北海道の城・城跡・城址まとめ・一覧 / Japanese Castles in Hokkaido – Japan’s Top 100 Castles ~日本100名城と天守のある城(現存天守、復元天守、復興天守、模擬天守)、天守の分類・種類・指定文化財などの観点でみる歴史的建造物、梅・桜・紅葉も楽しめる名所・スポット~
北海道の城と歴史的背景
北海道には本州とは異なる独特の歴史を持つ城郭が存在します。江戸時代末期に建てられた松前城、幕末の動乱期に築かれた西洋式城郭の五稜郭、そしてアイヌ民族の文化を今に伝える根室半島チャシ跡群など、それぞれが日本の近世から近代にかけての歴史的転換期を物語る貴重な史跡となっています。
これらの城跡は「日本100名城」にも選定され、歴史的価値だけでなく観光スポットとしても高い人気を誇ります。特に松前城は北海道唯一の日本式城郭として、また五稜郭は星型の西洋式要塞として、それぞれ独自の魅力を放っています。
北海道の城跡は四季折々の美しい自然景観とともに楽しむことができます。春には桜の名所として、秋には紅葉の絶景スポットとして、歴史探訪と季節の風情を同時に味わえる魅力的な観光地です。本記事では、日本100名城に選ばれた北海道の3つの史跡について、その歴史的背景、見どころ、アクセス情報などを詳しくご紹介します。
北海道の城・城跡・城址まとめ・一覧 / Japanese Castles in Hokkaido ~日本100名城と天守のある城(現存天守、復元天守、復興天守、模擬天守)、天守の分類・種類・指定文化財などの観点でみる歴史的建造物、梅・桜・紅葉も楽しめる名所・スポット~
松前城 / Matsumae Jou[Matsumae Castle]
歴史と特徴
松前城は、1606年に松前崇広によって築かれた北海道唯一の日本式城郭です。正式には「福山城」とも呼ばれ、江戸時代には松前藩の居城として蝦夷地(北海道)統治の拠点となりました。幕末の1854年に完成した三重三階の天守は、日本最後期に築かれた伝統的な城郭建築として貴重な存在でしたが、残念ながら1949年の火災により焼失しました。
現在の天守は1961年に外観復元されたもので、内部は松前城資料館として公開されています。展示では松前藩の歴史、アイヌ民族との交易、北方警備の様子などを学ぶことができます。
桜の名所として
松前城は「さくら名所100選」にも選ばれる北海道随一の桜の名所です。城内には約250種・1万本もの桜が植えられており、4月下旬から5月下旬にかけて早咲きから遅咲きまで、約1ヶ月にわたって多様な桜を楽しむことができます。「松前さくらまつり」期間中は夜桜のライトアップも実施され、天守と桜の幻想的な光景を堪能できます。
見どころポイント
- 外観復元された三重三階の天守閣
- 現存する本丸御門(国の重要文化財)
- 松前城資料館での歴史展示
- 約250種類の多彩な桜コレクション
- 城下町の面影を残す寺町通り
| 築城年 Year of Built |
1606年 |
| 築城主 Founder |
松前崇広 |
| 指定 Designation |
日本100名城(Japan's Top 100 Castles)、国の史跡(National Historic Site) |
| 天守の分類・種類 Castle Tower Classification |
外観復元天守 |
| 住所 Address |
北海道松前郡松前町字松城144 |
| 地図 Map |
地図(Map) |
| 開城時間 Opening hours |
24時間(天守資料館:9:00〜17:00、4月10日〜12月10日) |
| 入城料 Admission fee |
大人360円(団体290円)、小・中学生240円(団体190円)、幼児無料(Free) ※団体は10名以上 ※障がい者は団体料金を適用 |
| 定休日 Holiday |
12月11日〜4月9日(天守資料館) |
| アクセス・最寄り駅 Access, Nearest station |
JR江差線木古内駅より函館バス松前行き(約1時間30分)「松城」下車(徒歩約10分) |
| 駐車場 Parking Lot |
約1000台 無料(Free)(桜まつり期間中は500円) |
五稜郭 / Goryoukaku[Goryoukaku]
歴史と特徴
五稜郭は1866年に完成した日本初の西洋式星型要塞です。幕末の開国に伴い、函館開港に備えて江戸幕府が築いた近代的な軍事施設で、フランスの築城技術を取り入れた画期的な設計となっています。星型の形状は、砲撃戦に対する防御力を高めるために考案されたもので、稜堡(りょうほ)と呼ばれる突出部が5つあることから「五稜郭」と名付けられました。
1868年から1869年にかけての戊辰戦争では、旧幕府軍の榎本武揚らがこの地に拠って新政府軍と戦った「箱館戦争」の舞台となり、日本最後の内戦の地として歴史に名を刻んでいます。
五稜郭タワーからの絶景
五稜郭の全体像を眺めるなら、隣接する五稜郭タワー(高さ107m)からの展望がおすすめです。展望台からは星型の美しい形状が一望でき、四季折々の景観変化を楽しむことができます。特に春の桜シーズンには、星型の輪郭がピンク色に彩られる壮観な眺めが人気です。
見どころポイント
- 星型の独特な要塞構造
- 復元された箱館奉行所(内部見学可能)
- 五稜郭タワーからの俯瞰景観
- 約1600本のソメイヨシノが咲く桜の名所
- 箱館戦争の歴史を伝える史料展示
- 堀と土塁が織りなす美しい幾何学模様
イベント情報
毎年5月には「箱館五稜郭祭」が開催され、維新行列や音楽パレードなど、幕末の歴史を偲ぶイベントが行われます。また冬季には「五稜星の夢」というイルミネーションイベントが実施され、星型の堀が約2000個の電球で彩られる幻想的な光景を楽しめます。
| 築城年 Year of Built |
1866年 |
| 築城主 Founder |
江戸幕府 |
| 指定 Designation |
日本100名城(Japan's Top 100 Castles)、国の特別史跡(National Special Historic Site) |
| 天守の分類・種類 Castle Tower Classification |
天守なし(西洋式星型要塞) |
| 住所 Address |
北海道函館市五稜郭町44 |
| 地図 Map |
地図(Map) |
| 開城時間 Opening hours |
郭内:5:00〜19:00(4月〜10月)、5:00〜18:00(11月〜3月) 五稜郭タワー:9:00〜18:00(4月21日〜10月20日)、9:00〜17:00(10月21日〜4月20日) |
| 入城料 Admission fee |
郭内:無料(Free) 五稜郭タワー:大人900円、中・高校生680円、小学生450円 |
| 定休日 Holiday |
無休(Open all year round) |
| アクセス・最寄り駅 Access, Nearest station |
JR函館駅より市電(約15分)「五稜郭公園前」下車(徒歩15分)、または函館バス「五稜郭公園入口」下車(徒歩7分) |
| 駐車場 Parking Lot |
周辺に有料駐車場有り(Available) |
根室半島チャシ跡群 / Nemuro Hantou Chashi Ato Gun[Nemuro Peninsula Ruins of Chashi]
歴史と特徴
根室半島チャシ跡群は、16世紀から18世紀にかけてアイヌ民族によって築かれた砦跡の総称です。「チャシ」とはアイヌ語で「柵」や「砦」を意味し、軍事的な防御施設としてだけでなく、祭祀の場や見張り台、また集会の場としても使用されていたと考えられています。
根室半島には24カ所のチャシ跡が確認されており、そのうち主要な4カ所(ヲンネモトチャシ跡、ノツカマフチャシ跡、ノツカマップ1号チャシ跡、ポロモイチャシ跡)が国の史跡に指定されています。日本100名城の中で唯一、アイヌ民族の文化を伝える史跡として選定されており、日本列島における多様な城郭文化を象徴する重要な遺跡です。
アイヌ文化と自然景観
チャシ跡は自然の地形を巧みに利用して築かれており、海に面した断崖や小高い丘の上など、見晴らしの良い場所に位置しています。特にヲンネモトチャシ跡からは、晴れた日には北方領土の歯舞群島を望むことができ、歴史的な意義と共に自然の雄大さも体感できます。
見どころポイント
- 自然の地形を活かした独特の砦構造
- 壕や土塁などアイヌの築城技術の痕跡
- 納沙布岬周辺の絶景ロケーション
- アイヌ文化の歴史を学べる根室市歴史と自然の資料館
- 日本最東端の地としての地理的特異性
訪問時のポイント
チャシ跡は自然の中に点在しているため、訪問の際は動きやすい服装と靴を推奨します。また、まず根室市歴史と自然の資料館でチャシに関する予備知識を得てから訪れると、より深く理解できるでしょう。納沙布岬周辺には観光スポットも多く、日本最東端の地として記念撮影も人気です。
| 築城年 Year of Built |
16世紀~18世紀 |
| 築城主 Founder |
アイヌ民族 |
| 指定 Designation |
日本100名城(Japan's Top 100 Castles)、国の史跡(National Historic Site) |
| 天守の分類・種類 Castle Tower Classification |
天守なし(アイヌ民族の砦跡) |
| 住所 Address |
北海道根室市温根元(ヲンネモトチャシ跡ほか) |
| 地図 Map |
地図(Map) |
| 開城時間 Opening hours |
24時間(見学自由) |
| 入城料 Admission fee |
無料(Free) |
| 定休日 Holiday |
無休(Open all year round)(ただし冬季は積雪のため見学困難) |
| アクセス・最寄り駅 Access, Nearest station |
JR根室本線根室駅より根室交通バス納沙布線(約30分)「納沙布岬」下車(徒歩約20分) |
| 駐車場 Parking Lot |
納沙布岬駐車場利用 無料(Free) |
北海道の城めぐりを楽しむために
北海道の3つの日本100名城は、それぞれが日本史の異なる時代と文化を代表する貴重な史跡です。松前城では江戸時代の伝統的な城郭建築と北海道随一の桜景色を、五稜郭では幕末の動乱期と近代化の歴史を、根室半島チャシ跡群ではアイヌ民族の文化と生活の痕跡を体感することができます。
特に春から初夏にかけては、松前城の多彩な桜や五稜郭の桜並木が見頃を迎え、歴史探訪と花見を同時に楽しめる絶好のシーズンとなります。また、広大な北海道ならではの雄大な自然景観も、城跡散策の大きな魅力の一つです。
訪問の際は、各城の歴史的背景を事前に学んでおくと、より深い理解と感動が得られるでしょう。資料館や展示施設も充実しているため、時間に余裕を持った訪問計画をおすすめします。北海道の歴史と文化に触れる城めぐりの旅を、ぜひお楽しみください。

