鳥取県の世界遺産 一覧・まとめ / UNESCO World Heritage Sites in Tottori ~文化遺産(負の世界遺産、文化的景観、産業遺産、近代化遺産、稼働遺産)、自然遺産、複合遺産、危機遺産~

3月 31, 2026Japan,Tottori,Travel,UNESCO World Heritage Sites

親記事:日本全国・都道府県の世界遺産 一覧・まとめ / UNESCO World Heritage Sites in Japan ~文化遺産(負の世界遺産、文化的景観、産業遺産、近代化遺産、稼働遺産)、自然遺産、複合遺産、危機遺産~

鳥取県の世界遺産 一覧・まとめ / UNESCO World Heritage Sites in Tottori ~文化遺産(負の世界遺産、文化的景観、産業遺産、近代化遺産、稼働遺産)、自然遺産、複合遺産、危機遺産~

鳥取県は日本海に面した山陰地方東部に位置し、日本で最も人口が少ない県として知られています。鳥取砂丘、大山(だいせん)、三徳山三佛寺投入堂など、国内外から高い評価を受ける自然景観や歴史的建造物を数多く擁していますが、現時点で鳥取県内にはユネスコ世界遺産(UNESCO World Heritage Site)に登録された物件はありません。

しかし、鳥取県には世界遺産に匹敵する貴重な文化的・自然的資産が数多く存在しており、ユネスコに関連する国際的な認定も受けています。本記事では、鳥取県の世界遺産登録状況とともに、県内の文化的・自然的価値について詳しく解説します。

ユネスコ世界ジオパーク:山陰海岸ジオパーク

鳥取県東部の海岸線を含む「山陰海岸ジオパーク」は、2010年にユネスコ世界ジオパークネットワーク(現・ユネスコ世界ジオパーク)に認定されました。京都府(京丹後市)、兵庫県(豊岡市・香美町・新温泉町)、鳥取県(岩美町・鳥取市)にまたがる東西約120kmの日本海沿岸地域で、約2,500万年前の日本海形成に伴う多様な地質遺産や地形が観察できます。

鳥取県内の主な見どころとしては、日本最大級の海岸砂丘「鳥取砂丘」や、浦富海岸(うらどめかいがん)の洞門・洞窟・奇岩群などがあり、地球の歴史と日本列島の成り立ちを体感できる貴重なエリアです。ユネスコ世界ジオパークは世界遺産とは異なる制度ですが、地質学的に国際的な価値が認められた証であり、鳥取県の自然遺産としての重要性を裏付けています。

国宝・重要文化財と歴史的資産

鳥取県にはユネスコ世界遺産には登録されていないものの、日本国内で極めて高い文化的・自然的評価を受けている資産が数多くあります。

三徳山三佛寺投入堂(みとくさんさんぶつじなげいれどう)

三朝町にある三徳山三佛寺の奥院「投入堂」は、国宝に指定されている平安時代後期の建造物です。標高約520mの断崖絶壁の岩窟にはめ込まれるように建てられた懸造(かけづくり)の堂は、日本建築史上きわめて特異な存在であり、「日本一危険な国宝」とも称されています。修験道の行場として開かれた三徳山は、2015年に「三徳山・三朝温泉」として日本遺産にも認定されました。建築技術、宗教的背景、自然環境との調和のいずれにおいても、世界遺産の登録基準(1)(2)(3)(6)に関連する価値を有する資産といえます。

大山(だいせん)

標高1,729mの中国地方最高峰で、「伯耆富士(ほうきふじ)」の別名を持つ美しい成層火山です。大山隠岐国立公園の一部として保護されており、国の名勝にも指定されています。大山寺を中心とした山岳信仰の歴史は1,300年以上に及び、中世には僧兵3,000人を擁する一大勢力として栄えました。西側から望む端正な山容は富士山に例えられ、北壁の荒々しい岩肌とのコントラストが独特の景観を生み出しています。ブナの原生林が広がる山麓は生物多様性に富み、世界遺産の登録基準(7)(9)に関連する自然的価値も備えています。

鳥取砂丘

鳥取市に位置する鳥取砂丘は、南北2.4km、東西16kmに広がる日本最大級の海岸砂丘で、国の天然記念物および山陰海岸国立公園の特別保護地区に指定されています。風紋(ふうもん)・砂柱(さちゅう)・砂簾(されん)などの風と砂が織りなす地形は、地学的にも美的にも高い価値を有します。約10万年以上かけて中国山地の花崗岩が風化・運搬されて形成されたこの砂丘は、日本海の季節風がつくり出すダイナミックな風紋で知られ、世界遺産の登録基準(7)(8)に関連する景観的・地質学的価値を持っています。

鳥取県が関わるその他の文化遺産

鳥取県にはこのほかにも、因幡の白兎伝説ゆかりの白兎神社・白兎海岸、戦国時代の山城跡である鳥取城跡(国の史跡)、江戸時代の城下町の面影を残す倉吉白壁土蔵群(国の重要伝統的建造物群保存地区)、たたら製鉄の歴史を伝える日野郡の遺跡群など、歴史的・文化的に価値の高い資産が点在しています。

近隣県の世界遺産へのアクセス

鳥取県を拠点として訪問可能な近隣の世界遺産として、以下の登録物件があります。鳥取県の豊かな自然・文化資産と組み合わせることで、より充実した旅行計画が可能です。

  • 石見銀山遺跡とその文化的景観(島根県大田市) – 2007年に文化遺産として登録(登録基準(2)(3)(5))。鳥取県西部からアクセスが可能です。16世紀から20世紀にかけて採掘された銀山で、環境に配慮した「自然との共生」による鉱山運営が世界的に評価されました。
  • 姫路城(兵庫県姫路市) – 1993年に文化遺産として登録(登録基準(1)(4))。鳥取県東部から特急列車で約1時間半でアクセスが可能です。日本の城郭建築の最高傑作とされ、白漆喰の優美な外観から「白鷺城(しらさぎじょう)」の愛称で親しまれています。

世界遺産の登録基準

世界遺産とはユネスコ総会で採択された世界遺産条約「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」に基づいて登録された遺跡、景観、自然などの人類が共有すべき「顕著な普遍的価値」を持ち、移動が不可能な物件を指します。世界遺産の登録の本来の目的は、自然や文化的に価値のあるものを保護・保全し、過去から未来へと伝えていくことです。

一方で、世界遺産に登録されることで知名度が向上し、観光名所としてのブランド力を持つことも近年では期待されています。世界遺産が登録される基準は以下の通りです。

  • (1) 人類の創造的才能を表現する傑作。
  • (2) ある期間を通じてまたはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。
  • (3) 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠。
  • (4) 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例。
  • (5) ある文化(または複数の文化)を代表する伝統的集落、あるいは陸上ないし海上利用の際立った例。もしくは特に不可逆的な変化の中で存続が危ぶまれている人と環境の関わりあいの際立った例。
  • (6) 顕著で普遍的な意義を有する出来事、現存する伝統、思想、信仰または芸術的、文学的作品と直接にまたは明白に関連するもの(この基準は他の基準と組み合わせて用いるのが望ましいと世界遺産委員会は考えている)。
  • (7) ひときわすぐれた自然美及び美的な重要性をもつ最高の自然現象または地域を含むもの。
  • (8) 地球の歴史上の主要な段階を示す顕著な見本であるもの。これには生物の記録、地形の発達における重要な地学的進行過程、重要な地形的特性、自然地理的特性などが含まれる。
  • (9) 陸上、淡水、沿岸および海洋生態系と動植物群集の進化と発達において進行しつつある重要な生態学的、生物学的プロセスを示す顕著な見本であるもの。
  • (10) 生物多様性の本来的保全にとって、もっとも重要かつ意義深い自然生息地を含んでいるもの。これには科学上または保全上の観点から、すぐれて普遍的価値を持つ絶滅の恐れのある種の生息地などが含まれる。

(1)~(6)を満たすものが文化遺産、(7)~(10)を満たすものが自然遺産、文化遺産と自然遺産の条件をそれぞれ1つ以上を満たすものが複合遺産としての登録基準となります。

まとめ

鳥取県には現時点でユネスコ世界遺産に登録された物件はありませんが、ユネスコ世界ジオパークに認定された山陰海岸ジオパーク、国宝の三徳山三佛寺投入堂、中国地方最高峰の大山、日本最大級の鳥取砂丘など、世界に誇れる自然と文化の宝庫です。これらの資産は世界遺産の登録基準に照らしても高い価値を有しており、今後の登録推薦の可能性も期待されています。鳥取県を訪れる際には、これらの文化的・自然的資産をぜひ体験してみてください。


観光に便利な宿泊施設:鳥取県のホテル一覧