[1983年開催(1982年映画作品対象)]第55回アカデミー賞(オスカー賞)受賞映画作品(ノミネート含む) まとめ・一覧 / List of Academy Awards(The Oscars) Nominees 〜アメリカ合衆国の優れた映画と関係者が毎年部門別に表彰されるAMPAS主催の映画賞〜
アカデミー賞(Academy Awards)とは、映画芸術科学アカデミー(Academy of Motion Picture Arts and Sciences、略称AMPAS)が主催する、アメリカ合衆国で最も権威ある映画賞です。アメリカにおける映画の健全な発展と、映画芸術・科学の品質向上を目的に、俳優・監督・脚本家・プロデューサー・技術スタッフなどの映画関係者を毎年部門別に表彰し、その功績を讃えています。
受賞者には賞金は授与されませんが、公式名称「Academy Award of Merit」と呼ばれる金色のオスカー像(Oscar statuette)が贈られるため、一般的には「オスカー賞(The Oscars)」の愛称でも広く知られています。オスカー像は高さ約34cm、重さ約3.9kgの金メッキのブリタニア合金製で、映画人にとって最高の栄誉の象徴です。
アカデミー賞の歴史は、世界三大映画祭(カンヌ国際映画祭、ベルリン国際映画祭、ヴェネツィア国際映画祭)よりも古く、第1回の授賞式は1929年5月16日にハリウッドのルーズベルト・ホテルで開催されました。以来90年以上にわたり、映画界で最も注目される年間行事として世界中の映画ファンに親しまれています。
アカデミー賞のノミネートおよび受賞結果は世界各国で大きく報道されるため、対象作品の興行収入や配信視聴数に多大な影響を与えます。ノミネート発表後に映画館への来場者数が急増するケースも多く、映画産業全体にとって極めて重要な賞となっています。
アカデミー賞のノミネート作品・受賞作品は、映画界で著名なプロデューサー、監督、脚本家、俳優、批評家などで構成される約1万人以上の選考委員(AMPAS会員)による投票で選出されます。その厳格な審査と高い評価基準から、ノミネートされた作品は映画史に残る名作として語り継がれることが多く、映画ファンならば一度は鑑賞しておきたい作品ばかりです。
本記事では、1983年4月11日にロサンゼルスのドロシー・チャンドラー・パビリオンで開催された第55回アカデミー賞(1982年公開の映画作品が対象)の全受賞作品およびノミネート作品を、部門別に詳しく紹介します。
第55回アカデミー賞(1983年)の概要と見どころ
第55回アカデミー賞の授賞式は、1983年4月11日にロサンゼルスのドロシー・チャンドラー・パビリオン(Dorothy Chandler Pavilion)で開催されました。司会はウォルター・マッソー(Walter Matthau)、ライザ・ミネリ(Liza Minnelli)、ダドリー・ムーア(Dudley Moore)、リチャード・プライヤー(Richard Pryor)の4名が務めました。
この年の最大の話題は、リチャード・アッテンボロー(Richard Attenborough)監督の大作『ガンジー(Gandhi)』が、作品賞・監督賞・主演男優賞・脚本賞・撮影賞・美術賞・衣裳デザイン賞・編集賞の8部門を制覇したことです。マハトマ・ガンジーの生涯を壮大に描いたこの伝記映画は、アッテンボロー監督が20年以上の歳月をかけて実現させた渾身のプロジェクトでした。
主演男優賞を受賞したベン・キングズレー(Ben Kingsley)は、インド系イギリス人俳優としてガンジー役を圧倒的な存在感で演じきり、その年のアカデミー賞における最も印象的な受賞者のひとりとなりました。
一方、スティーヴン・スピルバーグ(Steven Spielberg)監督の『E.T.(E.T. the Extra-Terrestrial)』は、音響編集賞・録音賞・視覚効果賞・作曲賞の4部門で受賞し、技術面で高い評価を得ました。同作は1982年の世界興行収入第1位を記録した大ヒット作品でしたが、作品賞では『ガンジー』に敗れる結果となりました。
主演女優賞では、メリル・ストリープ(Meryl Streep)が『ソフィーの選択(Sophie's Choice)』でポーランド移民の女性を演じ、2度目のオスカー受賞を果たしました。ストリープは英語・ポーランド語・ドイツ語を使い分ける圧巻の演技で、映画史に残る名演技として現在も高く評価されています。
また、助演女優賞のジェシカ・ラング(Jessica Lange)は、『トッツィー(Tootsie)』で助演女優賞を受賞すると同時に、『女優フランシス(Frances)』で主演女優賞にもノミネートされるという、同年2作品でのダブルノミネートを達成しました。
歌曲賞では、「Up Where We Belong」(映画『愛と青春の旅だち(An Officer and a Gentleman)』より)が受賞し、映画音楽の名曲として大きなヒットを記録しました。
[1983年開催(1982年映画作品対象)]第55回アカデミー賞(オスカー賞)受賞映画作品(ノミネート含む) まとめ・一覧 / List of Academy Awards(The Oscars) Nominees 〜アメリカ合衆国の優れた映画と関係者が毎年部門別に表彰されるAMPAS主催の映画賞〜
作品賞 / Sakuhin Shou[Best Picture]
作品賞(Best Picture)は、その年に公開された映画の中で最も優れた作品に贈られるアカデミー賞の最高賞です。第55回では、インド独立の父マハトマ・ガンジーの生涯を描いた壮大な伝記映画『ガンジー』が、興行的にも大成功を収めた『E.T.』を抑えて受賞しました。
| 受賞 Winner |
ガンジー[Gandhi] |
| ノミネート Nominees |
E.T.[E.T. the Extra-Terrestrial] |
監督賞 / Kantoku Shou[Best Director]
監督賞(Best Director)は、最も優れた演出を行った映画監督に贈られる部門です。リチャード・アッテンボローは『ガンジー』の壮大なスケールの演出が高く評価され、スピルバーグやポラックら強力なライバルを退けて栄冠を手にしました。
| 受賞 Winner |
ガンジー[Gandhi] |
| ノミネート Nominees |
U・ボート[Das Boot] |
主演男優賞 / Shuen Danyuh Shou[Best Actor]
主演男優賞(Best Actor)は、映画で最も優れた主演演技を披露した男優に贈られます。ベン・キングズレーは映画初主演ながら、マハトマ・ガンジーの穏やかさと内に秘めた強い意志を繊細に表現し、ダスティン・ホフマンやポール・ニューマンといった大物俳優を抑えて初受賞を果たしました。
| 受賞 Winner |
ガンジー[Gandhi] |
| ノミネート Nominees |
トッツィー[Tootsie] |
主演女優賞 / Shuen Danyuh Shou[Best Actress]
主演女優賞(Best Actress)は、最も優れた主演演技を披露した女優に贈られます。メリル・ストリープは『ソフィーの選択』で、ナチス強制収容所の壮絶な体験を持つポーランド移民女性ソフィーを演じ、複数言語を巧みに操る圧倒的な演技力で批評家からも絶賛されました。
| 受賞 Winner |
ソフィーの選択[Sophie’s Choice] |
| ノミネート Nominees |
ビクター/ビクトリア[Victor/Victoria] |
助演男優賞 / Joen Danyuh Shou[Best Supporting Actor]
助演男優賞(Best Supporting Actor)は、助演として傑出した演技を見せた男優に贈られます。ルイス・ゴセット・ジュニアは『愛と青春の旅だち』で厳格な軍曹フォーリー役を力強く演じ、アフリカ系アメリカ人男優として史上初のアカデミー助演男優賞受賞者となりました。
| 受賞 Winner |
愛と青春の旅だち[An Officer and a Gentleman] |
| ノミネート Nominees |
テキサス1の赤いバラ[The Best Little Whorehouse in Texas] |
助演女優賞 / Joen Joyuh Shou[Best Supporting Actress]
助演女優賞(Best Supporting Actress)は、助演として最も優れた演技を見せた女優に贈られます。ジェシカ・ラングは『トッツィー』でダスティン・ホフマン演じる女装俳優と恋に落ちるヒロインを好演し受賞。同年、『女優フランシス』で主演女優賞にもノミネートされた実力派です。
| 受賞 Winner |
トッツィー[Tootsie] |
| ノミネート Nominees |
ガープの世界[The World According to Garp] |
脚本賞 / Kyakuhon Shou[Best Screenplay Written Directly for the Screen]
| 受賞 Winner |
ガンジー[Gandhi] |
| ノミネート Nominees |
ダイナー[Diner] |
脚色賞 / Kyakushoku Shou[Best Screenplay Based on Material Previously Produced or Published]
| 受賞 Winner |
ミッシング[Missing] |
| ノミネート Nominees |
U・ボート[Das Boot] |
外国語映画賞 / Gaikokugo Eiga Shou[Best Foreign Language Film]
| 受賞 Winner |
Begin the Beguine |
| ノミネート Nominees |
アルシノとコンドル[Alsino and the Condor] |
長編ドキュメンタリー映画賞 / Chouhen Documentary Eiga Shou[Best Documentary Feature]
| 受賞 Winner |
Just Another Missing Kid |
| ノミネート Nominees |
After the Axe |
短編ドキュメンタリー映画賞 / Tanpen Documentary Eiga Shou[Best Documentary Short Subject]
| 受賞 Winner |
If You Love This Planet |
| ノミネート Nominees |
Gods of Metal |
短編映画賞 / Tanpen Eiga Shou[Best Live Action Short Film]
| 受賞 Winner |
A Shocking Accident |
| ノミネート Nominees |
Ballet Robotique |
短編アニメ賞 / Tanpen Anime Shou[Best Animated Short Film]
| 受賞 Winner |
Tango |
| ノミネート Nominees |
The Great Cognito |
作曲賞 / Sakkyoku Shou[Best Original Score]
| 受賞 Winner |
E.T.[E.T. the Extra-Terrestrial] |
| ノミネート Nominees |
ガンジー[Gandhi] |
歌曲・編曲賞 / Kakyoku Henkyoku Shou[Best Original Song Score]
| 受賞 Winner |
ビクター/ビクトリア[Victor/Victoria] |
| ノミネート Nominees |
アニー[Annie] |
歌曲賞 / Kashou Shou[Best Original Song]
| 受賞 Winner |
“Up Where We Belong" from 愛と青春の旅だち[An Officer and a Gentleman] |
| ノミネート Nominees |
“Eye of the Tiger" from ロッキー3[Rocky III] |
音響編集賞 / Onkyou Henshuh Shou[Best Sound Effects Editing]
| 受賞 Winner |
E.T.[E.T. the Extra-Terrestrial] |
| ノミネート Nominees |
U・ボート[Das Boot] |
録音賞 / Rokuon Shou[Best Sound]
| 受賞 Winner |
E.T.[E.T. the Extra-Terrestrial] |
| ノミネート Nominees |
U・ボート[Das Boot] |
美術賞 / Bijutsu Shou[Best Art Direction]
| 受賞 Winner |
ガンジー[Gandhi] |
| ノミネート Nominees |
アニー[Annie] |
撮影賞 / Satsuei Shou[Best Cinematography]
| 受賞 Winner |
ガンジー[Gandhi] |
| ノミネート Nominees |
U・ボート[Das Boot] |
メイクアップ賞 / Makeup Shou[Best Makeup]
| 受賞 Winner |
人類創世[Quest for Fire] |
| ノミネート Nominees |
ガンジー[Gandhi] |
衣裳デザイン賞 / Ishou Design Shou[Best Costume Design]
| 受賞 Winner |
ガンジー[Gandhi] |
| ノミネート Nominees |
トラヴィアータ/1985・椿姫[La Traviata] |
編集賞 / Henshuh Shou[Best Film Editing]
| 受賞 Winner |
ガンジー[Gandhi] |
| ノミネート Nominees |
U・ボート[Das Boot] |
視覚効果賞 / Shikaku Kouka Shou[Best Visual Effects]
| 受賞 Winner |
E.T.[E.T. the Extra-Terrestrial] |
| ノミネート Nominees |
ブレードランナー[Blade Runner] |
第55回アカデミー賞(1983年)まとめ
第55回アカデミー賞(1983年開催、1982年公開映画対象)は、リチャード・アッテンボロー監督の『ガンジー』が8部門で受賞し、授賞式を席巻した年として映画史に刻まれています。20年以上の構想期間を経て完成したこの壮大な伝記映画は、ベン・キングズレーの名演技とともに観る者に深い感銘を与えました。
一方で、スティーヴン・スピルバーグの『E.T.』が4部門を制覇し、技術賞を中心に高い評価を獲得。メリル・ストリープの『ソフィーの選択』、シドニー・ポラックの『トッツィー』、コスタ=ガヴラスの『ミッシング』など、社会性と芸術性を兼ね備えた秀作が数多くノミネートされた充実の年でもありました。
また、ルイス・ゴセット・ジュニアがアフリカ系アメリカ人男優として史上初の助演男優賞を受賞したことや、ジェシカ・ラングが2作品で同時にノミネートされたことなど、歴史的な記録が生まれた回でもあります。美術賞にノミネートされた『ブレードランナー』は、当時の評価こそ限定的でしたが、後にSF映画の金字塔として再評価されるなど、この年のノミネート作品には時代を超えて愛される名作が揃っています。
第55回アカデミー賞の受賞作品・ノミネート作品は、いずれも1980年代初頭の映画界の多様性と創造性を象徴する作品ばかりです。まだ未見の作品があれば、ぜひこの機会に鑑賞してみてください。

