マレーシアの世界遺産 一覧・まとめ / UNESCO World Heritage Sites in Malaysia ~文化遺産(負の世界遺産、文化的景観、産業遺産、近代化遺産、稼働遺産)、自然遺産、複合遺産、危機遺産~

3月 3, 2018Malaysia,Travel,UNESCO World Heritage Sites,World

親記事:世界各国の世界遺産 一覧・まとめ / UNESCO World Heritage Sites in the World ~文化遺産(負の世界遺産、文化的景観、産業遺産、近代化遺産、稼働遺産)、自然遺産、複合遺産、危機遺産~

世界遺産とは、1972年のユネスコ総会で採択された世界遺産条約「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」に基づいて登録された遺跡、景観、自然などの人類が共有すべき「顕著な普遍的価値(Outstanding Universal Value, OUV)」を持ち、移動が不可能な不動産を指します。

世界遺産の登録の本来の目的は、自然や文化的に価値のあるものを保護・保全し、過去から未来へと確実に伝えていくことにあります。一方で、世界遺産に登録されることで国際的な知名度が向上し、観光地としてのブランド力が高まることも近年では大きく期待されています。

マレーシアは東南アジアに位置し、マレー半島南部とボルネオ島北部にまたがる多民族国家です。熱帯雨林に覆われた豊かな自然環境と、マレー系・中華系・インド系をはじめとする多文化が融合した独自の歴史文化を有しています。こうした背景から、マレーシアにはユネスコ世界遺産として登録された自然遺産2件と文化遺産2件の合計4件の世界遺産があります。

本記事では、マレーシアの全4件の世界遺産について、登録基準・所在地・アクセス方法などの基本情報に加え、それぞれの遺産が持つ特徴や見どころを詳しく解説します。マレーシア旅行や世界遺産巡りの参考にご活用ください。

まず、世界遺産が登録される基準を下記に記載します。

  • (1) 人類の創造的才能を表現する傑作。
  • (2) ある期間を通じてまたはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。
  • (3) 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠。
  • (4) 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例。
  • (5) ある文化(または複数の文化)を代表する伝統的集落、あるいは陸上ないし海上利用の際立った例。もしくは特に不可逆的な変化の中で存続が危ぶまれている人と環境の関わりあいの際立った例。
  • (6) 顕著で普遍的な意義を有する出来事、現存する伝統、思想、信仰または芸術的、文学的作品と直接にまたは明白に関連するもの(この基準は他の基準と組み合わせて用いるのが望ましいと世界遺産委員会は考えている)。
  • (7) ひときわすぐれた自然美及び美的な重要性をもつ最高の自然現象または地域を含むもの。
  • (8) 地球の歴史上の主要な段階を示す顕著な見本であるもの。これには生物の記録、地形の発達における重要な地学的進行過程、重要な地形的特性、自然地理的特性などが含まれる。
  • (9) 陸上、淡水、沿岸および海洋生態系と動植物群集の進化と発達において進行しつつある重要な生態学的、生物学的プロセスを示す顕著な見本であるもの。
  • (10) 生物多様性の本来的保全にとって、もっとも重要かつ意義深い自然生息地を含んでいるもの。これには科学上または保全上の観点から、すぐれて普遍的価値を持つ絶滅の恐れのある種の生息地などが含まれる。

(1)~(6)を満たすものが文化遺産、(7)~(10)を満たすものが自然遺産、文化遺産と自然遺産の条件をそれぞれ1つ以上を満たすものが複合遺産としての登録基準となります。

以下で紹介する世界遺産の「登録基準」項目の記載番号は上記の世界遺産登録基準の番号に対応しています。

マレーシアの世界遺産 一覧・まとめ / UNESCO World Heritage Sites in Malaysia ~文化遺産(負の世界遺産、文化的景観、産業遺産、近代化遺産、稼働遺産)、自然遺産、複合遺産、危機遺産~


観光に便利な宿泊施設:マレーシアのホテル一覧

キナバル自然公園 / Kinabalu Shizen Kouen[Kinabalu Park]

登録区分
Type
自然遺産
登録年
Designated
2000年
登録基準
Criteria
(9)、(10)
住所
Address
89300 Ranau, Sabah Malaysia
地図
Map
地図(Map)
アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
コタキナバル空港より自動車(約3時間)
URL
URL
https://www.sabahparks.org.my/

キナバル自然公園は、マレーシア・サバ州に位置するボルネオ島最大級の自然保護区です。公園の中心にそびえるキナバル山(標高4,095m)は、東南アジア最高峰の一つであり、毎年世界中から多くの登山者が訪れます。標高差が非常に大きいため、熱帯低地林からモンタン林(山地林)、さらには亜高山帯の植生まで、多様な気候帯の生態系が一つの公園内に凝縮されています。

キナバル自然公園は、その卓越した生物多様性により2000年にユネスコ世界自然遺産に登録されました。園内には5,000種以上の維管束植物、326種以上の鳥類、100種以上の哺乳類が生息しています。特に、世界最大の花として知られるラフレシア(Rafflesia)や、食虫植物のウツボカズラ(Nepenthes)の多様な種が自生していることで有名です。また、1,200種以上のランが確認されており、植物学的にも極めて重要な地域です。

登山以外にも、キャノピーウォーク(樹冠散策路)やポーリン温泉(Poring Hot Springs)など、さまざまな自然体験が楽しめます。コタキナバル空港から車で約3時間とアクセスしやすく、ボルネオ島の大自然を堪能するには最適な世界遺産です。

グヌン・ムル国立公園 / Gunung Mulu Kokuritsu Kouen[Gunung Mulu National Park]

登録区分
Type
自然遺産
登録年
Designated
2000年
登録基準
Criteria
(7)、(8)、(9)、(10)
住所
Address
Sarawak, Malaysia
地図
Map
地図(Map)
アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
URL
URL
https://mulupark.com/

グヌン・ムル国立公園は、マレーシア・サラワク州のボルネオ島北部に位置する広大な自然保護区で、2000年にユネスコ世界自然遺産に登録されました。自然遺産の4つの登録基準(7)(8)(9)(10)をすべて満たすという、世界的にも極めて稀な評価を受けた遺産です。

この国立公園の最大の特徴は、壮大なカルスト地形と世界屈指の洞窟群です。園内には少なくとも295kmに及ぶ探検済みの洞窟があり、現在もその全容は解明されていません。特に有名なのが、世界最大級の地下空間であるサラワク・チャンバー(Sarawak Chamber)で、長さ約700m、幅約400m、高さ約70mにも及びます。また、ディア・ケイブ(Deer Cave)は世界最大級の洞窟通路として知られ、夕方には数百万匹のコウモリが一斉に飛び立つ壮観な光景を見ることができます。

地上では、石灰岩の浸食によって形成された高さ45mに達するピナクルズ(The Pinnacles)と呼ばれる尖塔状の岩群が、独特の景観を作り出しています。また、クリアウォーター・ケイブ(Clearwater Cave)は東南アジア最長級の洞窟として知られ、地下河川が流れる神秘的な空間が広がっています。

グヌン・ムル国立公園は、洞窟探検やジャングルトレッキングを楽しむ冒険好きな旅行者にとって、マレーシアで最も魅力的な世界遺産の一つといえるでしょう。

マラッカ海峡の歴史的都市群、マラッカとジョージタウン / Malacca Kaikyou No Rekishi Teki Toshi Gun, Melaka To George Town[Melaka and George Town, Historic Cities of the Straits of Malacca]

登録区分
Type
文化遺産
登録年
Designated
2008年
登録基準
Criteria
(2)、(3)、(4)
住所
Address
Melaka Malaysia
George Town Malaysia
Malacca Malaysia
地図
Map
地図(Map)
アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
[Melaka Malaysia]:クアラルンプール国際空港より自動車(約2時間)
URL
URL

マラッカ海峡の歴史的都市群であるマラッカ(ムラカ)とジョージタウンは、2008年にユネスコ世界文化遺産に登録されました。この2つの都市は、500年以上にわたる東西交易の歴史を今に伝える、東南アジアで最も重要な歴史的港湾都市です。

マラッカは、15世紀にマラッカ王国の首都として繁栄し、その後ポルトガル(1511年~)、オランダ(1641年~)、イギリス(1824年~)と、ヨーロッパ列強の支配を受けました。こうした歴史的背景から、市内にはサンチャゴ砦(ア・ファモサ)、セント・ポール教会跡、オランダ広場のスタダイス(旧総督府)、キリスト教会など、各時代の植民地建築が層をなすように残されています。また、チャイナタウン(ジョンカー・ストリート)周辺では、マレー文化と中華文化が融合したプラナカン(ババ・ニョニャ)文化の独特な建築様式や食文化を体験できます。

一方、ペナン島のジョージタウンは、18世紀末にイギリス東インド会社によって開港された貿易都市です。市内には、マレー系、中華系、インド系、ヨーロッパ系の文化が共存する多民族都市の姿が色濃く残っています。保存状態の良いショップハウス(商店住宅)群、クラン・ジェッティ(水上集落)、コーンウォリス砦、カピタン・クリン・モスクなど、多様な宗教・文化的建造物が密集しています。近年では、リトアニア人アーティストのアーネスト・ザカレビッチによるストリートアートも加わり、歴史と現代アートが調和する街として世界的な人気を集めています。

両都市とも、クアラルンプールからバスや車で数時間の距離にあり、マレーシア観光のハイライトとして多くの旅行者に親しまれています。

レンゴン渓谷の考古遺産 / Lenggong Keikoku No Kouko Isan[Archaeological Heritage of the Lenggong Valley]

登録区分
Type
文化遺産
登録年
Designated
2012年
登録基準
Criteria
(3)、(4)
住所
Address
33400 Lenggong, Perak Malaysia
地図
Map
地図(Map)
アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
クアラルンプール国際空港より自動車(約3時間30分)
URL
URL

レンゴン渓谷の考古遺産は、マレーシア・ペラ州のレンゴン渓谷に位置する考古学遺跡群で、2012年にユネスコ世界文化遺産に登録されました。東南アジアで最も重要な考古学遺跡の一つとされ、約183万年前から1,700年前に至る人類の活動の痕跡が、一つの地域に集中して残されている世界的にも極めて稀な遺跡です。

この遺跡群で最も注目されるのが、「ペラ・マン(Perak Man)」と呼ばれる人骨です。約11,000年前のものとされるこの完全に近い形で発掘された人骨は、東南アジアで発見された最古かつ最も保存状態の良い完全な人体骨格です。ペラ・マンの発見により、この地域が先史時代から人類が継続的に居住していた場所であることが科学的に証明されました。

レンゴン渓谷では、旧石器時代から新石器時代にかけての石器、手斧、金属器具などが多数出土しています。特に、コタ・タンパン(Kota Tampan)遺跡からは約74,000年前のトバ火山大噴火との関連が指摘される石器群が発見されており、この大噴火が古代の人類活動に与えた影響を研究する上で貴重な資料となっています。

レンゴン渓谷は、クアラルンプールから車で約3時間30分の距離にあります。マレーシアの先史時代の歴史に興味がある方にとって、他では体験できない貴重な世界遺産です。レンゴン考古学博物館では、出土した遺物や発掘の歴史について詳しく学ぶことができます。

まとめ

マレーシアの4件のユネスコ世界遺産は、この国の自然と文化の多様性を如実に物語っています。ボルネオ島のキナバル自然公園とグヌン・ムル国立公園は、熱帯の豊かな生態系と壮大な地形を体感できる自然遺産です。一方、マラッカ海峡の歴史的都市群は東西交易の歴史と多文化共存の姿を伝え、レンゴン渓谷の考古遺産は人類の太古の歴史を紐解く鍵を握っています。

マレーシアの世界遺産を巡る旅は、マレー半島とボルネオ島にまたがるため、効率的なルート計画が重要です。マラッカとジョージタウンはクアラルンプールを拠点にバスや車でアクセスでき、レンゴン渓谷もペラ州方面への日帰りまたは1泊旅行として計画できます。ボルネオ島のキナバル自然公園とグヌン・ムル国立公園は、コタキナバルやミリを経由して訪れるのが一般的です。

ユネスコ世界遺産は、その「顕著な普遍的価値」を未来へ継承するために保護・保全が求められています。訪問の際には、各遺産のルールやマナーを守り、持続可能な観光に貢献することが大切です。マレーシアの世界遺産が持つ自然と文化の価値を、ぜひ現地で体感してみてください。