岐阜県の世界遺産 一覧・まとめ / UNESCO World Heritage Sites in Gifu ~文化遺産(負の世界遺産、文化的景観、産業遺産、近代化遺産、稼働遺産)、自然遺産、複合遺産、危機遺産~

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親記事:日本全国・都道府県の世界遺産 一覧・まとめ / UNESCO World Heritage Sites in Japan ~文化遺産(負の世界遺産、文化的景観、産業遺産、近代化遺産、稼働遺産)、自然遺産、複合遺産、危機遺産~

岐阜県と世界遺産について

岐阜県は日本のほぼ中央に位置し、北部の飛騨地方には標高3,000m級の北アルプスの山々が連なり、南部の美濃地方には木曽三川(木曽川・長良川・揖斐川)が流れる、山と水に恵まれた県です。この豊かな自然環境のなかで、人々は古くから独自の文化と暮らしを築いてきました。

岐阜県には、1995年にユネスコ世界文化遺産に登録された「白川郷・五箇山の合掌造り集落」があります。急勾配の茅葺き屋根が特徴的な合掌造りの家屋群は、日本の山間部における伝統的な生活様式を今に伝える貴重な文化遺産であり、国内外から多くの訪問者が訪れています。

世界遺産とは

世界遺産とは、1972年のユネスコ総会で採択された世界遺産条約(正式名称:「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」)に基づいて、世界遺産リストに登録された遺跡・景観・自然などを指します。登録される物件は、人類が共有すべき「顕著な普遍的価値(Outstanding Universal Value)」を持つ不動産であることが求められます。

世界遺産登録の本来の目的は、自然や文化的に価値のあるものを保護・保全し、過去から未来へと確実に継承していくことにあります。一方で、世界遺産への登録は国際的な知名度の向上にもつながるため、観光地としてのブランド力強化という側面も注目されています。

このページでは、そうした保護・保全の意義と観光資源としての魅力を兼ね備えた岐阜県の世界遺産を、登録基準や歴史的背景、見どころ、アクセス情報などとともに詳しく紹介します。

世界遺産の登録基準

世界遺産に登録されるためには、以下の10項目の登録基準のうち1つ以上を満たす必要があります。

  • (1) 人類の創造的才能を表現する傑作。
  • (2) ある期間を通じてまたはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。
  • (3) 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠。
  • (4) 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例。
  • (5) ある文化(または複数の文化)を代表する伝統的集落、あるいは陸上ないし海上利用の際立った例。もしくは特に不可逆的な変化の中で存続が危ぶまれている人と環境の関わりあいの際立った例。
  • (6) 顕著で普遍的な意義を有する出来事、現存する伝統、思想、信仰または芸術的、文学的作品と直接にまたは明白に関連するもの(この基準は他の基準と組み合わせて用いるのが望ましいと世界遺産委員会は考えている)。
  • (7) ひときわすぐれた自然美及び美的な重要性をもつ最高の自然現象または地域を含むもの。
  • (8) 地球の歴史上の主要な段階を示す顕著な見本であるもの。これには生物の記録、地形の発達における重要な地学的進行過程、重要な地形的特性、自然地理的特性などが含まれる。
  • (9) 陸上、淡水、沿岸および海洋生態系と動植物群集の進化と発達において進行しつつある重要な生態学的、生物学的プロセスを示す顕著な見本であるもの。
  • (10) 生物多様性の本来的保全にとって、もっとも重要かつ意義深い自然生息地を含んでいるもの。これには科学上または保全上の観点から、すぐれて普遍的価値を持つ絶滅の恐れのある種の生息地などが含まれる。

上記の基準のうち、(1)~(6)を満たすものが文化遺産、(7)~(10)を満たすものが自然遺産、文化遺産と自然遺産の条件をそれぞれ1つ以上満たすものが複合遺産として分類されます。以下で紹介する世界遺産の「登録基準」の番号は、上記の世界遺産登録基準の番号に対応しています。

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白川郷・五箇山の合掌造り集落 / Shirakawa Gou Goka Yama No Gasshou Zukuri Shuhraku[Historic Villages of Shirakawa-go and Gokayama]

白川郷・五箇山の合掌造り集落は、岐阜県白川村(白川郷)と富山県南砺市(五箇山)にまたがる世界文化遺産です。1995年12月にユネスコ世界遺産委員会によって登録されました。「合掌造り」とは、急勾配の茅葺き屋根を両手を合わせた形(合掌)に組み上げた日本独自の建築様式で、豪雪地帯の厳しい気候に適応するために発展しました。

この地域は、庄川流域の山間部に位置し、かつては「陸の孤島」とも呼ばれるほど外部との交通が困難でした。そのため、江戸時代から続く合掌造りの家屋や集落の景観が近代化の波に飲まれることなく保存され、日本の山村における伝統的な生活文化を現在に伝えています。

合掌造りの建築的特徴

合掌造りの最大の特徴は、60度前後の急勾配を持つ大きな茅葺き屋根です。この急な傾斜により、冬季に大量に降り積もる雪が自然に滑り落ち、屋根への荷重を軽減します。屋根裏は2~4層に分かれており、かつては養蚕(蚕の飼育)の作業場として活用されていました。養蚕業は白川郷・五箇山の重要な産業であり、屋根裏の広い空間と茅葺き屋根の通気性は蚕の飼育に適していました。

建築構造においては、釘を一切使わず、縄やネソ(マンサクの若木)で柱や梁を結び合わせる伝統的な技法が用いられています。この柔軟な接合方法により、地震や強風に対する耐久性が確保されています。茅葺き屋根の葺き替えは約30~40年に一度行われ、「結(ゆい)」と呼ばれる住民同士の相互扶助の仕組みによって、集落全体で協力して作業が行われます。

世界遺産としての評価

白川郷・五箇山の合掌造り集落は、世界遺産登録基準のうち以下の2つの基準を満たすものとして評価されました。

  • 基準(4):合掌造りの家屋群は、日本の山間部における独自の建築技術と集落構成の優れた例であり、人類の歴史上重要な建築様式を示しています。
  • 基準(5):合掌造り集落は、豪雪という厳しい自然環境に適応しながら、養蚕業などの生業と密接に結びついた伝統的な山村生活を代表する集落であり、近代化に伴い存続が危ぶまれる人と環境の関わりの顕著な例です。
登録区分
Type
文化遺産
登録年
Designated
1995年
登録基準
Criteria
(4)、(5)

荻町集落 / Ogimachi Shuhraku[Ogimachi Village]

荻町集落は白川郷を代表する集落で、白川村の庄川沿いに位置しています。現在も約60棟の合掌造り家屋が残り、そのうちの多くは実際に住民が生活を営む「生きた集落」です。集落内には、国の重要文化財に指定された「和田家住宅」をはじめ、内部を見学できる施設が複数あり、合掌造りの構造や当時の暮らしぶりを間近に体験することができます。

荻町城跡の展望台からは集落全体を一望でき、田園と合掌造り家屋が調和した景観を楽しめます。冬季(1月~2月頃)にはライトアップイベントが開催され、雪に覆われた合掌造り家屋が幻想的に照らし出される光景は、白川郷を象徴する風景として広く知られています。

春は桜と残雪のコントラスト、夏は青々とした水田に映る合掌造り、秋は紅葉に彩られた集落と、四季折々に異なる表情を見せることも白川郷の大きな魅力です。

住所
Address
岐阜県大野郡白川村
地図
Map
地図(Map)
アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
JR高山駅よりバス(約50分)「白川郷」下車(徒歩約5分)
URL
URL
https://shirakawa-go.org/kankou/area01/

白川郷を訪れる際の注意点

白川郷は世界遺産であると同時に、住民が日常生活を送る集落です。見学の際は、住居の敷地内に無断で立ち入らない、撮影マナーを守るなど、住民の生活への配慮が求められます。また、冬季は積雪量が多く道路状況が変化しやすいため、事前に交通情報を確認することをおすすめします。マイカーで訪れる場合は、集落外の指定駐車場(せせらぎ公園駐車場など)を利用し、徒歩で集落内を散策する形になります。