[1943年開催(1942年映画作品対象)]第15回アカデミー賞(オスカー賞)受賞映画作品(ノミネート含む) まとめ・一覧 / List of Academy Awards(The Oscars) Nominees 〜アメリカ合衆国の優れた映画と関係者が毎年部門別に表彰されるAMPAS主催の映画賞〜

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アカデミー賞(オスカー賞)は、映画芸術科学アカデミー(Academy of Motion Picture Arts and Sciences、略称AMPAS)が主催する、世界で最も権威ある映画賞のひとつです。アメリカ合衆国における映画の健全な発展と、映画芸術・科学技術の品質向上を目的として設立され、毎年各部門のキャスト・スタッフを表彰してその優れた功績を讃えています。

受賞者には賞金こそ授与されませんが、映画界の栄誉の象徴である金色のオスカー像が贈られることから、「オスカー賞」の愛称で世界中に知られています。その歴史は世界三大映画祭(カンヌ国際映画祭、ベルリン国際映画祭、ヴェネツィア国際映画祭)よりも古く、1929年の第1回授賞式以来、映画ファンのみならず世界中のメディアが注目する映画界最大のイベントとして発展を続けてきました。

アカデミー賞の選考は、映画界で卓越した業績を持つプロデューサー、監督、脚本家、俳優、批評家、技術者などで構成されるアカデミー会員の投票によって行われます。そのノミネートおよび受賞結果は世界中で大きく報道され、対象映画の興行成績や評価に絶大な影響力を持つため、受賞作品・ノミネート作品は一度は鑑賞すべき映画として映画史に刻まれています。

第15回アカデミー賞(1943年開催)の概要と歴史的背景

第15回アカデミー賞授賞式は、1943年3月4日にカリフォルニア州ロサンゼルスのココナッツ・グローヴ(Ambassador Hotel内)にて開催されました。対象となったのは1942年に公開された映画作品で、司会はボブ・ホープが務めました。第二次世界大戦の真っ只中に行われたこの授賞式は、戦時下のハリウッドが映画を通じて国民の士気を鼓舞し、同時に芸術的な水準を維持しようとした時代を象徴する回となりました。

この年の最大の注目は、ウィリアム・ワイラー監督の『ミニヴァー夫人(Mrs. Miniver)』でした。第二次世界大戦下のイギリスで暮らす中産階級の家族の姿を描いたこの作品は、作品賞、監督賞(ウィリアム・ワイラー)、主演女優賞(グリア・ガースン)、助演女優賞(テレサ・ライト)、脚色賞、撮影賞(白黒)の計6部門で受賞し、この年のアカデミー賞を席巻しました。当時のウィンストン・チャーチル英首相が「戦艦一隻分に匹敵する戦争への貢献」と評したほど、連合国の戦意高揚に大きな影響を与えた作品です。

主演男優賞は、『ヤンキー・ドゥードゥル・ダンディ(Yankee Doodle Dandy)』でブロードウェイのエンターテイナー、ジョージ・M・コーハンを演じたジェームズ・キャグニーが受賞しました。ギャング映画のイメージが強かったキャグニーが見事な歌と踊りで観客を魅了し、唯一のアカデミー主演男優賞を手にしました。同作品はミュージカル映画音楽賞や録音賞も獲得しています。

また、この年はドキュメンタリー部門が新設された最初の年でもあり、ジョン・フォード監督が撮影した戦場記録映画『ミッドウェイ海戦(The Battle of Midway)』が受賞するなど、戦争の現実を記録する映画が高く評価されました。短編アニメ賞ではウォルト・ディズニーの『総統の顔(Der Fuehrer's Face)』が受賞し、アニメーションを通じた風刺と戦時プロパガンダの融合が注目を集めました。

歌曲賞では、アーヴィング・バーリン作詞・作曲の「ホワイト・クリスマス(White Christmas)」が『スイング・ホテル(Holiday Inn)』から選出されて受賞しました。ビング・クロスビーが歌ったこの楽曲は、その後世界中で最も売れたクリスマスソングのひとつとなり、映画音楽史に不朽の名を残しています。

1942年の映画作品は、戦時下という特殊な時代背景を反映し、愛国心を鼓舞する作品、銃後の家庭を描いた作品、戦場の現実を伝えるドキュメンタリーなど、多様なジャンルが競い合いました。その中で芸術性と娯楽性を兼ね備えた作品が評価された第15回アカデミー賞は、困難な時代におけるハリウッド映画の底力を示す歴史的な授賞式であったと言えるでしょう。

以下では、第15回アカデミー賞(1943年開催・1942年映画作品対象)の全部門における受賞作品およびノミネート作品を一覧でご紹介します。

[1943年開催(1942年映画作品対象)]第15回アカデミー賞(オスカー賞)受賞映画作品(ノミネート含む) まとめ・一覧 / List of Academy Awards(The Oscars) Nominees 〜アメリカ合衆国の優れた映画と関係者が毎年部門別に表彰されるAMPAS主催の映画賞〜

作品賞 / Sakuhin Shou[Best Picture]

作品賞(Best Picture)は、アカデミー賞の全部門の中で最も権威ある賞とされ、その年に公開された映画の中から最も優れた作品に贈られます。作品の総合的な完成度 ―― 脚本、演出、演技、撮影、編集、音楽など全ての要素を含む映画としての芸術的・娯楽的達成度が評価の基準となります。1943年の第15回では、第二次世界大戦下のイギリスの家庭を描いたウィリアム・ワイラー監督の『ミニヴァー夫人』が受賞し、戦時下における市民の勇気と家族の絆を描いた本作は、観客と批評家の双方から絶賛されました。

受賞
Winner
ミニヴァー夫人[Mrs. Miniver] ⇒ Sidney Franklin for Metro-Goldwyn-Mayer

ノミネート
Nominees

潜水艦轟沈す[49th Parallel] ⇒ Michael Powell for Ortus
嵐の青春[Kings Row] ⇒ Hal B. Wallis for Warner Bros.
偉大なるアンバーソン家の人々[The Magnificent Ambersons] ⇒ Orson Welles for Mercury and RKO Radio
The Pied Piper ⇒ Nunnally Johnson for 20th Century Fox
打撃王[The Pride of the Yankees] ⇒ Samuel Goldwyn for Samuel Goldwyn Productions and RKO Radio
心の旅路[Random Harvest] ⇒ Sidney Franklin for Metro-Goldwyn-Mayer
希望の降る街[The Talk of the Town] ⇒ George Stevens for Columbia
ウェーク島攻防戦[Wake Island] ⇒ Joseph Sistrom for Paramount
ヤンキー・ドゥードゥル・ダンディ[Yankee Doodle Dandy] ⇒ Jack L. Warner、Hal B. Wallis、and William Cagney for Warner Bros.

監督賞 / Kantoku Shou[Best Director]

監督賞(Best Director)は、映画の芸術的ビジョンと技術的手腕において最も卓越した監督に贈られる賞です。ストーリーテリング、俳優の演技指導、映像表現、テンポの構築など、映画全体を統括する監督の力量が審査されます。第15回ではウィリアム・ワイラーが『ミニヴァー夫人』で受賞しました。ワイラーは繊細な人間ドラマと戦争の緊迫感を見事に融合させ、イギリス中産階級の日常に戦争がもたらす影響を臨場感あふれる演出で描き出しました。なお、ワイラー自身もこの授賞式の時点では米陸軍航空隊に従軍しており、授賞式には出席できませんでした。

受賞
Winner
ミニヴァー夫人[Mrs. Miniver] ⇒ ウィリアム・ワイラー[William Wyler]

ノミネート
Nominees

嵐の青春[Kings Row] ⇒ サム・ウッド[Sam Wood]
心の旅路[Random Harvest] ⇒ マーヴィン・ルロイ[Mervyn LeRoy]
ウェーク島攻防戦[Wake Island] ⇒ ジョン・ファロー[John Farrow]
ヤンキー・ドゥードゥル・ダンディ[Yankee Doodle Dandy] ⇒ マイケル・カーティス[Michael Curtiz]

主演男優賞 / Shuen Danyuh Shou[Best Actor]

主演男優賞(Best Actor)は、映画において主演を務めた男優の中で最も優れた演技を披露した俳優に贈られます。役柄への没入度、感情表現の深さ、キャラクターの説得力などが総合的に評価されます。第15回ではジェームズ・キャグニーが『ヤンキー・ドゥードゥル・ダンディ』でブロードウェイの伝説的エンターテイナー、ジョージ・M・コーハンを演じて受賞しました。タフガイやギャング役のイメージが強かったキャグニーが、エネルギッシュな歌とダンスでコーハンの生涯を体現し、そのキャリアにおける唯一のアカデミー主演男優賞を獲得した歴史的な受賞です。

受賞
Winner
ヤンキー・ドゥードゥル・ダンディ[Yankee Doodle Dandy] ⇒ ジェームズ・キャグニー[James Cagney]

ノミネート
Nominees

心の旅路[Random Harvest] ⇒ ロナルド・コールマン[Ronald Colman]
打撃王[The Pride of the Yankees] ⇒ ゲイリー・クーパー[Gary Cooper]
ミニヴァー夫人[Mrs. Miniver] ⇒ ウォルター・ピジョン[Walter Pidgeon]
The Pied Piper ⇒ モンティ・ウーリー[Monty Woolley]

主演女優賞 / Shuen Danyuh Shou[Best Actress]

主演女優賞(Best Actress)は、映画において主演を務めた女優の中で最も優れた演技を見せた俳優に贈られる賞です。演技力、役柄への適性、観客への訴求力が評価の対象となります。第15回ではグリア・ガースンが『ミニヴァー夫人』で受賞しました。戦時下のイギリスで家庭を守り抜く強くしなやかな女性を気品あふれる演技で表現したガースンは、受賞スピーチが映画史上最も長いスピーチの一つとして語り継がれるエピソードでも知られています。ガースンの受賞によって、同作品は作品賞・監督賞・主演女優賞の主要3部門を制覇しました。

受賞
Winner
ミニヴァー夫人[Mrs. Miniver] ⇒ グリア・ガースン[Greer Garson]

ノミネート
Nominees

情熱の航路[Now, Voyager] ⇒ ベティ・デイヴィス[Bette Davis]
女性No.1[Woman of the Year] ⇒ キャサリン・ヘプバーン[Katharine Hepburn]
My Sister Eileen ⇒ ロザリンド・ラッセル[Rosalind Russell]
打撃王[The Pride of the Yankees] ⇒ テレサ・ライト[Teresa Wright]

助演男優賞 / Joen Danyuh Shou[Best Supporting Actor]

助演男優賞(Best Supporting Actor)は、映画で脇役・助演を務めた男優の中で最も印象的な演技を見せた俳優に授与されます。限られた出演時間の中で作品に深みを加え、物語を豊かにする演技力が評価されます。第15回ではヴァン・ヘフリンが犯罪映画『Johnny Eager』で受賞しました。ヘフリンはロバート・テイラー演じる主人公の親友であるアルコール依存症の知識人を繊細かつ力強く演じ、作品に人間的な奥行きを与えた点が高く評価されました。

受賞
Winner
Johnny Eager ⇒ ヴァン・ヘフリン[Van Heflin]

ノミネート
Nominees

ウェーク島攻防戦[Wake Island] ⇒ ウィリアム・ベンディックス[William Bendix]
ヤンキー・ドゥードゥル・ダンディ[Yankee Doodle Dandy] ⇒ ウォルター・ヒューストン[Walter Huston]
Tortilla Flat ⇒ フランク・モーガン[Frank Morgan]
ミニヴァー夫人[Mrs. Miniver] ⇒ ヘンリー・トラヴァース[Henry Travers]

助演女優賞 / Joen Joyuh Shou[Best Supporting Actress]

助演女優賞(Best Supporting Actress)は、映画で脇役・助演を務めた女優の中で最も優れた演技を披露した俳優に贈られます。物語を支え、主演の演技を引き立てながらも独自の存在感を放つ演技が評価されます。第15回ではテレサ・ライトが『ミニヴァー夫人』で受賞しました。ライトは若き嫁であるキャロル・ベルドン役を瑞々しくも芯の強い演技で表現し、戦時下の家族ドラマに感動的な深みを加えました。注目すべきことに、ライトはこの年、主演女優賞にも『打撃王』でノミネートされており、同一年度に2部門でノミネートされるという快挙を成し遂げました。

受賞
Winner
ミニヴァー夫人[Mrs. Miniver] ⇒ テレサ・ライト[Teresa Wright]

ノミネート
Nominees

情熱の航路[Now, Voyager] ⇒ グラディス・クーパー[Gladys Cooper]
偉大なるアンバーソン家の人々[The Magnificent Ambersons] ⇒ アグネス・ムーアヘッド[Agnes Moorehead]
心の旅路[Random Harvest] ⇒ スーザン・ピータース[Susan Peters]
ミニヴァー夫人[Mrs. Miniver] ⇒ メイ・ウィッティ[Dame May Whitty]

脚本賞 / Kyakuhon Shou[Best Original Screenplay]

脚本賞(Best Original Screenplay)は、既存の原作に依らず、映画のために書き下ろされたオリジナル脚本の中で最も優れた作品に贈られます。物語の独創性、構成力、対話の質、テーマの深さが審査基準となります。第15回ではマイケル・カニンとリング・ラードナー・Jr.が『女性No.1』で受賞しました。スペンサー・トレイシーとキャサリン・ヘプバーンの初共演作となったこのロマンティック・コメディは、男女間の知的な攻防を軽妙洒脱な会話で描き、脚本の力が映画の魅力を支えた好例として知られています。

受賞
Winner
女性No.1[Woman of the Year] ⇒ Michael Kanin and Ring Lardner Jr.

ノミネート
Nominees

わが一機未帰還[One of Our Aircraft Is Missing] ⇒ マイケル・パウエル[Michael Powell]、エメリック・プレスバーガー[Emeric Pressburger]
モロッコへの道[Road to Morocco] ⇒ フランク・バトラー[Frank Butler]、ドン・ハートマン[Don Hartman]
ウェーク島攻防戦[Wake Island] ⇒ フランク・バトラー[W. R. Burnett]、ドン・ハートマン[Frank Butler]
The War Against Mrs. Hadley ⇒ ジョージ・オッペンハイマー[George Oppenheimer]

脚色賞 / Kyakushoku Shou[Best Screenplay]

脚色賞(Best Screenplay / Best Adapted Screenplay)は、小説、戯曲、ノンフィクションなど既存の原作を基に映画脚本へと翻案した作品の中で、最も優れた脚色に贈られます。原作の本質を損なうことなく映画という表現媒体に適した形に再構築する技術が問われます。第15回ではジョージ・フローシェル、ジェームズ・ヒルトン、クローディン・ウェスト、アーサー・ウィンペリスの4人が『ミニヴァー夫人』で受賞しました。ジャン・ストラザーの新聞コラムを原作とする本作は、断片的なエッセイから緊迫感あるドラマティックな物語へと見事に再構成されました。

受賞
Winner

ミニヴァー夫人[Mrs. Miniver] ⇒ ジョージ・フローシェル[George Froeschel]、ジェームズ・ヒルトン[James Hilton]、クローディン・ウェスト[Claudine West]、アーサー・ウィンペリス[Arthur Wimperis]

ノミネート
Nominees

潜水艦轟沈す[49th Parallel] ⇒ ロドニー・アックランド[Rodney Ackland]、エメリック・プレスバーガー[Emeric Pressburger]v
打撃王[The Pride of the Yankees] ⇒ ハーマン・マンキウィッツ[Herman J. Mankiewicz]、ジョー・スワーリング[Jo Swerling]
心の旅路[Random Harvest] ⇒ ジョージ・フローシェル[George Froeschel]、クローディン・ウェスト[Claudine West]、アーサー・ウィンペリス[Arthur Wimperis]
希望の降る街[The Talk of the Town] ⇒ シドニー・バックマン[Sidney Buchman]、アーウィン・ショウ[Irwin Shaw]

原案賞 / Genan Shou[Best Story]

原案賞(Best Story)は、映画の原案となった物語を提供した者に贈られた賞で、脚本賞・脚色賞とは区別されていました。映画化のための着想や物語の骨格を提供した功績を評価する部門です(現在は廃止)。第15回ではエメリック・プレスバーガーが『潜水艦轟沈す(49th Parallel)』で受賞しました。カナダに漂着したナチスのUボート乗組員がカナダ横断を試みるというサスペンスフルな原案は、反ファシズムのメッセージを冒険譚の形式で巧みに伝え、戦時プロパガンダとしても芸術作品としても高い評価を受けました。

受賞
Winner
潜水艦轟沈す[49th Parallel] ⇒ エメリック・プレスバーガー[Emeric Pressburger]

ノミネート
Nominees

スイング・ホテル[Holiday Inn] ⇒ アーヴィング・バーリン[Irving Berlin]
打撃王[The Pride of the Yankees] ⇒ ポール・ギャリコ[Paul Gallico]
希望の降る街[The Talk of the Town] ⇒ シドニー・ハーモン[Sidney Harmon]
ヤンキー・ドゥードゥル・ダンディ[Yankee Doodle Dandy] ⇒ ロバート・バックナー[Robert Buckner]

長編ドキュメンタリー映画賞 / Chouhen Documentary Eiga Shou[Best Documentary Feature]

長編ドキュメンタリー映画賞(Best Documentary Feature)は、この第15回で新設された部門であり、アカデミー賞の歴史において画期的な出来事でした。戦争の現実を記録し、国民に伝えるドキュメンタリー映画の重要性が認識されたことを背景に創設されました。第15回ではジョン・フォード監督がアメリカ海軍の協力のもと撮影した『ミッドウェイ海戦(The Battle of Midway)』をはじめ、『Kokoda Front Line!』『Moscow Strikes Back』『Prelude to War』の4作品が受賞しました。特にフォード自身が前線で負傷しながらも撮影を続けたミッドウェイ海戦の記録は、戦場のリアリティを伝える歴史的記録として高い価値を持っています。

受賞
Winner
ミッドウェイ海戦[The Battle of Midway] ⇒ United States Navy
Kokoda Front Line! ⇒ Australian News and Information Bureau
Moscow Strikes Back ⇒ Artkino
Prelude to War ⇒ United States Army Special Services

ノミネート
Nominees

Africa, Prelude to Victory ⇒ The March of Time
Combat Report ⇒ United States Army Signal Corps
Conquer by the Clock ⇒ Frederic Ullman Jr.
The Grain That Built a Hemisphere ⇒ Walt Disney
Henry Browne, Farmer ⇒ United States Department of Agriculture
High Over the Borders ⇒ National Film Board of Canada
High Stakes in the East ⇒ The Netherlands Information Bureau
Inside Fighting China ⇒ National Film Board of Canada
It’s Everybody’s War ⇒ United States Office of War Information
Listen to Britain ⇒ British Ministry of Information

Little Belgium ⇒ Belgian Ministry of Information
Little Isles of Freedom ⇒ Victor Stoloff and Edgar Loew
Mr. Blabbermouth! ⇒ United States Office of War Information
Mr. Gardenia Jones ⇒ United States Office of War Information
新しい精神[The New Spirit] ⇒ Walt Disney
The Price of Victory ⇒ William H. Pinev
A Ship Is Born ⇒ United States Merchant Marine
Twenty-One Miles ⇒ British Ministry of Information
We Refuse to Die ⇒ William C. Thomas
White Eagle ⇒ Concanen Filmsv
Winning Your Wings ⇒ United States Army Air Force

短編ドキュメンタリー映画賞 / Tanpen Documentary Eiga Shou[Best Documentary Short Subject]

短編ドキュメンタリー映画賞(Best Documentary Short Subject)は、短編形式のドキュメンタリー映画を対象とした部門です。長編ドキュメンタリー映画賞と同じく第15回で新設され、短い尺の中で現実の出来事や社会問題を効果的に伝える映像作品が評価されます。戦時下においては、ニュース映画やプロパガンダ短編が重要なメディアとして機能していたことから、この部門の新設は時代の要請に応えるものでした。

受賞
Winner
ノミネート
Nominees

短編映画賞(一巻) / Tanpen Eiga Shou(Hito Maki)[Best Live Action Short Film One-Reel]

短編映画賞・一巻(Best Live Action Short Film, One-Reel)は、1巻(上映時間約10分以内)の短編実写映画を対象とした部門です。当時の映画館では本編の前に短編映画が上映されるのが一般的であり、娯楽性や教育的価値において優れた短編作品が評価されました。第15回ではパラマウント社の『Speaking of Animals and Their Families』が受賞しました。動物の映像にユーモラスな吹き替えを施したこのシリーズは、戦時下の観客に笑いと癒しを提供しました。

受賞
Winner
Speaking of Animals and Their Families ⇒ Paramount

ノミネート
Nominees

Desert Wonderland ⇒ 20th Century Fox
Marines in the Making ⇒ Pete Smith
United States Marine Band ⇒ Warner Bros.

短編映画賞(二巻) / Tanpen Eiga Shou(Futa Maki)[Best Live Action Short Film Two-Reel]

短編映画賞・二巻(Best Live Action Short Film, Two-Reel)は、2巻(上映時間約20〜40分程度)の短編実写映画を対象とした部門です。一巻部門よりも長い尺を活かし、より複雑な物語や本格的なドキュメンタリーを展開できるため、内容の充実度やテーマ性が一層重視されました。第15回ではワーナー・ブラザーズ社の『Beyond the Line of Duty』が受賞しました。アメリカ陸軍航空隊の英雄的な活躍を描いた本作は、戦時下のアメリカ国民に勇気と誇りを与える作品として高く評価されました。

受賞
Winner
Beyond the Line of Duty ⇒ Warner Bros.

ノミネート
Nominees

Don’t Talk ⇒ Metro-Goldwyn-Mayer
Private Smith of the U.S.A. ⇒ RKO Radio

短編アニメ賞 / Tanpen Anime Shou[Best Animated Short Film]

短編アニメ賞(Best Animated Short Film)は、アニメーション技法を用いた短編映画の中で最も優秀な作品に贈られます。アニメーションの技術力、物語性、独創性、娯楽性が総合的に審査されます。第15回ではウォルト・ディズニーの『総統の顔(Der Fuehrer's Face)』が受賞しました。ドナルドダックがナチス・ドイツで暮らす悪夢を見るという風刺アニメで、スパイク・ジョーンズによる同名の楽曲とともに大ヒットしました。アニメーションというメディアを通じて戦時プロパガンダとエンターテインメントを融合させた代表的作品です。

受賞
Winner
総統の顔[Der Fuehrer’s Face] ⇒ Walt Disney

ノミネート
Nominees

All Out for V ⇒ Paul Terry
Blitz Wolf ⇒ Fred Quimby
Juke Box Jamboree ⇒ Walter Lantz
Pigs in a Polka ⇒ Leon Schlesinger
Tulips Shall Grow ⇒ George Pal

劇・喜劇映画音楽賞 / Geki Kigeki Eiga Ongaku Shou[Best Scoring of a Dramatic or Comedy Picture]

劇・喜劇映画音楽賞(Best Scoring of a Dramatic or Comedy Picture)は、ドラマまたはコメディ映画における作曲・編曲の功績を評価する部門です。映画の雰囲気や感情を音楽でいかに効果的に表現したかが審査されます(ミュージカル映画は別部門)。第15回ではマックス・スタイナーが『情熱の航路(Now, Voyager)』で受賞しました。ベティ・デイヴィス主演のメロドラマを支えるスタイナーの情感豊かなスコアは、映画音楽の手本として今なお語り継がれる名作です。

受賞
Winner
情熱の航路[Now, Voyager] ⇒ Max Steiner

ノミネート
Nominees

アラビアン・ナイト[Arabian Nights] ⇒ フランク・スキナー[Frank Skinner]
バンビ[Bambi] ⇒ フランク・チャーチル[Frank Churchill]、エドワード・H・プラム[Edward Plumb]
海の征服者[The Black Swan] ⇒ アルフレッド・ニューマン[Alfred Newman]
コルシカの兄弟[The Corsican Brothers] ⇒ ディミトリ・ティオムキン[Dimitri Tiomkin]
フライング・タイガー[Flying Tigers] ⇒ ヴィクター・ヤング[Victor Young]
黄金狂時代[The Gold Rush] ⇒ マックス・タール[Max Terr]
奥様は魔女[I Married a Witch] ⇒ ロイ・ウェッブ[Roy Webb]
パリのジャンヌ・ダーク[Joan of Paris] ⇒ ロイ・ウェッブ[Roy Webb]
ジャングル・ブック[Jungle Book] ⇒ ロージャ・ミクローシュ[Miklós Rózsa]
Klondike Fury ⇒ エドワード・ケイ[Edward Kay]
打撃王[The Pride of the Yankees] ⇒ リー・ハーライン[Leigh Harline]
心の旅路[Random Harvest] ⇒ ハーバート・ストサート[Herbert Stothart]
上海ジェスチャー[The Shanghai Gesture] ⇒ リチャード・ヘイグマン[Richard Hageman]
賭博の女王[Silver Queen] ⇒ ヴィクター・ヤング[Victor Young]
Take a Letter, Darling ⇒ ヴィクター・ヤング[Victor Young]
希望の降る街[The Talk of the Town] ⇒ フレデリック・ホランダー[Frederick Hollander]、モリス・W・ストロフ[Morris Stoloff]
生きるべきか死ぬべきか[To Be or Not to Be] ⇒ ウェルナー・ハイマン[Werner Heymann]

ミュージカル映画音楽賞 / Musical Eiga Ongaku Shou[Best Scoring of a Musical Picture]

ミュージカル映画音楽賞(Best Scoring of a Musical Picture)は、ミュージカル映画における音楽の編曲・指揮・演奏の総合的な功績を評価する部門です。歌曲の選択や配置、オーケストレーション、映画全体の音楽的構成力が審査対象となります。第15回ではレイ・ハインドーフとハインツ・ロームヘルドが『ヤンキー・ドゥードゥル・ダンディ』で受賞しました。ジョージ・M・コーハンの名曲の数々を映画用に巧みに再編曲した2人の仕事は、愛国的な高揚感とミュージカルとしての華やかさを両立させたものでした。

受賞
Winner
ヤンキー・ドゥードゥル・ダンディ[Yankee Doodle Dandy] ⇒ レイ・ハインドーフ[Ray Heindorf]、ハインツ・ロームヘルド[Heinz Roemheld]

ノミネート
Nominees

Flying with Music ⇒ エドワード・ウォード[Edward Ward]
For Me and My Gal ⇒ ロジャー・イーデンス[Roger Edens]、ジョージ・ストール[Georgie Stoll]
スイング・ホテル[Holiday Inn] ⇒ ロバート・エメット・ドーラン[Robert Emmett Dolan]
It Started with Eve ⇒ チャールズ・プレヴィン[Charles Previn]、ハンス・サルター[Hans Salter]
Johnny Doughboy ⇒ ウォルター・シャーフ[Walter Scharf]
My Gal Sal – アルフレッド・ニューマン[Alfred Newman]
晴れて今宵は[You Were Never Lovelier] ⇒ リー・ハーライン[Leigh Harline]

歌曲賞 / Kashou Shou[Best Original Song]

歌曲賞(Best Original Song)は、映画のために書き下ろされたオリジナル楽曲の中で最も優れた歌曲に贈られます。メロディ、歌詞、そして映画における楽曲の効果的な使用が審査されます。第15回ではアーヴィング・バーリンが作詞・作曲した「ホワイト・クリスマス(White Christmas)」が『スイング・ホテル(Holiday Inn)』から受賞しました。ビング・クロスビーが歌ったこの楽曲は、推定5,000万枚以上のレコード売上を記録し、史上最も売れたシングル曲の一つとなりました。戦地の兵士たちの望郷の念を優しく包み込むこの名曲は、映画音楽の枠を超えて世界中で愛されるクリスマスの定番曲となっています。

受賞
Winner
“White Christmas" – スイング・ホテル[Holiday Inn] ⇒ 作詞・作曲:アーヴィング・バーリン[Irving Berlin]

ノミネート
Nominees

“Always in My Heart" – 我が心の歌[Always in My Heart] ⇒ 作曲:エルネスト・レクオーナ[Ernesto Lecuona]、作詞:キム・ギャノン[Kim Gannon]
“Dearly Beloved" – 晴れて今宵は[You Were Never Lovelier] ⇒ 作曲:ジェローム・カーン[Jerome Kern]、作詞:ジョニー・マーサー[Johnny Mercer]
“How About You?" – ブロードウェイ[Babes on Broadway] ⇒ 作曲:バートン・レイン[Burton Lane]、作詞:ラルフ・フリード[Ralph Freed]
“I’ve Got a Gal in Kalamazoo" – Orchestra Wives ⇒ 作曲:ハリー・ウォーレン[Harry Warren]、作詞:マック・ゴードン[Mack Gordon]
“I’ve Heard That Song Before" – Youth on Parade ⇒ 作曲:ジュール・スタイン[Jule Styne]、作詞:サミー・カーン[Sammy Cahn]
“Love Is a Song" – バンビ[Bambi] ⇒ 作曲:フランク・チャーチル[Frank Churchill]、作詞:ラリー・モーレイ[Larry Morey]
“Pennies for Peppino" – Flying with Music ⇒ 作曲:エドワード・ウォード[Edward Ward]、作詞:チェット・フォレスト[Chet Forrest]、ボブ・ライト[Bob Wright]
“Pig Foot Pete" – Hellzapoppin’ ⇒ 作曲:ジーン・デ・ポール[Gene de Paul]、作詞:ドン・レイ[Don Raye]
“There’s a Breeze on Lake Louise" – The Mayor of 44th Street ⇒ 作曲:ハリー・レヴェル[Harry Revel]、作詞:モート・グリーン[Mort Greene]

録音賞 / Rokuon Shou[Best Sound Recording]

録音賞(Best Sound Recording)は、映画における録音技術の卓越した成果を評価する部門です。台詞の明瞭さ、効果音の表現力、音楽との調和、全体の音響バランスなど、映画の音声品質を担う技術者の功績が審査されます。第15回ではネイサン・レヴィンソンが『ヤンキー・ドゥードゥル・ダンディ』で受賞しました。ミュージカルシーンにおけるダンスの足音、歌声、オーケストラ伴奏の精密なバランスと、観客を映画の世界へ引き込む臨場感ある音響設計が高く評価されました。

受賞
Winner
ヤンキー・ドゥードゥル・ダンディ[Yankee Doodle Dandy] ⇒ Nathan Levinson

ノミネート
Nominees

アラビアン・ナイト[Arabian Nights] ⇒ Bernard B. Brown
バンビ[Bambi] ⇒ Sam Slyfield
フライング・タイガー[Flying Tigers] ⇒ Daniel J. Bloomberg
Friendly Enemies ⇒ Jack Whitney
黄金狂時代[The Gold Rush] ⇒ James L. Fields
ミニヴァー夫人[Mrs. Miniver] ⇒ Douglas Shearer
恋の情報網[Once Upon a Honeymoon] ⇒ Stephen Dunn
打撃王[The Pride of the Yankees] ⇒ Thomas T. Moulton
モロッコへの道[Road to Morocco] ⇒ Loren L. Ryder
純愛の誓い[This Above All] ⇒ E. H. Hansen
晴れて今宵は[You Were Never Lovelier] ⇒ John P. Livadary

美術賞(白黒) / Bijutsu Shou(Shiro Kuro)[Best Art Direction Set Decoration Black and White]

美術賞・白黒(Best Art Direction / Set Decoration, Black-and-White)は、白黒映画における美術監督とセット装飾の優れた功績に贈られる部門です。当時はカラー映画と白黒映画で美術賞が分かれており、白黒部門ではモノクロームの制約の中でいかに効果的な視覚空間を創造したかが評価されました。第15回ではリチャード・デイ、ジョセフ・C・ライト、トーマス・リトルが『純愛の誓い(This Above All)』で受賞しました。戦時下のイギリスの風景や室内を精緻に再現した美術設計が高く評価されました。

受賞
Winner
純愛の誓い[This Above All] ⇒ リチャード・デイ[Richard Day]、ジョセフ・C・ライト[Joseph C. Wright]、トーマス・リトル[Thomas Little]

ノミネート
Nominees

George Washington Slept Here ⇒ マックス・パーカー[Max Parker]、マーク=リー・カーク[Mark-Lee Kirk]、ケイシー・ロバーツ[Casey Roberts]
偉大なるアンバーソン家の人々[The Magnificent Ambersons] ⇒ アルバート・S・ディアゴスティーノ[Albert S. D’Agostino]、アル・フィールズ[Al Fields]、ダレル・シルヴェラ[Darrell Silvera]
打撃王[The Pride of the Yankees] ⇒ ペリー・ファーガソン[Perry Ferguson]、ハワード・ブリストル[Howard Bristol]
心の旅路[Random Harvest] ⇒ セドリック・ギボンズ[Cedric Gibbons]、ランダル・デュエル[Randall Duell]、エドウィン・B・ウィリス[Edwin B. Willis]、ジャック・ムーア[Jack D. Moore]
上海ジェスチャー[The Shanghai Gesture] ⇒ ジョン・B・グッドマン[John B. Goodman]、ジャック・オターソン[Jack Otterson]、ラッセル・A・ガウスマン[Russell A. Gausman]、ボリス・レヴェン[Boris Leven]
賭博の女王[Silver Queen] ⇒ ラルフ・バーガー[Ralph Berger]、エミール・クリ[Emile Kuri]
スポイラース[The Spoilers] ⇒ エドワード・R・ロビンソン[Edward R. Robinson]
Take a Letter, Darling ⇒ ハンス・ドライヤー[Hans Dreier]、ローランド・アンダーソン[Roland Anderson]、サム・コマー[Samuel M. Comer]
希望の降る街[The Talk of the Town] ⇒ ライオネル・バンクス[Lionel Banks]、ルドルフ・スターナド[Rudolph Sternad]、フェイ・バブコック[Fay Babcock]

美術賞(カラー) / Bijutsu Shou(Color)[Best Art Direction Set Decoration Color]

美術賞・カラー(Best Art Direction / Set Decoration, Color)は、カラー映画における美術監督とセット装飾の優秀な成果を表彰する部門です。テクニカラーなどのカラー撮影技術を活かした色彩設計、セットの豪華さや時代考証の正確さが評価対象となりました。第15回ではリチャード・デイ、ジョセフ・C・ライト、トーマス・リトルが『My Gal Sal』で受賞しました。19世紀末のアメリカのヴォードヴィル(寄席演芸)の世界を華やかに再現したセットデザインが評価され、カラー映画ならではの視覚的魅力が存分に発揮された作品です。

受賞
Winner
My Gal Sal ⇒ リチャード・デイ[Richard Day]、ジョセフ・C・ライト[Joseph C. Wright]、トーマス・リトル[Thomas Little]

ノミネート
Nominees

アラビアン・ナイト[Arabian Nights] ⇒ レクサンダー・ゴリツェン[Alexander Golitzen]、ジャック・オターソン[Jack Otterson]、ラッセル・A・ガウスマン[Russell A. Gausman]、アイラ・S・ウェッブ[Ira S. Webb]
空軍の暴れん坊[Captains of the Clouds] ⇒ テッド・スミス[Ted Smith]、ケイシー・ロバーツ[Casey Roberts]
ジャングル・ブック[Jungle Book] ⇒ ヴィンセント・コルダ[Vincent Korda]、ジュリア・ヘロン[Julia Heron]
絶海の嵐[Reap the Wild Wind] ⇒ ハンス・ドライヤー[Hans Dreier]、ローランド・アンダーソン[Roland Anderson]、George Sawley

撮影賞(白黒) / Satsuei Shou(Shiro Kuro)[Best Cinematography Black and White]

撮影賞・白黒(Best Cinematography, Black-and-White)は、白黒映画における撮影技術の最も優れた成果に贈られる部門です。光と影の使い方、構図、カメラワーク、映像の質感など、撮影監督(シネマトグラファー)の芸術的・技術的な貢献が審査されます。第15回ではジョセフ・ルッテンバーグが『ミニヴァー夫人』で受賞しました。イギリスの田園風景から空襲の恐怖まで、平和と戦争のコントラストを白黒の陰影で巧みに表現した撮影技術は、映画に深い情感と説得力を与えました。

受賞
Winner
ミニヴァー夫人[Mrs. Miniver] ⇒ ジョセフ・ルッテンバーグ[Joseph Ruttenberg]

ノミネート
Nominees

嵐の青春[Kings Row] ⇒ ジェームズ・ウォン・ハウ[James Wong Howe]
偉大なるアンバーソン家の人々[The Magnificent Ambersons] ⇒ スタンリー・コルテス[Stanley Cortez]
夜霧の港[Moontide] ⇒ チャールズ・クラーク[Charles G. Clarke]
The Pied Piper ⇒ エドワード・クロンジャガー[Edward Cronjager]
打撃王[The Pride of the Yankees] ⇒ ルドルフ・マテ[Rudolph Maté]
Take a Letter, Darling ⇒ ジョン・メスコール[John J. Mescall]
希望の降る街[The Talk of the Town] ⇒ テッド・テズラフ[Ted Tetzlaff]
Ten Gentlemen From West Point ⇒ レオン・シャムロイ[Leon Shamroy]
純愛の誓い[This Above All] ⇒ アーサー・C・ミラー[Arthur C. Miller]

撮影賞(カラー) / Satsuei Shou(Color)[Best Cinematography Color]

撮影賞・カラー(Best Cinematography, Color)は、カラー映画における撮影技術の優秀な成果を評価する部門です。テクニカラーなどの当時最先端のカラー撮影技術を駆使し、色彩の美しさ、照明設計、映像の鮮明さなどが総合的に審査されました。第15回ではレオン・シャムロイが冒険映画『海の征服者(The Black Swan)』で受賞しました。カリブ海を舞台にした海賊映画の壮大な海洋シーンと激しい戦闘場面を、テクニカラーの鮮やかな色彩で美しく捉えたシャムロイの撮影技術は圧巻でした。

受賞
Winner
海の征服者[The Black Swan] ⇒ レオン・シャムロイ[Leon Shamroy]

ノミネート
Nominees

アラビアン・ナイト[Arabian Nights] ⇒ ミルトン・クラスナー[Milton Krasner]、ウィリアム・V・スコール[William V. Skall]、W・ハワード・グリーン[W. Howard Greene]
空軍の暴れん坊[Captains of the Clouds] ⇒ ソル・ポリト[Sol Polito]
ジャングル・ブック[Jungle Book] ⇒ W・ハワード・グリーン[W. Howard Greene]
絶海の嵐[Reap the Wild Wind] ⇒ ヴィクター・ミルナー[Victor Milner]、ウィリアム・V・スコール[William V. Skall]
To the Shores of Tripoli ⇒ エドワード・クロンジャガー[Edward Cronjager]、ウィリアム・V・スコール[William V. Skall]

編集賞 / Henshuh Shou[Best Film Editing]

編集賞(Best Film Editing)は、映画の編集技術における最も優れた功績に贈られる部門です。映像のカットとつなぎ、テンポの構築、物語の流れの最適化、感情的インパクトの創出など、完成した映画作品の品質を左右する編集者の技術が評価されます。第15回ではダニエル・マンデルが『打撃王(The Pride of the Yankees)』で受賞しました。伝説的な野球選手ルー・ゲーリッグの生涯を描いた本作では、野球シーンの躍動感とヒューマンドラマの感動を巧みに織り交ぜた編集技術が光りました。

受賞
Winner
打撃王[The Pride of the Yankees] ⇒ ダニエル・マンデル[Daniel Mandell]

ノミネート
Nominees

ミニヴァー夫人[Mrs. Miniver] ⇒ ハロルド・F・クレス[Harold F. Kress]
希望の降る街[The Talk of the Town] ⇒ オットー・マイヤー[Otto Meyer]
純愛の誓い[This Above All] ⇒ ウォルター・トンプソン[Walter A. Thompson]
ヤンキー・ドゥードゥル・ダンディ[Yankee Doodle Dandy] ⇒ ジョージ・アーミー[George Amy]

視覚効果賞 / Shikaku Kouka Shou[Best Visual Effects]

視覚効果賞(Best Visual Effects)は、映画における特殊撮影・視覚効果の技術的達成を評価する部門です。マット・ペインティング、ミニチュア撮影、合成撮影、光学処理など、当時の特殊効果技術を駆使して映像の説得力とスペクタクルを生み出した功績が審査されます。第15回ではセシル・B・デミル監督の大作冒険映画『絶海の嵐(Reap the Wild Wind)』がファーシオット・エドアート、ゴードン・ジェニングスらの技術チームにより受賞しました。巨大イカとの水中戦闘シーンをはじめとする迫力ある視覚効果は、CGのない時代における特殊撮影技術の粋を集めたものとして高く評価されました。

受賞
Winner

絶海の嵐[Reap the Wild Wind] ⇒ ファーシオット・エドアート[Farciot Edouart]、ゴードン・ジェニングス[Gordon Jennings]、ウィリアム・L・ペレイラ[William Pereira]、ルイス・メセンコップ[Louis Mesenkop]

ノミネート
Nominees

海の征服者[The Black Swan] ⇒ フレッド・サーセン[Fred Sersen]、ロジャー・ヒーマン[Roger Heman, Sr.]、ジョージ・レヴァレット[George Leverett]
戦場を駈ける男[Desperate Journey] ⇒ バイロン・ハスキン[Byron Haskin]、ネイサン・ロヴィンソン[Nathan Levinson]
フライング・タイガー[Flying Tigers] ⇒ ハワード・ライデッカー[Howard Lydecker]、ダニエル・J・ブルームバーグ[Daniel J. Bloomberg]
透明スパイ[Invisible Agent] ⇒ ジョン・P・フルトン[John P. Fulton]、バーナード・B・ブラウン[Bernard B. Brown]
ジャングル・ブック[Jungle Book] ⇒ ローレンス・バトラー[Lawrence W. Butler]、ウィリアム・H・ウィルマース[William H. Wilmarth]
ミニヴァー夫人[Mrs. Miniver] ⇒ A・アーノルド・ギレスピー[A. Arnold Gillespie]、ウォーレン・ニューカム[Warren Newcombe]、ダグラス・シアラー[Douglas Shearer]
Uボート撃滅[The Navy Comes Through] ⇒ ヴァーノン・L・ウォーカー[Vernon L. Walker]、ジェームズ・G・スチュワート[James G. Stewart]
わが一機未帰還[One of Our Aircraft Is Missing] ⇒ ロナルド・ニーム[Ronald Neame]、C・C・スティーブンス[C. C. Stevens]
打撃王[The Pride of the Yankees] ⇒ ジャック・コスグローヴ[Jack Cosgrove]、レイ・ビンガー[Ray Binger]、トーマス・T・モールトン[Thomas T. Moulton]

第15回アカデミー賞(1943年開催)のまとめ

1943年3月4日に開催された第15回アカデミー賞は、第二次世界大戦の真っ只中に行われた授賞式として、映画史において特別な位置を占めています。以下に、この年の授賞式の特徴と意義をまとめます。

『ミニヴァー夫人』の圧倒的な存在感

この年の最大の話題は、ウィリアム・ワイラー監督の『ミニヴァー夫人(Mrs. Miniver)』が作品賞、監督賞、主演女優賞(グリア・ガースン)、助演女優賞(テレサ・ライト)、脚色賞、撮影賞(白黒)の計6部門を制覇したことです。戦時下のイギリスの中産階級家庭を舞台に、一般市民が戦争の苦難にいかに立ち向かったかを描いた本作は、アメリカ国民のイギリスへの共感を深め、連合国の結束を強める上で大きな役割を果たしました。ウィンストン・チャーチル英首相が「この映画は戦艦一隻に匹敵する貢献をした」と評したというエピソードは、映画が持つ社会的影響力の大きさを示すものです。

戦時下のハリウッドと愛国映画

1942年の映画作品は、真珠湾攻撃(1941年12月)を経てアメリカが本格参戦した後の時期に制作されたものであり、愛国心を鼓舞する作品が多数を占めました。ジェームズ・キャグニーが主演男優賞を受賞した『ヤンキー・ドゥードゥル・ダンディ』はアメリカ愛国主義の象徴的なミュージカルであり、録音賞やミュージカル映画音楽賞も獲得しています。また、『ウェーク島攻防戦』『打撃王』など、戦争や英雄をテーマにした作品が複数ノミネートされ、ハリウッドが国家の戦争努力に積極的に貢献していた時代を反映しています。

ドキュメンタリー部門の新設

第15回の画期的な出来事として、長編ドキュメンタリー映画賞と短編ドキュメンタリー映画賞が新設されたことが挙げられます。戦場の現実を記録する映画の重要性が認識され、ジョン・フォード監督が自ら前線で撮影した『ミッドウェイ海戦』やフランク・キャプラ監督の『Prelude to War』など、戦争ドキュメンタリーが正式に表彰される道が開かれました。この部門創設は、映画が娯楽だけでなく歴史の記録媒体としても重要であることをアカデミーが認めた証しです。

「ホワイト・クリスマス」の誕生

歌曲賞を受賞したアーヴィング・バーリン作詞・作曲の「ホワイト・クリスマス(White Christmas)」は、映画『スイング・ホテル(Holiday Inn)』で披露されました。ビング・クロスビーの温かみのある歌声で歌われたこの楽曲は、戦地で故郷を思う兵士たちの心に深く響き、推定5,000万枚以上の累計売上を記録する史上最大のヒットソングとなりました。映画賞の枠を超えて大衆文化に永続的な影響を与えた楽曲として、第15回アカデミー賞を象徴する存在です。

多様な作品群とノミネートの特徴

作品賞には『ミニヴァー夫人』のほか、オーソン・ウェルズ監督の野心作『偉大なるアンバーソン家の人々』、記憶喪失のロマンスを描いた『心の旅路』、コメディ・ドラマの『希望の降る街』など、多様なジャンルの10作品がノミネートされました。戦争映画だけでなく、文芸作品やコメディまで幅広く評価の対象とされたことは、戦時下においてもハリウッドが芸術的多様性を維持していたことの証左です。また、テレサ・ライトが主演女優賞と助演女優賞の2部門に同時ノミネートされるという珍しい記録も生まれました。

技術部門の充実

撮影賞・美術賞がそれぞれ白黒とカラーの2部門に分かれていたことは、当時のハリウッドがモノクローム撮影からカラー撮影への技術的転換期にあったことを物語っています。視覚効果賞では、セシル・B・デミル監督の『絶海の嵐』が水中撮影やミニチュア特撮技術で受賞し、CGのない時代における映像技術の創造性が高く評価されました。

第15回アカデミー賞の歴史的意義

第15回アカデミー賞は、映画が単なる娯楽を超えて国民の士気を鼓舞し、歴史を記録し、人々の心をつなぐ強力なメディアであることを改めて証明した授賞式でした。戦時下のハリウッドが生み出した1942年の映画作品は、困難な時代に芸術と娯楽の力で人々を支えた記録として、今日も映画史に大きな足跡を残しています。『ミニヴァー夫人』の6部門制覇、「ホワイト・クリスマス」の歴史的ヒット、ドキュメンタリー部門の新設など、数々の歴史的トピックスを残したこの年のアカデミー賞は、映画ファンならずとも知っておきたい重要な授賞式です。