愛媛県の世界遺産 一覧・まとめ / UNESCO World Heritage Sites in Ehime ~文化遺産(負の世界遺産、文化的景観、産業遺産、近代化遺産、稼働遺産)、自然遺産、複合遺産、危機遺産~

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親記事:日本全国・都道府県の世界遺産 一覧・まとめ / UNESCO World Heritage Sites in Japan ~文化遺産(負の世界遺産、文化的景観、産業遺産、近代化遺産、稼働遺産)、自然遺産、複合遺産、危機遺産~

愛媛県は四国地方の北西部に位置し、瀬戸内海と宇和海の二つの海に面した温暖な気候と豊かな自然に恵まれた地域です。日本最古の温泉のひとつとされる道後温泉や、現存十二天守のひとつに数えられる松山城、さらには弘法大師(空海)ゆかりの四国八十八ヶ所霊場の「菩提の道場」として知られる26の札所など、全国的にも価値の高い歴史的・文化的資産を数多く有しています。

この記事では、愛媛県におけるユネスコ世界遺産の登録状況をはじめ、世界遺産暫定リストに関連する情報、そして県内の主な文化財や歴史的資産について紹介します。

世界遺産とは

世界遺産とはユネスコ総会で採択された世界遺産条約「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」に基づいて登録された遺跡、景観、自然などの人類が共有すべき「顕著な普遍的価値」を持ち、移動が不可能な物件を指します。

つまり世界遺産の登録の本来の目的は自然や文化的に価値のあるものを保護・保全し、過去から未来へと伝えていくことです。

ただ、一方でよくテレビやインターネットで目にする世界遺産に関するニュースで聞かれるように、世界遺産に登録されることで知名度があがり、観光名所としてのブランド力を持つことも近年では期待されています。

まず、世界遺産が登録される基準を下記に記載します。

  • (1) 人類の創造的才能を表現する傑作。
  • (2) ある期間を通じてまたはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。
  • (3) 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠。
  • (4) 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例。
  • (5) ある文化(または複数の文化)を代表する伝統的集落、あるいは陸上ないし海上利用の際立った例。もしくは特に不可逆的な変化の中で存続が危ぶまれている人と環境の関わりあいの際立った例。
  • (6) 顕著で普遍的な意義を有する出来事、現存する伝統、思想、信仰または芸術的、文学的作品と直接にまたは明白に関連するもの(この基準は他の基準と組み合わせて用いるのが望ましいと世界遺産委員会は考えている)。
  • (7) ひときわすぐれた自然美及び美的な重要性をもつ最高の自然現象または地域を含むもの。
  • (8) 地球の歴史上の主要な段階を示す顕著な見本であるもの。これには生物の記録、地形の発達における重要な地学的進行過程、重要な地形的特性、自然地理的特性などが含まれる。
  • (9) 陸上、淡水、沿岸および海洋生態系と動植物群集の進化と発達において進行しつつある重要な生態学的、生物学的プロセスを示す顕著な見本であるもの。
  • (10) 生物多様性の本来的保全にとって、もっとも重要かつ意義深い自然生息地を含んでいるもの。これには科学上または保全上の観点から、すぐれて普遍的価値を持つ絶滅の恐れのある種の生息地などが含まれる。

(1)~(6)を満たすものが文化遺産、(7)~(10)を満たすものが自然遺産、文化遺産と自然遺産の条件をそれぞれ1つ以上を満たすものが複合遺産としての登録基準となります。

以下で紹介する世界遺産の「登録基準」項目の記載番号は上記の世界遺産登録基準の番号に対応しています。

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愛媛県の世界遺産登録状況

愛媛県には、現時点でユネスコ世界遺産に正式登録された物件はありません。しかし、愛媛県は世界遺産登録の候補となりうる豊かな歴史的・文化的遺産を数多く擁しており、今後の登録に向けた動きが注目されています。

世界遺産暫定リストと愛媛県の関わり ~四国八十八箇所霊場と遍路道~

愛媛県に関連する世界遺産候補として注目されているのが「四国八十八箇所霊場と遍路道」です。四国遍路は、弘法大師(空海)ゆかりの四国八十八ヶ所霊場を巡る巡礼路であり、全行程約1,200kmにおよぶ壮大な信仰の道です。

愛媛県内には第40番札所・観自在寺から第65番札所・三角寺まで26の札所が所在し、四国遍路における「菩提の道場(ぼだいのどうじょう)」と呼ばれています。菩提とは悟りを意味し、修行の深まりの段階を象徴する区間とされています。

四国遍路は、スペインの世界遺産「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」と並び称される世界的な巡礼文化のひとつです。2015年には「四国遍路―回遊型巡礼路と独自の巡礼文化」として日本遺産にも認定されており、四国四県が連携して世界遺産登録を目指す取り組みが進められています。

愛媛県の主な文化財・歴史的資産

世界遺産への登録はまだ実現していませんが、愛媛県には国宝・重要文化財をはじめとする数多くの貴重な文化財が存在します。以下に、世界遺産に匹敵する価値を持つ愛媛県の代表的な文化財・歴史的資産を紹介します。

  • 松山城(まつやまじょう):全国に12城しかない現存十二天守のひとつであり、天守をはじめ21棟が国の重要文化財に指定されています。標高132mの勝山山頂に位置し、江戸時代の城郭建築の粋を今に伝える貴重な遺構です。
  • 道後温泉本館(どうごおんせんほんかん):日本最古級の温泉施設として知られ、明治27年(1894年)に改築された現在の建物は、1994年に公衆浴場として初めて国の重要文化財に指定されました。三層楼の近代和風建築は、夏目漱石の小説『坊っちゃん』にも描かれた名建築です。
  • 大山祇神社(おおやまづみじんじゃ):瀬戸内海の大三島に鎮座する、全国の山祇神社・三島神社の総本社です。国宝・重要文化財に指定された武具・甲冑の全国所蔵数の約8割が収蔵されており、日本屈指の武具コレクションを誇ります。境内の大楠は天然記念物に指定されています。
  • 宇和島城(うわじまじょう):現存十二天守のひとつで、築城の名手として知られる藤堂高虎が慶長6年(1601年)に築いた城郭を伊達氏が受け継ぎました。天守は国の重要文化財に指定されており、不等辺五角形の縄張りが特徴的です。
  • 石鎚山(いしづちさん):標高1,982mの西日本最高峰であり、日本七霊山のひとつに数えられる山岳信仰の聖地です。古くから修験道の霊場として崇敬を集め、山頂付近には石鎚神社頂上社が鎮座しています。豊かな自然環境と貴重な高山植物相を有し、石鎚山系は国定公園に指定されています。
  • 別子銅山跡(べっしどうざんあと):元禄4年(1691年)の開坑から昭和48年(1973年)の閉山まで、住友家が約283年にわたり経営した日本屈指の銅山です。近代化産業遺産として日本の産業史における重要な位置を占めており、「東洋のマチュピチュ」とも称される東平(とうなる)地区の遺構は、産業遺産観光の人気スポットとなっています。
  • 内子の町並み(うちこのまちなみ):江戸後期から明治にかけて木蝋(もくろう)産業で栄えた町並みが良好に保存されており、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。白壁と格子窓が美しい商家の並ぶ八日市・護国地区は、往時の繁栄を今に伝えています。

これらの文化財や歴史的資産は、愛媛県の豊かな歴史と文化を物語る貴重な遺産群です。四国遍路の世界遺産登録に向けた取り組みが進展するなか、愛媛県の文化財への関心はますます高まっています。愛媛県を訪れる際には、世界遺産級のこれらの文化財もあわせて訪問されることをおすすめします。