広島県の城・城跡・城址まとめ・一覧 / Japanese Castles in Hiroshima – Japan’s Top 100 Castles ~日本100名城と天守のある城(現存天守、復元天守、復興天守、模擬天守)、天守の分類・種類・指定文化財などの観点でみる歴史的建造物、梅・桜・紅葉も楽しめる名所・スポット~
広島県の城郭文化と歴史的背景
広島県は、戦国時代から江戸時代にかけて、中国地方の要衝として重要な役割を果たしてきました。瀬戸内海に面した地理的特性から、水軍の拠点としても栄え、毛利氏をはじめとする有力大名の居城が数多く築かれました。
日本全国には約25,000もの城跡が存在するとされ、そのうち「日本100名城」に選定されている城郭は、歴史的・文化的価値が特に高いものとして認められています。広島県内では、福山城、吉田郡山城、広島城の3城が日本100名城に選ばれており、それぞれが異なる時代背景と建築様式を今に伝えています。
城郭は単なる軍事施設としてだけでなく、政治・経済・文化の中心地として機能してきました。現在では歴史を学ぶ教育の場として、また四季折々の自然を楽しむ観光スポットとして多くの人々に親しまれています。
城郭と四季の魅力
広島県の城跡は、春には桜、秋には紅葉の名所としても知られています。歴史的建造物と季節の彩りが織りなす景観は、訪れる人々に深い感動を与えてくれます。特に福山城や広島城では、桜の季節には多くの花見客で賑わい、城郭と桜のコントラストが見事な景観を創り出します。
天守の分類について
城郭を理解する上で重要なのが天守の分類です。天守は大きく以下の4つに分類されます:
- 現存天守:江戸時代以前に建造され、現在まで保存されている天守(全国に12城のみ)
- 復元天守:史料や発掘調査に基づき、忠実に再建された天守
- 復興天守:外観は史実に基づくが、内部構造は現代的に建造された天守
- 模擬天守:史実に天守が存在しなかった、または史料が不十分な状態で建造された天守
本記事では、広島県内の主要な城郭について、日本100名城、天守の分類、指定文化財などの観点から詳しくご紹介します。歴史愛好家の方はもちろん、ご家族での観光やデート、写真撮影など、さまざまな目的で楽しめる情報をお届けします。
広島県の城・城跡・城址まとめ・一覧 / Japanese Castles in Hiroshima – Japan’s Top 100 Castles ~日本100名城と天守のある城(現存天守、復元天守、復興天守、模擬天守)、天守の分類・種類・指定文化財などの観点でみる歴史的建造物、梅・桜・紅葉も楽しめる名所・スポット~
福山城 / Fukuyama Jou[Fukuyama Castle]
歴史と特徴
福山城は、1622年(元和8年)に徳川家康の従兄弟である水野勝成によって築城されました。山陽道の要衝に位置し、西国の備えとして重要な役割を果たした平山城です。天守は戦災で焼失しましたが、1966年に鉄筋コンクリート造で復興され、2022年には築城400年を記念して大規模な改修が行われ、創建当時の黒い外観が復元されました。
伏見櫓と筋鉄御門は江戸時代初期の建築物として国の重要文化財に指定されており、当時の建築技術の高さを今に伝えています。春には約300本の桜が咲き誇り、「日本さくら名所100選」にも選ばれている桜の名所としても知られています。
見どころポイント
- 2022年にリニューアルされた漆黒の天守外観
- 国の重要文化財である伏見櫓と筋鉄御門
- 天守からの福山市街地の眺望
- 桜の季節の美しい景観
| 築城年 Year of Built |
1622年(元和8年) |
| 築城主 Founder |
水野勝成 |
| 指定 Designation |
日本100名城(Japan’s Top 100 Castles)、国の史跡(National Historic Site)、重要文化財(Important Cultural Property:伏見櫓・筋鉄御門) |
| 天守の分類・種類 Castle Tower Classification |
復興天守(2022年大規模改修完了) |
| 住所 Address |
〒720-0061 広島県福山市丸之内1丁目8番 |
| 地図 Map |
地図(Map) |
| 開城時間 Opening hours |
9:00~17:00(入館は16:30まで) |
| 入城料 Admission fee |
一般500円、高校生以下無料(Free) |
| 定休日 Holiday |
月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始(12月28日~1月3日) |
| アクセス・最寄り駅 Access, Nearest station |
JR山陽本線・山陽新幹線 福山駅北口より徒歩約5分 |
| 駐車場 Parking Lot |
ふくやま美術館・文学館駐車場:約98台、受付への駐車券提示で最初の1時間無料(Free)、以降100円/30分 |
吉田郡山城 / Yoshida Kohriyama Jou[Yoshida Kohriyama Castle]
歴史と特徴
吉田郡山城は、戦国時代に中国地方の覇者として君臨した毛利氏の本拠地として栄えた山城です。標高約390メートルの郡山全体を要塞化した壮大な規模を誇り、最盛期には山麓から山頂まで270以上の郭(曲輪)が連なっていたとされています。
毛利元就はこの城を拠点として、1540年の郡山合戦で大内氏の支援を受けながら尼子氏の大軍を退け、中国地方統一への基盤を築きました。天守閣は存在しませんでしたが、山城としての防御機能と居住空間を巧みに組み合わせた中世山城の代表例として、国の史跡に指定されています。
見どころポイント
- 壮大なスケールの山城遺構
- 270以上もの郭跡が残る中世の山城構造
- 毛利元就の墓所
- 本丸跡からの眺望
- 安芸高田市歴史民俗博物館での詳しい解説
※登城には約40分~1時間程度かかります。歩きやすい靴と服装でお越しください。
| 築城年 Year of Built |
不明(鎌倉時代末期~南北朝時代と推定) |
| 築城主 Founder |
毛利時親(毛利氏) |
| 指定 Designation |
日本100名城(Japan’s Top 100 Castles)、国の史跡(National Historic Site) |
| 天守の分類・種類 Castle Tower Classification |
天守なし(中世山城) |
| 住所 Address |
〒731-0501 広島県安芸高田市吉田町吉田 |
| 地図 Map |
地図(Map) |
| 開城時間 Opening hours |
24時間(見学自由) |
| 入城料 Admission fee |
無料(Free) |
| 定休日 Holiday |
無休(Open all year round) |
| アクセス・最寄り駅 Access, Nearest station |
JR芸備線 向原駅よりバス(約25分)「安芸高田市役所前」下車、徒歩約15分で登山口 ※安芸高田市歴史民俗博物館で情報収集がおすすめ |
| 駐車場 Parking Lot |
安芸高田市歴史民俗博物館駐車場:約50台 無料(Free) 登山口付近:約5台 無料(Free) |
広島城 / Hiroshima Jou[Hiroshima Castle]
歴史と特徴
広島城は、1589年(天正17年)に毛利輝元によって築城された平城です。豊臣秀吉の聚楽第を模した豪壮な造りで、毛利氏の中国地方における権勢を象徴する城郭でした。関ヶ原の戦い後は福島氏、その後は浅野氏の居城となり、明治維新まで広島藩の政治・経済の中心として栄えました。
天守閣は五重五階の望楼型で、黒漆塗りの下見板が特徴的でした。しかし、1945年(昭和20年)8月6日の原爆投下により倒壊。現在の天守は1958年に鉄筋コンクリート造で外観復元されたもので、内部は歴史博物館として広島の歴史や城郭文化を紹介しています。
二の丸には平成時代に入ってから木造で復元された表御門、平櫓、多聞櫓、太鼓櫓があり、江戸時代の城郭建築の様子を体感できます。また、城内には被爆樹木のユーカリやマルバヤナギなどが保存されており、平和の尊さを伝える場所としても重要な役割を担っています。
見どころポイント
- 黒漆塗りの外観が美しい復元天守
- 木造復元された二の丸の櫓群
- 天守閣内の歴史博物館(武具や城下町の模型など)
- 被爆樹木と平和への祈り
- 春の桜シーズンの美しい景観
- 広島護国神社との一体的な景観
| 築城年 Year of Built |
1589年(天正17年) |
| 築城主 Founder |
毛利輝元 |
| 指定 Designation |
日本100名城(Japan’s Top 100 Castles)、国の史跡(National Historic Site) |
| 天守の分類・種類 Castle Tower Classification |
外観復元天守(鉄筋コンクリート造、1958年再建) |
| 住所 Address |
〒730-0011 広島県広島市中区基町21−1 |
| 地図 Map |
地図(Map) |
| 開城時間 Opening hours |
9:00~18:00(入館は17:30まで) 12月~2月:9:00~17:00(入館は16:30まで) |
| 入城料 Admission fee |
大人370円、シニア(65歳以上)180円、高校生180円、中学生以下無料(Free) |
| 定休日 Holiday |
12月29日~12月31日 ※臨時休館あり(要確認) |
| アクセス・最寄り駅 Access, Nearest station |
・広島電鉄(路面電車)「紙屋町東」「紙屋町西」電停より徒歩約15分 ・広島バス「紙屋町」バス停より徒歩約15分 ・アストラムライン「県庁前」駅より徒歩約10分 ・JR広島駅より徒歩約25分、タクシー約10分 |
| 駐車場 Parking Lot |
広島市中央駐車場:約406台 180円/30分 ※城郭専用駐車場はありません |
因島水軍城 / Innoshima Suigun Jou[Innoshima Suigun Castle]
歴史と特徴
因島水軍城は、1983年に因島観光協会によって建設された模擬天守です。史実に基づく城郭ではありませんが、戦国時代に瀬戸内海を支配した村上水軍の一派である因島村上氏の歴史と文化を紹介する資料館として重要な役割を果たしています。
村上水軍(村上海賊)は、室町時代から戦国時代にかけて瀬戸内海の海上交通を支配した海賊衆で、因島を拠点とした因島村上氏は、その中でも有力な一族でした。城内には水軍が使用した武具、船舶の模型、古文書などが展示され、海賊の実像と瀬戸内海の歴史を学ぶことができます。
2016年には「"日本最大の海賊"の本拠地:芸予諸島-よみがえる村上海賊"Murakami KAIZOKU"の記憶-」として日本遺産に認定され、瀬戸内海の海賊文化を伝える重要な拠点となっています。
見どころポイント
- 村上水軍に関する貴重な資料と展示
- 甲冑や刀剣などの武具コレクション
- 水軍の船舶模型と航海技術の解説
- 瀬戸内海の島々を一望できる展望
- 日本遺産「村上海賊」の歴史学習
| 築城年 Year of Built |
1983年(昭和58年) |
| 築城主 Founder |
因島観光協会 |
| 指定 Designation |
日本遺産「"日本最大の海賊"の本拠地:芸予諸島」構成文化財 |
| 天守の分類・種類 Castle Tower Classification |
模擬天守(資料館) |
| 住所 Address |
〒722-2211 広島県尾道市因島中庄町3228−2 |
| 地図 Map |
地図(Map) |
| 開城時間 Opening hours |
9:30〜17:00(入館は16:30まで) |
| 入城料 Admission fee |
一般330円、小・中学生160円 |
| 定休日 Holiday |
木曜日(祝日の場合は翌日)、12月29日〜1月3日 |
| アクセス・最寄り駅 Access, Nearest station |
・JR尾道駅より路線バス「因島土生港」行き(約40分)「因島大橋」下車、因島市内バス「大浜」行き(約10分)「水軍城入口」下車、徒歩約10分 ・しまなみ海道 因島北IC・因島南ICより車で約10分 |
| 駐車場 Parking Lot |
約50台 無料(Free) |
広島県の城郭巡りのポイント
効率的な訪問プラン
広島県内の城郭は、それぞれ異なるエリアに位置しているため、訪問には計画が必要です。広島市内に滞在する場合は、まず広島城を訪れ、その後福山城へ移動するルートがおすすめです。吉田郡山城は山城のため、半日程度の時間を確保し、歴史民俗博物館で事前学習をしてから登城するとより理解が深まります。
撮影スポットとしての魅力
広島県の城郭は、どこも写真撮影に最適なスポットです。特に福山城は駅から近く、漆黒の天守が印象的で、広島城は桜の季節の撮影スポットとして人気があります。因島水軍城は瀬戸内海の島々を背景にした撮影が楽しめます。
周辺観光との組み合わせ
広島城は平和記念公園から徒歩圏内にあり、平和学習と合わせた訪問が可能です。福山城周辺には福山美術館や鞆の浦があり、文化・歴史探訪が楽しめます。因島水軍城はしまなみ海道のサイクリングルート上にあり、瀬戸内海の島巡りと組み合わせることができます。
季節ごとの楽しみ方
- 春(3月下旬~4月上旬):広島城と福山城の桜が見頃を迎え、花見客で賑わいます
- 夏(7月~8月):吉田郡山城の登山は暑さ対策が必要。早朝の登城がおすすめ
- 秋(10月~11月):紅葉シーズン。城郭周辺の紅葉が美しく、写真撮影に最適
- 冬(12月~2月):澄んだ空気の中、城郭の凛とした姿が楽しめます

