アメリカ・バージニア州の世界遺産 一覧・まとめ / UNESCO World Heritage Sites in Virginia USA ~文化遺産(負の世界遺産、文化的景観、産業遺産、近代化遺産、稼働遺産)、自然遺産、複合遺産、危機遺産~
バージニア州の世界遺産について / About UNESCO World Heritage Sites in Virginia
アメリカ合衆国バージニア州(Commonwealth of Virginia)は、1607年にイギリスによる北米最初の恒久的植民地ジェームズタウンが建設された地であり、アメリカ建国の歴史において極めて重要な役割を果たした州です。「大統領の母」とも呼ばれるバージニア州からは、ジョージ・ワシントン、トーマス・ジェファーソン、ジェームズ・マディソン、ジェームズ・モンローなど、合衆国初期の8人の大統領が輩出されました。
バージニア州には、ユネスコ(UNESCO:国際連合教育科学文化機関)の世界遺産として登録された文化遺産が1件あります。それが「シャーロッツビルのモンティチェロとバージニア大学」です。この世界遺産は、アメリカ独立宣言の起草者であり第3代大統領を務めたトーマス・ジェファーソンの建築家・思想家としての偉大な功績を物語る文化的資産として、1987年に世界遺産一覧表に記載されました。
世界遺産とは、ユネスコ総会で1972年に採択された世界遺産条約(「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」)に基づいて登録される、人類が共有すべき「顕著な普遍的価値(Outstanding Universal Value)」を持つ遺跡、景観、自然などの不動産を指します。世界遺産の登録は、文化的・自然的に価値のあるものを保護・保全し、過去から未来へと継承することを本来の目的としています。
一方、世界遺産に登録されることで知名度が向上し、観光名所としてのブランド力を持つことも期待されています。バージニア州の世界遺産も、保護・保全の対象であると同時に、アメリカ建国の理念と啓蒙思想の結晶を体感できる貴重な観光スポットとして、世界中から多くの訪問者を集めています。
世界遺産の登録基準
世界遺産が登録されるためには、以下の10項目の基準のうち1つ以上を満たす必要があります。(1)~(6)を満たすものが文化遺産、(7)~(10)を満たすものが自然遺産、両方の条件をそれぞれ1つ以上満たすものが複合遺産として分類されます。
世界遺産登録基準(10項目)の詳細は、出典のWikipedia「世界遺産」をご参照ください。
以下で紹介する世界遺産の「登録基準」項目の記載番号は、上記の世界遺産登録基準の番号に対応しています。
アメリカ・バージニア州の世界遺産 一覧・まとめ / UNESCO World Heritage Sites in Virginia USA ~文化遺産(負の世界遺産、文化的景観、産業遺産、近代化遺産、稼働遺産)、自然遺産、複合遺産、危機遺産~
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シャーロッツビルのモンティチェロとバージニア大学 / Charlottesville No Monticello To Virginia Daigaku[Monticello and the University of Virginia in Charlottesville]
モンティチェロ(Monticello)
モンティチェロは、アメリカ独立宣言の主要な起草者であり、第3代アメリカ合衆国大統領を務めたトーマス・ジェファーソン(1743年–1826年)が自ら設計し、約40年の歳月をかけて建設・改修を重ねた邸宅です。イタリア語で「小さな山」を意味するその名の通り、バージニア州シャーロッツビル近郊の丘陵地帯の頂上に位置しています。
建築様式としては、ジェファーソンが深く傾倒した古代ローマの建築家ウィトルウィウスやルネサンス期イタリアの建築家アンドレーア・パッラーディオの影響を強く受けた新古典主義(ネオクラシシズム)建築であり、パッラーディオ様式のアメリカにおける最も優れた実例のひとつとして評価されています。ドーム屋根、列柱ポーチ、左右対称の設計など、ヨーロッパの古典建築の要素をアメリカの風土に適応させた革新的なデザインが特徴です。
邸宅内部には、ジェファーソンの多面的な知性を反映した数々の工夫が見られます。回転式の書見台、二重扉の自動連動機構、天窓を利用した採光設計など、当時としては先進的な機能が随所に取り入れられています。また、敷地内にはジェファーソンが実験的な農業を行った菜園や果樹園、奴隷の居住区であったマルベリー・ロウの遺構なども保存されており、アメリカの建国期における光と影の両面を伝える歴史的場所でもあります。
バージニア大学(University of Virginia)
バージニア大学は、1819年にトーマス・ジェファーソンによって創設された、アメリカ合衆国で最初の政教分離の原則に基づく公立大学です。ジェファーソンは大学の理念の構想から、カリキュラムの策定、キャンパス全体の建築設計に至るまで、あらゆる側面に携わりました。
キャンパスの中核をなす「アカデミカル・ヴィレッジ(Academical Village)」は、ジェファーソンが「知の共同体」の理想を建築空間として具現化した傑作です。中央に位置するロタンダ(The Rotunda)は、ローマのパンテオンの約半分のスケールで設計された円形の図書館建築であり、大学の象徴として今日も存在感を放っています。ロタンダから南北に延びる芝生の広場「ザ・ローン(The Lawn)」の両側には、列柱の回廊で結ばれたパヴィリオン(教授の住居兼教室)が並び、その裏手にはさらに学生寮や庭園が配置されています。
各パヴィリオンはそれぞれ異なる古典建築の様式で設計されており、学生が日常生活の中で多様な建築様式を学べるよう意図された「建築の教科書」としての役割も担っています。この構想は、教育と建築を融合させたジェファーソンの啓蒙思想の象徴であり、後のアメリカの大学キャンパス設計に多大な影響を与えました。
世界遺産としての価値
「シャーロッツビルのモンティチェロとバージニア大学」は、1987年にユネスコ世界遺産(文化遺産)に登録されました。登録基準は(1)、(4)、(6)の3項目を満たしています。
- 基準(1):モンティチェロとバージニア大学のアカデミカル・ヴィレッジは、新古典主義建築における人類の創造的才能を示す傑作として評価されています。
- 基準(4):古代ローマやルネサンスの建築様式をアメリカの風土と理念に適応させ、独自の新古典主義建築を確立した点が、人類の歴史上重要な時代を例証する建築の優れた例として認められています。
- 基準(6):アメリカ独立宣言の理念や、宗教的自由・公教育の推進といったジェファーソンの思想と直接的に関連する物件として、普遍的な意義を持つと評価されています。
これらの建造物群は、政治家・思想家・建築家・教育者というトーマス・ジェファーソンの多面的な才能が結実した、世界的にも類を見ない文化遺産です。
基本情報 / Basic Information
| 登録区分 Type |
文化遺産 |
| 登録年 Designated |
1987年 |
| 登録基準 Criteria |
(1)、(4)、(6) |
| 住所 Address |
Monticello:931 Thomas Jefferson Pkwy, Charlottesville, Virginia 22902 USA the University of Virginia:Charlottesville, Virginia USA |
| 地図 Map |
地図(Map) |
| アクセス・最寄り駅 Access, Nearest station |
ワシントン・ダレス国際空港よりアメリカ国内線(約1時間)「シャーロッツビル・アルバマール空港」到着後、シャーロッツビル・アルバマール空港より自動車(約30分) |
| URL URL |
https://www.nps.gov/nr/travel/worldheritagesites/Monticello_and_UVA.htm |
訪問のポイント / Tips for Visitors
モンティチェロへの訪問にはガイドツアーへの参加が推奨されます。邸宅内部のツアーでは、ジェファーソンの書斎や寝室、発明品の数々を間近に見ることができます。また、敷地内の庭園散策では、ジェファーソンが世界各地から収集した植物を栽培した実験農園の跡を巡ることができます。バージニア大学のキャンパスは一般公開されており、ロタンダの内部見学やザ・ローンの散策が可能です。シャーロッツビルの中心部からバージニア大学キャンパスまでは徒歩圏内にあり、モンティチェロとあわせて1日で両方の世界遺産構成資産を巡ることができます。

