青森県の世界遺産 一覧・まとめ / UNESCO World Heritage Sites in Aomori ~文化遺産(負の世界遺産、文化的景観、産業遺産、近代化遺産、稼働遺産)、自然遺産、複合遺産、危機遺産~
青森県は、本州最北端に位置し、豊かな自然と1万年以上にわたる人類の歴史が共存する地域です。県内には、1993年に登録された自然遺産「白神山地」と、2021年に登録された文化遺産「北海道・北東北の縄文遺跡群」の2つのユネスコ世界遺産があります。自然遺産と文化遺産の両方を有する青森県は、日本の世界遺産を語るうえで欠かすことのできない存在です。
世界遺産とは、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)総会で1972年に採択された「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」(世界遺産条約)に基づき、人類が共有すべき「顕著な普遍的価値(Outstanding Universal Value)」を持つ不動産を登録・保護する国際的な制度です。登録の本来の目的は、自然や文化的に価値のある遺産を保護・保全し、過去から未来の世代へと確実に伝えていくことにあります。
同時に、世界遺産への登録は国際的な知名度の向上にもつながり、観光資源としてのブランド力を高める効果も広く認識されています。青森県においても、世界遺産登録を契機として白神山地や縄文遺跡群への関心が国内外で高まり、地域活性化や文化財保護への意識向上に寄与しています。
この記事では、青森県が誇る2つの世界遺産について、登録基準や見どころ、アクセス情報などを詳しく紹介します。
まず、世界遺産が登録される基準を下記に記載します。
- (1) 人類の創造的才能を表現する傑作。
- (2) ある期間を通じてまたはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。
- (3) 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠。
- (4) 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例。
- (5) ある文化(または複数の文化)を代表する伝統的集落、あるいは陸上ないし海上利用の際立った例。もしくは特に不可逆的な変化の中で存続が危ぶまれている人と環境の関わりあいの際立った例。
- (6) 顕著で普遍的な意義を有する出来事、現存する伝統、思想、信仰または芸術的、文学的作品と直接にまたは明白に関連するもの(この基準は他の基準と組み合わせて用いるのが望ましいと世界遺産委員会は考えている)。
- (7) ひときわすぐれた自然美及び美的な重要性をもつ最高の自然現象または地域を含むもの。
- (8) 地球の歴史上の主要な段階を示す顕著な見本であるもの。これには生物の記録、地形の発達における重要な地学的進行過程、重要な地形的特性、自然地理的特性などが含まれる。
- (9) 陸上、淡水、沿岸および海洋生態系と動植物群集の進化と発達において進行しつつある重要な生態学的、生物学的プロセスを示す顕著な見本であるもの。
- (10) 生物多様性の本来的保全にとって、もっとも重要かつ意義深い自然生息地を含んでいるもの。これには科学上または保全上の観点から、すぐれて普遍的価値を持つ絶滅の恐れのある種の生息地などが含まれる。
(1)~(6)を満たすものが文化遺産、(7)~(10)を満たすものが自然遺産、文化遺産と自然遺産の条件をそれぞれ1つ以上を満たすものが複合遺産としての登録基準となります。
以下で紹介する世界遺産の「登録基準」項目の記載番号は上記の世界遺産登録基準の番号に対応しています。
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白神山地 / Shirakami Sanchi[Shirakami-Sanchi]
白神山地は、青森県南西部から秋田県北西部にまたがる約130,000ヘクタールの広大な山岳地帯です。そのうち約16,971ヘクタールが1993年に日本初の世界自然遺産として登録されました(屋久島と同時登録)。登録基準(9)「陸上・淡水域・沿岸・海洋の生態系と動植物群集の進化・発達において、進行しつつある重要な生態学的・生物学的過程を示す顕著な見本」を満たしています。
白神山地最大の特徴は、人の手がほとんど加わっていない世界最大級のブナ天然林が残されていることです。約8,000年前から続くとされるこのブナ林は、氷期以降の植生回復と生態系の発達過程を今に伝える貴重な存在です。ブナ林を基盤とした生態系には、ニホンカモシカ、ツキノワグマ、ニホンザル、クマゲラ(国の天然記念物)など多様な動植物が生息しており、学術的にも極めて高い価値を持っています。
白神山地の主な見どころ
- 十二湖(じゅうにこ):白神山地の西側に位置する33の湖沼群。特に「青池」はその神秘的なコバルトブルーの水面で知られ、白神山地を代表する景勝地です。
- 暗門の滝(あんもんのたき):暗門川の上流にある3段の滝。第一の滝(落差42m)、第二の滝(落差37m)、第三の滝(落差26m)からなり、遊歩道を通じて間近に見ることができます。
- 白神岳(しらかみだけ):標高1,235mの白神山地を代表する山。山頂からは日本海と白神山地の原生林を一望でき、登山愛好家に人気のルートです。
- マザーツリー:樹齢約400年のブナの巨木。白神山地のシンボル的存在として親しまれています。
- 世界遺産の径 ブナ林散策道:白神山地ビジターセンター近くに整備された散策道で、気軽にブナの原生林の雰囲気を体感できます。
白神山地は四季折々に異なる表情を見せます。春は新緑のブナ林とミズバショウ、夏は深い緑に覆われた森でのトレッキング、秋は山全体を染める紅葉、冬は一面の銀世界と、訪れる季節によって全く異なる自然体験が楽しめます。
| 登録区分 Type |
自然遺産 |
| 登録年 Designated |
1993年 |
| 登録基準 Criteria |
(9) |
| 住所 Address |
青森県 |
| 地図 Map |
地図(Map) |
| アクセス・最寄り駅 Access, Nearest station |
白神山地ビジターセンター:JR弘前駅より自動車(約40分)、JR弘前駅より定期路線バス(約1時間)「田代(西目屋村役場)」下車(徒歩約10分) |
| URL URL |
https://www.shirakami-visitor.jp/ |
北海道・北東北の縄文遺跡群 / Jomon Prehistoric Sites in Northern Japan
「北海道・北東北の縄文遺跡群」は、2021年7月に世界文化遺産として登録された、北海道・青森県・岩手県・秋田県に所在する17の構成資産からなる遺跡群です。そのうち青森県には8つの構成資産があり、全構成資産の約半数を占めています。このことは、青森県が縄文文化の中心地の一つであったことを如実に物語っています。
縄文時代は約15,000年前から約2,300年前まで続いた日本列島固有の先史時代で、狩猟・採集・漁労を基盤としながらも定住生活を営んだ点に大きな特徴があります。農耕に依存せずに1万年以上にわたって定住的な社会を維持・発展させた例は世界的にも極めて稀であり、人類の歴史における文化的多様性を示す重要な証拠として高い評価を受けています。
青森県内の構成資産(8件)
- 三内丸山遺跡(さんないまるやまいせき):青森市に所在する日本最大級の縄文集落跡。約5,900年前〜4,200年前の大規模集落で、大型掘立柱建物や竪穴建物、大量の土器・石器・土偶などが出土し、縄文時代の社会構造を解明するうえで極めて重要な遺跡です。
- 小牧野遺跡(こまきのいせき):青森市に所在する環状列石(ストーンサークル)を主体とする遺跡。約4,000年前に築かれた独特な三重構造の環状列石は、縄文人の精神文化や祭祀活動を物語る貴重な遺構です。
- 大森勝山遺跡(おおもりかつやまいせき):弘前市に所在する環状列石を伴う遺跡。約3,000年前の縄文時代晩期に築かれ、岩木山を望む立地から、自然崇拝と結びついた祭祀の場であったと考えられています。
- 是川石器時代遺跡(これかわせっきじだいいせき):八戸市に所在する縄文時代晩期の集落遺跡。漆塗りの土器や木製品など、高度な工芸技術を示す遺物が多数出土しており、特に「合掌土偶」は国宝に指定されています。
- 亀ヶ岡石器時代遺跡(かめがおかせっきじだいいせき):つがる市に所在する縄文時代晩期の遺跡。「遮光器土偶」の出土地として全国的に有名で、精巧な造形の土偶や漆器は「亀ヶ岡文化」として知られる高度な文化の存在を証明しています。
- 大平山元遺跡(おだいやまもといせき):外ヶ浜町に所在する日本最古級(約16,500年前)の土器が出土した遺跡。縄文時代の始まりを示す重要な遺跡であり、世界最古の土器文化の一端を伝えています。
- 田小屋野貝塚(たごやのかいづか):つがる市に所在する縄文時代前期〜中期の貝塚。ヤマトシジミを主体とする貝層が形成されており、内湾から汽水湖へと変化した環境の中で持続的に水産資源を利用した生活の様子がわかります。
- 二ツ森貝塚(ふたつもりかいづか):七戸町に所在する縄文時代前期〜中期の大規模な貝塚。多量の貝類・獣骨・魚骨とともに、土器や骨角器が出土しており、縄文人の食文化や生業活動の実態を詳細に伝える遺跡です。
これら8つの構成資産は、縄文時代の草創期から晩期まで約1万年以上にわたる各段階を網羅しており、定住の開始から発展・成熟に至るまでの過程を体系的に示しています。青森県の縄文遺跡群を巡ることは、農耕以前の人類が自然と共生しながら複雑な精神文化を育んだ歴史を、実際の遺構や出土品を通じて体感する貴重な機会となります。
| 登録区分 Type |
文化遺産 |
| 登録年 Designated |
2021年 |
| 登録基準 Criteria |
(3)(5) |
| 住所 Address |
青森県(三内丸山遺跡:青森市、小牧野遺跡:青森市、大森勝山遺跡:弘前市、是川石器時代遺跡:八戸市、亀ヶ岡石器時代遺跡:つがる市、大平山元遺跡:外ヶ浜町、田小屋野貝塚:つがる市、二ツ森貝塚:七戸町) |
| 地図 Map |
地図(Map)(三内丸山遺跡) |
| アクセス・最寄り駅 Access, Nearest station |
三内丸山遺跡:JR新青森駅よりバス(約15分)、JR青森駅よりバス(約30分)「三内丸山遺跡前」下車 |
| URL URL |
https://jomon-japan.jp/ |

