日本三大山城まとめ・一覧 / The Three Great Mountain Castles of Japan 〜住所、地図、開場時間、入場料(無料・有料)、定休日、アクセス・最寄り駅、駐車場、URL〜

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日本には自然・建造物・文化などのカテゴリから優れたものを三つ選び出す「日本三大◯◯」「日本三名◯◯」という文化的慣習があります(ランキングの上位三つという意味ではありません)。

その背景には、日本古来の陰陽道において奇数が縁起の良い数とされてきた伝統や、心理学的に「三択」が人間にとって最もバランスよく判断しやすい数であることが挙げられます。「三」という数字は、古今東西を問わず、物事の完結や安定を象徴する特別な意味を持ちます。

本記事では、日本三大山城について、住所・地図・開城時間・入場料・アクセス・駐車場情報から各城の歴史的背景・見どころまで網羅的に解説します。山城とは山の頂上や尾根に築かれた城のことで、戦国時代には天然の地形を活かした難攻不落の要塞として機能しました。

日本三大山城とは?選定基準と山城の定義

日本三大山城とは、岩村城(岐阜県恵那市)高取城(奈良県高市郡高取町)備中松山城(岡山県高梁市)の三城を指す呼称で、いずれも標高400m以上に築かれた山城として特に著名な城です。

「山城」とは、山の峰・尾根・斜面など自然の高低差を活かして築かれた城郭のことです。平山城(丘や台地に建てる)や平城(平地に建てる)と対比して語られることが多く、山城の最大の利点は地形そのものが防衛線となること。敵は急勾配の山道を登らねばならず、守り手は石垣や堀切(尾根を断ち切る堀)で侵入を阻みます。

戦国時代(15〜16世紀)、各地の武将は山城を競って築きました。しかし江戸時代の一国一城令(1615年)以降、多くの山城は廃城となり、天守が残るものはほぼ存在しません。そのため、現存天守を持つ備中松山城は歴史的・建築的に極めて貴重な存在とされています。

日本三大山城 比較一覧表

項目 岩村城(岐阜県) 高取城(奈良県) 備中松山城(岡山県)
標高 717m(日本一) 583m 430m
築城年 1221年(承久3年) 1332年(元弘2年) 1240年(仁治元年)
現存天守 なし(石垣のみ) なし(石垣のみ) あり(重要文化財)
入城料 無料 無料 大人500円
日本100名城 選定(第29番) 選定(第52番) 選定(第66番)
特徴・別称 霧ヶ城・女城主の城 日本最強の山城 天空の城・雲海の城
登城所要時間 約30分 約70分 約15〜20分(ふいご峠から)

日本三大山城まとめ・一覧 / The Three Great Mountain Castles of Japan 〜住所、地図、開場時間、入場料(無料・有料)、定休日、アクセス・最寄り駅、駐車場、URL〜

岩村城 / Iwamura Jou[Iwamura Castle]

標高717m、日本の城郭で最も高い場所に建つ「霧ヶ城」——女城主伝説と六段壁の石垣が語る800年の歴史

岩村城は、岐阜県恵那市に位置する日本三大山城の一つで、標高717mは現存する日本の城郭跡の中で最も高い場所に位置します。別名「霧ヶ城(きりがじょう)」と呼ばれ、その名の通り早朝に谷から霧が立ち込め、石垣が霞の中に浮かび上がる幻想的な景色が見られます。

鎌倉時代の1221年(承久3年)、地頭・遠山景朝によって築城されたとされています。以来、400年以上にわたって東美濃の要衝として機能しました。戦国時代には、織田信長の叔母「おつやの方」が女城主として城を守り、武田信玄の家臣・秋山虎繁(信友)に降嫁した後も城主として辣腕をふるった歴史でも知られています。後に「天下の」と称えられた彼女の生涯は、地域の誇りとして今も語り継がれています。

現在残る六段壁と呼ばれる雛壇状の石垣群は、城の最大の見どころの一つ。本丸を囲む六段の石垣が積み重なる様子は圧倒的な存在感を持ち、全国の城マニアが訪れる名スポットとなっています。城跡全体は国の史跡に指定され、日本100名城(第29番)にも選定されています。

登城口から頂上の本丸跡まで約30分の山道を歩きます。途中の石畳や苔むした石垣が歴史の重みを演出し、頂上からは恵那市街と山並みを一望する絶景が広がります。城下町には江戸時代から続く古い町並みが保存されており、岩村醸造の女城主銘の日本酒、五平餅、栗きんとんなど岐阜の郷土グルメも楽しめます。

築城年
Year of Built
1221年(承久3年)
築城主
Founder
遠山景朝
指定
Designation
日本100名城・第29番(Japan's Top 100 Castles No.29)、国の史跡(National Historic Site)、岐阜県指定史跡(Gifu Historic Site)、三大山城(The Three Great Mountain Castles)
天守の分類・種類
Castle Tower Classification
跡地のみ(天守は現存せず)
標高
Altitude
717m(日本の城郭で最も高い場所に位置)
住所
Address
岐阜県恵那市岩村町城山
地図
Map
地図(Map)
開城時間
Opening hours
24時間(岩村歴史資料館は9:00~17:00)
入城料
Admission fee
無料(Free)※岩村歴史資料館は有料
定休日
Holiday
無休(Open all year round)
アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
明知鉄道岩村駅下車(徒歩約30分)、または岩村歴史資料館から徒歩約20分
駐車場
Parking Lot
城跡付近:約20台、岩村歴史資料館:約30台 無料(Free)
見どころ
Highlights
六段壁の石垣、本丸跡からの恵那市街の眺望、霧に包まれた幻想的な景色(早朝)、城下町の古い町並み、女城主ゆかりの史跡
周辺スポット
Nearby Attractions
岩村歴史資料館、岩村城下町(重要伝統的建造物群保存地区)、岩村醸造(女城主銘の地酒)

高取城 / Takatori Jou[Takatori Castle]

標高583m、「日本最強の山城」と称される難攻不落の要塞——総延長3kmの石垣は日本随一の迫力

高取城は、奈良県高市郡高取町に位置する標高583mの山城で、その規模の壮大さと堅固な防御体制から「日本最強の山城」「三大山城の中で最も大きな城」とも評されます。城域の広さは甲子園球場の約20倍にも相当し、城郭全体を取り囲む石垣の総延長は約3kmにも及びます。

南北朝時代の1332年(元弘2年)、越智邦澄によって築城されたと伝えられています。室町時代には越智氏の本拠として大和の政治に関与し、安土桃山時代を経て江戸時代には大和高取藩・植村氏の居城として栄えました。1875年(明治8年)の廃城令後に建物は取り壊されましたが、石垣の遺構は今も圧倒的な状態で残っています。

城跡の見どころは何といっても石垣の迫力。本丸・二の丸・三の丸を囲む高石垣は熟練の石工による高度な技術の結晶で、なかでも本丸の高さ約20mを超える高石垣は全国屈指の規模を誇ります。城好きの間では「石垣の芸術」とも称えられ、石垣好きなら一度は訪れたい城として知られています。

城下町の土佐街道沿いには江戸時代の商家・武家屋敷の面影を残す町並みが保存されており、毎年3月には「町家の雛めぐり」が催されます。近隣の壷阪寺(南法華寺)も奈良の名刹として観光地として人気があります。登城ルートは主に2本あり、いずれも約1時間の山道を歩く体力が必要です。

築城年
Year of Built
1332年(元弘2年)
築城主
Founder
越智邦澄
指定
Designation
日本100名城・第52番(Japan's Top 100 Castles No.52)、国の史跡(National Historic Site)、三大山城(The Three Great Mountain Castles)
天守の分類・種類
Castle Tower Classification
跡地のみ(天守は現存せず)
標高
Altitude
583m
住所
Address
奈良県高市郡高取町大字高取
地図
Map
地図(Map)
開城時間
Opening hours
24時間(高取町観光案内所「夢創舘」は9:00~17:00)
入城料
Admission fee
無料(Free)
定休日
Holiday
無休(Open all year round)
アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
近鉄壺阪山駅よりバス壷阪寺前行(約20分)終点下車、そこから徒歩約1時間10分。または壷阪山駅から高取町観光案内所「夢創舘」まで徒歩約10分、そこから登山道を経て約1時間
駐車場
Parking Lot
八幡口登山道入口付近:約3台、高取町観光案内所「夢創舘」付近:約10台 無料(Free)
見どころ
Highlights
総延長約3kmの壮大な石垣群、本丸の高石垣(高さ約20m超)、三の丸の石垣、城下町土佐街道の古い町並み、町家の雛めぐり(3月)
周辺スポット
Nearby Attractions
壷阪寺(南法華寺)、高取町観光案内所「夢創舘」(スタンプ設置)、土佐街道の町家群

備中松山城 / Bicchu Matsuyama Jou[Bicchu Matsuyama Castle]

標高430m、現存天守を持つ唯一の山城——雲海に浮かぶ「天空の城」と猫城主さんじゅーろー

備中松山城は、岡山県高梁市に位置する標高430mの山城で、現存12天守の一つにして、山城の中では日本唯一の現存天守を誇る貴重な城です。鎌倉時代の1240年(仁治元年)に秋庭三郎重信によって臥牛山(がぎゅうざん)の山頂に築城されたとされ、以来、南北朝・室町・戦国・江戸と各時代の権力者に受け継がれてきました。

現在の天守は江戸時代前期(17世紀後半)に水谷勝宗によって再建されたもので、二層二階・複合式望楼型という構造を持ちます。天守内部には囲炉裏や装束の間、武者隠しなどが残り、当時の生活感を直接体感できます。天守と二重櫓が現存する山城は備中松山城だけで、国の重要文化財・国の史跡に指定されています。

また、城内には公式猫城主「さんじゅーろー」が在住しており(不定期出勤)、SNSで紹介されて以来、城ファン以外からも注目を集めています。公式の「高梁市観光協会」でも情報が発信されており、猫目当ての訪問者も少なくありません。

特に人気が高いのが雲海との絶景です。秋から冬(9月下旬〜4月上旬)の早朝、気温が急激に下がった晴れた日の朝に、城が白い雲海の上に浮かんで見える「天空の城」の景観が現れます。撮影スポットとして最も人気があるのが臥牛山対岸の天守展望台(備中松山城展望台)で、城が雲海に浮かぶ様子を遠くから一望できます。

築城年
Year of Built
1240年(仁治元年)
築城主
Founder
秋庭三郎重信
指定
Designation
日本100名城・第66番(Japan's Top 100 Castles No.66)、国の史跡(National Historic Site)、重要文化財(Important Cultural Property)、三大山城(The Three Great Mountain Castles)、現存12天守
天守の分類・種類
Castle Tower Classification
現存天守(二層二階・複合式望楼型)
標高
Altitude
430m(現存天守を持つ山城としては日本一高い)
住所
Address
岡山県高梁市内山下1
地図
Map
地図(Map)
開城時間
Opening hours
4月〜9月:9:00〜17:30(最終入城17:00)
10月〜3月:9:00〜16:30(最終入城16:00)
入城料
Admission fee
大人500円、小中学生200円
定休日
Holiday
12月29日〜1月3日
アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
JR伯備線備中高梁駅より備北バス(約10分)「松山城登山口」下車、そこから徒歩約20分。または備中高梁駅より乗合タクシー(約10分)「ふいご峠」下車、そこから徒歩約15分。※雲海シーズンは早朝バスも運行
駐車場
Parking Lot
ふいご峠駐車場:14台 無料(Free)、城見橋公園駐車場:110台 無料(Free)
見どころ
Highlights
現存天守(内部見学可)・二重櫓、天然岩盤と一体化した石垣、雲海に浮かぶ天空の城(秋〜冬の早朝)、猫城主「さんじゅーろー」(不定期出勤)
周辺スポット
Nearby Attractions
備中松山城展望台(雲海撮影スポット)、高梁市の武家屋敷・商家群、頼久寺庭園(国指定名勝)

訪城ガイド:装備・ベストシーズン・注意点

登城の準備と装備

三城はいずれも山の中腹〜頂上に位置するため、平地の観光地とは異なる準備が必要です。

  • 履物:トレッキングシューズまたは底の厚い運動靴が必須。革靴・ヒール・サンダルは不向き
  • 水分補給:自動販売機や売店がない区間が長い。500ml以上の飲み物を事前に用意
  • 服装:季節を問わず体温調節できる重ね着。特に稜線に出ると風が強くなる
  • 夏場:熱中症対策として帽子・日焼け止め・塩分補給タブレットを携帯
  • 冬場:積雪・凍結のリスクあり。特に高取城・岩村城では冬季の早朝登城に軽アイゼンを検討
  • その他:虫除けスプレー(春〜秋)、レインウェア(天候変化に備えて)、スマートフォン充電器

ベストシーズンとおすすめ時期

シーズン 時期 特におすすめの城
雲海 9月下旬〜4月上旬・早朝 備中松山城(天空の城)、岩村城(霧ヶ城)
3月下旬〜4月中旬 三城すべて(城跡と桜の共演)
新緑 4月下旬〜5月 三城すべて(緑の中に浮かぶ石垣)
紅葉 10月下旬〜11月中旬 高取城(山全体の紅葉)、備中松山城
雪景色 12月〜2月(積雪時) 三城すべて(雪化粧した石垣は幻想的)
イベント 3月(雛めぐり) 高取城・城下町土佐街道

所要時間の目安

  • 岩村城:登城30分+本丸見学30分+城下町散策60分=合計約2時間
  • 高取城:登城70分+見学40分+下山60分=合計約3時間(体力に余裕のある方向け)
  • 備中松山城:ふいご峠から登城15〜20分+天守内見学30分+下山15分=合計約1〜1.5時間

スタンプラリーについて(日本100名城)

三城はいずれも公益財団法人日本城郭協会が選定した日本100名城に含まれています。スタンプは各城の案内所・資料館で押印可能です(押印時間・場所は変更になる場合があるため、事前に公式サイトで確認を)。

  • 岩村城:岩村歴史資料館(9:00〜17:00)
  • 高取城:高取町観光案内所「夢創舘」(9:00〜17:00)
  • 備中松山城:城内天守(開城時間内)

よくある質問(FAQ)

Q. 日本三大山城はどこですか?
岩村城(岐阜県恵那市・標高717m)、高取城(奈良県高市郡高取町・標高583m)、備中松山城(岡山県高梁市・標高430m)の3城です。
Q. 日本三大山城の中で現存天守があるのはどこですか?
備中松山城のみです。現存12天守の一つで、山城としては日本唯一の現存天守を誇ります。二層二階・複合式望楼型で、国の重要文化財に指定されています。
Q. 日本三大山城の中で最も標高が高い城はどこですか?
岩村城(岐阜県)で、標高717mは日本の城郭跡の中で最高所に位置します。別名「霧ヶ城」とも呼ばれています。
Q. 備中松山城で雲海を見るにはいつ行けばよいですか?
9月下旬〜4月上旬の早朝(日の出前後)が狙い目です。前日との気温差が大きく、晴れていて無風に近い朝に雲海が発生しやすいです。撮影には城の対岸にある展望台(備中松山城展望台)が最適です。
Q. 日本三大山城はすべて無料で入れますか?
岩村城と高取城は無料です。備中松山城は有料(大人500円・小中学生200円)で、12月29日〜1月3日は休城日となります。
Q. 日本三大山城のうち最もアクセスが良い城はどこですか?
備中松山城が最もアクセスしやすく、JR備中高梁駅からバスまたは乗合タクシーでふいご峠まで行けば、そこから徒歩約15〜20分で天守に到着できます。岩村城は名古屋から明知鉄道でアクセスでき、高取城は近鉄壺阪山駅が最寄りです。
Q. 日本三大山城はどの季節に行くのがおすすめですか?
観光なら桜の4月または紅葉の11月がおすすめです。写真撮影が目的なら、雲海シーズンの秋〜冬の早朝(特に備中松山城)が特別な景観を楽しめます。登山道の状態が良く体力的にも楽なのは5〜6月の新緑シーズンです。

日本三大山城——岩村城・高取城・備中松山城——は、それぞれ異なる魅力と歴史を持つ戦国時代の遺産です。日本一の標高を誇る岩村城の幻想的な霧景色、日本最強と称される高取城の壮大な石垣、そして現存天守を持つ唯一の山城・備中松山城の天空の絶景——三城すべてを制覇することで、日本の山城建築の多様な美しさと、先人が地形を活かした知恵を全身で体感することができます。城郭ファン・歴史愛好家はもちろん、登山・自然・写真撮影を楽しむ方にもぜひ訪れていただきたい、日本が誇る最高峰の文化遺産です。