広島県の経済産業省指定「伝統的工芸品」一覧・まとめ – 職人の熟練した匠の技によって生み出される珠玉の手仕事 / Traditional Crafts of Hiroshima ~伝統的工芸品が購入できるショップ・取扱店一覧~

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親記事:日本全国・都道府県の経済産業省指定「伝統的工芸品」一覧・まとめ – 職人の熟練した匠の技によって生み出される珠玉の手仕事 / Traditional Crafts of Japan ~伝統的工芸品が購入できるショップ・取扱店一覧~

日本には古くから受け継がれてきた伝統的工芸品が数多く存在します。これらは日常生活の中で使われる実用品でありながら、職人の卓越した技術と美意識が凝縮された芸術作品でもあります。「伝統的工芸品産業の振興に関する法律(伝産法)」に基づき、経済産業大臣が指定する「伝統的工芸品」は、以下の5つの要件をすべて満たしたものです。

  • 主として日常生活の用に供されているもの
  • 製造過程の主要部分が手工業的であるもの
  • 伝統的技術または技法によって製造されるもの
  • 伝統的に使用されてきた原材料を使用していること
  • 一定の地域で産地形成されていること

本記事では、広島県で経済産業大臣に指定された全5品目の伝統的工芸品を、歴史的背景・製造技法・特徴とともに詳しく紹介します。広島県は、世界遺産の厳島神社で知られる宮島をはじめ、筆づくりの里・熊野町、琴の生産で全国シェアの大部分を占める福山市など、多彩な伝統工芸の産地を擁しています。職人の熟練した匠の技によって生み出される珠玉の手仕事を、ぜひご覧ください。

広島県の経済産業省指定「伝統的工芸品」一覧・まとめ – 職人の熟練した匠の技によって生み出される珠玉の手仕事 / Traditional Crafts of Hiroshima ~伝統的工芸品が購入できるショップ・取扱店一覧~

広島県には、経済産業大臣により指定された伝統的工芸品が全5品目あります。筆(熊野筆・川尻筆)、仏壇(広島仏壇)、木工品(宮島細工)、楽器(福山琴)と、幅広いジャンルにわたる工芸品が揃っているのが特徴です。いずれも江戸時代から明治時代にかけて産地が形成され、現在も伝統の技を守りながら新しい時代のニーズに応える製品づくりが続けられています。


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熊野筆 / Kumanofude[Kumanofude]

熊野筆(くまのふで)は、広島県安芸郡熊野町で生産される筆の総称で、書道筆・画筆・化粧筆など多岐にわたる種類が製造されています。江戸時代末期、農閑期の出稼ぎで各地を回っていた熊野の人々が筆や墨を行商するようになり、やがて筆づくりの技術を地元に持ち帰ったことが起源とされています。

熊野筆の最大の特徴は、毛先を切りそろえず、自然毛の先端(穂先)をそのまま活かす「命毛」の技法にあります。ヤギ・馬・タヌキ・イタチ・鹿など、用途に応じた動物の毛を選別・混合し、一本一本手作業で穂をまとめ上げる「練り混ぜ」の工程は、熟練の職人にしか成し得ない繊細な作業です。この技術により、墨の含みが良く、滑らかな書き味と美しい線を実現します。

現在、熊野町は日本一の筆の生産地として知られ、書道筆で全国シェアの約80%、化粧筆で約90%を占めています。近年は化粧筆ブランドとしても世界的に高い評価を受けており、海外の有名化粧品ブランドへのOEM供給や、自社ブランドの展開を通じてグローバルに活躍する産地へと成長しました。1975年(昭和50年)に広島県で最初の伝統的工芸品に指定されています。

登録年
Designated
1975年5月10日
種類
Type
文具
主な製品
Products
書道筆、画筆、化粧筆
産地
Production Area
広島県安芸郡熊野町
関連商品取扱店一覧
Shop
熊野筆 取扱店一覧

広島仏壇 / Hiroshima Butsudan[Hiroshima Butsudan]

広島仏壇(ひろしまぶつだん)は、広島市を中心に製造される伝統的な金仏壇です。その起源は江戸時代中期にさかのぼり、浅野藩の城下町として栄えた広島で、寺院建築の技術を持つ職人たちが仏壇製造に携わるようになったことが始まりとされています。

広島仏壇の製造工程は、木地(きじ)・宮殿(くうでん)・彫刻・漆塗り・金箔押し・蒔絵・金具・組立という8つの専門分野に分かれており、それぞれの工程を専門の職人が担当する分業制で作られます。特に注目すべきは、広島仏壇独自の「嵌め込み式(はめこみしき)」と呼ばれる組立技法で、釘を使わずに各部品を組み合わせることで、修理や洗濯(仏壇のクリーニング)が容易にできる構造となっています。

金箔をふんだんに使用した華やかな外観と、繊細な彫刻が施された宮殿造りが広島仏壇の美しさを際立たせています。浄土真宗本願寺派(西本願寺)の門徒が多い広島の土地柄を反映し、西型の金仏壇が主流となっています。1978年(昭和53年)に経済産業大臣指定の伝統的工芸品に指定されました。

登録年
Designated
1978年2月6日
種類
Type
仏壇・仏具
主な製品
Products
金仏壇(西型)
産地
Production Area
広島県広島市
関連商品取扱店一覧
Shop
広島仏壇 取扱店一覧

宮島細工 / Miyajima Zaiku[Miyajima Zaiku]

宮島細工(みやじまざいく)は、世界遺産・厳島神社のある宮島(廿日市市)で生産される木工芸品です。宮島は古くから「神の島」として崇められ、豊かな森林資源に恵まれた土地でした。江戸時代後期、僧侶・誓真(せいしん)が島の住民に杓子(しゃもじ)づくりを教えたことが、宮島細工の始まりとされています。この杓子は「宮島杓子」として全国的に有名になり、現在も宮島を代表する名産品です。

宮島細工の技法は大きく「ロクロ細工」「刳物細工(くりものざいく)」「彫刻細工」の3種類に分類されます。ロクロ細工では盆・茶托・菓子器などが、刳物細工では杓子・匙・茶器などが、彫刻細工では飾り棚・衝立・額などが製作されます。特に、木目の美しさを最大限に活かすため、塗装をせずに木肌をそのまま仕上げる「木地仕上げ」が宮島細工の大きな特徴です。

使用される木材は、桑・桜・欅(けやき)・楓・トチノキなど多様で、それぞれの木の色合いや木目を活かした作品が作られます。使い込むほどに手に馴染み、味わい深い色合いに変化していく経年変化も魅力の一つです。1982年(昭和57年)に伝統的工芸品に指定されました。

登録年
Designated
1982年11月1日
種類
Type
木工品
主な製品
Products
杓子、盆、茶托、菓子器、飾り棚
産地
Production Area
広島県廿日市市(宮島)
関連商品取扱店一覧
Shop
宮島細工 取扱店一覧

福山琴 / Fukuyamakoto[Fukuyamakoto]

福山琴(ふくやまこと)は、広島県福山市で製造される琴(箏)で、日本の伝統楽器の中でも特に格調高い工芸品として知られています。福山での琴づくりの歴史は江戸時代初期にまで遡り、福山藩の初代藩主・水野勝成が城下町の文化振興策の一環として琴の演奏を奨励したことが背景にあります。演奏の普及とともに琴の需要が高まり、地元の木工職人たちが琴の製作技術を磨いていきました。

福山琴の製造には、厳選された国産の桐材が使用されます。桐は軽量でありながら適度な硬さを持ち、音の共鳴に優れた特性があるため、琴の甲板(こういた)に最適な素材です。原木の選定から乾燥、甲板の造形、裏板の彫り(「綾杉彫り」と呼ばれる独特の模様)、焼き仕上げ、装飾に至るまで、すべて手作業で行われます。特に、甲板の内側に施される「綾杉彫り」は、音の響きを調整するための重要な工程であり、職人の経験と感性が問われます。

福山市は現在も日本最大の琴の生産地であり、全国生産量の約70%を占めています。1985年(昭和60年)に伝統的工芸品に指定され、伝統を守りつつも現代の演奏ニーズに応じた改良が加えられた琴が製造され続けています。

登録年
Designated
1985年5月22日
種類
Type
その他工芸品
主な製品
Products
箏(こと)
産地
Production Area
広島県福山市
関連商品取扱店一覧
Shop
福山琴 取扱店一覧

川尻筆 / Kawajiri Fude[Kawajiri Fude]

川尻筆(かわじりふで)は、広島県呉市川尻町で生産される筆で、同じ広島県の熊野筆と並ぶ筆の名産地として知られています。川尻での筆づくりは、江戸時代末期の文化年間(1804~1818年)に、上野八重吉(うえのやえきち)が大阪や奈良の筆匠から製筆技術を学び、地元に持ち帰ったことに始まります。

川尻筆の最大の特徴は、「練り混ぜ」と呼ばれる独自の混毛技術です。一本の筆に複数の種類の動物の毛を絶妙な配合で混ぜ合わせることにより、弾力性・まとまり・墨の含みのバランスが取れた穂を作り出します。熊野筆が化粧筆でも広く知られるのに対し、川尻筆は書道筆、特に高級書道筆に特化している点が特徴的です。書道家や書道愛好家から高い評価を受けており、「書の道具」としての品質の高さに定評があります。

川尻筆の製造は、毛の選別から穂づくり、軸づくり、仕上げまで、ほぼすべての工程が手作業で行われます。特に穂先の調整は、職人が一本一本の毛の癖を見極めながら行う繊細な作業で、長年の経験と熟練した技術が求められます。2004年(平成16年)に経済産業大臣指定の伝統的工芸品に認定され、広島県で最も新しい指定工芸品となっています。

登録年
Designated
2004年8月31日
種類
Type
文具
主な製品
Products
書道筆(高級毛筆)
産地
Production Area
広島県呉市川尻町
関連商品取扱店一覧
Shop
川尻筆 取扱店一覧

広島県の伝統的工芸品 まとめ

広島県の伝統的工芸品5品目は、いずれも地域の歴史・風土・文化と深く結びつきながら発展してきたものです。筆の都・熊野町と川尻町は日本の書道文化と化粧文化を支え、宮島細工は「神の島」の豊かな森林から生まれた木の芸術です。広島仏壇は浄土真宗が根付いた土地の信仰心を形にし、福山琴は城下町の雅な音楽文化を今に伝えています。

これらの伝統的工芸品は、単なる過去の遺産ではなく、現代の暮らしに寄り添う形で進化を続けています。熊野筆の化粧筆が世界的ブランドとなり、宮島細工が現代のインテリアに調和するデザインを取り入れるなど、伝統の技を活かしながら新しい価値を生み出し続けている点が、広島県の工芸品の大きな魅力です。