日本三大水城まとめ・一覧 / The Three Great Water Castles of Japan 〜住所、地図、開場時間、入場料(無料・有料)、定休日、アクセス・最寄り駅、駐車場、URL、電話番号〜

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日本では、特に優れた自然・建造物・文化を三つ選んで「日本三大◯◯」「日本三名◯◯」と称える伝統があります。この「三」という数字には、古来の陰陽道で奇数を吉数とする思想や、物事に安定感とまとまりを感じる日本人独特の美意識が反映されています。ランキングの上位三つという意味ではなく、それぞれの分野において際立った特徴を持つ三者を並び称える表現です。

その由来は諸説ありますが、日本では古くから陰陽道などで奇数が縁起が良いとされ、また人が「三」という数字が物事の選択肢としてまとまりや安定感を感じやすいという心理的な理由からよく使用される傾向にあります。三という数は、最小にして最強の組み合わせとも言われ、日本人の審美眼の結晶です。

今回は、そんな「日本三大◯◯」の中から、日本三大水城を詳しく紹介します。水城(みずしろ)とは、海や川・湖などの自然の水、または人工の堀に水を引き込むことで防御力を高めた城郭のことで、戦国時代から江戸時代初期にかけて築かれました。単なる水堀を持つ城とは異なり、海に直接接し潮の干満を防御に組み込んだ高度な軍事建築として、世界の城郭史においても類を見ない独自性を誇ります。

日本三大水城とは?水城の定義と選定基準

日本三大水城として知られるのは、高松城(香川県)今治城(愛媛県)中津城(大分県)の3つの城郭です。これらの城は、いずれも海水や川の水を堀に直接引き込んだ独特の構造を持ち、水運の利便性と防御力の高さを兼ね備えています。潮の満ち引きを巧みに利用した設計は、現代の建築家からも高い評価を受けており、日本が誇る城郭技術の粋と言えます。

特に高松城と今治城は、戦国時代最高峰の築城家と称される藤堂高虎が築城または改修に関わった名城です。高虎は高石垣と横堀を多用する独自の「高虎流」築城スタイルで知られており、その技術が海城の設計にも遺憾なく発揮されています。一方、中津城は「黒田官兵衛(黒田孝高)」が豊後の地に築いた政略・軍略の要衝で、後に細川氏・奥平氏へと受け継がれた歴史的な名城です。

水城が生まれた時代背景

日本三大水城が築かれた16世紀末〜17世紀初頭は、豊臣秀吉による天下統一後、徳川家康が覇権を確立する激動の時代でした。海上交通が支配力の要だったこの時代、海を直接堀として活用した海城は、水軍の補給地としての機能と、海からの敵軍の侵攻を防ぐ二重の意義を持っていました。高松・今治・中津はいずれも瀬戸内海や周防灘に面した港湾都市であり、当時の物流と軍事の要所として機能していました。

日本三大水城まとめ・一覧 / The Three Great Water Castles of Japan 〜住所、地図、開場時間、入場料(無料・有料)、定休日、アクセス・最寄り駅、駐車場、URL、電話番号〜

高松城 / Takamatsu Jou [Takamatsu Castle]

高松城は香川県高松市の玉藻公園内に位置し、別名「玉藻城(たまもじょう)」と呼ばれています。1590年(天正18年)、讃岐国を治めた生駒親正によって築かれ、後に高松藩主・松平頼重(徳川家康の孫)の時代にさらなる整備が進められた海城です。日本三大水城の一つであり、日本100名城(87番)にも選定されています。

最大の特徴は、瀬戸内海の海水をそのまま堀に引き込んだ設計です。日本で唯一、海水の堀に海の魚(鯛・クロダイ・ボラなど)が泳ぐ城郭として知られており、満潮時には城が海上に浮かぶように見えたことから「浮き城」とも呼ばれました。かつては藩主が海路から直接入城する「水手御門(みずてごもん)」が設けられており、海城ならではの構造を今に伝えています。

天守閣は明治17年(1884年)に取り壊されましたが、現在も重要文化財に指定される月見櫓・水手御門・渡櫓の3棟が現存し、往時の姿を偲ぶことができます。城内では天守台の復元整備が進められており、将来的な天守再建への期待も高まっています。春には約1,000本の桜が城郭を彩り、さくら名所100選にも選定されています。城郭と桜・海水堀が織りなす景観はまさに絶景で、JR高松駅から徒歩約5分というアクセスの良さも相まって、年間を通じて多くの観光客が訪れます。

築城年
Year of Built
1590年(天正18年)
築城主
Founder
生駒親正
指定
Designation
日本100名城(Japan's Top 100 Castles)、国の史跡(National Historic Site)、重要文化財(Important Cultural Property)、三大水城(The Three Great Water Castles)
天守の分類・種類
Castle Tower Classification
天守台のみ現存(復元計画進行中)
住所
Address
香川県高松市玉藻町2-1
地図
Map
地図(Map)
開城時間
Opening hours
4月〜9月:7:00~18:00、10月~3月:8:30~17:00
入城料
Admission fee
大人200円、高校生200円、小中学生100円
定休日
Holiday
12月29日〜12月31日
アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
JR高松駅(徒歩約5分)
駐車場
Parking Lot
玉藻公園専用駐車場:57台 無料(Free)

今治城 / Imabari Jou [Imabari Castle]

今治城は愛媛県今治市に位置し、1602年(慶長7年)に築城の名人・藤堂高虎が約4年の歳月をかけて築いた海城です。高虎はこの今治城を皮切りに、伊賀上野城・津城・膳所城など数多くの名城を手がけた傑出した築城家で、その技術の粋が今治城に凝縮されています。日本三大水城の一つであり、日本100名城(80番)にも選定されています。

今治城最大の特徴は、外堀・中堀・内堀の三重の堀すべてに瀬戸内海の海水を引き込んだ設計です。石垣の高さは最大約15メートルに達し、三方を海に囲まれた立地を最大限に活かした構造は、当時の瀬戸内制海権を象徴する威容を誇りました。港も城の一部として機能しており、軍事と水運を一体化させた海城の理想形とも評されています。

現在の5層6階の天守閣は昭和55年(1980年)に再建された模擬天守ですが、内部は郷土美術館として公開されており、甲冑・刀剣・藤堂高虎に関する資料など充実した展示が楽しめます。天守最上階から望む瀬戸内海の多島美と、遠くにしまなみ海道の橋々を望む眺望は圧巻です。夜間ライトアップ(通年実施)では、海水堀に映る天守の幻想的な姿を楽しむことができ、春には桜と天守の競演が美しいお濠まつりも催されます。今治城は「サイクリストの聖地・しまなみ海道」のスタート地点にも近く、サイクリングと城郭観光を組み合わせた旅が人気です。

築城年
Year of Built
1602年(慶長7年)
築城主
Founder
藤堂高虎
指定
Designation
日本100名城(Japan's Top 100 Castles)、愛媛県指定史跡(Ehime Prefecture Historic Site)、三大水城(The Three Great Water Castles)
天守の分類・種類
Castle Tower Classification
模擬天守(昭和55年再建・5層6階)
住所
Address
愛媛県今治市通町3丁目1−3
地図
Map
地図(Map)
開城時間
Opening hours
9:00~17:00
入城料
Admission fee
一般500円、学生250円
定休日
Holiday
12月29日~12月31日
アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
JR予讃線今治駅よりせとうちバス今治営業所行き(約10分)「今治城前」下車(徒歩5分)
駐車場
Parking Lot
第1駐車場:100円/1時間

中津城 / Nakatsu Jou [Nakatsu Castle]

中津城は大分県中津市に位置し、1588年(天正16年)に黒田官兵衛(黒田孝高)が築城を開始した海城です。周防灘(瀬戸内海の西端)と中津川の河口が合流する地形を巧みに利用し、川と海の両方を堀として組み込んだ、三大水城の中でも最も複雑な水利システムを誇ります。官兵衛の後、城は細川忠興が引き継いで完成させ、のちに奥平家の居城として明治維新まで続きました。日本三大水城の一つです。

扇城(おうぎじょう)」という別名を持ち、その名の通り扇を広げたような弧を描く縄張りが特徴です。現存する石垣には、黒田氏・細川氏・奥平氏の3家がそれぞれ積んだ石垣が混在しており、積み方の違いから「三家の石垣」として城郭研究者の間でも高い注目を集めています。この「三家の石垣」を一箇所で観察できる場所は日本でも非常に珍しく、城郭ファン必見のポイントです。

現在の4層5階の天守閣は昭和39年(1964年)に再建された模擬天守ですが、内部は歴史資料館として充実した展示を誇ります。黒田官兵衛・細川家・奥平家それぞれの時代を丁寧に解説しており、大河ドラマ「軍師官兵衛」(2014年)の放送以来、歴史ファンの聖地として定着しています。天守最上階から望む周防灘の眺望と、夕日に染まる水面の景色は格別です。城周辺には「福澤諭吉旧居・記念館」(慶應義塾大学創設者の生家)や「合元寺(赤壁の寺)」など歴史スポットが集中しており、城下町散策と組み合わせた観光が人気です。

築城年
Year of Built
1588年(天正16年)
築城主
Founder
黒田孝高(黒田官兵衛)
指定
Designation
三大水城(The Three Great Water Castles)
天守の分類・種類
Castle Tower Classification
模擬天守(昭和39年再建・4層5階)
住所
Address
大分県中津市二ノ丁本丸
地図
Map
地図(Map)
開城時間
Opening hours
9:00〜17:00
入城料
Admission fee
大人(高校生以上)400円、子ども200円(未就学の乳幼児は無料(Free))
定休日
Holiday
無休(Open all year round)
アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
JR中津駅(徒歩約15分)
駐車場
Parking Lot
数台 無料(Free)(中津城第一駐車場に広い駐車スペース有り)

日本三大水城の魅力と見どころ

日本三大水城に共通する最大の魅力は、水を巧みに利用した防御システムと、水辺に映える美しい景観の両立です。海水や川の水を堀に引き込むことで、敵の侵入を防ぐだけでなく、水運による物資輸送や、緊急時の海路での脱出も可能にしていました。近世城郭における水城の発展は、日本の安全保障思想と土木技術の高さを示す証でもあります。

また、これらの城はいずれも重要な交通の要所に位置しており、経済的・軍事的に重要な役割を果たしていました。高松は讃岐の政治・経済の中心、今治は瀬戸内水軍の拠点、中津は豊後・豊前を結ぶ交通の要衝として、それぞれの地域史において欠かせない存在です。現代では、その歴史的価値と美しい景観から、国内外の観光客に広く親しまれています。

三城を比較する

比較項目 高松城(玉藻城) 今治城 中津城(扇城)
所在地 香川県高松市 愛媛県今治市 大分県中津市
築城年 1590年 1602年 1588年
築城主 生駒親正 藤堂高虎 黒田官兵衛
水の種類 海水(瀬戸内海) 海水(瀬戸内海・三重堀) 海水+河川水(周防灘・中津川)
天守 天守台のみ現存 模擬天守(昭和55年再建) 模擬天守(昭和39年再建)
日本100名城 選定(87番) 選定(80番) 未選定
特筆すべき見どころ 海水堀に泳ぐ海の魚・重要文化財の現存建築 三重の海水堀・しまなみ海道の眺望 三家の石垣・黒田官兵衛ゆかり・福澤諭吉旧居

日本三大水城 おすすめ巡礼ルート

日本三大水城は香川・愛媛・大分に分散していますが、組み合わせ次第で効率的に巡ることができます。四国の2城(高松城・今治城)はJR予讃線で約1時間20分、今治から大分・臼杵港へはフェリーでアクセス可能で、旅情あふれる移動が楽しめます。日本100名城スタンプラリーと組み合わせて巡る城郭ファンも多く、充実した旅程を計画できます。

よくある質問(FAQ)

Q. 日本三大水城の「水城」と「海城」はどう違いますか?

「水城(みずしろ)」は水を防御に利用した城の総称で、海・川・湖・堀のいずれかに接するものを指します。「海城(うみじろ)」はそのうち特に海水を直接利用したものです。日本三大水城はすべて海水を堀に取り込んでおり、厳密には「海城」の中でも傑出した3城を指しています。

Q. 日本三大水城はすべて現存天守を持っていますか?

いいえ。高松城は天守台のみ残存し、天守閣自体は明治時代に取り壊されています(現在復元整備が進行中)。今治城と中津城は昭和に再建された模擬天守です。日本に現存する12の木造天守(国宝・重要文化財)には含まれていませんが、各城の石垣・堀・現存建築は十分な見応えがあります。

Q. 高松城の堀に海の魚が泳いでいるのはなぜですか?

高松城の内堀・中堀には瀬戸内海の海水が直接引き込まれており、潮の干満によって海水が循環しているためです。タイ・クロダイ・ボラ・メバルなどが生息しており、全国的にも珍しい「海水のお堀で魚が泳ぐ城郭」として知られています。

Q. 藤堂高虎が手がけた城は今治城だけですか?

藤堂高虎は今治城以外にも、伊賀上野城(三重県)津城(三重県)膳所城(滋賀県)宇和島城(愛媛県)など多くの城を手がけています。高石垣と横堀を多用した「高虎流」の築城スタイルは、現代の城郭研究においても高く評価されています。

まとめ

日本三大水城——高松城・今治城・中津城——は、それぞれ独自の歴史と特徴を持ちながらも、水を単なる「堀」ではなく城全体の防御・交通・物流を支えるインフラとして設計した、日本の城郭建築の傑作群です。瀬戸内海の潮を引き込んだ海城の構造は、世界の城郭史を見渡しても類を見ない独創的な発想であり、その遺構は今も訪れる人々に往時の驚異的な技術と美意識を伝え続けています。

四国や九州を訪れる際には、ぜひこれらの水城を巡り、日本の城郭文化の奥深さを体感してみてはいかがでしょうか。高松・今治・中津、それぞれの「水」が語る物語は、日本史の深みをきっと数段引き上げてくれるはずです。