[1999年開催(1998年映画作品対象)]第71回アカデミー賞(オスカー賞)受賞映画作品(ノミネート含む) まとめ・一覧 / List of Academy Awards(The Oscars) Nominees 〜アメリカ合衆国の優れた映画と関係者が毎年部門別に表彰されるAMPAS主催の映画賞〜
アカデミー賞(Academy Awards)とは、映画芸術科学アカデミー(AMPAS: Academy of Motion Picture Arts and Sciences)が主催し、アメリカ合衆国における映画の健全な発展と芸術・科学の品質向上などを目的に、キャストやスタッフなどの映画関係者を毎年部門別に表彰し、その功績を讃える世界最高峰の映画賞です。
受賞作品・受賞者には賞金は出ませんが、金色のオスカー像(Oscar statuette)が授与されるため、オスカー賞(The Oscars)とも呼ばれています。
その歴史は世界三大映画祭(カンヌ国際映画祭、ベルリン国際映画祭、ヴェネツィア国際映画祭)よりも古く、第1回アカデミー賞は1929年に開催されました。以来90年以上にわたって続く伝統ある式典として、今では世界中が注目する映画界最大のイベントとなっています。
アカデミー賞へのノミネート及び受賞結果は世界中に大きく報道されるため、各国における対象映画の興行成績や配信ランキングに対して大きな影響力を持っています。
アカデミー賞のノミネート作品・受賞作品は、映画界で著名なプロデューサー、監督、脚本家、俳優、技術者、批評家などにより構成されるアカデミー会員の投票によって選ばれます。その厳正な選考過程と高い評価基準から、受賞作品は映画史において重要な位置を占め、1度は見ておくべき作品と言えるでしょう。
第71回アカデミー賞(1999年)の概要
1999年3月21日にアメリカ・ロサンゼルスのドロシー・チャンドラー・パヴィリオン(Dorothy Chandler Pavilion)で開催された第71回アカデミー賞授賞式は、俳優ウーピー・ゴールドバーグ(Whoopi Goldberg)が司会を務めました。この年は1998年に公開された映画作品が選考対象となっています。
この年のアカデミー賞は、ジョン・マッデン監督のロマンティック・コメディ『恋におちたシェイクスピア(Shakespeare in Love)』が作品賞を含む7部門で受賞し、最多受賞作品となりました。一方、スティーヴン・スピルバーグ監督の戦争映画『プライベート・ライアン(Saving Private Ryan)』は監督賞を含む5部門で受賞し、作品賞の行方を巡って両作品の間で激しい争いが繰り広げられたことでも知られています。
また、ロベルト・ベニーニ監督・主演のイタリア映画『ライフ・イズ・ビューティフル(Life Is Beautiful)』が主演男優賞・外国語映画賞・劇映画音楽賞の3部門で受賞し、ホロコーストという重い題材を喜劇的手法で描いた独創的な作品として世界中から高い評価を受けました。
本ページでは、このように映画史に残る名作が揃った第71回アカデミー賞(オスカー賞)の全受賞作品およびノミネート作品を、部門別に一覧でまとめて紹介します。
[1999年開催(1998年映画作品対象)]第71回アカデミー賞(オスカー賞)受賞映画作品(ノミネート含む) まとめ・一覧 / List of Academy Awards(The Oscars) Nominees 〜アメリカ合衆国の優れた映画と関係者が毎年部門別に表彰されるAMPAS主催の映画賞〜
作品賞 / Sakuhin Shou[Best Picture]
作品賞(Best Picture)は、アカデミー賞の中で最も注目される部門であり、その年を代表する最も優れた映画作品に授与されます。第71回では、シェイクスピアの恋愛を軽妙に描いた『恋におちたシェイクスピア』が、下馬評で有力視されていた『プライベート・ライアン』を抑えて受賞しました。この結果は当時大きな話題を呼び、現在でもアカデミー賞史上の番狂わせの一つとして語り継がれています。
| 受賞 Winner |
恋におちたシェイクスピア[Shakespeare in Love] |
| ノミネート Nominees |
エリザベス[Elizabeth] |
監督賞 / Kantoku Shou[Best Director]
監督賞(Best Director)は、映画作品全体の演出と創造的ビジョンを評価する部門です。第71回ではスティーヴン・スピルバーグが『プライベート・ライアン』の圧倒的な戦闘シーンの演出と緻密な映像構成によって監督賞を受賞しました。スピルバーグにとっては1994年の『シンドラーのリスト』に続く2度目の監督賞受賞となりました。
| 受賞 Winner |
プライベート・ライアン[Saving Private Ryan] |
| ノミネート Nominees |
ライフ・イズ・ビューティフル[Life Is Beautiful] |
主演男優賞 / Shuen Danyuh Shou[Best Actor]
主演男優賞(Best Actor)は、映画作品において最も優れた演技を見せた主演男優に贈られます。第71回では、イタリアの俳優ロベルト・ベニーニが『ライフ・イズ・ビューティフル』でのユーモアと深い人間愛に満ちた演技が高く評価され受賞しました。受賞発表時に客席から駆け出して椅子の上を歩いてステージに向かったベニーニの姿は、授賞式の名シーンとして記憶されています。
| 受賞 Winner |
ライフ・イズ・ビューティフル[Life Is Beautiful] |
| ノミネート Nominees |
プライベート・ライアン[Saving Private Ryan] |
主演女優賞 / Shuen Joyuh Shou[Best Actress]
主演女優賞(Best Actress)は、その年の映画作品において最も優れた演技を見せた主演女優に贈られます。第71回ではグウィネス・パルトローが『恋におちたシェイクスピア』でシェイクスピアの恋人ヴァイオラ・デ・レッセプス役を繊細かつ情熱的に演じ、受賞を果たしました。パルトローの涙のスピーチも話題となりました。
| 受賞 Winner |
恋におちたシェイクスピア[Shakespeare in Love] |
| ノミネート Nominees |
エリザベス[Elizabeth] |
助演男優賞 / Joen Danyuh Shou[Best Supporting Actor]
助演男優賞(Best Supporting Actor)は、脇役として映画作品に深みを与えた男優に贈られます。第71回ではベテラン俳優ジェームズ・コバーンが『白い刻印』で暴力的な父親役を迫真の演技で表現し、長年のキャリアで初のオスカーを獲得しました。
| 受賞 Winner |
白い刻印[Affliction] |
| ノミネート Nominees |
シビル・アクション[A Civil Action] |
助演女優賞 / Joen Joyuh Shou[Best Supporting Actress]
助演女優賞(Best Supporting Actress)は、助演として作品に印象的な存在感を示した女優に贈られます。第71回ではジュディ・デンチが『恋におちたシェイクスピア』でエリザベス1世を威厳ある演技で表現し、わずか8分間の出演ながらオスカーを獲得するという異例の受賞となりました。
| 受賞 Winner |
恋におちたシェイクスピア[Shakespeare in Love] |
| ノミネート Nominees |
パーフェクト・カップル[Primary Colors] |
脚本賞 / Kyakuhon Shou[Best Screenplay Written Directly for the Screen]
脚本賞(Best Original Screenplay)は、オリジナルの脚本として書かれた作品に贈られます。第71回では『恋におちたシェイクスピア』のマーク・ノーマンとトム・ストッパードが受賞し、歴史上の人物を巧みにフィクションに織り込んだウィットに富む脚本が評価されました。
| 受賞 Winner |
恋におちたシェイクスピア[Shakespeare in Love] |
| ノミネート Nominees |
ブルワース[Bulworth] |
脚色賞 / Kyakushoku Shou[Best Screenplay Based on Material Previously Produced or Published]
脚色賞(Best Adapted Screenplay)は、小説・戯曲・実話など既存の素材を基に脚色された脚本に贈られます。第71回ではビル・コンドンが『ゴッド・アンド・モンスター』で受賞しました。同作は『フランケンシュタイン』の監督として知られるジェームズ・ホエールの晩年を描いた伝記映画です。
| 受賞 Winner |
ゴッド・アンド・モンスター[Gods and Monsters] |
| ノミネート Nominees |
アウト・オブ・サイト[Out of Sight] |
外国語映画賞 / Gaikokugo Eiga Shou[Best Foreign Language Film]
外国語映画賞(Best Foreign Language Film)は、英語以外の言語で制作された映画の中から最も優れた作品に贈られます。第71回ではイタリア代表の『ライフ・イズ・ビューティフル』が受賞しました。ナチスの強制収容所を舞台にしながらも、父親の愛情をユーモアで表現した本作は、世界的な大ヒット作となりました。
| 受賞 Winner |
ライフ・イズ・ビューティフル[Life Is Beautiful] |
| ノミネート Nominees |
セントラル・ステーション[Central Station] |
歌曲賞 / Kashou Shou[Best Original Song]
歌曲賞(Best Original Song)は、映画のために書き下ろされたオリジナル楽曲に贈られます。第71回ではアニメーション映画『プリンス・オブ・エジプト』のために作曲された「When You Believe」が受賞しました。この曲はマライア・キャリーとホイットニー・ヒューストンのデュエットでも広く知られています。
| 受賞 Winner |
“When You Believe" – プリンス・オブ・エジプト[The Prince of Egypt] |
| ノミネート Nominees |
“I Don’t Want to Miss a Thing" – アルマゲドン[Armageddon] |
長編ドキュメンタリー映画賞 / Chouhen Documentary Eiga Shou[Best Documentary Feature]
長編ドキュメンタリー映画賞(Best Documentary Feature)は、優れた長編ドキュメンタリー作品に贈られます。第71回では『The Last Days』が受賞しました。この作品はハンガリー系ユダヤ人のホロコースト生存者5人の証言を記録したドキュメンタリーで、スティーヴン・スピルバーグが設立したショア財団の協力のもと製作されました。
| 受賞 Winner |
The Last Days |
| ノミネート Nominees |
Dancemaker |
短編ドキュメンタリー映画賞 / Tanpen Documentary Eiga Shou[Best Documentary Short Subject]
短編ドキュメンタリー映画賞(Best Documentary Short Subject)は、優れた短編ドキュメンタリー作品に贈られます。第71回では日系アメリカ人監督の伊比恵子による『パーソナルズ(The Personals)』が受賞しました。ニューヨークのユダヤ系高齢者コミュニティセンターで開催されるダンスパーティーの参加者たちの人間模様を温かく描いた作品です。
| 受賞 Winner |
パーソナルズ[The Personals] |
| ノミネート Nominees |
A Place in the Land ⇒ チャールズ・グッケンハイム[Charles Guggenheim] |
短編映画賞 / Tanpen Eiga Shou[Best Live Action Short Film]
短編映画賞(Best Live Action Short Film)は、実写の短編映画作品に贈られます。第71回ではデンマーク映画『Election Night』が受賞しました。後に『アダムズ・アップル』などで知られるアンドレス・トーマス・ヤンセンが脚本を務めた作品です。
| 受賞 Winner |
Election Night |
| ノミネート Nominees |
Culture |
短編アニメ賞 / Tanpen Anime Shou[Best Animated Short Film]
短編アニメ賞(Best Animated Short Film)は、優れた短編アニメーション作品に贈られます。第71回ではクリス・ウェッジ監督の『Bunny』が受賞しました。ウェッジはこの後『アイス・エイジ』シリーズの監督としても知られるようになります。
| 受賞 Winner |
Bunny |
| ノミネート Nominees |
The Canterbury Tales |
劇映画音楽賞 / Geki Eiga Ongaku Shou[Best Original Dramatic Score]
劇映画音楽賞(Best Original Dramatic Score)は、ドラマ作品のために作曲されたオリジナルスコアに贈られます。第71回ではニコラ・ピオヴァーニが『ライフ・イズ・ビューティフル』の心温まる旋律で受賞しました。作品の感動を音楽面から支えた功績が評価されています。
| 受賞 Winner |
ライフ・イズ・ビューティフル[Life Is Beautiful] |
| ノミネート Nominees |
エリザベス[Elizabeth] |
ミュージカル・喜劇映画音楽賞 / Musical Kigeki Eiga Ongaku Shou[Best Original Musical or Comedy Score]
ミュージカル・喜劇映画音楽賞(Best Original Musical or Comedy Score)は、ミュージカルやコメディ作品のオリジナルスコアに贈られる部門です。第71回ではスティーヴン・ウォーベックが『恋におちたシェイクスピア』でエリザベス朝の雰囲気を見事に再現した音楽で受賞しました。なお、この部門は翌年から劇映画音楽賞と統合され、作曲賞(Best Original Score)として一本化されました。
| 受賞 Winner |
恋におちたシェイクスピア[Shakespeare in Love] |
| ノミネート Nominees |
バグズ・ライフ[A Bug’s Life] |
音響編集賞 / Onkyou Henshuh Shou[Best Sound Effects Editing]
音響編集賞(Best Sound Effects Editing)は、映画における効果音の制作と編集の技術的卓越性を評価する部門です。第71回では『プライベート・ライアン』が受賞しました。冒頭のオマハ・ビーチ上陸シーンの臨場感あふれる音響デザインは、映画史上最もリアルな戦闘音響の一つとして高い評価を受けています。
| 受賞 Winner |
プライベート・ライアン[Saving Private Ryan] |
| ノミネート Nominees |
アルマゲドン[Armageddon] |
録音賞 / Rokuon Shou[Best Sound]
録音賞(Best Sound)は、映画における音声収録とミキシングの技術を評価する部門です。第71回では音響編集賞に続き『プライベート・ライアン』が受賞しました。戦場の砲撃音から兵士の息遣いまで、多層的な音響設計が高い没入感を生み出した点が評価されました。
| 受賞 Winner |
プライベート・ライアン[Saving Private Ryan] |
| ノミネート Nominees |
アルマゲドン[Armageddon] |
美術賞 / Bijutsu Shou[Best Art Direction]
美術賞(Best Art Direction)は、映画のセットデザイン、装飾、美術全般の質を評価する部門です。第71回では『恋におちたシェイクスピア』が受賞しました。16世紀のロンドンの劇場や街並みを緻密に再現したプロダクションデザインが高く評価されました。
| 受賞 Winner |
恋におちたシェイクスピア[Shakespeare in Love] |
| ノミネート Nominees |
エリザベス[Elizabeth] |
撮影賞 / Satsuei Shou[Best Cinematography]
撮影賞(Best Cinematography)は、映画の撮影技術と映像表現の優秀性を評価する部門です。第71回ではヤヌス・カミンスキーが『プライベート・ライアン』で受賞しました。手持ちカメラを多用し、脱色処理を施した映像は、まるでドキュメンタリーのようなリアリズムを生み出し、戦争映画の撮影手法に革新をもたらしました。
| 受賞 Winner |
プライベート・ライアン[Saving Private Ryan] |
| ノミネート Nominees |
シビル・アクション[A Civil Action] |
メイクアップ賞 / Makeup Shou[Best Makeup]
メイクアップ賞(Best Makeup)は、映画におけるメイクアップと特殊メイクの技術を評価する部門です。第71回ではジェニー・シャーコアが『エリザベス』で受賞しました。ケイト・ブランシェット演じるエリザベス1世の若き日から戴冠式に至るまでの変貌を表現したメイクアップが、時代考証に基づく精緻な技術として高く評価されました。
| 受賞 Winner |
エリザベス[Elizabeth] |
| ノミネート Nominees |
プライベート・ライアン[Saving Private Ryan] |
衣裳デザイン賞 / Ishou Design Shou[Best Costume Design]
衣裳デザイン賞(Best Costume Design)は、映画における衣裳の企画・制作を評価する部門です。第71回ではサンディ・パウエルが『恋におちたシェイクスピア』のエリザベス朝時代の華やかな衣裳デザインで受賞しました。パウエルはこの後も複数回オスカーを受賞する衣裳デザイナーとなりました。
| 受賞 Winner |
恋におちたシェイクスピア[Shakespeare in Love] |
| ノミネート Nominees |
愛されし者[Beloved] |
編集賞 / Henshuh Shou[Best Film Editing]
編集賞(Best Film Editing)は、映画の編集技術の卓越性を評価する部門です。第71回ではマイケル・カーンが『プライベート・ライアン』で受賞しました。戦闘シーンの緊迫感を最大限に引き出すカット割りと、静と動のコントラストを効果的に構成する編集手法が高く評価されました。カーンはスピルバーグ作品の常連編集者として知られています。
| 受賞 Winner |
プライベート・ライアン[Saving Private Ryan] |
| ノミネート Nominees |
ライフ・イズ・ビューティフル[Life Is Beautiful] |
視覚効果賞 / Shikaku Kouka Shou[Best Visual Effects]
視覚効果賞(Best Visual Effects)は、映画における視覚的な特殊効果の技術力と創造性を評価する部門です。第71回では『奇蹟の輝き(What Dreams May Come)』が受賞しました。死後の世界を油絵のような幻想的な映像で表現したビジュアルエフェクトは、当時のCG技術の可能性を大きく広げるものでした。
| 受賞 Winner |
奇蹟の輝き[What Dreams May Come] |
| ノミネート Nominees |
アルマゲドン[Armageddon] |
第71回アカデミー賞(1999年) まとめ
第71回アカデミー賞(1999年開催、1998年映画作品対象)は、映画史に残る名勝負と名作が数多く集った年として記憶されています。以下に主要な受賞結果をまとめます。
最多受賞作品:『恋におちたシェイクスピア(Shakespeare in Love)』が作品賞、主演女優賞、助演女優賞、脚本賞、美術賞、衣裳デザイン賞、ミュージカル・喜劇映画音楽賞の計7部門で受賞し、この年の最多受賞作品となりました。
技術部門を席巻:『プライベート・ライアン(Saving Private Ryan)』は監督賞、撮影賞、編集賞、音響編集賞、録音賞の計5部門で受賞し、特に技術面での圧倒的な評価を獲得しました。
海外作品の躍進:イタリア映画『ライフ・イズ・ビューティフル(Life Is Beautiful)』が主演男優賞、外国語映画賞、劇映画音楽賞の計3部門で受賞。非英語圏の作品として異例の快挙を達成しました。
この年のアカデミー賞は、娯楽性と芸術性、そしてエンターテインメント大作と国際的なアート映画がバランスよく評価された、多様性のある授賞式として映画ファンの間で語り継がれています。

