[1946年開催(1945年映画作品対象)]第18回アカデミー賞(オスカー賞)受賞映画作品(ノミネート含む) まとめ・一覧 / List of Academy Awards(The Oscars) Nominees 〜アメリカ合衆国の優れた映画と関係者が毎年部門別に表彰されるAMPAS主催の映画賞〜
アカデミー賞(Academy Awards)とは、アメリカの映画芸術科学アカデミー(AMPAS: Academy of Motion Picture Arts and Sciences)が主催する、世界で最も権威ある映画賞のひとつです。アメリカ合衆国における映画の健全な発展と芸術・科学の品質向上などを目的に、キャストやスタッフなどの映画関係者を毎年部門別に表彰し、その成果を讃えています。
受賞作品・受賞者には賞金は出ませんが、金色のオスカー像(Oscar statuette)が授与されるため、「オスカー賞(The Oscars)」とも広く呼ばれています。このオスカー像は高さ約34cm、重さ約3.9kgの24金メッキが施されたブリタニア合金製の像で、映画人にとって最高の栄誉の象徴です。
アカデミー賞の歴史は世界三大映画祭(カンヌ国際映画祭、ベルリン国際映画祭、ヴェネツィア国際映画祭)よりも古く、第1回の授賞式は1929年5月16日にハリウッドのルーズヴェルトホテルで開催されました。以来、世界中が注目する映画界最大のイベントとして毎年開催され続けています。
アカデミー賞へのノミネートおよび受賞結果は世界中に大きく報道されるため、各国における対象映画の興行成績に多大な影響力を持ちます。受賞作品は「オスカー受賞」の冠がつくことで、公開から数十年経っても映画ファンに繰り返し鑑賞される名作として語り継がれています。
アカデミー賞のノミネート作品および受賞作品は、映画界で著名なプロデューサー、監督、脚本家、俳優、批評家などにより構成されるアカデミー会員の投票によって選ばれます。その厳正な選考プロセスと高い評価基準から、ノミネートされること自体が大きな名誉とされ、世間でも話題の中心となるため、一度は鑑賞しておくべき映画作品が揃っています。
第18回アカデミー賞(1946年)の概要
第18回アカデミー賞(18th Academy Awards)の授賞式は、1946年3月7日にハリウッドのグローマンズ・チャイニーズ・シアター(Grauman's Chinese Theatre)で開催されました。司会はボブ・ホープ(Bob Hope)とジェームズ・スチュワート(James Stewart)が務めました。
この年は第二次世界大戦が終結した直後であり、戦時下の社会不安や人間の心理的葛藤を描いた作品が高く評価されました。最多受賞作品はビリー・ワイルダー監督の『失われた週末(The Lost Weekend)』で、作品賞・監督賞・主演男優賞・脚色賞の主要4部門を制覇しました。アルコール依存症の苦悩をリアルに描いた本作は、社会派映画の傑作として映画史に刻まれています。
また、この年はジョーン・クロフォード(Joan Crawford)が『ミルドレッド・ピアース(Mildred Pierce)』で主演女優賞を受賞し、キャリアの復活を印象づけた年としても知られています。以下に、1946年開催(1945年映画作品対象)の第18回アカデミー賞における全部門のノミネート作品と受賞作品をまとめて紹介します。
[1946年開催(1945年映画作品対象)]第18回アカデミー賞(オスカー賞)受賞映画作品(ノミネート含む) まとめ・一覧 / List of Academy Awards(The Oscars) Nominees 〜アメリカ合衆国の優れた映画と関係者が毎年部門別に表彰されるAMPAS主催の映画賞〜
作品賞 / Sakuhin Shou[Best Picture]
作品賞(Best Picture)は、アカデミー賞の中で最も注目される最高賞です。第18回では、アルコール依存症に苦しむ作家の姿を描いたビリー・ワイルダー監督の社会派ドラマ『失われた週末』が受賞しました。戦後の社会問題に正面から向き合った本作は、同年のカンヌ国際映画祭パルム・ドールも受賞し、映画史に残る二冠を達成しています。
| 受賞 Winner |
失われた週末[The Lost Weekend] |
| ノミネート Nominees |
錨を上げて[Anchors Aweigh] |
監督賞 / Kantoku Shou[Best Director]
監督賞(Best Director)は、その年最も優れた演出を行った映画監督に贈られます。『失われた週末』のビリー・ワイルダーが受賞し、作品賞との同時受賞を果たしました。ノミネートには巨匠アルフレッド・ヒッチコック(『白い恐怖』)やフランス映画界の名匠ジャン・ルノワール(『南部の人』)といった映画史に名を刻む監督たちが名を連ねています。
| 受賞 Winner |
失われた週末[The Lost Weekend] |
| ノミネート Nominees |
聖メリーの鐘[The Bells of St. Mary’s] |
主演男優賞 / Shuen Danyuh Shou[Best Actor]
主演男優賞(Best Actor)は、最も優れた演技を見せた男性俳優に贈られます。レイ・ミランドが『失われた週末』でアルコール依存症の作家ドン・バーナムを熱演し、受賞しました。ノミネートには後に名優として不動の地位を築くグレゴリー・ペック(『王国の鍵』)や、ミュージカル映画の伝説ジーン・ケリー(『錨を上げて』)も含まれています。
| 受賞 Winner |
失われた週末[The Lost Weekend] |
| ノミネート Nominees |
聖メリーの鐘[The Bells of St. Mary’s] |
主演女優賞 / Shuen Joyuh Shou[Best Actress]
主演女優賞(Best Actress)は、最も優れた演技を見せた女性俳優に贈られます。ジョーン・クロフォードが『ミルドレッド・ピアース』で自立する母親の力強い姿を演じ、見事受賞しました。病気のため授賞式には出席できませんでしたが、自宅のベッドで受賞を知らされた逸話は有名です。ノミネートにはイングリッド・バーグマン(『聖メリーの鐘』)やジーン・ティアニー(『哀愁の湖』)といった名女優が並んでいます。
| 受賞 Winner |
ミルドレッド・ピアース[Mildred Pierce] |
| ノミネート Nominees |
聖メリーの鐘[The Bells of St. Mary’s] |
助演男優賞 / Joen Danyuh Shou[Best Supporting Actor]
助演男優賞(Best Supporting Actor)は、脇役として際立った演技を見せた男性俳優に贈られます。ジェームズ・ダンが『ブルックリン横丁』で愛情深くも酒に溺れる父親役を好演し、受賞しました。ノミネートにはロバート・ミッチャム(『G・I・ジョウ』)やマイケル・チェーホフ(『白い恐怖』)が名を連ねています。
| 受賞 Winner |
ブルックリン横丁[A Tree Grows in Brooklyn] |
| ノミネート Nominees |
白い恐怖[Spellbound] |
助演女優賞 / Joen Joyuh Shou[Best Supporting Actress]
助演女優賞(Best Supporting Actress)は、脇役として優れた演技を見せた女性俳優に贈られます。アン・リヴィアが『緑園の天使』で若きエリザベス・テイラーの母親役を温かく演じ、受賞しました。『ミルドレッド・ピアース』からはイヴ・アーデンとアン・ブライスの2名がノミネートされるなど、同作品の演技力の高さが際立っています。
| 受賞 Winner |
緑園の天使[National Velvet] |
| ノミネート Nominees |
ミルドレッド・ピアース[Mildred Pierce] |
脚本賞 / Kyakuhon Shou[Best Original Screenplay]
脚本賞(Best Original Screenplay)は、オリジナル脚本として最も優れた作品に贈られます。スイス映画『Marie-Louise』のリチャード・シュヴァイザーが受賞しました。戦時中のスイスに避難した子供を描いた本作は、ヨーロッパの映画界からも高い評価を受けた作品です。
| 受賞 Winner |
Marie-Louise |
| ノミネート Nominees |
犯罪王ディリンジャー[Dillinger] |
脚色賞 / Kyakushoku Shou[Best Screenplay]
脚色賞(Best Screenplay / Best Adapted Screenplay)は、既存の文学作品や原作を基に書かれた脚本に贈られます。チャールズ・ブラケットとビリー・ワイルダーが、チャールズ・R・ジャクソンの同名小説を原作とした『失われた週末』で受賞しました。原作の文学的描写を見事に映像化した脚本は、アダプテーションの模範として評価されています。
| 受賞 Winner |
失われた週末[The Lost Weekend] |
| ノミネート Nominees |
ミルドレッド・ピアース[Mildred Pierce] |
原案賞 / Genan Shou[Best Story]
| 受賞 Winner |
Gメン対間諜[The House on 92nd Street] |
| ノミネート Nominees |
失恋四人男[The Affairs of Susan] |
長編ドキュメンタリー映画賞 / Chouhen Documentary Eiga Shou[Best Documentary Feature]
| 受賞 Winner |
The True Glory |
| ノミネート Nominees |
短編ドキュメンタリー映画賞 / Tanpen Documentary Eiga Shou[Best Documentary Short Subject]
| 受賞 Winner |
Hitler Lives |
| ノミネート Nominees |
短編映画賞(一巻) / Tanpen Eiga Shou(Hito Maki)[Best Live Action Short Film One-Reel]
| 受賞 Winner |
Stairway to Light |
| ノミネート Nominees |
Along the Rainbow Trail |
短編映画賞(二巻) / Tanpen Eiga Shou(Futa Maki)[Best Live Action Short Film Two-Reel]
| 受賞 Winner |
Star in the Night |
| ノミネート Nominees |
A Gun in His Hand |
短編アニメ賞 / Tanpen Anime Shou[Best Animated Short Film]
短編アニメ賞(Best Animated Short Film)は、その年の最も優れたアニメーション短編作品に贈られます。受賞したのはMGM制作の『ただいまお昼寝中(Quiet Please!)』で、人気シリーズ「トムとジェリー」の一作です。ウィリアム・ハンナとジョセフ・バーベラが監督を務め、ユーモアとアニメーション技術の両面で高い評価を得ました。
| 受賞 Winner |
ただいまお昼寝中[Quiet Please!] |
| ノミネート Nominees |
Donald’s Crime |
劇・喜劇映画音楽賞 / Geki Kigeki Eiga Ongaku Shou[Best Scoring of a Dramatic or Comedy Picture]
劇・喜劇映画音楽賞(Best Scoring of a Dramatic or Comedy Picture)は、ドラマまたはコメディ映画における最も優れた音楽に贈られます。ロージャ・ミクローシュ(Miklos Rozsa)が『白い恐怖』で受賞しました。テルミンを使用した独創的なスコアは、心理サスペンス映画音楽の先駆的作品として現在も高い評価を受けています。
| 受賞 Winner |
白い恐怖[Spellbound] |
| ノミネート Nominees |
聖メリーの鐘[The Bells of St. Mary’s] |
ミュージカル映画音楽賞 / Musical Eiga Ongaku Shou[Best Scoring of a Musical Picture]
| 受賞 Winner |
錨を上げて[Anchors Aweigh] |
| ノミネート Nominees |
ユーコンの女王[Belle of the Yukon] |
歌曲賞 / Kashou Shou[Best Original Song]
歌曲賞(Best Original Song)は、映画のために書かれたオリジナル楽曲に贈られます。リチャード・ロジャースとオスカー・ハマースタイン2世のコンビによる「It Might as Well Be Spring」(『ステート・フェア』)が受賞しました。ロジャース&ハマースタインは『サウンド・オブ・ミュージック』や『王様と私』でも知られる、ブロードウェイとハリウッドを代表する作曲・作詞コンビです。
| 受賞 Winner |
“It Might as Well Be Spring" – ステート・フェア[State Fair] |
| ノミネート Nominees |
“Accentuate the Positive" – Here Come the Waves |
録音賞 / Rokuon Shou[Best Sound Recording]
| 受賞 Winner |
聖メリーの鐘[The Bells of St. Mary’s] |
| ノミネート Nominees |
炎の街[Flame of Barbary Coast] |
美術賞(白黒) / Bijutsu Shou(Shiro Kuro)[Best Art Direction Set Decoration Black and White]
| 受賞 Winner |
東京スパイ大作戦[Blood on the Sun] |
| ノミネート Nominees |
恐ろしき結婚[Experiment Perilous] |
美術賞(カラー) / Bijutsu Shou(Color)[Best Art Direction Set Decoration Color]
| 受賞 Winner |
情炎の海[Frenchman’s Creek] |
| ノミネート Nominees |
哀愁の湖[Leave Her to Heaven] |
撮影賞(白黒) / Satsuei Shou(Shiro Kuro)[Best Cinematography Black and White]
| 受賞 Winner |
ドリアン・グレイの肖像[The Picture of Dorian Gray] |
| ノミネート Nominees |
王国の鍵[The Keys of the Kingdom] |
撮影賞(カラー) / Satsuei Shou(Color)[Best Cinematography Color]
| 受賞 Winner |
哀愁の湖[Leave Her to Heaven] |
| ノミネート Nominees |
錨を上げて[Anchors Aweigh] |
編集賞 / Henshuh Shou[Best Film Editing]
| 受賞 Winner |
緑園の天使[National Velvet] |
| ノミネート Nominees |
聖メリーの鐘[The Bells of St. Mary’s] |
視覚効果賞 / Shikaku Kouka Shou[Best Visual Effects]
| 受賞 Winner |
ダニー・ケイの 天国と地獄[Wonder Man] |
| ノミネート Nominees |
旋風大尉[Captain Eddie] |
第18回アカデミー賞(1946年) まとめ
第18回アカデミー賞(1946年開催)は、第二次世界大戦直後という歴史的転換期に開催され、戦争の影響を色濃く反映した作品が多くノミネートされました。特に注目すべきポイントを以下にまとめます。
最多受賞作品
『失われた週末(The Lost Weekend)』が作品賞・監督賞・主演男優賞・脚色賞の主要4部門を制覇しました。アルコール依存症という当時タブーとされたテーマに正面から取り組んだビリー・ワイルダー監督の手腕が、アカデミー会員から圧倒的な支持を得た結果です。
主要受賞者一覧
| 部門 | 受賞者 / 受賞作品 |
| 作品賞 | 失われた週末(The Lost Weekend) |
| 監督賞 | ビリー・ワイルダー(Billy Wilder) |
| 主演男優賞 | レイ・ミランド(Ray Milland) |
| 主演女優賞 | ジョーン・クロフォード(Joan Crawford) |
| 助演男優賞 | ジェームズ・ダン(James Dunn) |
| 助演女優賞 | アン・リヴィア(Anne Revere) |
| 脚本賞 | リチャード・シュヴァイザー(Richard Schweizer) |
| 脚色賞 | チャールズ・ブラケット、ビリー・ワイルダー |
| 歌曲賞 | 「It Might as Well Be Spring」 |
第18回アカデミー賞の歴史的意義
この年のアカデミー賞は、戦後のハリウッドが社会的なテーマへと目を向け始めた転換点として映画史上重要な位置を占めています。『失われた週末』のようなシリアスな社会派作品が最高賞を受賞したことは、エンターテインメント中心だった戦前のハリウッドからの明確な変化を示していました。また、イングリッド・バーグマン、グレゴリー・ペック、ジーン・ケリーといった後に映画黄金時代を築く俳優たちがノミネートに名を連ねていることからも、1940年代後半のハリウッドの活況がうかがえます。
第18回アカデミー賞にノミネートされた作品群は、戦後の人間ドラマやミュージカル、サスペンスなど幅広いジャンルを網羅しており、いずれも映画ファンにとって一度は鑑賞すべき名作揃いです。

