鹿児島県の世界遺産 一覧・まとめ / UNESCO World Heritage Sites in Kagoshima ~文化遺産(負の世界遺産、文化的景観、産業遺産、近代化遺産、稼働遺産)、自然遺産、複合遺産、危機遺産~

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親記事:日本全国・都道府県の世界遺産 一覧・まとめ / UNESCO World Heritage Sites in Japan ~文化遺産(負の世界遺産、文化的景観、産業遺産、近代化遺産、稼働遺産)、自然遺産、複合遺産、危機遺産~

鹿児島県は、九州の最南端に位置し、太古の自然が息づく離島から幕末・明治の近代化を牽引した産業遺産まで、多彩な世界遺産を有する県です。1993年に日本初の世界遺産のひとつとして登録された屋久島の原始的な自然林と、2015年に登録された明治日本の産業革命遺産の構成資産である旧集成館・寺山炭窯跡・関吉の疎水溝という、自然遺産と文化遺産の両方を県内で巡ることができます。

世界遺産とは、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)総会で1972年に採択された世界遺産条約「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」に基づき登録される、遺跡・景観・自然など人類が共有すべき「顕著な普遍的価値(Outstanding Universal Value)」を持つ不動産です。登録の本来の目的は、自然的・文化的に価値のあるものを保護・保全し、過去から未来へと継承していくことにあります。

同時に、世界遺産への登録は国際的な知名度の向上をもたらし、観光名所としてのブランド力を高める効果もあります。鹿児島県の世界遺産も、保護・保全と観光振興の両面から大きな注目を集めています。

以下に、世界遺産登録の判定に用いられる10の基準を記載します。

  • (1) 人類の創造的才能を表現する傑作。
  • (2) ある期間を通じてまたはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。
  • (3) 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠。
  • (4) 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例。
  • (5) ある文化(または複数の文化)を代表する伝統的集落、あるいは陸上ないし海上利用の際立った例。もしくは特に不可逆的な変化の中で存続が危ぶまれている人と環境の関わりあいの際立った例。
  • (6) 顕著で普遍的な意義を有する出来事、現存する伝統、思想、信仰または芸術的、文学的作品と直接にまたは明白に関連するもの(この基準は他の基準と組み合わせて用いるのが望ましいと世界遺産委員会は考えている)。
  • (7) ひときわすぐれた自然美及び美的な重要性をもつ最高の自然現象または地域を含むもの。
  • (8) 地球の歴史上の主要な段階を示す顕著な見本であるもの。これには生物の記録、地形の発達における重要な地学的進行過程、重要な地形的特性、自然地理的特性などが含まれる。
  • (9) 陸上、淡水、沿岸および海洋生態系と動植物群集の進化と発達において進行しつつある重要な生態学的、生物学的プロセスを示す顕著な見本であるもの。
  • (10) 生物多様性の本来的保全にとって、もっとも重要かつ意義深い自然生息地を含んでいるもの。これには科学上または保全上の観点から、すぐれて普遍的価値を持つ絶滅の恐れのある種の生息地などが含まれる。

(1)~(6)を満たすものが文化遺産、(7)~(10)を満たすものが自然遺産、文化遺産と自然遺産の条件をそれぞれ1つ以上を満たすものが複合遺産としての登録基準となります。

以下で紹介する世界遺産の「登録基準」項目の記載番号は上記の世界遺産登録基準の番号に対応しています。

鹿児島県の世界遺産 一覧・まとめ / UNESCO World Heritage Sites in Kagoshima ~文化遺産(負の世界遺産、文化的景観、産業遺産、近代化遺産、稼働遺産)、自然遺産、複合遺産、危機遺産~

鹿児島県には、自然遺産1件と文化遺産1件(構成資産3か所)の合計2件の世界遺産があります。太古の森が広がる屋久島と、薩摩藩の近代化の足跡を伝える産業革命遺産群という、異なる性格の遺産を巡ることで、鹿児島の自然と歴史の奥深さを体感できます。


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屋久島 / Yaku Shima[Yaku Island]

屋久島は、鹿児島県の南方約60kmの海上に浮かぶ周囲約130kmのほぼ円形の島です。1993年、法隆寺地域の仏教建造物・姫路城・白神山地とともに日本で初めて世界遺産に登録されました。島の面積の約2割にあたる約10,747ヘクタールが世界遺産の登録区域となっています。

島の中央にそびえる宮之浦岳(標高1,936m)は九州最高峰であり、「洋上のアルプス」と称されるほど急峻な山岳地形が特徴です。標高差が大きいため、亜熱帯から亜寒帯までの植生が垂直分布しており、日本列島の自然の縮図ともいわれます。

屋久島を象徴する屋久杉は、樹齢1,000年を超えるスギの総称で、なかでも推定樹齢2,170年以上とされる縄文杉は島のシンボルとして広く知られています。年間降水量が平地で約4,000mm、山地では8,000mmを超えるとされる多雨環境が、苔むした幻想的な森を育んでいます。登録基準(7)「ひときわすぐれた自然美」と(9)「重要な生態学的プロセス」の2つの基準で評価されています。

主なトレッキングコースとして、縄文杉コース(往復約10時間)、白谷雲水峡コース(約3~5時間)、ヤクスギランドコース(約30分~約2時間半)などがあり、体力や日程に応じて屋久島の自然を満喫できます。

登録区分
Type
自然遺産
登録年
Designated
1993年
登録基準
Criteria
(7)、(9)
住所
Address
鹿児島県熊毛郡屋久島町
地図
Map
地図(Map)
アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
鹿児島空港より日本エアコミューター航空機(約35分)「屋久島空港」降機、鹿児島港より高速船(約2時間~約2時間30分)
URL
URL
https://www.town.yakushima.kagoshima.jp/

明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業 / Meiji Nihon No Sangyou Kakumei Isan Seitetsu Tekkou Zousen Sekitan Sangyou[Sites of Japan's Meiji Industrial Revolution: Iron and Steel, Shipbuilding and Coal Mining]

「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」は、2015年に世界文化遺産として登録されました。九州・山口を中心に8県11市にまたがる23の構成資産からなるシリアル・ノミネーション(連続性のある遺産)であり、19世紀後半から20世紀初頭にかけて日本が成し遂げた急速な産業化の過程を物語っています。

鹿児島県内には、薩摩藩第28代当主・島津斉彬が推進した集成館事業に関連する3つの構成資産が所在します。島津斉彬は1851年に藩主に就任すると、欧米列強に対抗するために製鉄・造船・紡績・ガラス製造など多岐にわたる近代的事業を開始しました。この集成館事業は、日本における産業近代化の先駆けとして高く評価されています。

登録基準(2)「人類の価値の重要な交流」と(4)「人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式・技術の集積」の2つの基準で登録されており、西洋の産業技術を非西洋地域で初めて本格的に導入・発展させた歴史的意義が認められています。

登録区分
Type
文化遺産
登録年
Designated
2015年
登録基準
Criteria
(2)、(4)

旧集成館 / Kyuh Shuseikan[Shuseikan]

旧集成館は、島津斉彬が1851年から整備を進めた日本初の洋式工場群です。現在の仙巌園(磯庭園)に隣接するこの地には、反射炉跡・旧集成館機械工場・旧鹿児島紡績所技師館(異人館)の3つの構造物が残されています。なかでも旧集成館機械工場は、1865年に竣工した石造りの洋式建築で、現存する日本最古の洋式工場建築のひとつとされています。機械工場内部は現在「尚古集成館」として博物館に活用されており、薩摩藩の近代化の歩みを伝える資料が展示されています。仙巌園とあわせて見学でき、鹿児島市内の主要観光スポットとして多くの来訪者が訪れています。

住所
Address
鹿児島県鹿児島市吉野町9698−1
地図
Map
地図(Map)
アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
JR鹿児島中央駅より自動車(約20分)、JR鹿児島中央駅より鹿児島市周遊バス(約30分)「仙巌園前(磯庭園前)」下車(徒歩約1分)
URL
URL
https://www.kagoshima-kankou.com/guide/10524/

寺山炭窯跡 / Terayama Sumigama Ato[Terayama Charcoal Kiln]

寺山炭窯跡は、集成館事業で使用する反射炉の燃料となる白炭(木炭)を製造するために1858年に築かれた炭窯の遺構です。鹿児島市北部の寺山地区の山中に位置し、石積みで造られた窯の構造が良好な状態で残されています。反射炉を稼働させるには大量の木炭が必要であり、この炭窯は集成館事業を支えた重要なエネルギー供給拠点でした。周辺は豊かな自然に囲まれた静かな環境で、幕末の産業遺産を間近に感じられる貴重な史跡です。

住所
Address
鹿児島県鹿児島市吉野町10701-68
地図
Map
地図(Map)
アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
JR鹿児島中央駅より自動車(約30分)、JR鹿児島中央駅よりバス中別府団地線(約40分)「少年自然の家入口」下車(徒歩約20分)
URL
URL
https://www.kagoshima-kankou.com/guide/51560/

関吉の疎水溝 / Sekiyoshi No Sosui Kou[Sekiyoshi Sluice gate of Yoshino leat]

関吉の疎水溝は、集成館の動力源として水車を回すための水を供給した用水路(疎水)の取水口跡です。稲荷川の上流にあたる関吉地区に設けられ、ここから約7km離れた集成館まで水路を通じて水を引いていました。この疎水は、反射炉への送風や各種機械の動力として不可欠な水力を確保するために島津斉彬の命で整備されたもので、当時の土木技術の水準を今に伝えています。取水口付近には江戸時代の石積みが残り、周囲の自然環境と一体となった景観が保たれています。

住所
Address
鹿児島県鹿児島市下田町1263
地図
Map
地図(Map)
アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
JR鹿児島中央駅より自動車(約30分)、JR鹿児島中央駅よりバス緑ヶ丘団地線(約40分)「下田」下車(徒歩約15分)
URL
URL
https://www.kagoshima-kankou.com/guide/51561/