群馬県の城・城跡・城址まとめ・一覧 / Japanese Castles in Gunma – Japan’s Top 100 Castles ~日本100名城と天守のある城(現存天守、復元天守、復興天守、模擬天守)、天守の分類・種類・指定文化財などの観点でみる歴史的建造物、梅・桜・紅葉も楽しめる名所・スポット~
群馬県の城郭文化と歴史的背景
群馬県は関東地方の内陸部に位置し、古くから東国の要衝として重要な役割を果たしてきました。戦国時代には上杉氏、武田氏、北条氏などの勢力が入り乱れ、数多くの城が築かれました。特に群馬県の城は、山城としての特徴を持つものが多く、急峻な地形を巧みに利用した縄張りが見られます。
日本100名城に選定されている箕輪城と新田金山城をはじめ、群馬県には戦国時代の息吹を今に伝える貴重な城跡が数多く残されています。これらの城は、単なる軍事施設としてだけでなく、当時の政治・経済・文化の中心地として機能していました。
現代では、これらの城跡は歴史を学ぶ場としてだけでなく、四季折々の自然を楽しめる観光スポットとしても人気を集めています。春には桜、秋には紅葉が城跡を彩り、歴史散策と自然観賞の両方を楽しむことができます。
群馬県の主要な城跡ガイド
ここでは、群馬県を代表する城跡について、その歴史的背景、見どころ、アクセス情報などを詳しくご紹介します。各城には独自の魅力があり、訪れる価値のあるスポットばかりです。
箕輪城 / Minowa Jou[Minowa Castle]
箕輪城は、戦国時代に関東地方で大きな影響力を持った長野氏の本拠地として知られる山城です。1512年に長野業尚によって築かれ、その後約60年にわたり長野氏の居城として機能しました。特に長野業政の時代には、武田信玄の侵攻を何度も退けた堅固な城として名を馳せました。
城の構造は、榛名山の東南麓の丘陵地帯を巧みに利用したもので、複雑な堀切や土塁、曲輪の配置が特徴的です。現在でも当時の遺構がよく残されており、特に大規模な空堀や土塁は圧巻です。2006年には日本100名城に選定され、国の史跡にも指定されています。
春には桜が咲き誇り、城跡全体が淡いピンク色に染まります。また、秋には紅葉が美しく、歴史散策と自然観賞を同時に楽しめる絶好のスポットとなっています。城跡からは高崎市街や上毛三山を望むことができ、眺望も素晴らしいです。
見学の際は、箕輪城跡ガイダンス施設にまず立ち寄ることをおすすめします。ここでは城の歴史や構造について詳しく学ぶことができ、より深く城跡を理解することができます。
| 築城年 Year of Built |
1512年 |
| 築城主 Founder |
長野業尚 |
| 指定 Designation |
日本100名城(Japan's Top 100 Castles)、国の史跡(National Historic Site) |
| 天守の分類・種類 Castle Tower Classification |
天守なし(山城) |
| 住所 Address |
群馬県高崎市箕郷町東明屋 |
| 地図 Map |
地図(Map) |
| 開城時間 Opening hours |
24時間(ガイダンス施設は9:00~16:00) |
| 入城料 Admission fee |
無料(Free) |
| 定休日 Holiday |
無休(Open all year round)(ガイダンス施設は月曜休館) |
| アクセス・最寄り駅 Access, Nearest station |
JR高崎駅より群馬バス箕郷行き(約30分)「箕郷本町」下車(徒歩約20分)、または群馬バス伊香保温泉行き(約30分)「城山入口」下車(徒歩約5分) |
| 駐車場 Parking Lot |
史跡箕輪城跡駐車場:78台 無料(Free) |
新田金山城 / Nitta Kanayama Jou[Nitta Kanayama Castle]
新田金山城は、標高235.8メートルの金山の山頂に築かれた典型的な山城で、関東地方でも有数の規模と保存状態を誇ります。1469年に岩松家純によって築城され、その後新田氏の居城として約100年にわたり使用されました。
この城の最大の特徴は、石垣を多用した堅固な防御施設です。特に「日ノ池」と「月ノ池」と呼ばれる2つの貯水池は、戦国時代の山城では極めて珍しい遺構として注目されています。これらの池は、籠城時の水源確保という実用面だけでなく、宗教的な意味合いも持っていたと考えられています。
城跡の整備も進んでおり、大手虎口(城の正面入口)の石垣は見事に復元されています。この復元工事は、発掘調査に基づいて当時の姿を忠実に再現したもので、戦国時代の山城の構造を理解する上で貴重な資料となっています。
山頂からの眺望も素晴らしく、天気の良い日には関東平野を一望でき、遠く富士山や日光連山まで見渡すことができます。春は桜、秋は紅葉の名所としても知られ、多くのハイキング愛好家にも人気のスポットです。
登城には約30分程度かかりますが、整備された登山道があり、初心者でも安全に登ることができます。途中には休憩所も設置されており、ゆっくりと歴史を感じながら登城を楽しむことができます。
| 築城年 Year of Built |
1469年 |
| 築城主 Founder |
岩松家純 |
| 指定 Designation |
日本100名城(Japan's Top 100 Castles)、国の史跡(National Historic Site) |
| 天守の分類・種類 Castle Tower Classification |
天守なし(山城) |
| 住所 Address |
群馬県太田市金山町 |
| 地図 Map |
地図(Map) |
| 開城時間 Opening hours |
24時間(金山城跡ガイダンス施設は9:00~17:00) |
| 入城料 Admission fee |
無料(Free) |
| 定休日 Holiday |
無休(Open all year round)(ガイダンス施設は月曜・年末年始休館) |
| アクセス・最寄り駅 Access, Nearest station |
東武伊勢崎線太田駅より自動車(約15分)、または太田駅南口より徒歩約40分(ハイキングコース) |
| 駐車場 Parking Lot |
金山城跡駐車場(無料)、西城駐車場(無料)など複数あり |
一郷山城 / Ichigouyama Jou[Ichigouyama Castle]
一郷山城は、関東管領上杉氏の重臣であった上杉憲実によって1438年頃に築かれたとされる城です。高崎市吉井町の丘陵地帯に位置し、現在は模擬天守が建てられていることで知られています。
この城の歴史的背景は、室町時代後期の関東地方の複雑な政治情勢と深く関わっています。当時、関東では鎌倉公方と関東管領上杉氏との対立が激化しており、一郷山城はその最前線に位置する重要な拠点でした。
現在建っている模擬天守は、歴史的な考証に基づいたものではありませんが、周辺地域のランドマークとして親しまれています。天守内部は展望台となっており、上毛三山や関東平野の眺望を楽しむことができます。
城跡周辺は公園として整備されており、地元の方々の憩いの場となっています。春には桜が咲き誇り、花見スポットとしても人気です。また、秋には紅葉が美しく、四季を通じて自然を楽しむことができます。
城の規模は比較的小さいですが、のどかな田園風景の中にたたずむ姿は趣があり、静かに歴史を感じるには最適な場所です。近くには道の駅や温泉施設もあり、観光ルートに組み込みやすいスポットとなっています。
| 築城年 Year of Built |
1438年頃 |
| 築城主 Founder |
上杉憲実 |
| 指定 Designation |
市指定史跡 |
| 天守の分類・種類 Castle Tower Classification |
模擬天守(展望台として機能) |
| 住所 Address |
群馬県高崎市吉井町多比良 |
| 地図 Map |
地図(Map) |
| 開城時間 Opening hours |
24時間(模擬天守は9:00~17:00) |
| 入城料 Admission fee |
無料(Free) |
| 定休日 Holiday |
無休(Open all year round)(模擬天守は月曜休館、祝日の場合は翌日) |
| アクセス・最寄り駅 Access, Nearest station |
上信電鉄上信線吉井駅より自動車(約10分)、または徒歩約50分 |
| 駐車場 Parking Lot |
一郷山城址公園駐車場:約20台 無料(Free) |
群馬県の城跡を訪れる際のポイント
群馬県の城跡を訪れる際には、いくつかのポイントを押さえておくとより充実した見学ができます。
訪問時期の選び方
群馬県の城跡は四季折々の美しさがありますが、特におすすめの時期があります。春(3月下旬~4月上旬)は桜の名所として多くの城跡が賑わいます。秋(10月下旬~11月中旬)は紅葉が美しく、歴史散策と自然観賞の両方を楽しめます。夏は緑が濃く、冬は雪景色が幻想的ですが、山城の場合は足元に注意が必要です。
服装と持ち物
特に山城を訪れる場合は、動きやすい服装と歩きやすい靴が必須です。箕輪城や新田金山城などは起伏があるため、トレッキングシューズやスニーカーが推奨されます。また、夏場は虫除けスプレー、日焼け止め、帽子、飲み物を持参しましょう。冬場は防寒対策をしっかりと行ってください。
ガイダンス施設の活用
箕輪城や新田金山城には、城の歴史や構造を学べるガイダンス施設が設置されています。まずこれらの施設を訪れて基礎知識を得てから城跡を見学すると、遺構の意味や価値をより深く理解することができます。スタッフの方に質問すれば、詳しい説明を聞くこともできます。
写真撮影のおすすめスポット
各城跡には絶景ポイントがあります。箕輪城では大堀切と土塁、新田金山城では日ノ池・月ノ池と復元された石垣、一郷山城では模擬天守からの眺望が特に人気の撮影スポットです。早朝や夕方の光が斜めに差し込む時間帯は、遺構がより立体的に見え、印象的な写真が撮れます。
周辺の観光スポット
城跡巡りとあわせて、群馬県の他の観光スポットも訪れてみましょう。高崎市内には達磨寺や少林山達磨寺があり、太田市には世界遺産の富岡製糸場や、新田氏ゆかりの神社仏閣が点在しています。また、群馬県は温泉も豊富で、城跡見学の後に温泉で疲れを癒すのもおすすめです。
群馬県の城跡が持つ歴史的価値
群馬県の城跡は、日本の城郭史を理解する上で非常に重要な位置を占めています。特に戦国時代の山城の構造や築城技術を知る上で貴重な資料となっており、考古学的・歴史学的研究の対象として今も調査が続けられています。
箕輪城は、武田信玄という戦国最強の武将を何度も退けた堅固な城として知られ、その防御システムは当時の築城技術の粋を集めたものでした。新田金山城の石垣技術は、関東地方における石垣築城の先駆的な例として重要視されています。
これらの城跡は、単なる観光スポットとしてだけでなく、戦国時代の生きた教材として、歴史教育の場としても活用されています。地元の小中学校では、郷土学習の一環として城跡を訪れる機会が設けられており、地域の歴史を学ぶ重要な場所となっています。
また、城跡の保存・整備活動には多くの地域住民やボランティアが関わっており、地域コミュニティの核としての役割も果たしています。定期的に開催される清掃活動やイベントは、地域の絆を深める機会となっています。
まとめ
群馬県の城跡は、日本の戦国時代の歴史を今に伝える貴重な文化遺産です。箕輪城や新田金山城のような日本100名城から、一郷山城のような地域に密着した城まで、それぞれに異なる魅力と歴史的価値があります。
これらの城跡を訪れることで、教科書では学べない戦国時代のリアルな姿に触れることができます。急峻な山を登り、当時の人々が築いた石垣や堀切を目の当たりにすると、その労苦と技術力に驚かされます。また、城跡から見渡す景色は、戦国武将たちが見た景色と同じかもしれないと思うと、不思議な感慨が湧いてきます。
四季折々の自然と歴史が融合した群馬県の城跡は、歴史ファンだけでなく、自然を愛する人、写真撮影を楽しむ人、家族連れなど、幅広い層に楽しんでいただける観光スポットです。ぜひ一度、群馬県の城跡を訪れて、戦国時代の息吹を感じてみてください。

