族、土族など多数の少数民族が暮らす多民族地域であり、チベット仏教やイスラム教の文化が色濃く残ることでも知られています。

過酷な自然環境ゆえに独自の生態系が保全され、チベットカモシカ(チルー)やユキヒョウなどの希少な野生動物の生息地としても世界的に注目されています。また、長江(揚子江)、黄河、メコン川(瀾滄江)という三つの大河の源流域「三江源」を擁し、アジアの水資源にとって極めて重要な地域です。

世界遺産とは ~ユネスコが守る人類共通の宝~

世界遺産とは、1972年のユネスコ総会で採択された「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」(世界遺産条約)に基づいて登録された、遺跡・景観・自然など人類が共有すべき「顕著な普遍的価値(Outstanding Universal Value)」を持つ不動産を指します。

世界遺産登録の本来の目的は、自然や文化的に価値のあるものを保護・保全し、過去から未来へと確実に継承していくことにあります。一方で、世界遺産に登録されることで国際的な知名度が高まり、観光資源としてのブランド力を持つことも近年では大きな意義として認識されています。

本記事では、悠久の歴史と壮大な自然が交差する中華人民共和国・青海省に所在する世界遺産を、登録基準や所在地、アクセス方法とともに詳しく紹介します。

世界遺産の登録基準(全10項目)

世界遺産は、以下の10項目の登録基準のうち1つ以上を満たす必要があります。(1)~(6)は文化遺産、(7)~(10)は自然遺産の基準であり、両方の基準をそれぞれ1つ以上満たすものは複合遺産として登録されます。

世界遺産登録基準(10項目)の詳細は、出典のWikipedia「世界遺産」をご参照ください。

以下で紹介する世界遺産の「登録基準」項目の記載番号は、上記の世界遺産登録基準の番号に対応しています。

中華人民共和国・青海省の世界遺産 一覧・まとめ / UNESCO World Heritage Sites in Qinghai China ~文化遺産(負の世界遺産、文化的景観、産業遺産、近代化遺産、稼働遺産)、自然遺産、複合遺産、危機遺産~

青海省には、人類の歴史的建造物として名高い文化遺産と、手つかずの大自然が残る自然遺産の2件の世界遺産が登録されています。以下に各世界遺産の詳細情報を紹介します。


観光に便利な宿泊施設:青海省(西寧)のホテル一覧

万里の長城 / Banri No Choujou[The Great Wall]

万里の長城は、紀元前7世紀頃から明代(14~17世紀)にかけて築かれた、総延長約2万キロメートルにも及ぶ世界最大級の建造物です。1987年にユネスコ世界文化遺産に登録されました。

北方の遊牧民族の侵入を防ぐ軍事防衛線として建設が始まり、秦の始皇帝が紀元前3世紀に各国の長城を連結・拡張したことで知られています。その後も漢・明などの各王朝が増改築を重ね、現在見られる壮大な姿となりました。

青海省にある長城遺構は、主に秦代および明代に築かれたもので、西寧市の大通回族土族自治県周辺に残存しています。北京近郊の八達嶺長城に比べて観光客が少なく、荒涼とした高原の風景の中に溶け込む長城の姿は、独特の趣があります。黄土を突き固めた版築工法で造られた遺構が多く、建築技術の地域的な特色を観察できる貴重な史跡です。

登録区分
Type
文化遺産
登録年
Designated
1987年
登録基準
Criteria
(1)、(2)、(3)、(4)、(6)
住所
Address
Datong, Xining, Qinghai, China
地図
Map
地図(Map)
アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
秦長城:北京首都国際空港より中国国内線(約3時間)「 西寧曹家堡空港」到着後、自動車(約1時間)
URL
URL

青海可可西里 / Seikai Fufushiru[Qinghai Hoh Xil]

青海可可西里(フフシル / Hoh Xil)は、2017年にユネスコ世界自然遺産に登録された、中国最大級の無人地帯です。モンゴル語で「美しい少女」を意味するこの名称は、この地域の神秘的な美しさを象徴しています。

面積約4万5,000平方キロメートルに広がる可可西里は、平均標高4,600メートル以上のチベット高原北部に位置し、年間平均気温はマイナス4度前後という厳しい環境にあります。登録基準(7)に該当するひときわ優れた自然美を持ち、果てしなく広がる高原、氷河湖、塩湖が織りなす荘厳な景観は圧巻です。

また、登録基準(10)に該当する生物多様性の保全においても極めて重要な地域であり、絶滅危惧種のチベットカモシカ(チルー)の世界最大の繁殖地として知られています。チルーは毎年夏になると数万頭規模の大移動を行い、この壮大な光景は可可西里を象徴する自然現象です。そのほか、チベットノロバ(キャン)、チベットガゼル、ヒグマの亜種であるチベットヒグマなど、高原環境に適応した230種以上の野生動物が生息しています。

可可西里への訪問は、高山病のリスクや道路事情から十分な準備と現地ガイドの同行が推奨されます。西寧からは長距離の移動が必要ですが、手つかずの大自然と野生動物の姿を間近に見られる世界でも数少ない場所です。

登録区分
Type
自然遺産
登録年
Designated
2017年
登録基準
Criteria
(7)、(10)
住所
Address
Zhidoi,Yushu, Qinghai. China
地図
Map
地図(Map)
アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
北京首都国際空港より中国国内線(約3時間)「西寧曹家堡空港」到着後、自動車(約17時間)
URL
URL

青海省の世界遺産を訪れる際のポイント

青海省の世界遺産を訪れる際には、以下の点に留意することをおすすめします。

  • 高山病対策:青海省は全域が高地に位置するため、到着後は無理をせず体を慣らす時間を確保しましょう。特に可可西里は標高4,600メートル以上のため、事前の体調管理と酸素ボンベの携帯が重要です。
  • ベストシーズン:一般的に6月から9月が観光に適した時期です。この期間は気温が比較的穏やかで、草原に花が咲き、チベットカモシカの大移動も観察できる可能性があります。
  • アクセス拠点:青海省の観光拠点は省都の西寧です。西寧曹家堡国際空港には北京、上海、成都などの主要都市から国内線が就航しています。
  • 文化的配慮:チベット族をはじめとする少数民族の地域では、宗教施設や文化的慣習に敬意を払い、撮影の際には許可を得るようにしましょう。