沖縄県の世界遺産 一覧・まとめ / UNESCO World Heritage Sites in Okinawa ~文化遺産(負の世界遺産、文化的景観、産業遺産、近代化遺産、稼働遺産)、自然遺産、複合遺産、危機遺産~

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親記事:日本全国・都道府県の世界遺産 一覧・まとめ / UNESCO World Heritage Sites in Japan ~文化遺産(負の世界遺産、文化的景観、産業遺産、近代化遺産、稼働遺産)、自然遺産、複合遺産、危機遺産~

沖縄県には、かつて独自の王国として繁栄した琉球王国の歴史を物語る世界遺産が数多く残されています。2000年にユネスコ世界文化遺産に登録された「琉球王国のグスク及び関連遺産群」は、5つの城(グスク)跡と4つの関連遺産の計9つの構成資産からなり、12世紀から17世紀にかけて栄えた琉球王国の政治・文化・宗教の姿を今に伝えています。

世界遺産とは、ユネスコ総会で採択された世界遺産条約「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」に基づいて登録された遺跡、景観、自然などの人類が共有すべき「顕著な普遍的価値」を持ち、移動が不可能な物件を指します。世界遺産登録の本来の目的は、自然や文化的に価値のあるものを保護・保全し、過去から未来へと伝えていくことにあります。

沖縄の世界遺産の特徴は、日本本土の城郭とは全く異なる琉球独自の築城技術にあります。琉球石灰岩を用いた曲線的な城壁、中国・日本・東南アジアの文化が融合した建築様式、そして自然崇拝に基づく聖域(御嶽)の存在は、琉球王国が東アジアの海上交易の要衝として独自の文明を築いた証拠です。これらの遺産群は、沖縄の亜熱帯の自然環境と調和しながら、訪れる人に琉球の歴史と精神文化を体感させてくれます。

以下では、沖縄県内に点在する世界遺産の各構成資産について、その歴史的背景、見どころ、アクセス情報を詳しく紹介します。

世界遺産の登録基準

世界遺産が登録される際には、以下の10項目の基準のうち1つ以上を満たす必要があります。(1)~(6)を満たすものが文化遺産、(7)~(10)を満たすものが自然遺産、両方の条件をそれぞれ1つ以上満たすものが複合遺産として登録されます。

  • (1) 人類の創造的才能を表現する傑作。
  • (2) ある期間を通じてまたはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。
  • (3) 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠。
  • (4) 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例。
  • (5) ある文化(または複数の文化)を代表する伝統的集落、あるいは陸上ないし海上利用の際立った例。もしくは特に不可逆的な変化の中で存続が危ぶまれている人と環境の関わりあいの際立った例。
  • (6) 顕著で普遍的な意義を有する出来事、現存する伝統、思想、信仰または芸術的、文学的作品と直接にまたは明白に関連するもの(この基準は他の基準と組み合わせて用いるのが望ましいと世界遺産委員会は考えている)。
  • (7) ひときわすぐれた自然美及び美的な重要性をもつ最高の自然現象または地域を含むもの。
  • (8) 地球の歴史上の主要な段階を示す顕著な見本であるもの。これには生物の記録、地形の発達における重要な地学的進行過程、重要な地形的特性、自然地理的特性などが含まれる。
  • (9) 陸上、淡水、沿岸および海洋生態系と動植物群集の進化と発達において進行しつつある重要な生態学的、生物学的プロセスを示す顕著な見本であるもの。
  • (10) 生物多様性の本来的保全にとって、もっとも重要かつ意義深い自然生息地を含んでいるもの。これには科学上または保全上の観点から、すぐれて普遍的価値を持つ絶滅の恐れのある種の生息地などが含まれる。

以下で紹介する沖縄県の世界遺産の「登録基準」項目の記載番号は、上記の世界遺産登録基準の番号に対応しています。

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琉球王国のグスク及び関連遺産群 / Ryukyu Ohkoku No Gusuku Oyobi Kanren Isan Gun[Gusuku Sites and Related Properties of the Kingdom of Ryukyu]

「琉球王国のグスク及び関連遺産群」は、2000年12月にユネスコ世界文化遺産に登録されました。琉球王国は15世紀に三山(北山・中山・南山)を統一して成立し、中国、日本、朝鮮、東南アジア諸国との海上貿易を通じて独自の文化と繁栄を築きました。「グスク」とは琉球語で城を意味し、軍事拠点であると同時に、政治・祭祀の中心としても機能していました。登録基準(2)(3)(6)を満たすこの遺産群は、琉球文化が東アジア・東南アジアとの交流の中で形成された価値の交流、琉球王国という独自文明の証拠、そして琉球固有の信仰体系であるニライカナイ信仰や御嶽崇拝との関連性が評価されたものです。

登録区分
Type
文化遺産
登録年
Designated
2000年
登録基準
Criteria
(2)、(3)、(6)

今帰仁城跡 / Nakijin Gusuku Ato[Nakijin Castle Ruins]

今帰仁城(なきじんじょう)は、沖縄本島北部の本部半島に位置する、琉球王国成立以前の北山王の居城です。13世紀頃に築城され、三山時代には北山王国の政治・軍事の中心として栄えました。1416年に中山の尚巴志によって攻め落とされるまで、北山地域を支配する拠点でした。全長約1.5kmに及ぶ石灰岩の城壁は、沖縄のグスクの中でも最大規模を誇り、万里の長城を思わせる壮大な曲線美で知られています。城跡からは東シナ海を一望でき、毎年1月下旬から2月にかけてはカンヒザクラ(寒緋桜)の名所としても親しまれ、日本で最も早い桜祭りが開催されます。

住所
Address
沖縄県国頭郡今帰仁村今泊5101
地図
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アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
那覇空港よりバス(約2時間30分)「今帰仁城跡入口」下車(徒歩約20分)
URL
URL
https://nakijinjo.jp/

座喜味城跡 / Zakimi Gusuku Ato[Zakimi Castle Ruins]

座喜味城(ざきみじょう)は、読谷村の丘陵地に築かれた、琉球屈指の名築城家・護佐丸(ごさまる)によって15世紀初頭に造られたグスクです。護佐丸は、北山攻めの功績により読谷山の地を与えられ、この城を築きました。座喜味城の最大の特徴は、沖縄のグスクで最も古いとされるアーチ門(拱門)にあります。琉球石灰岩の楔石を精巧に組み合わせたこのアーチ構造は、当時の高度な石造建築技術を示すものです。規模は比較的小さいものの、二つの郭を囲む城壁の曲線美は芸術的で、城壁の上からは残波岬や東シナ海の絶景を眺望できます。入場無料で24時間見学可能なため、夕日の名所としても人気があります。

住所
Address
沖縄県中頭郡読谷村座喜味708−6
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アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
那覇バスターミナルよりバス(約1時間30分)「座喜味」下車(徒歩約15分)
URL
URL
https://www.yomitan-kankou.jp/detail.jsp?id=74759&menuid=11949&funcid=3

勝連城跡 / Katsuren Gusuku Ato[Katsuren Castle Ruins]

勝連城(かつれんじょう)は、うるま市の勝連半島の丘陵上に築かれたグスクで、沖縄のグスクの中でも最も古い部類に属し、築城は12世紀頃まで遡ると考えられています。15世紀に城主となった阿麻和利(あまわり)は、海外貿易によって勝連を繁栄させた人物として知られています。阿麻和利は当時の琉球王府に対抗するほどの勢力を持ちましたが、1458年の「護佐丸・阿麻和利の乱」で滅びました。標高約100mの丘陵に連なる城壁は、頂上に向かって段階的に高くなる独特の構造で、最上部からは中城湾、太平洋、金武湾を360度見渡す絶景が広がります。発掘調査では、中国や東南アジアの陶磁器、古代ローマのコインなども出土しており、当時の国際的な交易ネットワークの広がりを物語っています。

住所
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沖縄県うるま市勝連南風原3908
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アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
那覇バスターミナルよりバス(約2時間)「西原」下車(徒歩約10分)、那覇バスターミナルよりバス(1時間30分)「勝連団地前」下車(徒歩約5分)
URL
URL
https://www.katsuren-jo.jp/

中城城跡 / Naka Gusuku Jou Ato [Naka Castle Ruins]

中城城(なかぐすくじょう)は、北中城村から中城村にかけての標高約160mの丘陵上に築かれたグスクです。築城時期は14世紀後半とされ、15世紀に名将・護佐丸が座喜味城から移り住んだ際に増築・改修を行いました。中城城の城壁は、沖縄のグスクの中でも特に保存状態が良好で、野面積み、布積み、あいかた積み(亀甲乱れ積み)の3種類の石積み技法が一つの城に見られる点が大きな特徴です。これは異なる時代に段階的に築かれたことを示しており、琉球の築城技術の発展過程を一箇所で観察できる貴重な遺跡です。1853年にペリー提督の探検隊がこの城を訪れた際、その建築技術の高さに驚嘆したという記録も残されています。城跡からは太平洋と東シナ海の両方を望むことができ、沖縄の雄大な自然景観を堪能できます。

住所
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沖縄県中頭郡北中城村大城503
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アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
那覇空港より自動車(約50分)
URL
URL
https://www.nakagusuku-jo.jp/

首里城跡 / Shuri Jou Ato[Shuri Castle Ruins]

首里城(しゅりじょう)は、那覇市の高台に位置する琉球王国の王宮であり、約450年にわたって琉球の政治・外交・文化の中心地として機能していました。1429年に尚巴志が三山を統一して琉球王国を成立させて以降、首里城は王国の象徴として発展しました。朱色に彩られた正殿は中国の宮殿建築と日本の城郭建築の要素を融合させた独特の様式を持ち、琉球王国の国際性を象徴しています。首里城は過去に4度の焼失と再建を繰り返しており、2019年10月31日未明に発生した火災で正殿をはじめとする主要な建物が焼失しましたが、現在復元工事が進められています。なお、世界遺産に登録されているのは復元された建物ではなく、地下に残る「首里城跡」の遺構部分です。城内には御庭(うなー)、園比屋武御嶽石門、守礼門など見どころが多く、沖縄観光の最重要スポットとなっています。

住所
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沖縄県那覇市首里金城町1丁目2
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アクセス・最寄り駅
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那覇空港よりゆいレール首里行(約25分)「儀保」下車(徒歩約20分)
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URL
https://oki-park.jp/shurijo/

園比屋武御嶽石門 / Sonohyan Utaki[Sonohyan Utaki]

園比屋武御嶽石門(そのひゃんうたきいしもん)は、首里城の守礼門と歓会門の間に位置する石造りの門で、1519年に第二尚氏王統第3代・尚真王の時代に創建されました。この石門は、琉球国王が城外へ出かける際に道中の安全を祈願する拝所として使われていました。門の背後に広がる森が御嶽(聖域)であり、石門はその礼拝の場としての入口にあたります。琉球石灰岩で造られた石門は、唐破風(からはふう)の屋根を持つ独特の形状で、日本と中国の建築様式を融合させた琉球独自のデザインが見られます。建物としてくぐるためのものではなく、あくまで祈りのための象徴的な門である点が特徴的です。首里城見学の際に合わせて訪問しやすい立地にあります。

住所
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沖縄県那覇市首里当蔵町3
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アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
那覇空港よりゆいレール首里行(約25分)「儀保」下車(徒歩約15分)
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URL
無し

玉陵 / Tama udun[Tama udun]

玉陵(たまうどぅん)は、首里城の西側に位置する琉球王国の王家・第二尚氏王統の歴代国王が葬られた陵墓です。1501年に尚真王が父・尚円王の遺骨を改葬するために築造しました。沖縄最大の破風墓(はふばか)であり、東室・中室・西室の三つの墓室で構成されています。中室は遺体を安置して洗骨するまでの一時安置所、東室には洗骨後の国王と王妃の遺骨が、西室にはその他の王族の遺骨が納められました。墓室の前面は板葺き屋根の宮殿を模した石造りの壮麗な外観を持ち、沖縄の独自の葬送文化と石造建築の粋を伝えています。2018年には墓室内部を含む構造全体が国宝に指定されており、沖縄県内の建造物としては初めての国宝となりました。

住所
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沖縄県那覇市首里金城町1丁目3
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アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
那覇空港よりゆいレール首里行(約25分)「儀保」下車(徒歩約15分)
URL
URL
https://www.city.naha.okinawa.jp/kakuka/kyouikubunkazai/bunkazai/

識名園 / Shikina En[Shikina Garden]

識名園(しきなえん)は、那覇市の南部に位置する琉球王家の別邸で、18世紀末(1799年頃)に造営された廻遊式庭園です。中国皇帝の使者である冊封使(さっぽうし)をもてなす迎賓館としての役割を担っていました。庭園は中国の造園様式を基調としながら、日本庭園の要素や沖縄独自の風土を取り入れた独特の設計となっています。園内中央の池には中国風の六角堂が浮かび、池の周囲を歩きながら季節ごとに変化する景観を楽しめる構成になっています。識名園の大きな特徴として、園内からは海が見えないように設計されている点があります。これは、冊封使に対して琉球の国土が実際よりも広大であるという印象を与えるための外交的な意図があったとされています。沖縄戦で大きな被害を受けましたが、1975年から約20年をかけて復元されました。

住所
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沖縄県那覇市真地421−7
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アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
那覇バスターミナルよりバス(約40分)「識名園」下車(徒歩約5分)
URL
URL
https://www.city.naha.okinawa.jp/kakuka/kyouikubunkazai/bunkazai/shikinaen.html

斎場御嶽 / Sefa Utaki[Sefa Utaki]

斎場御嶽(せーふぁうたき)は、南城市の知念半島に位置する琉球王国最高の聖地です。「御嶽」とは沖縄における聖域・祈りの場を意味し、斎場御嶽はその中でも最も格式の高い場所として、琉球の創世神話にも登場します。琉球王国時代には国家的な祭事が行われ、最高位の神女・聞得大君(きこえおおきみ)の就任儀式「御新下り(おあらおり)」もここで執り行われました。御嶽は自然の岩や樹木そのものを信仰の対象とする琉球独自の自然崇拝の姿を今に留めており、鬱蒼とした亜熱帯の森の中に巨岩が三角形に重なり合った「三庫理(さんぐーい)」と呼ばれる拝所は、その隙間から久高島を遠望でき、神秘的な雰囲気に包まれています。久高島は琉球の創世神・アマミキヨが最初に降り立ったとされる神の島であり、斎場御嶽は久高島を遥拝するための重要な拝所でもあります。現在も地元の人々にとって神聖な祈りの場であるため、静粛な見学が求められます。

住所
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沖縄県南城市知念字久手堅
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アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
那覇空港より自動車(約1時間)
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URL
https://www.city.nanjo.okinawa.jp/tourism/2011/11/sefa.html