沖縄県の城・城跡・城址まとめ・一覧 / Japanese Castles in Okinawa – Japan’s Top 100 Castles ~日本100名城と天守のある城(現存天守、復元天守、復興天守、模擬天守)、天守の分類・種類・指定文化財などの観点でみる歴史的建造物、梅・桜・紅葉も楽しめる名所・スポット~

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親記事:日本全国・都道府県の城・城跡・城址まとめ・一覧 / Japanese Castles in Japan – Japan's Top 100 Castles ~日本100名城と天守のある城(現存天守、復元天守、復興天守、模擬天守)、天守の分類・種類・指定文化財などの観点でみる歴史的建造物、梅・桜・紅葉も楽しめる名所・スポット~

沖縄の城(グスク)の魅力と歴史的価値

沖縄県には、本土の城とは異なる独特の建築様式を持つ「グスク(城)」が数多く存在します。これらのグスクは、琉球王国時代の歴史と文化を今に伝える貴重な遺産であり、その多くがユネスコ世界遺産「琉球王国のグスク及び関連遺産群」として登録されています。

沖縄のグスクは、日本本土の城郭とは異なり、天守閣を持たず、自然の地形を活かした独特の石垣技術「相方積み(あいかたづみ)」や「布積み(ぬのづみ)」などが特徴です。これらの石垣は、琉球石灰岩を精巧に組み合わせて作られており、数百年の時を経た現在でもその美しい曲線美を保っています。

また、沖縄のグスクは単なる軍事施設ではなく、政治・経済・宗教の中心地としての役割も果たしていました。按司(あじ)と呼ばれる地方豪族の居城として、また琉球王国の統治拠点として、沖縄の歴史において重要な位置を占めています。

沖縄のグスクで楽しめる四季折々の魅力

沖縄のグスクは歴史的価値だけでなく、亜熱帯気候ならではの豊かな自然を楽しめるスポットとしても人気があります。特に1月下旬から2月にかけては、本土よりも一足早く桜(カンヒザクラ)が咲き誇り、石垣とのコントラストが美しい景観を作り出します。

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さらに、グスクからの眺望は絶景で、エメラルドグリーンの海や沖縄独特の赤瓦屋根の街並み、遠くに広がる慶良間諸島など、沖縄ならではのパノラマビューを堪能できます。城壁を吹き抜ける海風を感じながら、琉球王国時代に思いを馳せる時間は、訪れる人々に特別な体験を提供してくれます。

沖縄のグスクが教えてくれる琉球文化

沖縄のグスクは、子どもからお年寄りまで楽しく学べる歴史教育の場としても優れています。日本本土とは異なる独自の発展を遂げた琉球王国の文化、中国や東南アジアとの交易の歴史、そして現代に至るまでの複雑な歴史的背景を、実際の遺構を通じて体感的に学ぶことができます。

特に「日本100名城」に選定された今帰仁城、中城城、首里城は、それぞれ異なる時代背景と特徴を持ち、琉球王国の歴史を立体的に理解するための重要な手がかりとなっています。これらのグスクを訪れることで、教科書では知ることのできない生きた歴史に触れることができます。

沖縄県の城・城跡・城址まとめ・一覧 / Japanese Castles in Okinawa – Japan’s Top 100 Castles ~日本100名城と世界遺産に登録されたグスク、琉球王国の歴史を伝える貴重な文化遺産~

今帰仁城(今帰仁グスク) / Nakijin Gusuku[Nakijin Castle]

今帰仁城の歴史と特徴

今帰仁城は、沖縄本島北部に位置する琉球王国統一以前の三山時代(14世紀)に、北山王の居城として築かれた大規模なグスクです。標高約100メートルの丘陵地に築かれ、その城壁の総延長は約1.5キロメートルにも及びます。

最大の見どころは、自然の地形を巧みに利用した美しい曲線を描く城壁です。特に「平郎門(へいろうもん)」から続く石垣は、沖縄のグスクの中でも最も美しいとされ、その優雅な曲線美は訪れる人々を魅了します。また、1月下旬から2月上旬にかけて開催される「今帰仁グスク桜まつり」では、約2万本のカンヒザクラが咲き誇り、夜間ライトアップも行われます。

1416年に中山王の尚巴志によって攻め落とされるまで、北山地域の政治・経済・文化の中心として重要な役割を果たしました。城内からは中国製の陶磁器なども多数出土しており、当時の国際交易の様子を知ることができます。

築城年
Year of Built
13世紀頃とされている
築城主
Founder
湧川按司とされている
指定
Designation
日本100名城(Japan’s Top 100 Castles)、国の史跡(National Historic Site)、世界遺産(World Heritage Site)
天守の分類・種類
Castle Tower Classification
グスク(琉球王国時代の城郭)のため天守なし
主な見どころ
Highlights
平郎門、主郭、志慶真門郭、大隅、カンヒザクラ(1月下旬~2月上旬)、城壁からの眺望
住所
Address
沖縄県国頭郡今帰仁村今泊5101
地図
Map
地図(Map)
開城時間
Opening hours
8:00~18:00(最終入場17:30)
入城料
Admission fee
大人400円、小中高生300円、小学生未満無料(Free)
定休日
Holiday
無休(Open all year round)
アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
名護バスターミナルより沖縄バス(約45分)「今帰仁城跡入口」下車(徒歩約5分)、那覇空港から車で約90分
駐車場
Parking Lot
約320台 無料(Free)
所要時間
Time Required
約60~90分

中城城(中城グスク) / Nakagusuku Jou[Nakagusuku Castle]

中城城の歴史と特徴

中城城は、沖縄本島中部の標高約160メートルの丘陵地に位置し、6つの郭から成る規模の大きなグスクです。14世紀後半に先中城按司によって築城が始められ、15世紀に名将・護佐丸(ごさまる)によって現在の形に増築されました。

中城城の最大の特徴は、沖縄のグスクの中で最も保存状態が良く、築城技術の発展過程を見ることができる点です。城壁には「野面積み(のづらづみ)」「布積み」「相方積み」という3種類の異なる石積み技術が用いられており、時代による技術の進歩を実際に目で確認できます。

また、城内からは太平洋と東シナ海の両方を望むことができ、その絶景は「琉球一の眺望」とも称されます。特に一の郭からの360度パノラマビューは圧巻で、晴れた日には慶良間諸島まで見渡すことができます。ペリー提督の探検隊も1853年に訪れ、その精巧な石積み技術に驚嘆したという記録が残っています。

築城年
Year of Built
14世紀後半
築城主
Founder
先中城按司(増築:護佐丸)
指定
Designation
日本100名城(Japan’s Top 100 Castles)、国の史跡(National Historic Site)、世界遺産(World Heritage Site)
天守の分類・種類
Castle Tower Classification
グスク(琉球王国時代の城郭)のため天守なし
主な見どころ
Highlights
正門、一の郭、二の郭、三の郭、西の郭、南の郭、北の郭、アーチ門、多様な石積み技術、太平洋と東シナ海の眺望
住所
Address
沖縄県中頭郡北中城村大城503
地図
Map
地図(Map)
開城時間
Opening hours
10月~4月:8:30~17:00(最終入場16:30)、5月~9月:8:30~18:00(最終入場17:30)
入城料
Admission fee
大人400円、中学・高校生300円、小学生200円、小学生未満無料(Free)
定休日
Holiday
無休(Open all year round)
アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
那覇バスターミナルより沖縄バス(約1時間)「安谷屋」下車(徒歩約20分)、那覇空港から車で約50分
駐車場
Parking Lot
約50台 無料(Free)
所要時間
Time Required
約60~90分

首里城(首里グスク) / Shuri Jou[Shuri Castle]

首里城の歴史と特徴

首里城は、琉球王国の政治・外交・文化の中心地として約450年間栄えた、沖縄を代表するグスクです。14世紀末頃に創建され、1429年から1879年の琉球処分まで、琉球国王の居城として使用されました。日本、中国、東南アジアの建築様式が融合した独特の文化遺産として、世界的にも高い評価を受けています。

2019年10月の火災により正殿を含む主要建物が焼失しましたが、現在は「見せる復興」をコンセプトに復元工事が進められており、工事の様子を見学することができます。復興過程を見守ることも、歴史の一部を体験する貴重な機会となっています。

首里城の特徴は、中国の影響を強く受けた鮮やかな朱色の建物と、琉球石灰岩で造られた城壁の組み合わせです。かつての正殿は、龍の装飾や唐破風など、琉球独自の装飾美が随所に施されていました。また、首里城公園として整備された敷地内には、守礼門、歓会門、瑞泉門など、多くの重要な門や建造物が残されており、琉球王国時代の雰囲気を今に伝えています。

守礼門に刻まれた「守禮之邦(しゅれいのくに)」の扁額は、「礼節を重んじる国」という琉球王国の理念を表しており、2000円札のデザインにも採用されています。首里城からは那覇市街を一望でき、かつての琉球国王が見た景色を想像することができます。

築城年
Year of Built
14世紀末頃
築城主
Founder
不明(Unknown)
指定
Designation
日本100名城(Japan’s Top 100 Castles)、国の史跡(National Historic Site)、世界遺産(World Heritage Site)※正殿等は2019年火災により焼失、現在復元工事中
天守の分類・種類
Castle Tower Classification
グスク(琉球王国時代の城郭)のため天守なし
主な見どころ
Highlights
守礼門、歓会門、瑞泉門、漏刻門、広福門、復元工事見学エリア、城壁、東のアザナ(展望台)、那覇市街の眺望
住所
Address
沖縄県那覇市首里金城町1丁目2
地図
Map
地図(Map)
開城時間
Opening hours
<無料(Free)区域>4月~6月:8:00~19:30、7月~9月:8:00~20:30、10月~11月:8:00~19:30、12月~3月:8:00~18:30
<有料区域>4月~6月:8:30~19:00、7月~9月:8:30~20:00、10月~11月:8:30~19:00、12月~3月:8:30~18:00
※復元工事の状況により変更される場合があります
入城料
Admission fee
大人400円、中人(高校生)300円、小人(小・中学生)160円、6歳未満無料(Free)
※復元工事期間中の料金。復元後は変更される可能性があります
定休日
Holiday
7月の第1水曜日とその翌日
アクセス・最寄り駅
Access, Nearest station
沖縄都市モノレール「ゆいレール」首里駅下車(徒歩約15分)、那覇空港から車で約40分
駐車場
Parking Lot
首里杜館地下駐車場:約116台 最初の2時間320円、以降30分毎160円
所要時間
Time Required
約90~120分(復元工事見学を含む)

沖縄のグスク巡りのおすすめポイント

沖縄の3つの世界遺産グスク(今帰仁城、中城城、首里城)は、それぞれ異なる魅力と歴史的背景を持っています。効率よく巡るには、レンタカーの利用がおすすめです。那覇市内の首里城を起点に、中城城、今帰仁城の順に北上するルートが一般的で、沖縄本島の多様な景観を楽しみながら歴史探訪ができます。

各グスクでは、スマートフォンを使った音声ガイドアプリやAR技術を活用した復元映像など、デジタル技術を取り入れた新しい体験も提供されています。これらのツールを活用することで、より深く琉球王国の歴史と文化を理解することができます。

また、グスク周辺には琉球料理を提供するレストランや、やちむん(沖縄の焼き物)などの伝統工芸品を扱うショップも多く、グスク巡りと合わせて沖縄文化を総合的に体験できます。歴史、自然、文化が融合した沖縄のグスクは、訪れる人々に忘れられない思い出を提供してくれることでしょう。